その後、芳佳たちも風呂から出て、お風呂で火照った体を冷ますため石橋の上に座り夜風に当たっていた。
「いい風~」
「うん」
星の奇麗な夜空を見上げ四人は景色を楽しんだ。
「すごいね…ストライカーが出来る前のウィッチって、みんな箒で空を飛んでたんでしょ?」
「私のお母さんも昔は使ってたって言ってたよ?」
「へぇ~、芳佳お姉ちゃんたち魔女は箒で飛ぶイメージだけど…」
「でも、箒で飛んだくらいで本当に強くなるのかしら?」
ペリーヌは疑うようにそう呟く時
「疑り深いねぇ~…」
「アンナさん」
そこに寝巻き着姿のアンナがやってきた。
「明日も早いってのにこんな所で何してんだい?」
「橋、見てたんです。」
「橋?橋がどうかしたのかい」
「あの、アンナさんはあんなに上手く箒で飛べるんだから、橋なんて要らないんじゃ無いかなって…」
芳佳が疑問に感じて言うとアンナは顔を背け悲しい顔をする
「……あたしの娘は魔法が使えなくてね」
「え?」
「娘さん……?」
「ああ、ずいぶん前に嫁に行っちまったけど、年に数回孫を連れて会いに来てくれるんだ。この橋を渡ってね…」
「あ、あの…娘さんは今どこにいるんですか?」
「ヴェネツィアさ…」
「ヴェネツィア……」
「そこって、ネウロイに占領された…」
芳佳たちはその場所を聞いて驚いた。そこはトライヌス作戦での激戦地であり、今は新たなるネウロイに占領されている。
するとアンナは芳佳たちの心配そうな顔を察した。
「大丈夫だよ、家族全員無事に逃げたって報告があった。今はこっちに帰ってくる途中だよ」
安心させるように述べる。それを聞いて芳佳たちは安心するのだった。
「早く帰ってくるといいですね」
「そうだね」
「ですわね」
「このネウロイの戦争で、悲しむ人を増やしてはいけない…」
三人は微笑んでそう言うと、亜弥は拳を握りしめながら呟いた。
「さっさと寝な、明日は朝から修行だよ!」
少し顔を赤くし家に戻るのだった。そして四人はその姿を見てさらに微笑むのであった。
翌日、四人は昨日と同じ水汲みをしていた。バランスよく、そして順調に飛んでいた。
昨日とは違い今日はバケツではなく四人で大きなたらいをつるす感じで運んでいた。
「初めからこうすればよかったね」
「うん、これこそチームワーク!」
「亜弥ちゃん、今日こそお風呂を一杯にしようね。ステラさんも水汲みしてるんだから。私たちも頑張んないとねリーネちゃん」
「うん、そうだね今夜は肩までつかりたいね。ね、ペリーヌさん」
「え?私はどちらでもいいんですけど」
四人は話し合っていると
「ん?」
ペリーヌが遠くに何か光るものを見つけた。
「何あれ……?」
その光は少しずつ大きくなり、やがて金属体の反射光である事が確認できた。
この周辺は民間機や軍用機が飛べる空域ではなく、正体は限られる
「まさかアレは……」
「ネウロイ!?」
501基地
「観測班からの報告では、ネウロイは出現場所のベネツィアからアドリア海沿岸をバーリー方向にまっすぐに移動しているわ」
「直線的にしか移動しないねネウロイか…」
ミーナと美緒が地図を見ながらネウロイの進路を見ていた。
そして美緒は定規で線を引き進路を書く
「ええ、本部によれば武力偵察らしいわ。調べたところ数は大型が1機と護衛の小型が4機らしいわ」
「さすがネウロイ…とすると迎撃地点は海上だな」
「それまでは陸地を少し掠るだけ。上陸はしなさそうね」
「これなら緊急出動は必要ないか…いや」
美緒はあることを悟り、ネウロイ予想進路線を引いたところをよく見る。するとその予測進路は小さな小島を通過する進路だった。
「ここは…!?」
「まずい!」
その場所は今、芳佳たち5人が修行をしているあの島だったのだった。
「アンナさん大変です!ネウロイがこっちに来ます‼」
「今、アンタ達の基地から連絡があったよ」
「誰か出撃してくれたんですか?」
「……基地からの部隊は、今から出撃しても間に合わないそうだ。この家は、諦めるしかないね……」
悲しそうな顔でそう呟く。
「そ、そんな…」
そうしている間にもネウロイはこの島に近づきつつある。
芳佳たちは森の外でその様子を見ていた。数は5機、そのうち一機は大型の輸送機型、小型機は4機の護衛。
「まっすぐこっちに来ている…」
「このままじゃ、島も橋も!」
「確実にやられますわね」
三人がそう話していると
「アンタ達、何してるんだい!さっさと逃げるんだよ!」
アンナは芳佳たちに激を飛ばした。
「ここを見捨てるなんて出来ません!」
「家族が帰ってくる家なんですよね?」
「それに、この橋が無くなってしまえば、お孫さん達が帰ってきた時の目印が無くなってしまいますわ!」
「そう、家族を悲しむ顔は見たくない‼」
四人はそう呟きながらストライカーユニットを履き、武装を整えていた。
「あ、アンタ達……」
「それに4人協力してやればできます!」
「いいえ、5人よ」
「「「 っ!? 」」」
「す、ステラさん!?」
4人のウィッチが振り返るとそこにステラがいた。
ムスタングのユニットを履き、重機関銃を右手に、左手にM-1カービンを担いだ状態で立っていた。
「あたしも出撃するわ。この家にはアンナさんの家族が帰る場所だし、それにアンナさんには恩があるしね!」
彼女は微笑み、そして五人は出撃し、島に向かうネウロイ五機を迎撃しに向かった。
「ステラさん、飛べたんですね」
「ええ、半年間。くそば…アンナさんに、ウィッチの基礎である箒から教えてもらったから!」
ステラはこの魔女の世界に来て半年間、アンナにストライカーの飛び方や基礎である箒の飛び方をみっちり仕込まれていたのだった。
「今までの修行の成果、見せつけてやるわ‼」
「はい‼」
5人は話していると。ネウロイの姿が見えたのだった。
「見えた!芳佳とリーネ、ペリーヌはあの大型機に攻撃、亜弥ちゃんはあたしとあの小型を相手するわ!」
「うん、ステラさん!」
「え!?だ、大丈夫なんですか!?亜弥ちゃんと一人で二機相手にするのは…」
「大丈夫よ、何度も言う様に、あたしはあの空で戦ってきたからね…」
ギュイイイイン 「おっと…墜ちろ、黒い化け物‼」 ダダダダダダ ドカアァン
小型ネウロイ2機が放つビームを回避、シールドを晒しながら得意の一撃離脱戦法で瞬時に2機撃墜した。
即座にペアを務めた亜弥は目を見開いた。
「(ステラさん…凄い…)きゃっ…このおぉーっ‼」
ダダダダダダ ドカアァン
「やった…」
「亜弥ちゃん、やるねぇ‼」
亜弥も九九式機銃で小型ネウロイを撃墜、それを目の当たりにしたステラも驚愕した。
そして、三人は輸送機型に接近し輸送機型は放つビームを次々と避ける。そして三人は急降下して敵の腹に潜り込むネウロイもこれ以上近づけさせまいとビームを放つが三人はビームをよけて機銃を撃ちまくる。
「み、みんなの動きが見える!」
「ビームを躱せますわ!」
「箒のおかげだよ!」
あの特訓の成果が出たのか三人の息はぴったりと合い、まさに三位一体となって攻撃しそして三人が力を合わせた結果。
輸送機型ネウロイの装甲が大きくはがれそこから赤く光る球体。コアが見えたのだった。
「コアが見えた‼」
しかしネウロイは再生し、コアを守ろうとし始める。
「もう、再生が始まってますわ!」
「早くコアを壊さないと!」
「私がやります!」
リーネが対装甲ライフルを撃つも弾丸はコアとはほんのわずかに右にそれてしまい、やがて、傷を再生させたネウロイがビームを放つ。
「危ない!リーネちゃん‼」
芳佳がそう叫んだ瞬間一筋のビームが左側のストライカーユニットの先端を斬り裂いた。
「きゃあぁぁ-!!」
制御バランスを失いリーネは落下するが
「リーネちゃん!」
芳佳が全速力で急降下してリーネを海面すれすれで受け止め肩車状態になっていた。
「私のシールドでぎりぎりまで近づくから、リーネちゃんはコアを狙って!」
「了解!」
二人はぎりぎりまで輸送機型に近づこうとしたが、しかし、一機の小型ネウロイが二人に襲い掛かろうとした。
「「 !? 」」
小型がビームを放った瞬間
ダダダダダダ ドカアァン
機関銃の音が鳴り響き、小型ネウロイは粉々に砕け散る。そして上からは
「お姉ちゃん!」
「大丈夫!二人とも!?」
「ステラさん!亜弥ちゃん!」
ステラと亜弥が二人に近づいて無事かどうか訊く。そう、あの銃撃は二人が撃ったのだった。
「はい。大丈夫です!」
「そう、小型の奴はさっきので全部始末したわ。あとはあのデカブツだけよ!」
「は、はい!」
「もうすぐ島ですわ!急いで!援護しますわ!」
「あたしも!」
「私もよ!」
ペリーヌとステラ、亜弥は同時射撃でネウロイの装甲をはがす。そしてネウロイの装甲が崩れそこからコアが見えた。
「今ですわ!」
「リーネちゃん!」
「はい!」
リーネは対戦車ライフルの引き金を引く。
放たれた弾丸は寸分の狂いもなくコアを砕き、輸送機型は白い破片へとなり粉々に砕け散った。
その様子をアンナは見ており、驚いたように唖然としていた。そしてその顔も笑顔になった。
「…ふっ、4人…いや、5人とも合格だよ」
そのころ上空では魔女たちが喜びあっていた
「やりましたわ‼」
「やった!やったよリーネちゃん‼」
「うん!アンナさんの家も橋も守れたね!」
「やったね芳佳お姉ちゃん、リーネお姉ちゃん、ペリーヌさん、ステラさん!」
4人は喜んで、ステラは背筋を伸ばした。
「ふ〜…久しぶりにシンガポール以来暴れた!」
肩をたたきながらそう唱えた
「あ、あのステラさん!」
芳佳がステラに問いかけた。
「ん?なに?」
ステラがそう気づいて言うとペリーヌが寄ってきた。
「あなたは一体何者なんですの?」
ペリーヌの質問を訊く。
「あたし?あたしはね、アメリカ陸軍中尉、ステラ・A・エヴァンス。」
501基地
「坂本です。この度はお世話になりました。」
執務室で、坂本美緒は4人が合格したことを知ると、電話でアンナに礼を伝えていた。
『うん~!全然大変じゃなかったよ!誰かさんと違って、ベッドで泣いたりしなかったしねぇ、へっへっへ!』
アンナは笑って電話をしていると、彼女の孫がソファをジャンプしたり、走り回っていて彼女の娘が自分の娘に注意していた。
「(…クソババァ)」
一方、美緒は眉間に少ししわを寄せて心の中で悪態に着いていた。
「私は泣いてなどいませんよ!はっはっはっはっは‼」
美緒は笑って誤魔化していた。すると
『静かにおし!聞こえないよ‼』
受話器からアンナの叱り声が聞こえた
『まぁ、とにかくあれだね。』
「はい」
『なかなか見込みがあるよ、あの子達は』
その言葉を聞き美緒は嬉しそうに微笑んだ。
「私もそう思います」
修行を終えた芳佳、リーネ、ペリーヌ、亜弥の4人は一緒のベットですやすやと眠っているのだった。
第504部隊 新基地 司令室
「陸軍中尉、ステラ・A・エヴァンス。ただいま戻りました!」
ステラは504の司令であり、隊長のフェデリカ・N・ドッリオ少佐に帰隊を報告した。
「お帰りなさいステラ中尉。この通り部隊はダメージを受け、以前の基地はネウロイの襲来により半壊」
「はい、馴染みのウィッチの大半が入院しているのが…とても残念です…」
「おまけに補給も期待できず資金は不足…」
「…不足……」
ウィッチの大半が入院し、さらに資金が不足の言葉を聞いて気まずい状況下に措かれていた。
「復帰したばかりのステラ中尉に、任務をお願いするわ」
「任務…どんな任務を…?」
「ふふふ~それはね、504部隊によるセクシーカレンダーを制作!!それを販売することにより資金調達!!これね!!」
「うぅ…了解です…!」
「なら、早速…」
フェデリカの背後に、黒いオーラを漂う竹井醇子大尉が赴き、妖艶な行動を阻止した。
「お帰りなさい、ステラ。明日から任務が始まるから、今日はゆっくり休んでね」
「竹井大尉…了解です!」
半年の修行を終えたステラ・A・エヴァンスは第504統合戦闘航空団に復帰、バッキー・S・五十嵐と赤ズボン隊と共にロマーニャの空を掛けるのであった。