501基地 医務室
「…ん…ここは…」
「あ、起きた」
トゥルーデが墜落した翌日の朝。
彼女が目を覚まし最初に見た光景はみんなの心配そうな顔だった。
「…どうしたみんな?私の顔に、何かついているのか?」
「バルクホルンさん!よかった…」
芳佳が安心したように述べ
「お姉さんっ!!」
亜弥がトゥルーデに抱き着き彼女は顔を赤くする。
「うぉい!あ、亜弥!?ちょっと、抱きつくな!///」
「トゥルーデ海に落っこったんだよ。覚えてない?」
「私が…落ちただと!?」
エーリカの言葉にトゥルーデは信じられないという顔をする。
「ああ、正確には、落ちかけた。海面スレスレのところで亜弥が助けたんだ」
「あ、亜弥が…」
洋介の言葉にトゥルーデは亜弥を見る。亜弥の目には涙が貯まっていた
「飛行中に魔法力を使い果たして、落ちたのよ。トゥルーデ、あなた覚えてない?」
「馬鹿な!私がそんな初歩的なミスをするはずがない!」
「…お姉さんは悪くない……」
「は?」
亜弥がトゥルーデにそう呟くと、彼女は目を丸くする。
「おそらく原因はあのジェットストライカーだ。…あの時、俺はあのジェットエンジンの音に違和感を感じていたんだ。こんなことになるなら無理にでも止めれば…」
洋介がそう呟く
「桜井…お前のせいじゃない。試作機に問題は付き物だ。あのストライカーは素晴らしい。早く実戦化するために、まだまだテストを続けなければ…」
トゥルーデは手を握りしめ、決意を固める。すると亜弥が彼女の手を握る。
「だめ、あれは危ない!あれに乗っちゃダメだよお姉さん!!」
「あ、亜弥…」
亜弥の言葉にトゥルーデを含め、みんなが驚く。
「亜弥ちゃんの言う通りよ。あなたの身を危険な目にさらすわけにはいかないわ。バルクホルン大尉、あなたには当分の間、飛行停止と自室待機を命じます」
「ミーナ…っ!」
「これは命令です」
「………了解」
上官であり親友である彼女ににそう言われたトゥルーデは、どこか納得していないような顔をしていたが、命令ということで承諾する。
「原時刻をもって、ジェットストライカーの使用を禁止します!」
格納庫
洋介はストライカーラックにジェットストライカーが鎖に巻かれ、封じられている光景を目の当たりにした。
「……野上さん…小泉博士…ジェットは何のために開発したんですかね…」
洋介はジェットストライカーを撫でながら、かつての特攻機『桜花』で戦死したパイロットと、厚木基地で『橘花』を開発する技術者の名前を呟いた。
トゥルーデは体力と意識が回復した後一週間の自室待機を命じられた。だが
「ふんっ……ふんっ……ふぬっ……」
「あの、バルクホルンさん…」
「何、やってるんですか?」
食事を運びに来た芳佳とリーネが見たのは、部屋の梁に手を掛け、片手懸垂をしているトゥルーデの姿だった。
「トレーニングだ…フンッ…私が落ちたのは、ジェットストライカーのせいではない、私の力が、足りなかったからだ…」
「へ?またあれで飛ぶつもりですか!?」
「当然だ。あのストライカーを使いこなすことができれば、戦局は変わる…フンッ」
トゥルーデはそう言いながら懸垂を続ける。
すると
「無駄だ、あきらめろ」
「シャーリーさん!亜弥ちゃんも!?」
「お姉さん…」
「…」
「私を笑いに来たのか、リベリアン?魔法力切れで墜落など、まるで新兵だからな…」
「お姉さん…あのストライカーは、危険…」
「危険だと?亜弥。戦場って言うのは常に危険なものだ。実戦が浅いお前にはまだわからないと思うけどな…」
「う…」
トゥルーデにそう述べられ、亜弥は落ち込む。するとシャーリーは
「亜弥の言うとおりだ。あのストライカーはマジでやばいんだ。飛べなくなるだけじゃすまないぞ」
「ジェットストライカーの戦闘能力の高さは、お前も十分分かっているはずだ。このくらいの危険など…」
トゥルーデはそう呟くと、シャーリーは険しい顔をする。
「だったら死んでも良いのか!?」
「「 え!? 」」
あまりの厳しく重い言葉に芳佳とリーネは驚く。
「私は、もっと強くならねばならないんだ…フンッ…」
「この分からず屋!」
何を言っても聞かないトゥルーデにシャーリーがそう怒鳴ると、敵の襲撃を知らせる警報が基地内に響き渡る。
「あ、ネウロイだ」
部屋の片方のゴミ山から、下着姿のエーリカが現れる。
「ハルトマンさん!」
「居たんですか!?」
「うん……お先!」
軍服の上着を羽織り、ハンガーへ向かう。そしてシャーリーは無言で出て行った。
「あ、ちょっとシャーリーさん!」
「芳佳ちゃん、亜弥ちゃん!私たちは司令室で待機だよ!」
「はい!芳佳お姉ちゃん、リーネお姉ちゃん、先に行って下さい!」
芳佳とリーネが出て行き、部屋に戻った亜弥が言った。
「お姉さん、私はお姉さんには死んでほしくない!……それに…」
「なんだ?」
「あなたは、お父さんとの約束をここで破る気?」
「っ!?」
トゥルーデは彼女のその言葉を聞いて驚く
「わたしが言いたいのは、それだけだから…」
亜弥は部屋を出たのだった。
「…」
懸垂を止め、床に下り一人残されたトゥルーデは先ほどの亜弥の言葉を思い出していた。
洋介とトゥルーデが戦友になった。あの夜の約束を
「私だって分かっている……魅せられたんだ、あのジェットの性能に…人間、一度上がると下がれない、というのはこのことか …私はどうすれば…)」
トゥルーデはそう悩む。その時
「隙あーり!」
「うひゃぁ!?」
背後に突然エーリカが現れ、彼女の耳に何か付けた。
「忘れ物だよ~、にゃはは~!」
そう言いエーリカは部屋を出るのだった。
「……インカム」
一方、司令室では
「目標はローマ方面へ目指して南下中。ただし徐々に加速している模様…」
『こちらも補足した…はっ!?』
「どうしたの美緒?」
ミーナがレーダーを見ると、一つだった点が五つに分裂した
「なっ!?分裂した!」
「ミーナ隊長、敵状況は!?」
ミーナがそう言った時、指令室で待機していた洋介が入って来た。
「敵は高速型。敵が分裂、散開して今美緒たちが迎撃に当たっているわ!」
その様子を見て、美緒たちは苦戦し、基地に連絡する。
『こちら坂本、シャーリーが苦戦してるようだがこちらも手が足りない。至急増援を頼む!』
「了解!リーネさん!宮藤さん!亜弥さん!」
『了解!』
連絡を受けたミーナは、後ろに立つ芳佳とリーネ、亜弥を呼ぶ。3人は無線で聞いていたため、用件はすぐ理解していたので返事をする。
すると洋介も立ち合った。
「ミーナ隊長、俺も行きます!!」
「桜井さん!?」
「一人でも多く迎撃に向かい、少なくともペアで共同しなければならない!!」
「…わかりました、許可します!」
「了解!!」
洋介の零式はシャーリーのP-51ユニットに匹敵する速度を持っていた。
そして、洋介と芳佳、亜弥とリーネは格納庫に向かってユニットを履き、魔法力を流す。その時だった。
「え?バルクホルンさん!?」
四人の目の前に突然、トゥルーデが現れた。
彼女は飛行禁止を受けて自室待機を命じられていた。
「お前たちの足では間に合わん!」
しかし、彼女は四人に言うと、走り出し、向かった先にあったのは、鎖で縛られて使用禁止にされたジェットストライカーMe262があった。
トゥルーデはその鎖を掴むと、『怪力』を使って鎖を引きちぎった。
そして、解放されたジェットストライカーに足を入れると、魔法力を流す。
「命令違反です、大尉!」
「今あいつを助けるには、これしか無いんだ!」
リーネが懸命にトゥルーデを止める、しかし彼女は止まらなかった。
エーリカにインカムを渡されて聞いていた彼女は、戦場で苦戦するシャーリーの声を聞き、急いで向かおうとしたのだ。
「でも、まだ体力がっきゃあ!?」
芳佳求めにかかるが、トゥルーデは50ミリカノン砲を手に取ると緊急発進した。
『トゥルーデ!?』
「すまんミーナ、罰は後で受ける。今は…」
その様子を見ていたミーナは無線でトゥルーデに呼びかける。しかしトゥルーデはミーナに謝りながら突き進んでいく。
『5分だ!』
その時、無線で新たな声がする。それは洋介だった。
『5分以内にケリをつけろ…必ず生還するんだぞ!』
「フッ…5分で十分!」
トゥルーデが洋介に返信する。
「生きて帰ってね!妹さんのためにも!」
「あぁ。私のもう一人の妹、亜弥の為にもな!」
その言葉を聞き彼女は微かに笑うと、全速力でシャーリーのところに向かった。
その頃シャーリーは、ネウロイの速さに苦戦をしながらも、その後ろを取っていた。
「そこだ!」
シャーリーはチャンスを作りだし、そして引き金を引く。
しかし、BARから弾は撃ちだされなかった。シャーリーの機関銃が弾詰まりを起こしたのだ。
「ジャムった!?」
シャーリーは思わず驚く。
その一瞬の隙を突き、ネウロイは更に二つに分かれる。そして、二つに分かれた個体はシャーリーを挟み撃ちにした。
「やばい、挟まれた…!」
シャーリーはもう体力的にもかなり来ていた。たとえ片方の攻撃を防いでも、もう片方が後ろから攻撃をしかねない。
万事休すと思われた次の瞬間、シャーリーの後方に居たネウロイが突然爆発した。
「えっ!?」
何事かと思ったシャーリーが見ると、トゥルーデが50ミリカノン砲を構えていた。彼女が放った弾丸が、シャーリーを挟撃していたネウロイを粉砕したのだ。
そしてトゥルーデは更にカノン砲を3発撃つ。
「バルクホルン!?」
シャーリーはトゥルーデが居ることに驚くが、バルクホルンの放った弾丸はシャーリーに向かっていた残ったネウロイに2発直撃。そして露出したコアに3発目が命中し、コアは粉砕される。
コアが破壊されたことにより、各場所に分散していたネウロイは全て光の破片に変わった。
「ジ…ジェットストライカーは使用禁止のはずでは…?」
「バルクホルンめ、無茶し寄って…」
「しっしっし」
ペリーヌは使用禁止になっているはずのジェットを使っているトゥルーデに驚くが、美緒は無茶をするトゥルーデに対して言った。
そして、エーリカは「やっぱりな」と言わん顔で笑っていた。
「やったぞバルクホルン!…おい?バルクホルン?」
シャーリーはネウロイを撃墜したトゥルーデの元へ向かおうとする。しかし、当の彼女は直進したまま振り返らない。
シャーリーはそんなトゥルーデの違和感に気づく。
「…どうなってんだ?バルクホルンのスピードが落ちないぞ!」
「いかん!ジェットストライカーが暴走してるんだ!このままだと魔法力を吸い尽くされるぞ!」
美緒がトゥルーデの身に起こっていることに気づいた。
なんとジェットストライカーの暴走が起きており、トゥルーデの魔法力をポンプのように吸い尽くして言っていたのだ。
ウィッチの魔法力をすべて吸い尽くされては、二度と魔法を使う事が出来なくなってしまう可能性が高い。
『シャーリーさん!』
「了解!」
ミーナは切羽詰まった声でシャーリーのことを呼ぶ。シャーリーも、トゥルーデを止めようと返事をしながら向かっていく。
この状況下でトゥルーデを捕まえることができる可能性があるのは、最速のシャーリーだけだ。
シャーリーは懸命にトゥルーデについていく。
魔導エンジンを高速で回しながらトゥルーデに迫る。しかし、ジェットストライカーの方が直線の伸びが違った。
シャーリーの最高速度を振り切る形で、トゥルーデの体は遠ざかっていく。
「くっそったれえぇ!!!!」
シャーリーは大声で嘆くと、ありったけの力を振り絞ってフルパワーを出した。魔導エンジンが焼き切れんばかりに回り、シャーリーの速度はぐんぐんと加速する。その加速によって、シャーリーはソニックブームを出した。
シャーリーは音速の壁を超えてトゥルーデに迫ると、ついにトゥルーデの体を捕まえた。
「止まれえぇぇー!!」
そしてシャーリーは、ジェットストライカーについていた緊急停止装置のレバーを引っ張ったが離れなかった。
「くそっ…レバーの故障か!?」
「ぐおおぉぉーっ!!シャーリー!!トゥルーデをそのまま掴め!!」
「洋介!?わかったっ!!」
零式で全速力で洋介が空域に到着。
四式小銃を構え、スコープを覗きながらトゥルーデのユニットを狙った。
「…すー…はー…(焦りは…禁物だ…)そこっ!!」
バアアァン バアアァン
洋介の射撃により、弾丸はジェットストライカーに命中。
すると、ユニットが黒煙を吐き出すと、トゥルーデの足から離れたのだった。
離れたジェットストライカーは海面に水没していく。しかしシャーリーは、バルクホルンの体を懸命に抱きかかえた。
「はぁ…んっ?」
シャーリーは止まったことに溜息を吐く。
その時、自分の胸に新たな感触を感じた。顔を下ろしてみてみると、トゥルーデが気持ちよさそうにシャーリーの胸に顔を埋めていた。他の人から見て、先ほどまで自分のウィッチ生命が危ぶまれる状況にあったなどと誰が思うかというほどに、幸せそうだった。
「ああーっ!!それあたしの!」
ルッキーニがトゥルーデに指差して抗議するが、彼女は起きなかった。
シャーリーはトゥルーデを抱えながら、そんなルッキーニの方を笑いながら見るのだった。
夕方、格納庫内
「寝ている間に一体何があったんダ?」
「バラバラ…」
夜間哨戒に出ることになったエイラとサーニャは、目の前でかろうじて原形をとどめていたジェットストライカーを見ながらそう零す。
その横には、砲身が折れて使い物にならなくなった50ミリカノン砲もあった。
「全く、人騒がせなストライカーでしたわね」
「ええ、それと使う人間もね」
ペリーヌが言った言葉に、ミーナは同調する。
そんなミーナの言葉に、罰としてジャガイモの皮むきをしていたトゥルーデと洋介がドキリとした表情をする。
そんな様子を見てか、シャーリー助言する。
「おかげでネウロイを倒せたんだ、少しは大目に見てくれよ」
「規則は規則ですよ」
しかし、ミーナはそれでも許さない。今回ばかりはトゥルーデの自業自得である。
「まあ、出撃したのは俺も非があるし、同じように罰を受けるとするか…」
「しかし、亜弥もなんで皮剥きを…?」
「うん、お父さんとお姉ちゃんがやるなら、亜弥もやります。連帯責任として」
「あ…亜弥…」
「しかし、バルクホルンが命令違反なんて初めてじゃないか?」
洋介はそう言ってトゥルーデの横に座りながら、ナイフを持ちながらジャガイモを手に取って手際よく皮むきを始めた。洋介も彼女に5分と述べ、彼も同罪と見てもよかった。
亜弥も以前、502で罰を受けた時に、父親の洋介も一緒に罰を受けた恩を返したのだった。
そして美緒はトゥルーデが命令違反をするなんて珍しいと言う。今までのトゥルーデは違反無しの記録を作れるほどの規則を守っていた人だ。だからこそ、彼女の違反を見た彼女たちは珍しいものを見たと言っていい。
その時、美緒の横から声がする。
「皆さん、どうもお騒がせしました」
その声をして全員が顔をあげてみると、そこにはメガネを掛けたエーリカが居た。しかし、全員が全員疑問に思う。
「…何故、お前が謝る?」
「ハルトマンのせいじゃ無いだろ?」
「いえ、私は…」
美緒とシャーリーが言う通り、今回の件にハルトマンが謝る点は無い。しかし、ハルトマンは何かを説明しようとしたが、格納庫の入口からした声に遮られた。
「みなさーん!お腹空いてませんか?」
「お芋がいっぱい届いていたから、色々作ってみましたよ~」
リーネと芳佳がカートに沢山の料理を運びながらやって来る。そして芳佳は一人一人にフライドポテトを配っていく。
「はい、ハルトマンさんもどうぞ!」
「いただきます」
「あれ?メガネなんてしてましたっけ?」
「はい、ずっと」
芳佳はエーリカにフライドポテトを渡す。エーリカもそれを受け取るが、彼女はエーリカがメガネをかけていることに疑問に思う。
その時、芳佳の後ろから声がする。
「うわっ、美味しそう!」
「あっ、こっちのハルトマンさんもどうぞ…って、え!?」
後ろからエーリカが来たので、芳佳はフライドポテトを勧めた。
しかし、ここで全員が気付いた。
エーリカ・ハルトマンが二人いる。事情を知っているもの以外は、皆はまるでありえないものを見るような目で二人を見た。
「お久しぶりです、姉さま」
「あれ?ウルスラ?」
『 姉さま!!? 』
衝撃の発言に全員の言葉がシンクロする。何とメガネをかけたエーリカは、フライドポテトを食べているエーリカに姉さまと言ったのだ。
その様子を見て、ミーナが説明した。
「こちらはウルスラ・ハルトマン中尉、エーリカ・ハルトマン中尉の双子の妹さんよ」
『 妹!? 』
「彼女はジェットストライカーの開発スタッフの一人なの」
『へ~…』
ミーナの説明を受けて全員が驚き、そしてビックリしたように見る。双子なだけに、外見はメガネを覗いて完全にそっくりだった。
「(双子か…そう言えば、トチローさんとトチコさんは、どうしているんだろう…元気かな…?)」
内心、洋介はあの世界に取り残された整備士の秋山敏郎と聡子の双子の兄妹を思いだした。
だが、洋介は知らなかった。終戦の翌年に、復員輸送艦『葛城』の飛行甲板にて、二人はフィリピン海に落下し、殉職した。
「バルクホルン大尉、この度はお騒がせしました。どうやらジェットストライカーには、致命的な欠陥があったようです」
「まぁ、試作機にトラブルは付き物だ…気にするな。それより、壊してしまってすまなかったな…」
「いえ、大尉がご無事で何よりでした」
ウルスラが謝罪し、亜弥が頷く。
「……亜弥、お前にも心配かけたな。それに桜井にも…」
「えへへ…」
「まぁ、でも無事でよかったよ」
「………ふっ」
洋介がそう言うとトゥルーデは微笑み、そして亜弥の頭を優しく撫でる。
「…で、スクラップになったジェットはどうなるんです?」
「この子は、本国に持って帰ります」
「ずいぶん、思い入れがあるんですね…もしかしてそのために?」
「そのためにわざわざ来たのか?」
「ええ……代わりと言ってなんですが、お騒がせしたお詫びに、ジャガイモを置いていきます」
外を見ると、大量のジャガイモが入ったたくさんのコンテナがあった。
「またこんなに…」
その様子を見たペリーヌはげんなりし
「しばらくは糧食の芋には困らんな…」
「そうだね…」
そして、テーブルの上には芳佳たちが奮闘して作った料理が沢山並べられた。
『なっ!?』
しかし、トゥルーデとシャーリーがフライドポテトを取ろうとした時、丁度同じものを同時に取ってしまう。そして二人はいつものようににらみ合う。
「これは私のフライドポテトだ」
「リベリオンの食べ物はいらないとか言ってなかったか?」
「今は体力回復の為、エネルギー補給が最優先だ」
「素直に美味いって言え」
「まあまあだな」
二人はたった一つのフライドポテトを奪い合いながら言い合いをする。時にはそのポテトが宙を舞ったりしている。洋介はその様子を見て溜息を一つ吐く。
芳佳たちも
「もう…沢山作ってあるのに、なんで取り合いになるんですか?」
と言った様子でそれを見ていた。
エーリカがフライドポテトを食べながら笑みを浮かべていた。
「いいのいいのあれで、ほっときなって」
「そうだな、ケンカするほど仲が良いって言うな!」
洋介もフライドポテトを食べながら、初対面で喧嘩したラバウル時代を懐かしんだ。