ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第3話 日ノ丸のウィザード

 

 

眩い光の中で、徐々に零戦の機体に変化が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだなんだ…!?」

 

「なにごとだ!?」

 

ストライカーユニットが納める格納庫は光溢れ、その場には整備士の知らせを聞いた美緒とミーナが駆けつけて来た。

 

 

 

 

「な…なんてとこだ……これはどういうことなんだ…?」

 

 

 

光が収まり、洋介が目にしたのは、三沢基地から鹿屋基地、横須賀、呉、千歳基地、占守島で飛行して闘った戦闘機ではなく、ウィッチたちが履いている「ストライカーユニット」という機械の箒に変わっていた。

 

 

機体のエンジンは新型の金星エンジン、胴体に日の丸と隊長機の証である青の二本線模様。

そして決定的なのは、厚木基地時代にトチロー整備士たちが描いた垂直尾翼に鷹が嘴で刀をくわえた黄昏色のカラーマーク、洋介の愛機、零戦64型であった。

 

 

 

その光景を見た洋介は腰を降ろした。

 

 

「…桜井さん…?」

 

 

「機体の整備しようとしたら、急に光り出して……光りが収まったらストライカーユニットになっていました……あははは…まさかこんなことになるとは……トチローさんが見たらスパナで打たれる……いや、逆に興味を持たれるかな…?」

 

 

「桜井さん………大丈夫ですか?」

 

 

「………はっ、ところでミーナさん、ストライカーユニットってどう動かすのですか?脚に履くのはわかるが……」

 

 

「え?桜井さんは魔法力がありますね。桜井さんが言った通り、脚に履いて……」

 

 

「うおぉー!!」

 

 

「「「 !? 」」」

 

 

美緒が笑顔になりながら、洋介の零戦を履いた。

 

 

「ちょっと、美緒!?」

 

 

「ミーナ、こいつに口で教えるより、私が手本を見せる!!桜井、悪いがちょっとだけ飛ばせてくれ!!」

 

 

「そういう問題じゃないだろ!少佐!!」

 

 

「発進!!」 グオオォォン

 

 

バルクホルンが言ってくるが、そんなことはお構い無しに坂本は機体を滑走路へ移動させようと魔動エンジンに魔力を注ぎ、飛行した。

 

 

「(……凄い…!)」

 

 

シャーリーは洋介の肩に手を乗せ、目を輝かせながら訪ねた。

 

 

「おおっ、飛んだな!なぁ洋介、あのユニットの最高速度は?」

 

 

「ん…シャーリーか…、軽く600はでる…」

 

 

「そうかっ!少佐なら速度を実証してくれるだろ。洋介のユニット、あたしもあとで乗せてくれ!」

 

 

 

「なっ…、シャーリーさんまで…」

 

 

 

美緒は基地上空で飛行曲技を実施、そのあと、彼女は飛行から帰還、洋介と芳佳が坂本の元にきた。

 

 

「坂本さん、どうでした!?」

 

 

「おうっ、私の零式より速かった!!」

 

 

「速度はどうでした?」

 

 

「そうだっ、650キロは出た!最高のストライカーユニットだ。私も使い慣れた零式ユニット乗りとして使いたいくらいだ!!」

 

 

「坂本さん、鳥みたいです!」

 

 

「鳥ではないぞ桜井、我々はストライカーユニットを扱うストライクウィッチーズだ!」

 

 

「……坂本さん、……教えて下さい!!ストライカーユニットの扱いを!!」

 

 

「はっはっは!!良い心掛けだ!ビシバシ鍛えてやる!」

 

 

「はい!!」

 

 

「よかったね、美緒。でも、今度こういう事したら……………(黒笑顔)」

 

 

「わ…わかった…!!」 

 

 

坂本は冷や汗を掻き、洋介はある人物を思い出して身体が震えた。

 

 

「(怖い笑みだな…、雪と柚子さん、トチコさん、志帆姉さん並みに怖い)…坂本さん…ミーナさん、ユニットの動かし方なんだけど…」

 

 

 

「あら、そうだったわね。まず桜井さん、脚をユニットに入れてみてください」

 

 

「こ、こうですか?」

 

 

ミーナに言われた通りに、長ズボンのままでユニットの口のような場所につま先から足を入れる。すると

 

 

 

 

 

 

「うわっ!なんか頭になんか…飾り!?しっぽが生えた!!」

 

 

「はっはっはっ!これは使い魔だ!」

 

 

「使い魔…?」

 

 

「これは…鳥?」

 

 

「これは……鷲かしら?」

 

 

「いや、この模様柄は……鷹だ!」

 

 

「桜井さん、私達ウィッチは動物と契約を受けてサポートとして戦っているのよ」

 

 

「ど…動物と契約…!?」

 

 

「この通りです」

 

 

ミーナや美緒、芳佳たちは手本として頭部と尻から狼と犬の耳としっぽが出た。

 

 

「そ、……そうなんですか……驚いたな〜!…まるで『のらくろ』みたい…」

 

 

「のらくろ…?それにあなたはいつ、どこで契約を!?」

 

 

「い…いつって言っても…」

 

 

洋介は右手で頭を抱えながら思い出そうにも思い出せなかった。

鳥類を使い魔に持つウィッチは航空ウィッチとして比較的優秀になる傾向がある。

 

ミーナから助言をもらった洋介は軍刀と四式小銃を装備、頭に略帽、飛行ゴーグルを装着。右側のから九九式13ミリ機銃(投擲装備)が出てきた。

 

 

すると、ミーナが洋介にある物を渡した。

 

 

「桜井さん、これを耳に嵌めてください」

 

 

「ん…?これは?」

 

 

「それは私たちウィッチたちの小型無線機のインカムです」

 

 

「い…インカムか…便利な代物だな~」

 

 

洋介は、最後に自身の耳に、渡されたインカムを装着。

 

 

「よし、じゃあ、始動してみろ」

 

 

「了解!!」

 

 

 

洋介は不思議だった。初のストライカーユニットを扱うのに魔法力の注ぎ方が手に取るように分かった。

 

いつも愛機に乗っている感じと同じであり、彼は目をつぶり、スーっと息を吸いそして

 

「(よし…いくゼョ…相棒!!)コンタクト!!」 ヴウオオアアアーーー ゴオオオオオー

 

 

そういうとユニットのエンジンがかかり爆音が鳴り響き、風が吹く。そして地面には魔法陣が展開される。

 

 

「う……風が!目が開けられない……」

 

 

「すごい音…!」

 

 

芳佳は強風のあまり目が開けられず、リーネは驚いていた

 

 

「すごい!男性でも魔法陣だわ!」

 

 

「スゲー!」

 

 

「桜井洋介、零戦64型、行きまーす!!」 ギュオオオオオオオン

 

 

洋介は滑走路から離陸、飛行した。

 

 

「はっはっはっ!あいつは一発でなかなかやるな!!宮藤、リーネ!お前たちも桜井と訓練も兼ねてひとっ飛びしてこい!!」

 

 

「「はいっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーバー海峡上空

 

 

 

 

 

 

「凄い、飛んでいる!飛んでいるんだ~!」 

 

 

「「 洋介さーん!! 」」

 

 

洋介の後方から、ユニットを履いた芳佳とリーネが飛行して追いついてきた。

 

 

「どうですか?生身で飛ぶ感想は?」

 

 

「芳佳、リーネ。最高だ!!この興奮は予科練の初訓練飛行以来だ!!俺は鳥だ、鳥になったんだ!!…64型がこんなに性能が良い機体だったのか!?飛んでいる君たち、空飛ぶのらくろだな~♪」

 

 

洋介の興奮は止まらなかった。狭い操縦席の中とは大違い、暫く飛んでいると

 

 

「……ねぇ洋介さん…」

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「洋介さんは元の世界に帰りたくはないのですか?」

 

 

「そうですよ……家族が心配するんじゃ……」

 

 

「…ん…そう言えば考えてなかったな…」

 

 

芳佳とリーネの質問で洋介は思った、あの時は戦闘中だったため、戦死した。

 

 

故郷に帰っても家族の妻である雪は意識不明で娘を残し、心残り。そう思った時に、海面を目撃、なにかが飛行していた。

 

 

「おい……二人とも、海面に……」

 

 

「あれは……っ!?ネウロイ!!」

 

 

「なにっ!?」

 

 

「なんで、ここに?」

 

 

「おそらくレーダーに探知されんように、低空飛行したんだろ!こちら、桜井!ネウロイ発見!!これより追撃する!」

 

 

「『了解!こちらも向かう、3人で時間を稼げ!』」

 

 

「了解!芳佳、リーネ!いくぞ!!」 

 

 

「「 り、了解!! 」」 

 

 

ユニットを履いて初飛行の中でネウロイと遭遇、敵に向かって降下。

 

敵であるネウロイに目視まで接近、フォルムは前の世界で闘った露の忌まわしいシュトゥルモビク型であった。

 

 

「リーネは後方で援護射撃、芳佳は俺とついて来い!!」

 

 

「「 り、了解!! 」」

 

 

リーネが銃身を向けて射撃、左翼に命中、バランスを崩すも直ぐに回復して元通り、シュトゥルモビクが二人に向かい、ビームを放った。

 

芳佳は円状のシールドで防ぎ、洋介は何と回避した。

 

 

「芳佳!何だそれは!?」

 

 

「シールドです!!ウィッチが持つ能力の一つです!!洋介さんも両手でかざして!!」

 

 

「…こ…こうか…?」

 

 

「あ……あれ…洋介さん?」

 

 

洋介は芳佳の真似ながらやったが、シールドが出なかった。それをインカムで聴いたミーナが洋介に質問した。

 

 

「『シールドが出ない!?…もしかして、桜井さん、…あなた年齢は…!?』」

 

 

「ん…年齢!?…俺は丁度二十歳です!!」

 

 

ミーナは愕然とした。ウィッチは二十歳前後にシールドの効果が薄れ、使えない。

 

洋介と芳佳はネウロイの背後をとって射撃したが、ネウロイが後部からビームを洋介に向けて放った。

 

 

「しまった!!(くそっ…あの時の再現だ…無念…)」 バシュッ

 

 

「「洋介さん!!」ああっ…」

 

 

ビームが洋介に命中、大爆発した。

 

 

 

 

だが、煙が止むと洋介は左腕でシールドを翳し、無事だった。

 

 

「あ…危なかった~!!…何だ!?…これが…シールドか…」

 

 

「洋介さん!!大丈夫ですか!?」

 

 

「ああっ!心配かけてすまん!今から反撃する!いくぞ!!」 

 

 

「はいっ!!」 

 

 

洋介と芳佳は再びネウロイの背後に付き、ネウロイがビームを放つも、二人はシールドで防ぎ、徐々に接近した。

 

洋介の額に稲妻が走り、コアはシュトゥルモヴィクの操縦席に確認した。

 

 

「見えた、コアは操縦席にある!」

 

 

「だったら風防を狙えば!?」

 

 

「よし!俺は右翼、芳佳は左翼を銃撃、バランスを崩したらリーネは風防を狙え!!」

 

 

「「はい!!」」

 

 

二人はネウロイの両翼を銃撃、バランスを崩したところでリーネが風防を狙撃、コアが露出した。

 

だが、すでに3人の弾薬が消耗、洋介は機銃と小銃を芳佳とリーネに渡し、腰に装備した軍刀を抜き、速度を上げてネウロイの真上に接近した。

 

 

「これで止めだ、一刀両断!!」 スパアアアン

 

魔力を込めた軍刀でコアを斬り、ネウロイを撃墜した。

 

破片が散りばめる中で、美緒たちが到着、洋介たちは報告した。

 

 

「はっはっはっ!桜井よ、よくやった!!」

 

 

「いえ坂本少佐、俺だけではありません。この2人がいたからこそです!!」

 

 

「桜井、私に少佐はいらん。さん付けで構わない!」

 

 

「はっ!………坂本さん!(坂本さん、厚木隊長と沖田さんみたいだな~)」

 

 

洋介が答えた時、芳佳が近づいてきた。

 

 

「でも、洋介さんもすごいですよ!」

 

 

「そうですよ、刀でネウロイを斬り倒したところが…」

 

 

「坂本さんみたいでした!」

 

 

芳佳とリーネは洋介の戦いぶりに興奮、二人の言葉を聞いた美緒は目の色を変えて、洋介の腕を掴んだ。

 

 

「そうか、よしっ桜井!基地に帰ったら訓練、剣術で私と付き合え!!」

 

 

「えっ…ちょっと坂本さん…」

 

 

「はっはっはっ、遠慮するな!扶桑男児もとい、ウィザードならなおのことだ!」

 

 

「ちょっと待って下さい坂本さん、俺は日本男児です!!」

 

 

「どっちでもよい!宮藤とリーネ、帰還したら訓練だぞ!」

 

 

「「 はっはい! 」」

 

 

基地に帰還後、3人は夕方まで訓練訓練また訓練、洋介は2人以上に美緒と剣術に付き合わされ、終わるころにはヘトヘトになった。

 

 

「やるな~桜井!」

 

 

「いえ、俺は元の世界でも常に剣術を…たまに、小隊の隊長と剣術を交わしていました…」

 

 

「そうか、いつでも剣術のトレーニングにつき合って貰うぞ!!」

 

 

「はっはい、坂本さん!!」

 

 

 

それから洋介は正式に配属してから早1週間、基地の雰囲気にも慣れた。だが、女性の下の光景も。これは慣れちゃいけないものに慣れた気がした。だが、慣れないのが坂本美緒による滑走路10周ランニング。

 

 

 

「ハア…ハア…洋介さんすごいですね。私なんて5周で限界でしたよ」

 

 

「…私も…」

 

 

「…俺も…予科練時代でかなり…しごかれたからな。ペースを落とせば10周追加されたし…」

 

 

「……なんか大変ですね、洋介さんも…」

 

 

「こら!まだ訓練が残っているぞ!!」

 

 

「「「 は、はいっ! 」」」

 

 

竹刀を持った美緒が、洋介に質問した。

 

 

「桜井!この海の先に何がある!?」

 

 

「欧州です!!フランス…いえ、ガリア、カールスラントなどがネウロイに占領されています!」

 

 

「そうだ!お前はウィザードとして、ウィッチ達とそこを奪還せねばならない!その為には訓練、訓練、更に訓練だ!」

 

 

「はっ!!(そうだ、世界が違えどあそこは虎雄の妹の晴香さんと弟の勇介が眠っているドイツへ行かねばならん!)」

 

 

洋介はこの世界について色々と勤勉、最低限の国名を学び、そして、異世界でも自身の兄弟と戦友の妹の地へ赴かなければならなかった。

 

 

夕方ー、洋介は美緒とストライカーユニットで訓練飛行、剣術にもつきあわされ、大抵引き分けと数回勝敗した。

 

 

「ん〜やっと終わったけど結構堪えるな、…予科練以来だな、こういう訓練」

 

 

「おい、ウィザード」

 

 

「はっ!…バルクホルン大尉?」

 

 

体力を使い果たし、寝転んでいた洋介はバルクホルンが来ていたことに気付き、立ち上がって敬礼をしたが

 

 

「ここは最前線だ、常に即戦力が求められる」

 

 

「……………………」

 

 

「ウィザードになってから調子に乗るな、死にたくなければ故郷に戻れ」

 

 

「…故郷ですか…生憎、俺は元の世界で幾多の激戦を経験しているんで…それに、簡単に帰れるなら苦労はしません。」

 

 

「……なに?」

 

 

「何でもないですよ、大尉。それじゃこれで」

 

 

「………………異世界か……馬鹿馬鹿しい」

 

 

訓練の終了後、洋介は滑走路の先端部に居座り、胸ポケットから写真を取り出した。

 

その後、芳佳とリーネの二人は並んで滑走路の先に座る。 

 

 

「洋介さん。ここ、私のお気に入りの場所なの」

 

 

「うん。何度見ても、綺麗な場所だよね」

 

 

「うん」

 

 

「…確かにいい夕日だ。外地、南方のラバウル……ニューブリテン島とトラック諸島を思い出すな…」

 

 

「ニューブリテン島…?トラック諸島…?」

 

 

「教えてくださいね。洋介さんがいた世界を…」

 

 

「あぁ…いずれな。…雪、亜弥。父さん、母さん、志帆姉さん、勇介、澪さん。厚木隊長……沖田さん……虎雄……進次郎……幸吉……トチローさん、トチコさん…晴香さん…純子さん…柚子さん……僕は魔女がいる世界でも頑張るよ……」

 

 

 

洋介は夕日が沈む大西洋の海を眺めた。あの南方の思い出を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリタニア 作戦指令部ー

 

 

ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐は指令部に招集を受けて、ブリタニア首相チャーチルと空軍大将トレヴァー・マロニーに戦況を報告した。

 

 

「無事、扶桑からの増援と補給が届いたようだが…」

 

 

「坂本少佐及び、補充要員ウィッチ1名、宮藤芳佳が着任しました。通常通り、軍曹待遇としてやります。」

 

 

「戦力の強化は有り難いことだ。それに先日、報告書を見たが、我が国の近海に出現した男性ウィッチは?」

 

 

「桜井洋介。扶桑皇国海軍中尉です。先日の襲来した敵を撃墜し、我々ウィッチーズ部隊に編入させて、強化を図ります。」

 

 

「うむ」

 

 

「しかし最近、ネウロイの襲来が不定期になっているじゃないか…」

 

 

「確かに、今までの週一回のパターンから徐々に感覚が狭まっています。」

 

 

「今のままで行くわけにはいかんだろうな」

 

 

「現場を無視したまま空論を押し付けるのは御断りしたはずですが」

 

 

「んん…?」

 

 

その言葉でマロニーは眉間にシワを立て、チャーチルが咳払いした。

 

 

「結果が出させれば良いのだよ。」

 

 

「ご安心下さい、ブリタニアの…いえ、世界の空は、私たちウィッチーズが守ってみせます!」

 

 

 

ミーナは自信に満ちた言葉を宣告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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