ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第50話 空より高し 前編

 

 

 

ロマーニャ 北部

 

 

 

501部隊、坂本美緒少佐率いる9人のウィッチとウィザードの桜井洋介は小型ネウロイの編隊と戦闘を行っていた。

 

その中で

 

 

「あーめが降っても気にしない~♪やーりが降っても気にしない~♪なーにがあっても気にしない~♪」

 

 

エイラが歌いながら飛び、彼女の予知で敵の攻撃を回避、ロールの間に射撃、射線に敵が飛び込んでいく中で、放たれた弾丸は正確に敵を撃ち抜いていた。そんな戦いでシールドは使っていない。

 

この攻撃形態は、多数の小型相手の乱戦にはとても有効だった。

未来予知の固有魔法と弾道予測固有魔法の持ち主である互いが信頼し合ってないとできない芸当。

 

 

 

「エイラさん、シールド使わないと危ないですよ」

 

 

 

芳佳が心配そうに言う、エイラは何だと不思議そうな顔をし、笑ってこう言う

 

 

「ん?何処見てんダお前?」

 

 

エイラは急上昇し新たに表れたネウロイに向けて機銃弾をお見舞いする。

 

 

「ほ~らよっと!」

 

 

その直後、彼女の周辺にいた多数の小型ネウロイは爆散し白い破片となって粉々に砕け散ったのだった。

 

 

 

「す、すごい…」

 

 

「さすがだな、そこっ!!」

 

 

芳佳はそれを見て驚き、洋介は感心したようにそう言う。

 

そして、洋介も波導で所持する機銃と小銃、軍刀を使用して次々と撃墜した。

 

その空中の最中だった。

 

 

一筋のビームが、亜弥の背後を狙い撃った。

 

 

「あっ……」

 

 

「…亜弥……」

 

 

「亜弥ちゃん!?」

 

 

「亜弥ーっ!!…っ!?」

 

 

その瞬間、討たれた亜弥が消え、別の空域から亜弥が出現した。

 

 

「このーっ!!」

 

 

亜弥は影分身を利用し、機銃を発砲し、ネウロイを撃墜した。

 

 

「やった!!」

 

 

「やるなぁ、亜弥!」 

 

 

ウィッチたちは周囲の小型ネウロイを撃墜し、殲滅した。

 

 

「あらかた撃墜したようだが…妙だな手応えがない」

 

 

「敵の本体を探しているんだが…」

 

 

美緒が魔眼で周囲を索敵。隊のメンバーが集まっている。

 

 

「まだ健在だと少佐?」

 

 

「あぁ……」

 

 

 

ペリーヌの言葉に美緒は頷いた。

 

 

 

「いつの間にかやっつけちゃったんじゃない?」

 

 

 

「コアを倒せば子機も消えるはずだよ」

 

 

 

ルッキーニの言葉にリーネがそう呟くと美緒は何か感じたのか、振り返るとそこにははるか先の山脈の向こうに一本の黒い線が伸びていた。

 

 

 

「なんだあれは…!」

 

 

 

「雲を突き抜けてますわ」

 

 

 

「もしかしてあれが本体か!?」

 

 

 

トゥルーデとペリーヌとシャーリーは驚いた。

 

その黒い線の正体は、高い塔型ネウロイ。その姿は雲を突き抜けていた。

 

 

 

「お前達はここでて!」

 

 

「坂本さん、お供します!」

 

 

「桜井、わかった!」

 

 

「少佐、桜井さん!?」

 

 

「ペリーヌ!ペアと飛行するのが、パイロットの結束だ!」

 

 

美緒のあとに洋介が飛行し、塔型ネウロイに近づき上昇する。

 

しかし、そのネウロイは敵である坂本美緒が近づいてもビームを撃たなかった。

 

そんなことを不思議に思いながら美緒はどんどん上昇していく。

 

 

 

「なんて高さだ…」

 

 

「ですね…」

 

 

そう思い、美緒は魔眼を発動させた。

するとその頂上付近のところで赤い点滅、コアの場所が映し出された。

 

 

「あれがコアか」

 

 

「コアですか!?」

 

 

「う…」

 

 

美緒はネウロイのコアを確認した。

 

すると急に彼女のユニットが減速し始め、煙を拭きだした。

 

洋介のユニットも減速、気が付けば二人は高度1万を飛んでいた。

 

 

 

「限界か…これは厄介だな…」

 

 

「ですね、…一旦基地に帰投しましょう…」

 

 

「そうだな…」

 

 

そう言い、洋介と美緒は高度を下げてみんなのところに戻る。

 

 

 

「一時撤退だ。帰って作戦を練り直す」

 

 

「ですが、まだ敵が…」

 

 

「かえって作戦を立て直す。今日は遠出をしすぎた。そろそろ戻らないと、基地に辿り着けなくなるぞ」

 

 

 

その言葉で、彼女たちは基地にいったん帰ることにしたのだった。

 

そして夕方、夕日で空が赤く染まりその上には星が見え始めた。

 

そしてその中でエイラは何かの枝を手にし、こっと笑っていた。すると芳佳がエイラに近づいた。

 

 

「なんですか、それ?」

 

 

「ナ、ナンダヨ」

 

 

距離をとるエイラ

 

 

「何かの葉っぱですか?何でそんなの持ってるんですか?」

 

 

質問と一緒にさらに近づく芳佳

 

 

「うるさいナァ!関係ないダロ!」

 

 

エイラはそう言い回避するが、芳佳はしつこくエイラを追いかける。

 

 

 

「見せてくれたって、いいじゃないですかぁ!」

 

 

 

「二人とも元気だな…」

 

 

 

「そうだね…ねぇ、お父さん、あの枝って…見たことある?」

 

 

「ん…まぁな…」

 

 

そして、芳佳は息を切らしながら洋介、エイラにある事を聞く。

 

 

 

「エイラさん、なんでそんなにすばしっこいんですか?」

 

 

「フフーン、すばしっこいだけじゃこうは行かないサ…だけド…ある大尉には劣ル…」

 

 

エイラは自慢しつつも、小声で呟いた。

 

 

「ん…?」

 

 

彼女の言葉で洋介は反応する、今までの空中戦で敵機の動きを予知する波導で、落としてきた。

 

 

「ヘヘーン、自慢じゃないが私は実戦でシールドを使ったことが一度もないンダ!」

 

 

エイラは自慢げに述べると、芳佳はあることに気づく。

 

 

「そう言えば洋介さんもシールドをあまり使っていませんよね?」

 

 

「まぁな、俺は元戦闘機パイロットだから、その癖だ…シールドを使えないってわけではないが…」

 

 

「ないが…?」

 

 

洋介はシールドを翳しながらある言葉に、芳佳が首をかしげると答えた。

 

 

「シールドを使うとどうも動きが鈍り隙ができるから、できるだけ使わないようにしている。魔法力を節約しながらな」

 

 

「へ~そうなんですか…」

 

 

「まあ、あんなものに頼ってる奴は、私に言わせりゃ二流ダナ」

 

 

エイラはいたずらっぽい笑みでそう述べた。

 

 

「そんな~!私はシールドだけが取り柄なのに…!」

 

 

「芳佳お姉ちゃん!わたしもシールドを使うけど、お姉ちゃんのシールドもすごいよ!」

 

 

「そ…そうかな、亜弥ちゃん~」

 

 

亜弥の言葉で、芳佳が苦笑して言うと

 

 

 

『そんな言い方してはダメよ、エイラ』

 

 

エイラのインカムからエイラのパートナーの声が聞こえた。

 

 

「おかえりなさい、みんな」

 

 

「サーニャ!」

 

 

「サーニャちゃん!」

 

 

一度すれ違い、反転。

 

サーニャが編隊に合流する。そしてエイラはサーニャと一緒に話をしていた。すると

 

 

 

「あの二人、仲がいいんだね、お父さん!」

 

 

 

「あぁ、本当だな…(定子…君はどうしているんだ…?)」

 

 

亜弥の言葉で、洋介はふと東部方向を見つめた。

 

オラーシャのペテルブルグに配属する502の戦友であり、恋人関係の下原定子を想った。

 

 

 

「そっか、これから夜間哨戒なんだ」

 

 

「うん」

 

 

「今日と明日の連続だっけか?すまないな、俺も出らればよかったんだが…」

 

 

「良いんです。慣れてますから」

 

 

洋介の言葉にサーニャはにこっと笑う。すると

 

 

「待て、サーニャ。今夜はいい、一緒に基地に戻れ」

 

 

「え?…はい」

 

 

美緒がサーニャに夜間哨戒を制止した。

 

 

「おーい桜井、ちょっと」

 

 

美緒が洋介に手招きをする。

 

 

 

 

 

格納庫

 

 

基地に帰還した芳佳は、サーニャのフリーガーハマーを目視する。

 

 

「サーニャちゃん、いつもこんな」

 

 

「サーニャお姉ちゃんすごいな~…わたしとお父さんの機銃の銃身下のロケット弾は一発射って、また一発を込めるのが大変だよ…」

 

 

「でも、亜弥ちゃんと洋介さんの装備も凄いよ」

 

 

「そうかな…」

 

 

以前の洋介からの話しによると、終戦間際のB-29による本土防空にて、遅まきながらも装備が可能になった噴進弾=ロケット弾。

 

四国と呉軍港、東京でのB-29の撃墜。

 

北方領土の樺太、ソビエトロシア軍の戦車を撃破。

 

 

 

 

その後、洋介とウィッチたちはブリーフィングルームに呼ばれた。

 

そして全員が集まると部屋の明かりが消され、スクリーンに画像が映し出される。

 

 

「空軍の偵察機が撮ってきた写真だ」

 

 

「ノイズしか写っていないようだが…?」

 

 

「これが今回現れたネウロイの本体だ。全体を写そうと思ったらこうなった。全長は3万を超えると推測される」

 

 

「3万!?高さ30kmってことか!?」

 

 

美緒の言葉にトゥルーデは驚く。

 

高度3万、それは成層圏に近く、宇宙への入り口であり無の世界だ。

 

そして芳佳は

 

 

「え~と、それって富士山の…」

 

 

「ん~ざっと、約7倍だな…」

 

 

「洋介さん、わかるんですか!?」

 

 

「まぁな」

 

 

洋介がそう呟くと、芳佳は目を丸くして言った。

 

 

「話を続けるぞ。こいつが、毎時10kmという低速でローマ方面に向かっている。それよりやっかいなのは、こいつのコアの位置だ」

 

 

指示棒で写真の一箇所、タワー型ネウロイの先端を指した。つまりー

 

 

「てっぺん?」

 

 

「ああ、私がこの目で確認した」

 

 

「ですが、私たちのストライカーユニットの限界高度は精々1万メートルですわ…」

 

 

ペリーヌが呟く。

 

 

「うーん…B-29以上の高高度だな……」

 

 

洋介と零式は、東京空襲の前の防空任務で高度1万2千が限界。

それ以上の高度行けるのは、洋介の世界で橘花と秋水、桜花の2万が限界だ。

 

 

「じゃあ、どうするの?」

 

 

「こういう時の為に第二作戦がある。これだ」

 

 

彼女の言葉で画面が切り替わり、設計図が移る。

 

 

「タワー型を撃破する第二作戦を撃破する第二作戦の具体的な方法なのだが…こいつを使う、ロケットブースターだ」

 

 

「ロケットブースター…桜花の火薬ロケットに似ているな…」

 

 

洋介は鹿屋基地の転属にて、整備士の秋山敏郎が特攻機桜花の整備を施した時に、見せてもらった。

 

 

「これがあれば、コアのあるところまで飛べるんですか…?」

 

 

「いや、そんな単純な話ではないはずだ」

 

 

トゥルーデの言葉にミーナは頷く

 

 

「ええ、ブースターは強力だけど、一度に大量の魔法力を消費するから、短時間しか飛べないわ」

 

 

「だったら、あたしたち皆で誰かを3万まで運べばいい」

 

 

「そう言うことだ」

 

 

シャーリーの言葉に美緒が頷く。

 

 

「しかし高度3万か…極寒の世界な上、空気がないしな……」

 

 

「え、空気無いの!?」

 

 

「じゃあ喋っても聞こえないね」

 

 

「おお、かもな!」

 

 

「え!?聞こえないの!?」

 

 

シャーリーの言葉にルッキーニは驚き、エーリカや洋介の言葉を聞いてさらに驚くのであった。

 

そして、誰がそのコア攻撃隊に行かせるかと話になり、話し合った結果。広範囲の攻撃ができるウィッチとしてサーニャが選ばれることになった。

そして、その護衛にだれが行くかっという話になると

 

 

「ハイハイハイ!だったら私も行く!」

 

 

光の速さでスタンダップしたエイラが身を乗り出して言う。

 

そして、美緒が彼女に質問した。

 

 

「うむ…時にエイラ、お前、シールドを張ったことはあるか?」

 

 

「シールド?自慢じゃないが私は実戦でシールドを使ったことが一度もないんだ」

 

 

どや顔で言うエイラだが

 

 

「なら無理だ」

 

 

「うん、ムリダナ…え”っ!?」

 

 

美緒の言葉でエイラは驚きの声をあげて固まる。

 

 

「そうね、こればっかりは…」

 

 

「ナ、ナンデ…」

 

 

「さっきも言ったろエイラ?ブースターは一気に魔力を消費する。飛行と攻撃に魔力を取られて、防御に回す分がないんだ。おまけに成層圏という極限環境における生命維持も必要…そこで、サーニャを守る盾となるものが必要なんだよ」

 

 

洋介はそう解説し、エイラは

 

 

「わ…私は別にシールドを張れないわけじゃないゾ!」

 

 

「でも実戦では?」

 

 

「使ったことがない!」

 

 

「(どや顔で言うな…)」

 

 

 

エイラの自慢で洋介と美緒、そしてミーナが頭を抱える。

 

 

「しかない…宮藤、お前がやれ!」

 

 

「は、はい!………へ?」

 

 

「もっとも強力なシールドが張れる、お前なら適任だ」

 

 

「は…はい……!」

 

 

「それと、亜弥もだ」

 

 

「えっ…?」

 

 

「お前が擲弾付きの機銃を装備してでの、サーニャの護衛を命じる」

 

 

 

「「はい!」…ん?」

 

 

 

坂本美緒の言葉に、芳佳と亜弥は返事をする。

だが、芳佳はふっと後ろで何かの気配をし、後ろを振り返ると

 

 

 

「ガルルルルゥー!!!!」

 

 

 

「え?え~!?」

 

 

 

血相を構え、餌を横取りされ怒った黒狐のエイラが居たのだった。

 

 

「(あぁ…くわばらくわばら…)」 

 

 

「芳佳お姉ちゃん…エイラさん…」

 

 

 

 

ミーティングが終わり、洋介と亜弥の親子は自室に戻った。

 

亜弥は就寝し、洋介は美緒の代わりに報告書類を執筆、任務の日誌を記した。

 

 

「はぁ…高度3万か…どんな…世界…ん?」

 

 

椅子に背もたれした時、扉を叩く音がした。

 

 

「…どうぞ、開いているよ…」

 

 

「洋介大尉~!」

 

 

入室したのは、サウナ入浴から出て、血相を構えたエイラだった。

 

 

「っ!?エイラ…もしかしてまだ、サーニャとの任務を…?」

 

 

「話が早いナ…ワタシの特訓に付き合って欲シイ…」

 

 

エイラの言葉を聞いた洋介は、やや呆れ顔であった。

 

 

「今回の任務は、諦めるんだな…」

 

 

書類を整え、自室から出たけた時

 

 

「グヌヌ……大尉、アンタの娘の亜弥が、他のウィッチとペアを組んでも構わないノカ…!?」

 

 

「あぁ、…娘の亜弥が、誰かと仲良くなることは大事なことだ…」

 

 

このあいだのローマ巡りで、亜弥がマリア皇女と、子供たちと仲良くなったことを、ルッキーニが証言した。

 

 

「じゃあ…502の伯爵もカ…?」

 

 

エイラがヴァルトルート・クルピンスキーの名前を述べた時、洋介の動きが止まった。

 

 

「…それは問題だな…エイラ中尉、早朝の短期トレーニングを実施する」

 

 

「ほ…本当か…ヤッター!」

 

 

洋介の言葉を聞いたエイラははしゃぎ、笑みを浮かべていた。

 

 

「だが、そのトレーニングでシールドを出せたらだ、俺の権限でミーナ隊長に懇願す…ん…?」

 

 

洋介が振り向くと、彼女の姿はなかった。

 

 

 

 

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