ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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すいません、大変お待たせしました。



第55話 試練の地図

 

 

 

 

芳佳が震電の力によって復活してから少しの時が経ったある日、ウィッチ達はネウロイ発見の報告を受け出撃していた。

 

 

「ネウロイ発見!」

 

 

美緒がネウロイを視認する。

周辺には大きな橋と大陸が見える。報告が遅れたため、ネウロイは既にロマーニャに接近していた。

 

 

「各自、戦闘態勢!」

 

 

『了解!』

 

 

美緒の言葉に全員が散開し、ロッテを組む。

 

ネウロイはウィッチ達に攻撃を仕掛けるが、それぞれ回避軌道を取り攻撃を避けて行く。

 

芳佳は、誰よりも早くネウロイの元へ向かった。

 

 

「くっ…なんて上昇ですの!?」

 

 

ロッテを組むペリーヌは思わず驚く。

今までの芳佳の上昇力では見られなかった、空を切り裂くような凄い速さだった。

これも、新たに芳佳のユニットになった震電の恐るべき潜在能力であった。しかし、ペリーヌも負けじと芳佳の後ろを付いていき、ネウロイに向かう。

 

そして芳佳はネウロイの正面に来て、ヘッドオンを仕掛ける。

 

機関銃からばら撒かれた銃弾はネウロイに命中し、ネウロイは目標を芳佳に定めた。芳佳はそれをシールドで防ぐ。

 

 

「くっ」

 

 

「前に出すぎでしてよ」

 

 

ペリーヌはそう言って、機関銃の引き金を引く。これで攻撃はペリーヌの方へも向かい、芳佳にかかる負担の軽減になった。

 

その時、ネウロイの体を貫く一発の弾丸が通った。芳佳達が下を見ると、下方からリーネが対装甲ライフルで狙いを定めていた。

 

しかし、ネウロイも一発の火力が高いリーネに警戒を強め、今度は逆にリーネを攻撃した。

 

 

「きゃっ!」

 

 

リーネは慌てて避ける。しかし、ネウロイから放たれたビームはリーネの後方にあった橋の上部を掠めた。

 

 

「橋が…!」

 

 

「被害は僅かだ、陣形を崩すな!」

 

 

ペリーヌは橋を見て嘆いたが、幸いにも橋の上部を掠めただけであり、崩れることは無かった。

 

美緒が指示を出す時、ペリーヌはネウロイを睨み返す。

そして、先ほど芳佳を止めたことを忘れ、今度は自分がネウロイに突撃をしていく。

 

 

「ペリーヌ!?」

 

「橋に…なんてことするんですの!!」

 

 

ペリーヌはネウロイの攻撃を掻い潜りながら攻撃を加えて行く。

 

鬼気迫る攻撃は、ネウロイの体を大きく削る。

 

 

「ペリーヌさん凄い…」

 

 

「チャンスだ!全機攻撃!」

 

 

『了解!』

 

 

美緒の号令により、他のウィッチ達もネウロイに攻撃を加えて行く。

ネウロイは四方八方から飽和攻撃を受け、完全に対応ができなくなった。

 

そして、ついにネウロイのコアが露出した。

 

 

「コアが見えた!」

 

 

「よくも橋をおおおお!」

 

 

そして、ネウロイのコアに向かって真っ先にペリーヌが接近した。そして機関銃から弾丸を放つ。そしてコアの粉砕により、ネウロイは光の破片へと変わった。

 

 

「ペリーヌさん!」

 

 

「やりましたね!」

 

芳佳とリーネは今回のネウロイを倒したペリーヌの元へ行く。

 

 

「…」

 

 

しかし、ペリーヌはネウロイの事よりも、先ほど攻撃を受けた橋の方が気になる様子だった。

 

 

「やるなぁ、ペリーヌ」

 

 

「………」

 

 

洋介はペリーヌを褒め称えるが、亜弥は沈黙していた。

 

 

「…ん…っ!?後方に新手のネウロイ!!」

 

 

「なんだと!?桜井、亜弥と迎え撃て!!」

 

 

「「 了解!! 」」

 

 

すると、洋介は波導を感じ、亜弥と迎撃に向かった。

 

 

「くらえ!!」

 

 

洋介と亜弥の親子は機銃でネウロイ本体を削り、弱点のコアが露出した。

 

 

「よしっ!!留め…」

 

 

「貸して!!」

 

 

「あ…!?」

 

 

洋介が帯刀する鷹狼を掴みかけた時、亜弥が鷹狼を鞘から抜刀、ネウロイのコアを斬り、撃墜した。

 

 

 

 

 

 

「皆さん、ご苦労様」

 

 

「全員よくやった。宮藤もだいぶ震電に慣れたな」

 

 

 

任務終了後、ミーナと美緒は出撃したメンバーに今日の戦闘に対する労いの言葉をかけた。

 

 

 

「はい、もっと訓練して完璧に扱えるようになりたいです」

 

 

「良し!その意気だ!」

 

 

芳佳の言葉に美緒は嬉しそうに述べる。そして、今度はペリーヌの方を向いた。

 

 

「ペリーヌ」

 

 

「…」

 

 

美緒はペリーヌを呼ぶが、ペリーヌは反応しない。美緒がよく見ると、彼女は下を向きながらどこか沈んだ表情をしていた。

 

 

「…ペリーヌ?」

 

 

「…あっ、はい」

 

 

もう一度呼ぶと、今度は慌てながらも反応した。先ほどの言葉は聞こえていない様子だった。

 

 

「今日は大活躍だったな」

 

 

「はい…ありがとうございます…」

 

 

そして美緒がペリーヌを褒めた。

しかし、ペリーヌはお礼を言ったらすぐに基地に入った。

 

それに続き、美緒とミーナも基地に入っていくが、他のメンバーは先ほどのペリーヌの様子を見て怪しく思う。

 

 

「…なんか変だな」

 

 

「だね!」

 

 

「どうかした?」

 

 

シャーリーの言葉にルッキーニが間髪入れずに呟く。

 

その言葉に芳佳は訳が分からず聞くが、ルッキーニはシャーリーの胸に体を預けると言った。

 

 

「だって、少佐に褒められたいつものペリーヌだったらさ~、『あら少佐~、そんなことありますわ~!』」

 

 

「『も~っと、ほめてくださいまし!』とかさ」

 

 

「そ、そうかな…?」

 

 

ルッキーニがペリーヌの真似をして言う。それに続きシャーリーもルッキーニみたいにペリーヌの真似をした。

 

その様子にリーネと芳佳は苦笑いをしながら見るが、シャーリーとルッキーニは大笑いをするのだった。

 

そして、美緒はもう一人の功労者、亜弥を褒めた。

 

「亜弥もよく頑張ったな」

 

 

「あ…はい!!」

 

 

「だが…戦闘中、お前は父親の刀を使用するのはよくない!」

 

 

「はい…ごめんなさい…」

 

 

短所なところを注意された。

 

 

「亜弥、そんなに刀が必要なら、自分で探すんだ」

 

 

「はい!」

 

 

その晩、彼女たちの気持ちとは裏腹にペリーヌは部屋で少し顔色が優れなかった。

 

 

「我がクロステルマン家に代々伝えられてきた数々の家宝も、今や残っているのはこのレイピアだけ…」

 

 

ペリーヌは手に一つの立派なレイピアを持ちながら呟く。

 

 

 

「…でも、これを売ればあの橋を作り直す為のお金の足しになるでしょうか?」

 

 

ペリーヌは呟きながら考える。

 

事の始まりは、ペリーヌが祖国復興をしている時だった。

 

ある休暇でペリーヌは、ウィッチとして稼いだ金と共に、家に残されていた家宝を売り、それを全てガリア復興に回してきた。

しかし、ある日ペリーヌは子供に連れられて衝撃の光景を見てしまった。

 

 

「橋が…」

 

 

子供に連れられて来たところは、住宅街と学校を繋ぐ石橋だった。

 

しかし、その石橋は中央がネウロイの攻撃によって崩された。この状態では、沢山の子供が学校へ行くことができない。次世代を担う大切な子供達だ。

 

しかし、ペリーヌはそのレイピアを見て考えながら、レイピアを抱きしめた。

 

 

 

「(お父様…お母様…私はどうしたらいいのでしょう…)」

 

 

 

これを売れば、橋を作り直すことができる。しかし、ペリーヌは貴族である家系を誇りに思っており、最後の家宝となったレイピアを手放すことは出来ない。それは家宝であると同時に、ペリーヌの亡き両親との繋がりともいえる形見であるからだ。

 

ペリーヌは、どうしたらいいのか分からず、レイピアを抱きながら答えの見つからない問いを続けるのだった。

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

「いやっほーう!」

 

 

「やっほーう!」

 

 

シャーリーとルッキーニは大はしゃぎをしながら海へと走っていく。二人の格好は水着姿である。

 

 

「ほら行くよ!」 

 

 

「ちょ、ちょっと待て!準備体操ぐらいしろ~!」

 

 

エーリカがトゥルーデの手を取って海に向かう。

 

トゥルーデはエーリカに準備運動をしてから入ろうと言うが、彼女の力に負けそのまま海に連れてかれる。勿論、二人の格好も水着だ。

 

何故全員水着姿なのか。それは今日が海での訓練の日であったためだ。ブリタニアでも行われた通り、今回は全員水着姿である。

 

 

「いいか、訓練だからと言って絶対に気を抜いてはいかんぞ!」

 

 

「久しぶりだから気を付けてね」

 

 

 

そして海沿いの岩場上では美緒とミーナの言葉に、芳佳、リーネ、ペリーヌ、洋介と亜弥の5人は足元を見る。

 

 

「この訓練だったんだ…」

 

 

「またやるんですか…」

 

 

「何故私まで…」

 

 

「くっ…また海中訓練か…」

 

 

「……」

 

 

芳佳とリーネは以前行ったこの特訓で溺れそうになった経験があり、その後の自由時間でも体力を使い果たして遊ぶことが出来なかったりと、あまりいい思い出が無かった。

 

洋介が頭を掻きながら準備する時、初参加の亜弥は真剣な瞳をしていた。

 

そして何故かペリーヌも同じ訓練をすることになったため、彼女はどこか不服そうだった。

 

 

 

「さっさと飛び込め!」

 

 

 

そして美緒の号令と共に5人は海へ飛び込むのだった。

 

飛び降りた所を美緒が懐中時計のスイッチを押した。

 

 

「いい天気ね~」

 

 

「そうだな」

 

 

 

のどかに呟くエイラとサーニャ。

 

 

 

すると

 

 

「「「ぷはぁ!」」」

 

 

 

ペリーヌと洋介、亜弥が水面から顔を出したのだった。

 

 

 

「おっ!早いな三人とも。さすがだな」

 

 

 

「き、きつかった……」

 

 

 

「はぁ…はあ…」

 

 

 

洋介と亜弥が息を切らしている中、ペリーヌは

 

 

 

「はい、日頃の…」

 

 

 

ペリーヌが述べかけた時、水面から手が伸びペリーヌの髪や肩をつかむそして水面から芳佳とリーネが出て来た。

 

 

「ちょっ!?重いですわ!」

 

 

「ぺ、ペリーヌさん助け…」

 

 

「お、溺れ…」

 

 

 

そう言い二人はペリーヌとともにまた海の底に沈んでいく。それを見た洋介は

 

 

 

「…仕方がないな…」

 

 

「お父さん、わたしも…」

 

 

「ダメだ、亜弥は海中から脱してきたばかりだから身体に負担が掛かる。俺が救助してくる」

 

 

「…はぁーい…」

 

 

洋介はため息をつき、亜弥を残しまた潜り始め、三人を救出しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「訓練終了!!」

 

 

 

しばらくしてやっと訓練が終わり、洋介は砂浜に座る。

 

 

 

「お疲れ~」

 

 

「お疲れ様です」

 

 

エイラとサーニャがやって来た。

 

 

 

「ああ、エイラ、サーニャ…あれ?亜弥は…?」

 

 

「ああ、亜弥なら…」

 

 

「ん?」

 

 

 

エイラが指さしたところは見晴らしのいい崖がある場所だった。

 

崖の上の方を見るとそこには芳佳とリーネ、ペリーヌ。そして、亜弥がいた。

 

 

「そうか…なら、俺は擬似餌を仕掛けた磯に行ってくる」

 

 

「そうカ~大尉の海鮮料理、楽しみにしているゾ~」

 

 

洋介が擬似餌を仕掛けた磯部に向かって行った。 

 

一方、崖の上では芳佳、リーネ、ペリーヌ、亜弥が座って海を眺めていた。

 

 

「疲れたね~」

 

 

「うん、久しぶりだったしね」

 

 

「ペリーヌさんがいて助かりました」

 

 

リーネがペリーヌに感謝を述べた。

 

 

「おかげでわたくしが溺れそうになりましたわ。それにお礼を言うのは桜井大尉に言うべきではないのですか?」

 

 

「あぁそうか、後でお礼を言わないと…ねぇ…亜弥ちゃん」

 

 

「うん…」

 

 

亜弥は潮風に当たりながらみすぼらしい返事をした。 

 

ペリーヌは基地と陸地を繋ぐ石造りの街を見ていた。

 

 

 

「…立派な橋」

 

 

 

「ペリーヌさん?どうかしたの?」

 

 

ペリーヌが橋を見て深刻そうな顔をするのを見て亜弥が心配そうに顔をのぞかせる

 

 

「え?いや、なんでもなくてよ」

 

 

彼女は亜弥に無駄な心配をさせたくないのか笑って誤魔化した。すると  

 

 

「うにゃあ!」

 

 

海面からルッキーニが顔を出した

 

 

「ルッキーニちゃん!?」

 

 

「何してるのー!?」

 

 

リーネが驚き、芳佳がルッキーニに訊くとルッキーニが両手を振った。

 

 

 

「あのね、あのね!少し深い海の底に箱があった!」

 

 

「え?箱?」

 

 

「うん!おっきくってね、鍵がついててね、なんか宝箱みたいなやつ!」

 

 

「え?」

 

 

「宝箱!?」

 

 

「宝箱ですって!?」

 

 

ルッキーニの言葉を聞いて驚く4人。中でもペリーヌが驚いていた

 

 

「もしかして、海賊が隠した宝物かな…?」

 

 

亜弥も興味津々に訊く。するとペリーヌが考え始め

 

 

「確かに…このアドリア海は昔から海上貿易が盛んなところであり時たま海賊船が現れたこともあります…宝箱の一つや二つ海の底へ沈んでいてもおかしくは無いですわね…」

 

 

「そうなんだ!面白そうだねリーネちゃん!行ってみよう!」

 

 

「うん!」

 

 

二人は海に飛び込もうとする

 

 

「お待ちなさい!宝箱ってそんな馬鹿な話を信じるですの?」

 

 

「え?ペリーヌさんがあるって言ったじゃない」

 

 

「あるなんて言ってません!あくまで可能性の話ですわ!」

 

 

「でもとにかく行って見よ!」

 

 

「そうだね!」

 

 

そう言い芳佳とリーネは海に飛び込んだ。

 

 

 

「まったくもう……仕方がないですわね。亜弥さんは危ないので下の方で待ってくださいね」

 

 

「うん」

 

 

そう言ってペリーヌも芳佳の後を追いかけるのであった。

そしてルッキーニを先頭に三人は海の深いところへどんどん潜る。

潜り続ける中古代遺跡の柱や建物を通り過ぎた時。太陽の光に照らされ、鎖で縛られた大きな宝箱らしきものを見つけた。そして4人はその宝箱を囲むような陣形を取り鎖を引っ張って宝箱を取ろうとする。

しかし鎖は頑丈でなかなか外れない。するとさすがに呼吸を止めるのに限界が来た。

 

 

「(わ、わたし…もうダメ…)」

 

 

リーネとルッキーニがリタイアし浮上する。芳佳も頑張って引っ張っていたのだが

 

 

 

「(私ももうダメ…)」

 

 

限界が来て芳佳も浮上する。

 

そして一人になったペリーヌは諦めずに鎖を引っ張るのだった。しかし彼女もやはり息を止め続けるのに限界が来ていた。

 

だが

 

 

「(で、でも…この宝があれば……橋が!)」

 

 

ペリーヌが思い出したのは先ほどの壊れた橋だった。

 

子供たちのためにも何としてもこの目の前にある宝がどうしても必要だ。そのためにも諦めるわけにはいかない!そう思ったペリーヌは使い魔を発動させて

 

 

「(トネール!!!)」

 

 

彼女の固有魔法であり必殺技であるトネールを発動させるのであった。

 

そしてその瞬間宝箱を固定していた鎖がちぎれるのであった。

 

 

 

一方、海上の岸では芳佳たち4人が待っていた

 

 

 

「ペリーヌさん遅いね…」

 

 

「大丈夫かな…」

 

 

「うぅ…心配…」

 

 

「食べられてなきゃいいけど~」

 

 

芳佳、リーネ、亜弥が心配する中、ルッキーニがそう言うと三人は驚く

 

 

「「「 え!? 」」」

 

 

「だってほら、海の中っておっかない生き物がたくさんいるじゃんか」

 

 

「「 え~!! 」」

 

 

「おっかない生き物ってサメとかウツボ…?」

 

 

 

「う〜ん…それもあるけど…ダイオウイカとか〜ダイオウナマコでしょ?ダイオウヒトデでしょ?」

 

 

ルッキーニがそう呟くとリーネの顔が青くなる。

 

 

「ルッキーニさん、ダイオウイカは浅瀬にはいないし、ナマコやヒトデは人を襲わないよ…?」

 

 

亜弥は首をかしげてそう述べた。

 

 

「あ、亜弥ちゃん…詳しいんだね」

 

 

「うん、前に直枝お姉ちゃんの本で読んだ…」

 

 

そう述べた時、いきなり緑のもじゃもじゃで赤い目をした何かがうなり声を出して水面から出現した。

 

 

「だあぁー!!!」

 

 

「うにゃぎゃー!!!」

 

 

「「「 っ!? 」」」

 

 

いきなり未知のものが現れたので、4人は驚愕し、ルッキーニはリーネ、亜弥は芳佳の後ろに隠れた。

 

 

「ネ、ネウロイ!?」

 

 

「芳佳お姉ちゃん!本で読んだ河童や!」

 

 

「海に河童はいないよ、亜弥ちゃん!?」

 

 

「じゃあ、…海坊主!?」

 

 

芳佳の言葉に亜弥がつっこむと

 

 

 

「だ…誰がネウロイ…もとい…カッパ…海坊主ですの…?」

 

 

「…あ、ペリーヌさん?」

 

 

宝箱を大きく担いだその未確認生物の髪らしきものが取れるとそこにはペリーヌの顔だった。

 

海藻が髪の上に乗っかって妖怪のように見えた。

 

するとペリーヌは重たそうに担いでいた宝箱を放り投げて宝箱はずしんと重い音を立てて浜に落ちる。

 

 

「そ、そんなにお宝が欲しかったのか?」

 

 

ルッキーニは冷や汗をかきながらそう呟く。

 

 

「や…やった…お宝…ゲットです…」

 

 

そう呟きながら、ペリーヌはぱたりと倒れた。

 

 

「あ!?」

 

 

「ぺ、ペリーヌさん!?」

 

 

「しっかりしてください!!」

 

 

倒れたのを見て芳佳たちは駆け寄るがペリーヌの顔はどことなく少し嬉しそうな顔をしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペリーヌは夢を見た。それはあの橋が直り、子供たちに喜ばれる夢を

 

するとら誰かが自分を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「ペリーヌさん!ペリーヌさん!」

 

 

「う…」

 

 

ペリーヌが目を覚ますとそこには芳佳とリーネ、亜弥がいた。

 

 

「ペリーヌさん…」

 

 

「良かった~」

 

 

「大丈夫?ペリーヌさん?」

 

 

心配そうに言う中、ペリーヌはその奥でルッキーニが宝箱をあけようとしているのを目の当たりにした。

 

 

「な~にが入っているのかな~♪」

 

 

ルッキーニは宝箱をバンバンと叩く。

するとそれを見たペリーヌは立ち上がりずんずんとルッキーニの方へ歩いていく。

 

 

「中身は何かな~あたしにかかればちょちょいのチョイ~」

 

 

ルッキーニは箱の鍵穴に針金を使って開けようとしていた。すると

 

 

「何をしているの?フランチェスカ・ルッキーニ少尉?そのお宝の使い道は決まってましてよ」

 

 

「ひい~!!」

 

 

背後で鋭い眼光でルッキーニを睨むペリーヌがいてルッキーニはその怖さに顔を青くした。

 

すると宝箱の蓋がキィッと音を立てて開いた

 

 

「あ、開いた!」

 

 

「え?」

 

 

「中身はなんでしょね、わくわくします」

 

 

5人はウキウキ気分で箱を開けて中身を覗く。

しかし、この中には少し小さな箱が入っていた。

 

 

「あれ?」

 

 

「また箱?」

 

 

「そだね~」

 

 

「うん」

 

 

4人がポカーンとした顔をすると

 

 

「で、でも…それだけ重要なお宝だってことですわ。きっとこの中には金銀財宝が…」

 

 

ペリーヌはその箱をまた開けるのであった。

 

 

 

 

 

一方、エイラとサーニャ

 

 

 

「…奇麗な海だな」

 

 

「眠い…」

 

 

ただのんびりと座って海を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

芳佳たちが宝箱を開けたらまたその中に箱があるとそういうのが続いていた。

 

 

「一体いくつあるの~」

 

 

「開けても開けても箱だよ…」

 

 

「マトリョーシカみたい…」

 

 

亜弥は以前のペテルブルグにて、民芸品と酷似していたと呟いた。

 

 

「ねえ、お宝まだ~?」

 

 

「ちょっと、待てて黙ってくださいまし!」

 

 

ペリーヌはイライラしながらそう呟くと、彼女の手には小さな小箱くらいの宝箱があった

 

 

「これがきっと最後ですわね。開けますわよ」

 

 

ペリーヌがそう嘆くとみんなは頷く。

 

そしてペリーヌがその箱を開けるとその中身は空っぽであった。

 

 

「…空っぽ」

 

 

「だまされた~!!」

 

 

箱の中が何もないことを知りみんながっかりしルッキーニは倒れこむ。

 

だが、この中で落ち込んでいたのは子供たちのため橋を立て直すべく宝に期待をしていたペリーヌであった。

 

 

「そ…そんな。宝がないないんて…これじゃあ子供たちが…うっ…うぅ」

 

 

あまりにも残酷な現状を見せつけられペリーヌは泣き出してしまうのであった。

 

 

「ぺ、ペリーヌさん?」

 

 

「泣かないでくださいペリーヌさん」

 

 

「どうかしたんですか?」

 

 

芳佳たちがペリーヌのことを心配してそう訊くとペリーヌは泣きながらなぜ宝を必要としていたのか理由を話した。

 

一方ルッキーニは向こうで開けた大量の宝箱を積み上げて遊んでいた。

 

 

「そうだったんですか…」

 

 

「そっかペリーヌさん橋の為に頑張ってたんだ…」

 

 

「だからガリアから戻った時に様子がおかしかったんですね…」

 

 

ペリーヌから話を聞き3人は納得する。

 

 

「えぇ…やっぱりそう簡単にお金は手に入りませんわね…家宝のレイピアを手放しても…」

 

 

「だけどペリーヌさん…ペリーヌさんの剣、喜ぶかな…?」

 

 

「え…?」

 

 

「その形見を手放すのはよくないよ…いくら国を立て直すのに大事な剣を…離すのはダメだよ…家族はよくても、ペリーヌさんから離れたくないよ…」

 

 

「亜弥さん…」

 

 

亜弥からの説教を耳にするペリーヌ。

 

 

「刀ってのは魂が宿り、刀が持ち主を選ぶからな…」

 

 

「え…持ち主を……?」

 

 

「あぁ、そのためにも常に鍛錬や手入れが欠かせない。」

 

 

亜弥は軍刀鷹狼を手入れする父親の洋介からそう聞かされた。

 

 

「あれ?なんか変な音がする」

 

 

「…え?」

 

 

ルッキーニの声の言葉にみんながルッキーニの方に顔を向ける。

 

するとルッキーニは先ほどの小箱を振っていた。

 

 

「え?音?」

 

 

「うん、もう何も入っていないのに中から音がする」

 

 

また小箱をふるうと、確かに何かが入っているのか小箱から音がした。

 

 

「ねぇ、少し貸してルッキーニさん」

 

 

「え?いいよ」

 

 

ルッキーニが亜弥に小箱を渡すと、彼女は魔法力を発動、目を閉じながらその箱を確かめる。

 

 

「亜弥ちゃん何をしているの?」

 

 

リーネがそう述べると

 

 

「今、透視能力を使ってで中を見ているの…」

 

 

「と、透視!?」

 

 

「…ん?」

 

 

「何かあったの、亜弥ちゃん?」

 

 

「…この箱の中、紙のようなものが入っている……」

 

 

「紙?」

 

 

「…それにこの箱…何かの仕掛けをしているようなからくりが見える……」

 

 

「からくり…もしかして!!亜弥ちゃん、それ貸して」

 

 

「?」

 

 

芳佳は亜弥の言ったことに思い当たることがあったのか、亜弥から箱を受け取り、そして何やら小箱を探る感じで触り始めた。

 

 

 

「うちの近所にね、こういうこういうのを作っているところがあるの…あ、できた!」

 

 

 

そう言うと芳佳は木箱をいじり、そしてそのからくりを解き秘密の蓋を開けた。

 

そしてその中には亜弥の言う通り何かの紙みたいなものが入っていた。

 

 

「これは…」

 

 

そう言ってペリーヌはその紙を取りだしてみるとそこには何か書かれていた。

 

 

「地図みたいだけど?」

 

 

「もしかして!」

 

 

「宝の地図ですわ!」

 

 

 

 

そしてその後、ペリーヌたちはその地図を頼りに進むとその先には小さな入り江があり、崖あたりの水の下に人一人ぐらいが通れるトンネルがあった。

 

 

「ここだ!」

 

 

「やはり地図の通りですわ!」

 

 

「じゃあ、この中に海賊のお宝があるんだね!」

 

 

「そうかもしれませんわね亜弥さん」

 

 

「それよりもペリーヌさんすごいですね!書いてある字読めるんだ!」

 

 

「それってラテン語でしょ?」

 

 

「まあ、ラテン語を読むくらい領家の子女のたしなみですのよ」

 

 

「へ~」

 

 

 

 

ペリーヌは少しだけ元気を取り戻したのか笑ってそう言う。

 

するとリーネが微笑んだ。

 

 

「良かった~ペリーヌさん元気になって」

 

 

「な、なにを言ってますの///さ、さあ、行きますわよ!」

 

 

そう言いペリーヌは海中洞窟へ向かうため入江に飛び込む。するとそれに続いてルッキーニも飛び込んだ。

 

 

「リーネちゃんも行こ!」

 

 

「うん!」

 

 

「わたしも行きます!」

 

 

そう言い残された四人もペリーヌの後を追うため海中に入る。

 

そしてしばらく水中トンネルの中を泳ぎ、そして浮上するとそこは広い空洞になっていた。しかもその空洞の天井はまるで夜空の星のようにキラキラと輝ていた

 

 

「うわー奇麗!!」

 

 

「うにゃー!星空みたい!!」

 

 

「わ~!!」

 

 

その光景を見て芳佳とリーネとルッキーニ、亜弥は感動の声を漏らす。

 

 

「洞窟の入り口から入った太陽の光が水面に反射しているんですわ…」

 

 

「すごね~!」

 

 

5人は天井に輝くその光景を目に焼き付ける。すると亜弥が指を指す。

 

 

「あ、あっちに洞窟がある」

 

 

「え…?あ、本当だ」

 

 

指さす方向に二つの洞窟があった。

そして5人は水から出てペリーヌは地図を見てどっちの道か確かめる。

 

 

「ペリーヌさん。どっちに行けばいいんですか?」

 

 

「う~ん…どっちも奥に通じているみたいですが…」

 

 

そう言いペリーヌは左の洞窟を見て

 

 

「こっちですわ!」

 

 

「ほんとに~?」

 

 

「はぐれたくなかったら黙ってついてきなさい!」

 

 

「へいへ~い」

 

 

そう言い5人はペリーヌを先頭に左の洞窟へと足を踏み入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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