ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第57話 ロマーニャ防空戦闘

 

 

 

501基地 

 

 

「おーい、亜弥!」

 

 

「はい、お父さん!」

 

 

「お前の刀の鞘、施しておいたぞ~!」

 

 

洋介は、こないだ亜弥が洞窟で見つけた日本刀の鞘に、日本海軍の桜の装飾を軍刀風に施した。

 

 

「ありがとう、お父さん!」

 

 

「あぁ、どう致しまして……この世界にきて、1年か…」

 

 

今まで以上に亜弥の目は輝いていた。その光景を目にしていた父親の洋介は娘を見ながら空を眺めた。

 

元の世界で桜井洋介は終戦後の戦いで行方不明になり、このウィッチの世界に飛来し、得体の知れない洋介を保護、彼はウィザードに覚醒し、第501統合戦闘航空団、『ストライクウィッチーズ』の一員となり、人類の脅威を脅かす敵『ネウロイ』と激闘を繰り返ししていた。

 

未亡人となった前妻の雪が女手一人で娘の亜弥を育てた。

それから9年、雪が命を落とし、亜弥はエゾ狼と共にウィッチの世界に赴き、そしてウィッチに覚醒した。

 

ウィッチに覚醒した亜弥は、洋介が一時転属していたオラーシャのペテルブルグ、第502統合戦闘航空団『ブレイブウィッチーズ』の一員となり、戦った。

 

激戦を終えた後、親子二人は扶桑皇国に数日、海軍大将高野五十六連合艦隊長官のツテにより正式に皇国軍人となった。

 

それからこのロマーニャに派遣され、第504統合戦闘航空団『アルダーウィッチーズ』に短期配属。

 

その国にて、元の世界でライバルだった日系アメリカ人、バッキー・S・五十嵐とステラ・A・エヴァンスと合流、あるコミュニケーション人類は失敗に終わり、再結成した501に転属。

 

配属場所は違えどネウロイの進行を抑えている。

 

 

「ねぇ、お父さん!」

 

 

「……ん?どうしたんだ?」

 

 

「どうしたんだじゃないよ!その…お父さんや坂本さんみたいに、刀に名前を付けたいの…」

 

 

「ん…名前か…そうだな…ん…」

 

 

洋介は悩み気味だったが

 

 

「この刀の名前『白狼』にしたいの…」

 

 

「白狼か…」

 

 

亜弥は刀を『白狼』と名付けた。

亜弥の使い魔はエゾオオカミであったため、刀身もオオカミの様に白銀の輝きを持っていた。

 

 

「いい名前だ、使い魔のひびきとぴったりだ。オオカミは無駄がなく、強い生き方だからな」

 

 

「……うん!それとお父さん…一度、亜弥と稽古をしたいの…」

 

 

「あぁ、わかったわかった。滑走路に行かんとな!」

 

 

「うん!」

 

 

 

滑走路

 

 

 

「たあっ!!」

 

 

「とおっ!!」

 

 

親子は互いに所持する刀で鍛錬を積み重ねた。

 

 

「…はぁ…はぁ……」

 

 

海岸沿いで烈風丸で鍛錬する海軍少佐、坂本美緒も振りかざしていた。

 

 

「ふぅ~弱冠9歳のウィッチが…刀か…この年齢で羨ましいな……うぐ…はぁ…はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロマーニャから北部のヴェネツィア公国

 

 

第504統合戦闘航空団 アルダーウィッチーズ基地

 

 

「おぉ~い、バッキイィー!!」

 

 

「サッカーやろう~!!」

 

 

「んん…あぁ…わかった!」

 

 

「ねぇねぇ~ステラァ~!!」

 

 

「器械体操みせて~!」

 

 

 

このロマーニャの地で戦う、異世界から来たもう一人のウィザード、バッキー・S・五十嵐とステラ・A・エヴァンスは地元の少年少女たちとスポーツの交流を行っていた。

 

 

先のトライヤヌス作戦で損壊を受けた第504部隊は主なウィッチが負傷し、新たなる補充するウィッチの再編成を受けていた。

 

 

「ふぅ~…平和だね…」

 

 

ステラは初等と女学生の前で器械体操を終え、汗を拭い、空を見上げた。

いずれ、ネウロイとの戦争が終わった後、スポーツ大会を開催したいステラの願いだった。

 

だが

 

 

ーーゥゥゥウウウーーウウウゥゥゥーー

 

 

「敵襲だー!!」

 

 

「ネウロイだー!!」

 

基地に激しいネウロイ襲来の空襲サイレンが鳴り響く、賑やかなスポーツ交流が終わりを告げた。

 

 

「くそっ…こんな時にネウロイか…」

 

 

「さぁさぁみんな!ネウロイが襲いにくるから、急いで防空壕へ!!」

 

 

「うん!」

 

 

「バッキー、ステラ!ロマーニャの空を守って!」

 

 

「任せとけ!!」

 

 

二人は地元の少年少女たちにハンドサインして、ストライカーユニットが収まる格納庫に向かった。

 

 

「バッキーさん、ステラさん!」

 

 

「バッキー、ステラ!」

 

 

「おぅっルチアナ、マルチナ!」

 

 

「マルチナ!子供たちとのバレーの披露、あたしにも見せてね!」

 

 

「うん♪」

 

 

格納庫

 

 

ストライカーユニットを履いた竹井醇子大尉、赤ズボン隊のフェルナンディア中尉は4人のウィッチとウィザードを待ちに待っていた。

 

 

「あんたたち、遅いよ!」

 

 

「ごめーん、フェル隊長!」

 

 

「すいませんフェル隊長、竹井大尉!」

 

 

「お待たせしてすみません竹井大尉!」

 

 

「よし、全ウィッチ出動!!」

 

 

竹井醇子の指示で6人のウィッチとウィザードが滑走路を走り、出動した。

 

 

「竹井大尉!」

 

 

「なに、ステラ中尉!?」

 

 

「魔導レーダーによると、ヴェネツィア方面とマルタからのネウロイの襲来です!」

 

 

「二方向からのネウロイ襲来とは、不味い展開ね…」

 

 

ステラの魔導レーダーの報告により、醇子の表情は気まずくなった。

 

 

「大尉、マルタ方面は501に任し我々がヴェネツィアの侵攻を食い止めましょう!!」

 

 

「バッキー、そうね…竹井!!」

 

 

「わかったわ!総員、ローマ北部でネウロイを食い止めよ!!」

 

 

「「「「「 了解!! 」」」」」

 

 

バッキーとフェルの進言により、504部隊はロマーニャの首都、ローマ北部の防衛を担うのであった。

 

 

 

 

 

 

ロマーニャ 501基地 

 

 

「総員、出撃!!」

 

 

 

「「「「「 了解!! 」」」」」

 

 

 

 

ティレニア海に面した沿岸の警備隊からの連絡、マルタ島方面からネウロイの大群を確認し、ロマーニャの全軍に報告。

 

連絡を受けた501部隊のウィッチとウィザードは緊急発進した。

 

 

 

「私たち501は被害を被らない様に、首都ローマの郊外にて、ネウロイを迎撃します!!」

 

 

「「「「「 了解!! 」」」」」

 

 

ミーナが仲間に対し指示を下した時、その中でルッキーニは目が力みながら先走っていた。

 

 

「ルッキーニ!」

 

 

「シャーリー…絶対に…ローマにネウロイを奪わせたくない!」

 

 

「ルッキーニちゃん!わたしたちも同じだよ!」

 

 

「そうだよルッキーニさん!ルッキーニさん、の故郷やローマの人たちを守りたい!!」

 

 

「シャーリー…芳佳…亜弥、ありがとう!」

 

 

シャーリーを始め、芳佳と亜弥たちがルッキーニを励ました。

 

 

すると

 

 

「っ!!9時方向に大型が1中型が4、小型が30のネウロイを確認!!」

 

 

洋介の波導でネウロイの編隊を確認する。

 

 

「了解、私とバルクホルン大尉、ハルトマン中尉、イェーガー大尉、エイラ中尉、リトヴャク中尉、ルッキーニ少尉は右翼を担当します!」

 

 

「「「「「「 了解!! 」」」」」」

 

 

「坂本少佐と桜井大尉、ペリーヌ中尉、リネット曹長、宮藤軍曹、亜弥軍曹は左翼をお願いします!!」

 

 

「了解した!みんな、行くぞ!!」

 

 

「「「「「 了解!! 」」」」」

 

 

ミーナたちウィッチは正攻法で飛行、小型ネウロイがビームを放ちながらシールドで防いでいた。

 

 

「くそっ!小型と言えども、手強い!」

 

 

「奴らをローマに近づけさせるな!!」

 

 

「出ていけ…出ていけ…ロマーニャから出ていけー!!」

 

 

ロマーニャを人一倍愛するルッキーニは敵対するネウロイのビームをシールドで防ぎ、機銃を掃射し続けた。

 

美緒の指揮下にいた洋介とウィッチたちは太陽に向かって飛行、ネウロイの編隊上空に到達した。

 

 

「リーネはこのまま待機!」

 

 

「はい!」

 

 

「よし、そろそろだ…総員、急降下!!」

 

 

リーネを残し、美緒たちウィッチとウィザードは太陽の光を利用して急降下した。

 

 

「墜ちろ!!」 ダダダダダダ

 

 

洋介や美緒、芳佳、ペリーヌ、亜弥はネウロイの不意をついて機銃を放ち、5体の小型ネウロイ、中型ネウロイ1体を撃墜した。

 

 

「間に合ったぞ、ミーナ!」

 

 

「ありがとう、美緒!」

 

 

「さて…ここから乱闘だ、ネウロイを殲滅するぞ!!」

 

 

「「「「 了解!! 」」」」

 

 

 

 

ウィッチたちはロッテやテッケを組みながら激しい空中戦が展開され、それぞれの空域が黒く染まった。

 

 

 

ローマ 市街地

 

 

 

「おい…見ろ…北と西の空が黒い…」

 

 

「なに言っているの…ウィッチたちがネウロイと戦っているのよ~!!」

 

 

「本当だ…助かった…!」

 

 

ネウロイ襲来で防空壕に避難していた民間人が壕や地下室から出て、501と504ウィッチたちの戦いを見て歓喜した。

 

 

 

 

 

 

王室 庭園

 

 

 

第一皇女、マリア・ピア・デイ・ロマーニャは王室の防空壕に避難せず、庭園で北西の空を見つめていた。

 

 

 

「マリア様、ネウロイが襲来する恐れがあります!ご避難下さい!!」

 

 

「いいえ…民人をおいて、わたくしたち王室が避難する訳にはいけません」

 

 

「しかし…」

 

 

「このロマーニャを守護する大切なお友達のウィッチと、二人しかいないウィザードが戦っています」

 

 

彼女の側近の反対を押し切り、自身の国を守る友人のウィッチと世界でただ二人しかいないウィザードの戦いを見届けた。

 

 

 

北部

 

 

「あった!その先端にコアがあるわ!!」

 

 

「了解!喰らえ!!」

 

 

ステラの魔導針がネウロイの弱点であるコアに反応、醇子たちは集中砲火で発砲し、コアを粉砕し撃墜した。

 

 

「やったーっ!!」

 

 

「ふぅ~…やりましたねフェル隊長…」

 

 

「わたしたち504も、まだまだやれるわよ!」

 

 

「…まだ、ロマーニャ西部にもネウロイが居残っている…!」

 

 

「洋介たち501の連中か、竹井大尉!」

 

 

「えぇ、私たちはこれより西部方面へ向かいます!」

 

 

 

ローマ 西部

 

 

 

 

「てやあぁぁぁー!!」

 

 

 

スパアアァン

 

 

 

洋介は残った中型ネウロイの背中部分の表面を鷹狼で斬り捌いた。 

 

 

「よしっコアだ!亜弥、やれぇー!!」

 

 

「うおおぉー!!」

 

 

スパアアァン

 

 

中型は亜弥の持つ軍刀白狼で中型を撃墜した。

 

 

「やったな、亜弥…」

 

 

「うん、やったよ!白狼で倒したよお父さん!」

 

 

「よく頑張ったな…っ!?」

 

 

「烈風斬っ!!」

 

 

洋介が首を振り向くと、上官である坂本美緒は、自身が所持する扶桑刀の烈風丸で、大型ネウロイを真っ二つにして撃墜した。

 

 

「(…うぅ…凄い……)」

 

 

美緒の剣捌きを目の当たりにする洋介は、冷や汗を搔き、驚くのであった。

 

 

「周囲のネウロイは確認しません」

 

 

魔導針で周囲を確認したサーニャは、ミーナに殲滅を報告した。

 

 

「これより、基地に帰還します!」

 

 

「「「「 了解!! 」」」」

 

 

首都ローマに襲来するネウロイを殲滅した13人のストライクウィッチーズは、基地に向けて飛行する。

 

ローマ上空でV字編隊を組み、その途中で竹井醇子大尉率いる504部隊と合流し、501基地に帰投した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

501基地  風呂場

 

 

 

二人のウィザードを除いて、501と504によるウィッチによる風呂で、身体を湯船に浸かりながらの親睦会が始まった。

 

 

「いやー、見事な戦いぶりだったわ~」

 

 

「504の皆も、戦力不足と聞いたのだがよく戦えたな…」

 

 

「そうだねトゥルーデ、洋介と亜弥以外のウィザードとウィッチは初めて見たよ」

 

 

フェルナンディアが風呂で揺ったりし、トゥルーデとエーリカが504に感心する。

 

 

「まぁ、わたしたちの部隊にも異世界人のバッキーさんとステラさんの協力があってからこそ、504は健在なんです」

 

 

「あはは…あたしとバッキー、洋介さんと亜弥がいる限り、異世界の人間がなんとかやるわ…っ///」

 

 

「おぉ~ステラ!おっきいね~♪」

 

 

ステラが格好つけながら言葉を述べかけた時、ルッキーニが彼女の胸を揉んでいた。

 

 

「や~ん///」

 

 

「え~どれどれ…ワタシにも…」

 

 

ルッキーニに続いて、エイラが触ろうとした時

 

 

「うぎゃっ…亜弥…!?」

 

 

「えへへ~エイラさん、触らせないよ~♪」

 

 

亜弥がエイラの行動を阻止した。その光景を目の当たりにしたペリーヌが

 

 

「あなたたち、せっかくの親睦会を静かにしてくださいまし!」

 

 

イチャイチャするエイラとルッキーニ、亜弥を注意する。

 

 

 

基地 滑走路

 

 

 

 

世界で唯一無二のウィザードの桜井洋介とバッキー・S・五十嵐は滑走路の脇で地中海を眺めていた。

 

 

 

「ローマの防空任務、お疲れだなバッキー」

 

 

「お互いだぜ洋介、…今日のネウロイの大群、イナゴの群れみてぇだったな!」

 

 

「そうだな、…かつてお前と初めて戦ったラバウル上空戦を思い出す…」

 

 

「…ラバウル上空…くくく…あははは~」

 

 

「…はははははは~!」

 

 

洋介とバッキーは笑いあった。

 

あの世界の戦時、1944年1月17日のニューブリテン島ラバウル上空にて、初めて二人が対峙したことを懐かしく感じ、語り合い、ウィッチたちが湯船を間を見計らい、入浴した。

 

 

504部隊の醇子たちとバッキー、ステラは一晩宿泊した。

 

 

翌朝 滑走路

 

 

 

「昨日の救援と、久しぶりの食事は楽しかったぞ、醇子」

 

 

「お互いね美緒…それに、魔法力をほどほどに…」

 

 

「はっはっはっ!相変わらず心配性だな〜!私は死なん、ウィッチに不可能は無い!」

 

 

「宮藤ちゃん、わたしたちに治癒魔法ありがとう~」

 

 

「えへへ~…そんなことないですよフェルさん」

 

 

フェルナンディアは芳佳に抱きつきながらじゃれあい、互いの健闘を称えた。

 

 

「ステラさん、ありがとう。楽しかったね♪」

 

 

「あたしもよ亜弥♪501と親睦会、またやりたいね~♪」

 

 

「うん♪」

 

 

ステラと亜弥はこの世界に赴き、魔女たちとの親睦会は何よりの楽しい思い出だった。

 

 

「楽しい宿泊だったぜ、洋介」

 

 

「それはよかった。このロマーニャにいる間、もう一度会いたいもんだ!」

 

 

「それもそうだが、いずれこのネウロイとの戦争が終わった後…ウィザードの荒鷹、桜井洋介を討つのはこの俺、荒鷲のウィザードことバッキー・S・五十嵐だ!」

 

 

「…そうか、…その言葉、返り討ちにしてやるぜ、バッキー!」

 

 

そして、竹井醇子以下4人のウィッチと一人のウィザードが504の基地に向けて帰投した。

 

 

「お父さーん!…あれ~…どこにいるんだろ…?」

 

 

「亜弥ちゃん、どうしたの~?」

 

 

「…あっハルトマンさん!その…お父さんを探しているの…」

 

 

「洋介を…うーん、見ていないな~」

 

 

亜弥がエーリカに洋介の所在を尋ねたが、彼女は頭を傾げた。

 

 

 

 

基地 バルコニー

 

 

 

「………」

 

 

基地のバルコニーにて洋介は、上の空だった。

 

バッキーの果たし状とも言える言葉には意味があった。

 

初めて二人が対峙したラバウル上空戦以降、マリアナ沖海戦やフィリピン海戦、日本本土防空など戦い、ロケット特攻機『桜花』の護衛を担った最後の8月6日まで引き分けが続いた。

 

 

「あの戦争が終わったにも関わらず、俺とあいつの戦争が終わっていないんだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

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