ストライクウィッチーズ ~蒼空を舞う零の荒鷹~   作:鷹と狼

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第58話 荒鷹 対 荒鷲 ラバウルでの対峙

 

 

 

 

 

501基地 食堂

 

 

ロマーニャの首都、ローマ防空した501部隊と、少数でありながらも別の空域を迎撃した504部隊の竹井醇子大尉以下、赤ズボン隊のフェルナンディアとマルチナとルチアナ、異世界から赴いたステラ・A・エヴァンス中尉と、世界でもう一人のウィザード、バッキー・S・五十嵐大尉たちと親睦会を開いていた。

 

その中で、バッキーと洋介が親しく会話する中で、芳佳が赴いた。

 

 

「ねぇ、バッキーさん」

 

 

「ん…?芳佳か、何のようだい?」

 

 

「バッキーさんは、洋介さんととてと親しくしていますが、異世界からお友達なんですか…?」

 

 

芳佳から友達と聞いたバッキーは、やや顔つきが変わった。

 

 

「友達か…半分そうだが、洋介とはあの戦時で殺しあった」

 

 

「「「 っ!? 」」」

 

 

バッキーの言葉を聞いて、ステラを除くウィッチたちの動きが止まった。

 

 

「殺しあった…!?…バッキーさんは洋介さんと同じ扶桑…日本人…なのになんで…リベリオン…アメリカに…?」

 

 

「俺の生まれは日系のアメリカ人だ。」

 

 

「先ほどバッキーさんは洋介さんと殺しあったって言ってましたけど…」

 

 

「あぁ、そうだ。日本がアメリカのハワイにあるパールハーバーが奇襲を受けた切っ掛けで、俺たち日系人やステラの様なハーフが軍隊に志願した…」

 

 

「なんで殺しあったんですか?洋介さんやバッキーさんとステラさんの世界にはネウロイがいないって聞いたんですが…」

 

 

「えぇ、いない。ただし、あたしたちの世界は人同士が殺しあう世界だったわ…そして、あたしも…戦い…人を殺した…」

 

 

その場にいたステラも、震えながら手の汗を握った。

 

 

「そう言えば前に洋介が言っていたな…」

 

 

リベリオンのシャーリーがどよんとしていた。

 

 

「ええ、そして敵対していた日本、こっちの世界である扶桑はアメリカとイギリスに…リベリオンとブリタニアに宣戦布告。地球の反対側には以前にドイツはフランスやロシア…この世界ではカールスラントはガリアやオラーシャなどに宣戦を布告、まさに世界大戦となった」

 

 

「…カールスラントが…」

 

 

「ガリアが…」 

 

 

「そんな…ブリタニアが…」

 

バッキーの言葉にカールスラント出身のウィッチとガリア出身のペリーヌ、ブリタニアのリーネが信じられないような顔をする

 

 

 

「…で、バッキーと桜井の出会いは?」

 

 

 

「洋介と初めて出会い、戦ったのは南太平洋に浮かぶニューブリテン島のラバウル上空だ。その頃アメリカ軍の…リベリオン軍はポートモレスビーに拠点を置いてそこからラバウルを空襲する予定だった。そこで扶桑軍の基地を爆撃するために多数の爆撃隊が出撃した。俺とステラはその時の護衛を務めて…」

 

 

 

トゥルーデの質問で、バッキーとステラはそう話を続ける。

 

 

「うじゅ~難しすぎてわかんないー!」

 

 

ルッキーニが声をあげる。

 

まだ12歳のルッキーニには難しい話であり、理解しにくかった。すると

 

 

 

「じゃあ…見るの…お父さんたちの記憶?」

 

 

黙っていた亜弥が手をあげてそう呟く。

 

 

「そう言えば、亜弥は人の記憶を映像にして相手に見せることができるんだっけな…」

 

 

 

「それなら亜弥ちゃん見せてくれる?なっ!洋介もいいだろう?」

 

 

 

シャーリーが洋介に訊く。

 

 

「まあ、…別に隠すものじゃないが…バッキー、ステラは?」

 

 

「俺は構わないよ」

 

 

「あたしはかまわないわよ。でもあまり面白い話じゃないし良いものでもあるわよ。それでもいい?」

 

 

「もちろん!」

 

 

「あたしも見たーい!」

 

 

「わたしも」

 

 

「バッキーたちの世界が見てみた~い」

 

と、エーリカとルッキーニ、フェルナンディアとマルチナがはしゃぎながら呟いた。

 

 

 

 

「わかりました…それでは……」

 

 

 

そう言い、亜弥は洋介とステラ、バッキーの手に触れると部屋一面が光に包まれるのであった。

 

そして光が収まると、基地らしき場所が投影される。

 

 

「ねぇ…ここはどこなの…?」

 

 

「南国だね~♪」

 

 

「いや…ここは…ポートモレスビーだ!」

 

 

 

 

 

1月17日 

 

 

0230時、ニューギニア ポートモレスビー連合基地ー

 

 

 

滑走路にはグラマンF6FヘルキャットやR4Uコルセア、P-38ライトニングの戦闘機。

 

爆撃機B-24、SBDドーントレス、雷撃機TBFアベンジャーが出撃の準備を整えていた。

 

まだ、幼顔が残るバッキーとステラは日が昇る早朝に起床した。

 

その当時のステラは1年早く、南洋の実戦に参戦。

 

バッキーは半年前に実戦に赴いた。

 

一人の黒人青年は作業服を油まみれにしながらメンテナンスをしていた。

 

 

 

「ん……よしっ!」

 

 

 

「さすがに早いなパンサー!」

 

 

 

「あっ、バッキーさん、ステラさん。おはようございます!」

 

 

 

「うん、おはよう!」

 

 

二人が搭乗する戦闘機をメンテナンスしていた、パトリック・スペンサー上等兵ことパンサーは、隊長だったランスロー・W・アイリッシュ大尉の愛機を終えたあとだった。

 

 

「パンサー、隊長の愛機をメンテナンスしたばかりですまんな…」

 

 

 

「はい、どうってことないです!」

 

 

 

バッキーは愛機に搭乗し、操縦席で拳銃(M-1911)のマガジンを装填した。胸ポケットから家族写真を取り出した。

 

 

 

「母さん、トム……」

 

 

 

「バッキーさん!!愛機の使い心地はどうですか!?」

 

 

 

「あぁ、パンサーありがとう!君のメンテナンスをしてくれた機体でやり遂げるぜ!」

 

 

胴体に虎が描かれたロッキードP-38ライトニング戦闘機に搭乗し、息を整えた時。

 

 

「ふぅ~…」 

 

 

「『ステラ!』」

 

 

 

彼女の機内の無線機から連絡がきたのは、海軍のPBY-5カタリナに搭乗していた赤十字の看護婦、シャルロット・F・トライン。

 

 

「シャルロット!?」

 

 

「『ステラ、アリシアやパウラに再会するまで、生きて下さいましね!』」

 

 

「……当然、死んだら許さないよ!」

 

 

 

「『えぇ!』」

 

 

『「ステラ、シャルロット。さて、大事な任務をやり遂げましょう!」』

 

 

『「「えぇ、マリー!」」』

 

 

マリー・熊井曹長は爆弾を搭載するB-24に搭乗。

 

 

ポートモレスビー基地のアメリカ戦爆連合の襲撃目標は日本軍ラバウル基地。

それぞれの機体のエンジンが鳴り響いた。

 

 

「いよいよ発進ですね、ご武運を!!」

 

 

パンサーはランスローとバッキーに敬礼した。

 

 

「ランスロー・W・アイリッシュ、出撃する!!」

 

 

「バッキー・S・五十嵐、発進します!!」

 

 

「ステラ・A・エヴァンス、出ます!!」

 

 

「ウィリアム・J・スパロウ、行きます!!」

 

 

「シャルロット・F・トライン、推して参ります!」

 

 

5人が搭乗した航空機は戦爆連合117機の一角としてラバウル基地襲撃に出撃した。

 

 

 

 

0744時

 

 

 

朝焼けのニューブリテン島、戦爆連合がステティン湾上空を通過した時

 

 

「敵機!敵を視認、迎撃します!!」

 

 

「『 了解!! 』」

 

 

ギュイイィィン

 

 

ステラが一機の零観を視認、彼女は迎撃に向かった。

 

 

 

 

ステラが扱うライトニングが零観の沖田新一郎・金城幸吉機を襲撃した。

 

 

 

「落ちろ!!」  ダダダダダダっ

 

 

「ぐっ…あれは…以前のダンピール海峡の敵機!?」

 

 

彼女は敵を照準に入れたが、敵の巧みな操作で回避された。

 

すると、零観は雲に突入し、雲から火の固まりが墜ちた。

 

 

 

「はぁ…はぁ……やった!」

 

 

 

「『ステラ、編隊に戻れ。やったのか!』」

 

 

 

「えぇ!」

 

 

 

ステラは墜としたことに満足して編隊に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…ここは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして景色が変わり、日本陸海軍最大の拠点、ラバウル基地

 

ポートモレスビーと違い、鉄筋コンクリートの司令部や木製の兵宿や格納庫。

 

その中に、まだ青少年の準士官、桜井洋介が写っていた。

 

 

 

 

零観の新一郎、幸吉ペアの連絡を受けたラバウル基地で騒然、トチローたち整備員はパイロットが搭乗する戦闘機の燃料と弾薬を補給と整備を整えた。

 

 

 

「急げえぇ!!敵は待ってちゃくれん!!」

 

 

 

「燃料、弾薬よし!!」

 

 

 

特殊部隊の兵舎から隊長の厚木十三と飛行兵曹長時代の桜井洋介、戦友の大賀虎雄と沖田進次郎の4人のパイロットが赴いた。

 

 

「虎雄、また後でな!」

 

 

「はい!隊長の健闘を祈ります!洋介、進次郎も無事にな!」

 

 

 

「おぅっ虎雄!!」

 

 

「虎雄さんも!!ん……?」

 

 

虎雄が愛機の二式水上戦闘機の元へ駆けつけた時、進次郎は司令部である一行を視認した。

 

 

 

「隊長、あの御一行さん方は!?」

 

 

 

「あぁ、昨日トラックからきたニュース映画のスタッフさん方だ!」

 

 

 

「映画スタッフか~♪桜井さん、おれたちの活躍が写りますね♪」

 

 

 

「そうだな~♪しかし進次郎、墜ちる場面は撮られないように!!」

 

 

 

「お前ら、そんな話は生還してから話せ!急いで愛機に搭乗するぞ!!」

 

 

 

「「 了解!! 」」

 

 

 

進次郎と洋介が愉快な話しをする中で十三は一喝。

 

3人が搭乗する戦闘機は物資不足の状況であっても、ラバウルに配備された新型の零式艦上戦闘機52型に搭乗した。

 

 

 

「厚木十三、出撃する!!」

 

 

 

「桜井洋介、行きます!!」

 

 

 

「沖田進次郎、発進します!!」

 

 

 

水上機桟橋ー

 

 

 

「大賀虎雄、出ます!!」

 

 

 

4人の戦闘機を含む陸海軍の戦闘機が離陸、日照る太陽へ向かって飛行した。

 

 

 

アメリカ戦爆連合ー

 

 

 

「『ラバウルまでもうすぐだ!!敵の拠点にジャップどもを殲滅だ!各員、戦闘配備!』」

 

 

 

「「『了解!!』」」

 

 

 

B-24の編隊が爆撃体勢を整え、爆弾倉がオープンした時ー

 

 

 

先頭の隊長機のB-24が爆発を起こして墜落。

そして、一機のニ式水戦が飛行して再びB-24を撃墜した。

 

 

 

 

『「隊長!虎雄の後方に新型のヘルキャットです!」』

 

 

 

「『直ちに向かうぞ!』」

 

 

 

「『はっ!!』」

 

 

 

 

敵の新型のF6F戦闘機9機が虎雄に襲い、洋介たちは日光から降下する零戦3機の機銃弾が翔んで、6機が被弾して墜落。

 

直ぐに反転して残りの3機を撃墜した。

 

 

「お待たせ虎雄!」

 

 

「『相変わらずだな洋介!、厚木隊長たちは連携が優れていますね!!』」

 

 

 

「『前衛の敵機は予め撃墜した!次の群集を迎撃するぞ!!』」

 

 

 

「「『了解!!』」」

 

 

 

「『了解!!…っ!?10時方向に、低空にドーントレス及びアベンジャーが来襲!!』」

 

 

 

進次郎が眼下に広がるジャングルにて、ドーントレスとアベンジャーの小隊がブランチ湾に向かって低空飛行。

 

標的は停泊する艦艇と輸送船であった。

 

 

 

「『進次郎!ドーントレスとアベンジャーはお前に任せる!』」

 

 

 

「隊長…?ですが!!」

 

 

「『俺たちのラバウルを守ることに変わりは無いぞ、進次郎!』」

 

 

「『そうだ、進次郎!ワシたち六人は常に仲間だ!!』」

 

 

 

「隊長、桜井さん、虎雄さん……はい!3人のご武運を!」  

 

 

 

ギュイイィン

 

 

 

進次郎は十三たちの指示に従い、低空飛行するドーントレスとアベンジャーの小隊へ迎撃に向かった。

 

 

そして、洋介は

 

 

「そこっ」 ダダダダダダダ  ドカアァァン

 

 

「ヘルキャット、撃墜!…しまった…ぬあぁぁ~…そこっ!!」

 

 

別のF6Fヘルキャット、F4Uコルセアが洋介の背後を取り、銃撃を左捻りで回避し、撃墜した。

 

 

「はぁ…はぁ…よしっ、やったぜ!!」

 

 

遠く離れた空域で目の当たりにしたバッキーは

 

 

「っ!?…アーサー…フランク…おのれ…おのれ…!!」

 

 

数少ない日系の友人が落とされたことで、復讐に燃えたバッキーは洋介を迎撃に向かった。

 

 

「墜ちろーっ!!」

 

 

 

「(はっ!?)ぐがが…」

 

 

瞬時に洋介は操縦桿を倒し、バッキーの銃撃を回避した。

 

 

「あ…危ねぇ…野郎っ!!」

 

 

洋介はバッキー機に向けて機銃を掃射。だが、バッキーは洋介の銃撃をひらりと回避し、一旦離脱した。

 

 

「くそっ…あの野郎…(奴を落とさねば…俺たちの脅威になりかねん…)」

 

 

その時の洋介はバッキーの挑発を受け、執拗に追いかけた。

 

 

「貰った!!…なにっ!?…」

 

 

洋介がバッキー機に照準を入れた時、バッキーは機体を捻り、真正面から洋介機に突進した。

 

 

「喰らえっ!!」 ドドドドドドドド

 

 

 

「くっ…はぁ…はぁ……痛てぇ~…」

 

 

洋介は愛機の速度を減速し、回避した。だが機体は被弾し、自身の左腕と右足を銃撃で掠められ、傷を負った。

 

洋介の致命的なダメージを目の当たりしたバッキーは洋介の背後に憑いた

 

 

「戦友の仇…喰らえ!」

 

 

引き金を絞りかけた時、洋介機は海に向けて落下。

 

 

「やけになったか、この手で葬って…ぐっ…」

 

 

洋介機の向かう先は、日光に反射した海へ落下、眩しく瞼を閉じたバッキーは洋介を見失った。

 

 

「…奴め…謀ったな…なにっ…」

 

 

「そこっ!!」  ダダダダダダダ

 

 

バッキーの左真横から洋介機が飛来、両翼の20ミリと機首の7.7ミリ機銃が放たれ、操縦席に被弾、洋介はバッキーから離脱した。

 

 

「…ぐっ…はぁ…はぁ…」

 

 

防弾ガラスに被弾し、散乱したガラスの影響で、バッキーの左肩と左脚を掠めた。

 

 

「…野郎…野郎めっ!!」

 

 

 

『「バッキー、我が部隊の損害が激しい!ラバウルから離脱するぞ!!」』

 

 

突如、バッキーの右側に隊長のランスローが接近、部隊撤退の命令を下した。

 

 

「隊長!…奴を落とすまでかえりません!」

 

 

「馬鹿言え、奴を落としたところで戦争が終わるか!頭を冷やせ!!」

 

 

「は…はい...!…すみません…」

 

 

我に還ったバッキーは、空戦から生き残った戦爆連合と共に拠点であるポートモレスビーに向けて引き返した。

 

 

 

 

 

「くそっ…あいつを落とし損ねたか…」

 

 

「『大丈夫か、桜井!?』」

 

 

洋介の背後から十三が接近した。

 

 

「隊長!…なんとか…ラバウルを守り切りましたね~…」

 

 

「『全くだ、お前もよく戦ったな。さて、新一郎と進次郎と合流するぞ!』」

 

 

「はい!」

 

 

洋介は十三に従い、進次郎たちと集結した。

 

 

 

「進次郎、無事だったか!?」

 

 

「『厚木隊長、桜井さん!』」

 

 

 

「『はははっ!進次郎!生き残ってよかったゼ!!』」

 

 

 

「『兄ちゃん、幸吉!オレもほっとした!』」

 

 

 

新一郎、幸吉ペアの零観が接近して歓喜した。

 

 

 

「『おいおい、隊長、沖田さん!洋介、幸吉!ワシの心配はそっちのけか…?』」

 

 

 

「『悪い悪い、虎雄!お前も無事でよかった!』」

 

 

 

「『ったく、悪い冗談ですよ~!』」

 

 

 

「『『『はっはっはっは~!!』』』」

 

 

 

「『笑ってないで、ラバウル基地へ帰投するぞ!!』」

 

 

 

「『了解!!』」

 

 

 

「了解!!」

 

 

 

新一郎の指示で全機のパイロットたちは笑いあいながら帰投した。

 

ラバウル基地の日本陸海軍の航空部隊は六勇士を含め、全機帰投。

 

撃墜数は約70を越え、勝利を得た。

 

 

 

「はははっ、飲め飲め~!」

 

 

「洋介、お前の誕生日の次いでに祝杯だ!」

 

 

「隊長たちの前で恐縮ですが、頂きます!……ああぁ~旨い///」

 

 

「進次郎と幸吉、虎雄も飲め!」

 

 

「あぁ、頂きます兄ちゃん」 ぐいっ 「かぁ~訊くぅ~///」

 

 

 

「ひっく…きついが、旨いなぁ~///」

 

 

「あぁ~///ひっく…///」

 

 

 

この勝利でラバウル基地のパイロットは酔いしれ、ラバウル六勇士と一部の整備士のトチローは宴会で盛り上がり、未成年の虎雄と進次郎を含めて酒を飲み交わした。

 

だが、洋介の笑顔の裏側でかすり傷を負っていたため、痛みながら我慢していた。

 

この後内密で医務室に赴き、診察を受けた。

 

 

医務室

 

 

「ん~…かすり傷だな。あとで、温泉療法で治癒しておくように!」

 

 

「はい、軍医殿!」

 

 

洋介は温泉に入浴、湯気立つ中であの時の空戦を思い出していた。

 

 

「あいつ…顔立ちは日本人だったな…奴を落とさねば、我々パイロットの脅威となるな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ戦爆連合ー

 

 

 

ラバウルを攻撃した戦爆連合の部隊が惨敗。

 

残存機体の30数機がポートモレスビー基地へ帰投した。

 

帰投した戦闘機と爆撃機のパイロットは搭乗機から降りて、ただ突っ立ったまま歩いており、その場にいた整備士のパンサーは絶句した。

 

 

 

「そ…そんな……っ!?アイリッシュ大尉……バッキーさん…ステラさん…マリーさん……」

 

 

 

その帰投した機体の中にはランスローとバッキー、ステラの愛機とマリーの搭乗機があったが彼らの姿はなかった。

 

 

 

「スパロウ大尉!」

 

 

 

ウィリアムのPBYカタリナには、ランスローとバッキー、ステラ、マリーが機内から、海上で落下して救助した数人の負傷者を運搬。シャルロットは一人でも助ける為に手当てをして行動していた。

 

 

 

「…大尉…みんな…ステラさん!」

 

 

 

「パンサー、……この通り負傷者の運搬しているのよ…」

 

 

 

「じゃあ僕も、手伝いを……」

 

 

 

「…あぁ…お願い……」

 

 

 

「お待ちくださいステラ!」

 

 

 

ステラが手伝って貰おうとしたが、シャルロットとバッキーが制止した。

 

 

 

「手伝って貰いたいのは山々だが、パンサーは俺たちの愛機を整備してくれ!」

 

 

 

「しかし…!」

 

 

 

「バッキーの言う通りだ、パンサー!」

 

 

 

「スパロウ大尉!」

 

 

 

「パンサー、この通り我々は敵に惨敗した!いつ、敵の襲来に備えてメンテナンスをやれ!!」

 

 

 

「はっはい!!」

 

 

 

「そして、この任務を終えたら、酒を飲み交わすぞ!」

 

 

 

「了解です!」

 

 

 

パンサーは急いで自身の持ち場に戻り、ランスローとバッキーのヘルキャット、ステラのライトニング、マリーのB-24負傷者を運び終えたカタリナをメンテナンスした。

 

 

全員の役目を終えた後、約束通り酒を飲み交わした。無事に生きて帰投したことを。

 

 

 

初の対峙となったラバウル上空戦で洋介とバッキーの勝負は引き分けに終わった。

 

それは終わりの始まりであり、その後のトラック諸島空襲や、弟のトムも参戦した史上最大の海戦となったマリアナ沖海戦とフィリピン海戦。

 

新型の零戦64型を受領し、直接的の空戦にならなかった硫黄島の戦い、沖縄の戦い、特攻隊の護衛の任務を帯びて、バッキーは初めて撃墜された。

 

枕崎沖、戦艦大和が沈没した戦いで引き分けになったが、弟のトムが負傷し、ハワイに生還した。

 

ハワイで新型機、グラマンF8Fベアキャットを受領し、7月後半の呉軍港空襲、8月6日の特攻機桜花の護衛で対峙し、結果は引き分けた。

 

それを最後に8月15日、戦争が終結した。

 

 

「これが俺たちと洋介たちとの出会い…」

 

 

 

 

「そしてこれがあたしたちの世界で起こった出来事よ」

 

 

 

映像が終わると、ウィッチたちは何も言えない状態だった。

 

 

初めて見る人間同士の戦争。もしネウロイがいなければ自分の世界もそうなっていただろうとみんなそう感じていた。

 

 

中には顔を青ざめているものもいた。

 

 

最初にウィッチの世界に迷い込んだ桜井洋介、その次にステラ・A・エヴァンス。桜井亜弥、最後にバッキー・S・五十嵐はウィッチとウィザードに覚醒した。

 

 

「……あの戦争で死んで逝った勇士たちに……」

 

 

「勇士たちに…」

 

 

「……あたし達の親しい友人や仲間たちに…」

 

 

「……犠牲になった…お母さんたちに…」

 

 

そう呟く洋介とバッキー、未成年のステラと亜弥は黙祷をささげ、そして静かにグラスのワインを飲み干すのであった。

 

そして、4人はこの世界でもそして彼らたちのいた世界でも、二度とあんな悲劇が起きないように祈るのであった。

 

 

 

 

 

 

501と504の親睦会が終え、竹井醇子大尉とバッキー、ステラたちウィッチは504基地に帰投した。

 

 

 

 

 

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