今回は会話メイン。
思い付きで書き始めた小説ですが、正直ここまで見られるとは思いませんでした。
感謝感激です。
彼女に連れていかれたのは、大通りの脇道に面したカフェだった。
「ここのパンケーキが美味しいんだよ。」
店員に案内され、窓際の席に座る。
お勧めされたパンケーキセットを注文した。
「久しぶりだね。パルム。」
ユリパルム。それが彼女の名前だ。
白髪のショートヘアで身長は私より少し低め。
競争ウマ娘時代では同室であり、チームメイトだった。
「ホント久しぶり。といっても1ヶ月くらいしか経ってないけど。あの時、急に居なくなったからビックリしたんだよ。」
「…トレーナーから聞かなかったの?」
「家族の事情で実家に帰ったって聞いたけど?」
「え?」
(何それ。初耳なんですが。)
トレーナー嘘ついたのか。
まあ、本当の事を言えばドロップキックされるのは目に見えてるからなぁ。
それにしても酷いトレーナーだと改めて思う。
ただ、パルムには本当の事は言わない方がいいだろうな。
彼女はトレーナーの事を信用しているだろうし。
「どうしたの?」
「…あ、何でもないよ」
「なんか怪しい。そもそも何であの時連絡くれなかったのさ。」
「……」
「…なんか悩みでもあるの?」
「っ…ないよ。大丈夫。」
「いや、あるでしょ。言ってみてよ。相談に乗るからさ。」
「………」
パルムの勘が鋭いのか私が分かりやすいのか。
何度も促されるうちに、言ってしまった。
トレーナーに契約破棄されたこと、警察官を目指していること、今までのこと全てを。
話し出したらとまらなかった。
パルムは驚きながらもうなずいてくれた。
私の話を理解してくれた。受け入れてくれた。
嬉しかった。申し訳なかった。
気づいたら涙が出ていた。
「言ってくれてありがとう。ほら、コーヒー冷めちゃうよ。パンケーキも食べよう。」
「ありがとう。少し気が楽になったよ。」
涙を拭き、フォークを手に取る。
(美味しい。)
このパンケーキが絶品なのは間違いないが、友達と一緒に食べるともっと美味しく感じるものだ。
一気に平らげてしまった。
「そうかぁ。トレーナーのせいで居なくなったんだ。でもなんか納得した。」
「え?」
「実は今、トレーナーと契約してるの私だけなんだよね。」
その言葉を皮切りに、パルムは語りだす。
以前、チームは私とパルムを含む4人だった。
それが私が居なくなり、その次に他の子が居なくなり、最終的にパルム1人だけになってしまったのだという。
その都度トレーナーからは『家族の事情で実家に帰った』なり『ウマ娘にとって致命的な怪我をした』等と説明された。
しかし、パルムはチームメイトとトレーナーの会話をたまたま聞いてしまったらしい。
その子が、メイクデビューで負けたときだった。
「契約破棄だ。出てってくれ」
「はえ?今日は4月1日じゃありませんよ。トレーナーさん?」
「嘘じゃない。さっさと行け。」
「ト、トレーナーさん?何故なのですか。私はまだ頑張れますよぉ。」
「邪魔なんだよ。お前はメイクデビューを惨敗した。未勝利戦に出す価値もないだろう。それに比べてユリパルムは見事な勝利だった。俺の指導しているウマ娘が勝てば、俺にボーナスが出る。だがお前みたいな金にならない奴は要らん。」
その時パルムは知ったのだ。
トレーナーは完全に私利私欲のことしか考えていないのだと。
私は唖然としてその話を聞いていた。
私以外にも被害者がいたのかと。
「それでね。トレーナーとの契約を私から破棄しようと考えてたんだ」
「え、でもトレーナーが居ないとレースに出られないでしょ。」
「そう。だから悩んだ。でも、自分のことしか考えず、ウマ娘の夢を蔑ろにするトレーナーは嫌なんだよ。タールの話を聞いたらもっとその気持ちが強くなっちゃった。」
「……」
パルムも悩んでいたんだ。
今新たに他のトレーナーを探したとしても、すぐには見つからないだろう。
メイクデビューは6月下旬。今は7月上旬。
メイクデビュー勝利からたった半月で自ら契約破棄するなんて、何の事情も知らない他のトレーナーから見たら不安材料しかない。
「だからさ。タールにお願いがあるんだ。」
「…!私に協力出来ることがあれば言って。」
出来るだけ彼女の協力をしてあげたい。
それは本心だ。
「私のトレーナーになってほしいんだ。」
「……はい?」
特殊タグ(太字にしたり色をつけたりする)練習をしていますが、まだ慣れてないので使うのは結構後になると思います。