Saga of Creatures〜Battle Galaxy~   作:hinoki08

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第四話

 

 

『こちら、ダーク・コロシアム、ヘビー級Fブロック予選決勝……つ、強すぎる! 最古のナイト名門魔光家の重鎮、魔光帝フェルナンドⅦ世選手、対戦相手を圧倒だぁ──ッ!』

 

 

 ヘビー級の予選会場は開始からたった数分しか経過していないにもかかわらずすでに阿鼻叫喚の地獄絵図であった。

 ミラクル・ショーの実況通り、場に立つのは先ほどのフェルナンドⅦ世、そしてもう一人の対戦相手はサムライのドラゴン《武装竜鬼バルガゼニガタ》……。しかし両者の実力差は圧倒的であった。

 フェルナンドの放ったデュアル・ザンジバル……下級のナイトですら放てば恐ろしいその魔弾の茨はフェルナンドの魔力でより一層威力を強め、剣山のごとき鋭さと強度でゼニガタを強固に縛り上げ、地面に引きずり下ろしていた。

「ぐっ……ぐああああぁぁぁっっ……!!」

 会場には先程から、痛みに耐えかねるゼニガタの悲鳴が響き渡る。その様子を真上から見下ろし……フェルナンドは半ば恍惚とした様子で呟いた。

「はぁっ……素晴らしい、なんと甘美なのか……誇り高き強者が身も世もなく喚き散らす悲鳴の音色は……」

 彼は自分の騎乗する馬の蹄でぎりぎりと対戦相手を踏みつけ、その棘をさらに深く、深く食い込ませていく。より一層、その誇り高きドラゴンの体から悲鳴を絞り出さんとするかのように。

「そなたらのごとき下品な存在ですらも、ただ唯一、悲鳴を上げているときだけは美しい……。悲鳴こそがそなたらの咲かせ得る一輪の花……!! さあ苦しめ、痛がれ、悲鳴を上げろっ! このわたしがお前をその麗しき悲鳴で、この上なく着飾らせてやる、光栄に思え!!」

 フェルナンドは駄目押しのようにデュアル・ザンジバルを再度唱える。ただでさえ鋭い茨の棘から、フラクタル状にさらに茨が生え、ゼニガタの傷口を思い切り内部からえぐり上げた。

「ぎいいいっ! く、くる、し……いた、いいいいっっっ!!」

「……ふふ、くくく、ああ、いい! いいぞぉっ! そなたの悲鳴は病みつきになりそうだ……! やるではないか、野蛮で下賤な、サムライ風情がぁッ!」

 

 

『ひええぇ、なんたる残虐の極み! 魔光帝フェルナンドⅦ世選手、今日も今日とて絶好調すぎてこのオレでも恐怖で身がすくんじまう! いくら何でも予選のうちからここまでやるか──っ!?』

「ああ、フェルナンド様……なんてお方……! なんて残酷でお美しい……」

「惨い、惨すぎるっ! 素晴らしいですフェルナンド様!! 最高です──ーっ!」

「フェルナンド様──っ! 私のこともどうか哭かせて────っ!!」

『それにしてもさすがは容赦なき戦いで知られたフェルナンド選手の試合、観客も流石の「仕上がり」っぷりだぜ……!! ダーク・コロシアムは異常な熱気でいっぱいだ……!!』

 

 

「……さて、わたしはこのままそなたの悲鳴を1時間でも2時間でも聴き続けていたいところなのだが……」

 ミラクル・ショーの恐怖の実況、観客の狂乱の歓声も耳に入っていないかのようにしばらくバルガゼニガタの悲鳴に聞きほれた後、フェルナンドは魔銃を一振り。ゼニガタに絡みついていた黒い茨が、その傷口をゆっくりとえぐるようにスローモーにほどけていく。

 

 

 ──―『フェル。「命令」だよ』

 

 

「あいにくと……そろそろ貴様には終わってもらわねばならないな」

「な、何の話……」

「サムライよ」

 

 ──―『今日は僕はあんまり退屈したい気分じゃないんだ。決勝は12分……いや、10分で終わらせてきて。あ、でも……もしもあのバルガゼニガタってサムライと当たったら、あいつ以前うちを悪く言って僕、すっごく腹が立ってるからさ』

 

 馬上から腰を下ろしもせずに、フェルナンドは地に倒れ伏した対戦相手を見下して、冷徹に言い放つ。

 

「今すぐに、命を乞え」

 ──―『命乞いをさせてから、とどめを刺さないとダメだよ』

 

 

「命、を……乞えだと?」

 その言葉に敗北を認めつつあったゼニガタの瞳が、生命力を取り戻し始める。正々堂々実力で負けたのならばそれも自分の未熟さゆえ、負けそのものは認めようが、なぜ自分がそこまでの屈辱に甘んじなければならないのか、と。

「ふざけるな! 俺はまだ」

「時間がない。無い知恵で御託を並び立てるな、サムライ風情が……」

 

 フェルナンドの魔銃が妖しく輝きだす。デュアル・ザンジバルの茨がまたうごめき、ゼニガタの体を締め上げていく。またぞろ上がる悲鳴。それを聞きながら……フェルナンドはひゅんと空気を切り、魔銃とは逆の手で握る手綱を唐突に馬から外し、鞭のように振り下ろした。

 それはゼニガタの体に食い込み、そして……鮮やかな赤と緑の色に燃える、マナの塊を取り出す。

 

「ふん、これが貴様の魂、貴様の宿すマナか……なんとも下品な輝き。下種で下賤なものよ。……」

 フェルナンドの魔力のこもった鞭で、ゼニガタの魂が暴かれたのだ。当然そんなものを直接に攻撃されたら、どのようになるか……。

 

 

「『あのお方』がやれとお望みなのだ、やれ」

 

 

 フェルナンドはその言葉と共に、大量の観客の見守る面前でその赤緑のマナを黒い茨で搾り上げた。

 魂そのものを締め上げられたゼニガタの喉を引き裂かんばかりの絶叫と、それに恐れをなした観客の悲鳴がダーク・コロシアム中にこだまする。そして……程なくして。

「……た……」

「なんだ?」

「たすけて……くれ。いのち、だけは……」

 だが、その言葉を……破れんほどの喉でやっと搾り上げた声で告げられた言葉を聞いてフェルナンドの兜の奥の瞳はピクリと動いた。恍惚の笑みではなく、怒りにひきつったように。

「それで終わるか……」

 その言葉とともに、一旦は止まる茨の猛攻。

「わたしにではない。わたしのみが貴様の命乞いを聞いたところで何になる……」

 

 不意に、デュアル・ザンジバルがほどける。ゼニガタのマナは解放され、宙に浮かぶ。しかし、それもつかの間。

 

「『あのお方』に聞こえなくては意味がない! もっと叫べ、悲鳴を上げろ! 悲鳴を上げて我らが魔光に許しを請うのだっ!!」

 

 その叫びとともにフェルナンドの魔銃が一層、白と黒に輝く特殊なマナの輝きを帯びる。彼はその照準をゼニガタのマナに合わせる。

 

『《プライマル・スクリーム》!!』

 

 弱り切った傷口に直撃した衝撃。……とうとう。ゼニガタは耐えられなかった。しかし、フェルナンドの魔力がそれを許さない。

 彼の弱り、痛み、それら負のエネルギーはすべて正のエネルギーへと反転し、そして放出されていく。焼き切れたはずの喉から奔流のように……。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ごめんなさい!! 許してください!! 俺が、俺が悪かったあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! 命だけは!! 命だけはあ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」

 

 ふん、とフェルナンドはその様子を見て今度こそは満足そうに笑い、そして術を解除する。プライマル・スクリームの魔力から逃れたゼニガタはようやく気を失い、地面にひれ伏した。

「し、試合終了──―ッ!」

 フェルナンドはゼニガタの魂のマナを魔銃の先端で突き刺し、雑に彼の胸の中に押し込む。そしてミラクル・ショーの口上も、自分の戦いぶりに熱狂する観客たちの嬌声も一切聞かず、馬に踵を返させ、試合会場から立ち去っていく。

 

 彼の頭にはもう、そんな声を、美しく響くはずもない声を響かせている暇などないのだから。

 

 

 

「10分ちょうど。よくやったね」

 フェルナンドの属する、魔光家の居城。その奥で金の鎧をまとった真っ白い《パラサイトワーム》の体に身を横たえながら、悠々と水晶玉を通じて試合を見ていたひとりの超獣が呟いた。

 

「褒めてあげるよ。フェルはとーっても、いい子だねぇ」

 

 

 そしてその呟きは、遠く離れているはずのフェルナンドの脳裏に直接響き渡っている。

 はぁ、と彼は一つため息をついた。サムライの叫びを聞いているとき以上に酔いしれて。

『いい子、いい子。うふふ。やっぱり君は頼れるねぇ、この調子でいっぱい勝つんだよ。あぁもう、どうしようか、あんまりに君をほめるから《ヴィルジニア》ちゃんがやきもち焼いて暴れだしちゃった。でも今日のフェルは偉い子だから、このまま屋敷が壊れても、もーっと褒めてあげるからね。よしよし』

「おおっ、なんと勿体無きお言葉……。わが主……わが《魔光大帝》……」

 自分の脳裏に、自分にしか聞こえないその声に身震いするほど陶酔しながら、フェルナンドは思う。

 野蛮なサムライや下々の戦士たちなど、悲鳴でなければただ不愉快な雑音を紡ぎだす存在に過ぎないものを……高貴なる『主』の口から紡がれる声は、なぜこうも常に美しいのか。穏やかな賛美の言葉にも、我を失いそうになるほど陶然とするのか。

 当然だ。それが高貴であるという事。それこそが神に仕えし名門、魔光の当主であるという証左。

 

 

「さーて……フェルたちが頑張っているんだし、僕らも試合に行かなきゃねぇ……これ以上サムライ共を、のさばらせないためにもさ」

 

 

 

 

『さてはてこちらはエメラルド・コロシアム! ヘビー級予選Gブロック、《ノーウェポン・ガチンコバトル大会!》もいよいよ大詰めだぜぇ!』

 緑色のコロシアム、エメラルド・コロシアムに響くのは、ボッコグーの実況。

『それにしてもこいつは意外な番狂わせだぃ! 魔銃、クロスギアは勿論のこと一切の武器の使用を禁止したこのルール……当然サムライとナイトは不利かと思われたのに、決勝にコマを進めたのも、ただいま3位決定戦を勝ち抜いたのも、サムライだぜぇ! 《戦極竜ヴァリキリアス・ムサシ》選手にバルキリー・裂空・ドラゴン選手! さすがだぜぇ! 本当の戦士は、武器の力に頼る必要すらねえんだなぁ!』

 

「すげーべなぁ、あのムサシってやつも、裂空ってやつも! オラ、ジュウベイの力無しにあそこまでできる自信なかんべ!」

 観客席でお菓子を口いっぱい頬張りながら、トドロキたちもその試合を見ている。

「おい、もの食いながらしゃべんじゃねえ、はしたねえぞ!」

「いいじゃない、子供なんだから」

「あんたはこいつを甘やかさないでやってくれねえか」

 と、メリッサをいなしながら、ベンケイは続ける。

「武器の力に呑まれちゃいけねえ、そいつぁサムライなら誰でも知ってることだが……ここまで武器の力にのまれねえことを体現している存在もなかなかねえもんだよ、裂空ドラゴン……さすがあの紫電の弟子なだけあるな」

 だが……。ベンケイは言う。

「あのムサシって奴は、何もんだ……?」

「今大会が初出場の選手よね、確か」

「ああ」

 

 彼らの会話は、そのまま奇しくも実況のボッコグーの言葉に続く。

 

『ヴァルキリアス・ムサシ……今大会初出場のルーキーながら、今まで予選全てを圧倒的実力で制してきた実力者! クロスギアの力無くしてすら、この様子とはおそれいるぜぇ!』

 しかし、だ。

 先程から響くムサシ賛美の実況を、快く思わない者も当然いる。

 自分とて最初から武器の力に頼らず正々堂々勝ち抜いてきたにもかかわらず……さっきからその存在を無視されているかのような想いすら味わう、もう一人の選手だ! 

「ふんっ! 何が、スーパールーキー!」

 その選手……《散舞特機サンマイダー》は声を上げた。

「貴様の快進撃もここまでだ、我が引導を渡してやる、ナンマイダ!」

「ふふっ、サンマイダー選手……君の戦いぶりも、本当に素晴らしかった。君と決勝を競えることを、光栄に思うよ!」

 そのヴァルキリアス・ムサシと呼ばれたドラゴンはサンマイダーの挑発も意に介さず、さわやかな態度で答えた。

「ぜひとも、いい試合にしよう!」

「調子づいても無駄だ、無敵の攻め三昧の前に無様に散り三昧となれ! ナンマイダ!」

 試合開始の鐘が響く。……と、同時に、バチ、バチとサンマイダーの周囲に青色のプラズマが発生する。それも一つではない、無数に。そしてサンマイダーが腕を動かすと同時に、プラズマの集団はムサシに向かって襲い掛かった。

「なんの!」

 ムサシは、クロスギアも使わずに素手でそのプラズマを打ち落としにかかる。サンマイダーはまたぞろプラズマを生成し、言葉の通りの攻め三昧だ。……しかし、そんな状況が何分も続くうち、状況が変わってくる。

 

『おっと、こいつは……長期戦は分が悪くなってきたぜぇ、ムサシ選手! なんにせよサンマイダー選手の体から発せられるプラズマには……「学習性」が備わってるぜぇ!」

 

 彼は水文明の科学力によって生まれたグレートメカオー。それが生み出すプラズマは、相手の能力を学習し、そのまま攻め方を変える。

 プラズマはムサシの動きを今や完全に学習し、彼の隙をつく方向へ向かっている。サンマイダーまで、攻撃は届かない。

「もう貴様はここでおしまいだ!」

 サンマイダーは勝ち誇ったように、くい、とまた腕を動かした。すると……プラズマが、今度は彼のもとに集まってくる。そしてバチ、バチと音を立てながらそれは3つの巨大なプラズマへと変化していった。

「ナンマイダ!」

 そしてサンマイダーが合図をすると同時にも、それらはムサシへと向かって襲い掛かっていく。「これは……」ムサシも、声を上げた。

「少々、まずそうだな。私の方も……全力で行くか」

 

 ムサシはすっと、腕を構える。まるでそこに、クロスギアがあるかのように。

 そして一回、二回と腕を振り下ろす。クロスギアで攻撃するかのように。そこに魔導具がなかろうとも、彼の体に染みついたその動作こそが、彼に力を与えるかのように。

 

 すると、その彼の体から、やにわに火のマナがあふれ出し……。

 

『おおーっと!? こいつは、すげえぜぇ!? ムサシ選手のクロスギア無くしての斬撃に合わせて……二体のマナの龍が、地面から姿を現したぜぇ!?』

 そう。ムサシが腕をふるうと同時に、マナのエネルギーを宿したムサシ以上に巨大なドラゴンが、その間に顕現した。

 周りの観客も、思わず息をのむ。二体の龍はそのまま、2つのプラズマを打ち消しに果敢に向かっていった。

 プラズマとマナのエネルギーが弾け、その場には多大な火花が飛び散る。「なんの!」サンマイダーはそれでも言う。

「わがプラズマ、1つは残っていることを忘れたか! この攻撃だけでも、食らえっ!」

「……お望みどおりに!」

 そして最後の1つのプラズマを……ムサシはあえて、真っ向から受けた。たちまちのうちにムサシの体に、青い衝撃波が飛び散る。

 

 どちらだ、どちらが勝つ……観客が、サンマイダーが息をのんでいるうちに、プラズマは次第に小さくなっていく。エネルギーをすべて使い果たしていくかのように。

 後に残った、ムサシは……。

 

「……なかなかの攻撃だったよ、サンマイダー!」

 ……それをまともに食らってなお、無事であった。

 

 二頭の龍がプラズマとともに消滅していくのに合わせて、ムサシはサンマイダーに特攻していく。しまった! サンマイダーに、もう体を護るプラズマはない。

「な。なんのっ!」それでもサンマイダーに、めげる様子はなかった。「貴様が我の攻撃を受けたのだ、我も貴様の攻撃を受けきって見せるっ!」

「そうだ、そう来なくては! これこそが、戦国武闘会だっ!」

 ムサシはその両の拳に、あのドラゴンたちにも匹敵しようかという火のマナをためて、サンマイダーに殴りかかった。

 一撃。そして、二撃の、炎の拳。バチ、とはじける音があった。プラズマの音ではない。

 

「ナ、ナンマイダ~」

 

 サンマイダーの機体が壊れる音だった。

『一位通過は、戦極竜ヴァルキリアス・ムサシ選手だぜぇ!』

 

 ボッコグーの実況が響く。ムサシはサンマイダーを「立ちたまえ」と抱き起した。

「君も、二位通過だ」

「スーパールーキーなだけのことはあるな。ヴァルキリアス・ムサシ……」サンマイダ―は電撃を飛び散らせながら悔しそうに言う。

「だが次戦うときは、こうはいかぬぞ!」

「勿論。私も、さらなる強さをもって、君に立ち向かっていくつもりだよ!」

『それにしてもすげーさわやかさと余裕だぜぇ、ムサシ選手! これぞサムライの華って奴かなぁ!』

「ふっ……有難う、実況君」

 

 ムサシが照れたように笑いながらその場を去ろうとしたとき、彼は「おや」と一人のドラゴンの存在に気付く。

「バルキリー・裂空・ドラゴンだったな。君も、見ていたのか。私の試合」

「ああ……噂のスーパールーキーの試合とあっちゃな。俺を負かしたサンマイダーまで破りやがって……てめえ、何もんだ? 妙な力まで持ちやがって……この武闘会で、何するつもりだ?」

「何物も何もないさ」ムサシは真っすぐな目線で告げる。

「ライバルたちと覇を競い……そして、私が頂点に立つ。それこそが、私の目指す『サムライ道』」

「生憎だが、そうはいかねえぞ」

 裂空は頂点、という言葉を聞いて、ぎろりとムサシを睨み付けた。

「頂点に立つのは、紫電さんだ」

「では」返す刀で、ムサシも言う。

 

「紫電すらも……この私が破ってみたい」

 

「……てめえとは、仲良くなれなさそうだな、ムサシ」

「そうかい? ……残念だ」

 去ってゆく裂空の背を見つめながら、ムサシはそうぼそりと呟いた。

 

 

 

「いやー、すげえ試合だったべ!」

 トドロキたちが興奮がちにエメラルド・コロシアムを出た時のことだった、ふいに、トドロキの懐が光りだす。

「あっ、トドロキ、それは……!」

 それは、武闘会の参加者証だった。

 次の予選の詳細が入るたび、こうして魔術で詳細が届くことになっている。トドロキは慌てて、懐から「それ」を取り出した。

 

『牛若剣士トドロキ選手。次の試合の詳細が決定いたしました。ライト級Cブロックの戦いは明日、ブルー・コロシアムにて行われます。なお、試合内容はタッグ戦となります』

「タッグ戦?」

「誰かと組んで戦うってことか?」

『パートナーの名前は……』

 

「あっ、見つけました!」

 その時、ふいに、無機質ながらもどこか無邪気さを感じさせるような、不思議な声がその場に響いた。

 そこに現れたのは、小型のエンジェル。コマンド。「あなた、牛若剣士トドロキでしょう!?」と、手をぶんぶん振っている。

 

「初めまして、僕は《天武の精霊ライトニング・キッド》……君の、明日のパートナーです!」

 

 

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