今回は入試完結から結果発表までです
主人公の家族が登場しますが今のところは設定はありません。
2人が戦闘を開始して2分ほどたった頃、息の合った連携によってあの大量の仮想敵はただの鉄くずへと成り果てていた。
「...ねえ、ほんと良かったの?仮にもウチらライバルでしょ?」
「大丈夫だ、俺だってここに来るまでちゃんとポイントは稼いできたからな。それに怪我で動けなくて試験に落ちたなんて浮かばれねえしな。」
この2分で2人は計60pt近い仮想敵を倒してきたが、実にその7割ほどが響香のPtとなっていた。
勿論丸越が攻撃しなかった訳では無い、むしろ全体のダメージ量的にいえば圧倒的に上だった。
実はこの実技試験は最終的にトドメをさした人間がPtを得られることを丸越は序盤の段階で気づいていたのだ。そのため既に70近いPtを有していた丸越は響香にトドメを譲っていたのである。
(心操の奴大丈夫か...?あいつはPt取れるか微妙なラインだからな...)
そんな丸越は別の会場にいる親友を気にしていた
心操の個性『洗脳』は対人では間違いなく最強クラスの個性ではあったがこの実技試験においては間違いなく相性最悪だった。何せ他人を洗脳して戦わせても洗脳された人にPtが入るのであればどうしようもなかった。
そうなると純粋な身体能力で戦うしかないが、心操の力もそこまで高いものでは無い。
「というか響香の個性は音系か」
「うん、このプラグで刺したものに爆音を流せるんだ。スピーカーとかだと音を放出することも出来るし、地面に刺すと探知もできるよ。」
そう言うと耳たぶから伸びるイヤホンのプラグのようなものを見せる。音という防御の難しい攻撃方法である上探知もできる辺り中々いい個性と言えるだろう。
「丸越は...異形型?」
「俺は発動と異形の複合型だな。一部分だけを変化させることも出来るからな」
合格までに余裕が出来たことで歩きながらお互いの事を語り合っていると...
ズシン!!
「今のは...!」
「大通りの方っぽい...行ってみよう!」
「ああ!」
2人が通りの方へ出るとそこには巨大な仮想敵がそこにいた。周りのビルと比較してもざっと40mは超えていると思われる。
「なに...あれ」
「すげぇな雄英、あのロボ幾らするんだろ」
「そこじゃないでしょ!?」
丸越の場違いすぎる疑問に反射的に突っ込む響香、しかしそんなことをしている間に仮想敵は2人に接近する。
「あんなの戦ってられっかよ!」
「逃げろ!潰されるぞ!」
「ウチらも早く逃げるよ!...丸越?」
逃げ惑う受験生と共に逃げようとする響香だったが逃げる素振りを見せない丸越に響香も足を止める。
「響香、先に逃げてろ」
「は?アンタは!?」
「ここで引いたら俺はヒーローを目指してる意味がねぇ」
「っ!」
ヒーローとはどんな相手にも弱者が自身の後ろにいる限り引き下がることは許されない。仮に今がその時だった場合、逃げれば後ろにいるほかの受験生も危険だろう。
「逃げ遅れてる奴もいるはずだ、庇いながらいけるかねぇ...」
「...丸越、アイツを足止めできる?」
「?ああ、ただ逃げ遅れたヤツらが...」
「逃げ遅れたやつはウチが救助する。ウチの個性なら探知も出来るからあのデカいのは頼んでいい?」
「...了解、任せとけ響香!」
その言葉と共に2人は巨大仮想敵に向かって行く。その姿はまるでヒーローのようだったという。
「ほーら、鬼さんコチラ♪手の鳴る方へ♪」
巨大敵の周りを飛び回る丸越、当然棒立ちのままではなく丸越を捕まえようとするが機動力が段違いであるためまったく捕まる気配がない。
「大丈夫!?」
「す、すまん...なんと礼を言えばいいか...」
対する響香も瓦礫で頭に怪我をした受験生に肩を貸して、早めの避難ができるようサポートしている。
そんな2人の活躍もあり、逃げ遅れた受験生達は難なく逃げることが出来た。
「これで最後かな...丸越!全員退避終わったよ!」
「よし、そんじゃ最後にアイツぶっ壊してくる!」
「え、ちょ!?」
『試験時間残り1分!』
響香が止める前に丸越は飛び出し、巨大敵に向かって飛行し接近しようとする。それを握り潰そうと巨大敵は手を近づけが
ズカン!
「そんな鈍っちい手に捕まるかよ!」
それを丸越は蹴りで対抗する。
蹴り飛ばされたロボットの右手は文字通り粉砕された。
そして丸越はロボットの上空に飛び上がる。
「そんじゃあ、折角だから
そう言うと不死鳥化させた足が虹色に光り出す。
そしてロボットに高速で接近して...
「鳳凰印!!」
ズガァン!!
丸越放った渾身の蹴りはロボットの胸部に直撃しロボットの体には半径数メートルほどの風穴が空いておりその巨体はそのまま崩れ落ちていった。
「嘘でしょ...ホントに倒しちゃった...」
『終了~!!』
唖然とする受験生を尻目にロボットの崩れる音とともに会場に響いた試験終了を知らせるアナウンスによって雄英実技試験は幕を閉じた。
「丸越、まだ来てないの?」
「まだだろ...なんで俺より母さんの方が緊張してるんだよ。」
雄英実技試験から1週間がたったこの日
合格通知の封筒が届く日でもあり、本来であれば受験生達にとって文字通り運命が決まるため緊張くらいする筈だが丸越は驚くほど落ち着いていた。
「ちょっと郵便ポスト見てくるわ」
「少し落ち着きなってもう居ないし...」
むしろ母親の方が緊張している。
この丸越の余裕っぷりは本人の手応えにあった。
丸越自身、実技での合格はほぼ確信していた。そうなると筆記のマークミスくらいしかないが、その点においても既に確認済みであり自己採点も9割ほどあっていたため余程のことがない限り丸越が落ちる道理はなかった。
「丸越!合否通知の封筒来たわよ!」
「わかった、早速見てみるか」
ペーパーナイフで思ったよりも分厚い封筒の封を開けて中を見てみると三つ折りの書類がいくつかと小さな円盤型の機械のようなものが入っていた。
「何だこれ?ブラックキャップ?」
「もしかして...投影機かしら?」
試しに机の上に投影機と思しき端末を置いてみると
『私が投影された!!! 』
「...アレ、もしかして上下逆?」
「えぇ...というか今の声、もしかしてオールマイト?」
上下を逆にしてしまった結果音量が小さくなり、ややシュールな状況になってしまった。まさか投影されたオールマイトもこんなことになるとは思わなかっただろう。
『ハハハハ、きっと驚いているだろうね。
実はね、私は今年から他でもない雄英高校の教師を務めることになったんだ!!このビデオもOBの特別出演じゃなくて、教師としてのこのビデオに出ているわけなんだ!!』
「マジか、オールマイトが教師って」
「凄い...けどちゃんと教師できるのかしら?」
No. 1ヒーローがあの雄英の教師になるのは本当に凄い事だ。ただ、この事が公表されてないのは十中八九マスコミ対策だろう。
『まずは筆記試験からだ!
筆記試験は文句なしの成績だ!それどころか筆記試験を首席で通過する好成績!凄いじゃないか!試しに解いた私でも少し難しいと思う問題もあったというのに!そして次は実技試験だ!』
「!」
筆記の主席と言われていたが丸越にとっては実技試験の結果の方が気になったていた。
『実技試験の成績だが、敵Ptが92Pt!!
こちらも素晴らしい成績だ!文句なしの主席合格さ!』
「よし!」
「凄いじゃない丸越!」
合格に関しては確信していたが実技の首席は丸越でも気になるものだった。ある一種、自身のレベルも測れるその結果には筆記以上の喜びがあった。
『さてこれだけでも君は合格、しかもぶっちぎりの主席合格。だが我々が見ていたのは敵Pのみにあらず!どんな状況であろうと救けることがヒーローには必要な心構えだ!偽善?綺麗事?大いに結構!!命を賭して綺麗事実践するのがヒーローのお仕事なんだからさ!!』
「これってもしかして更に点が上がったり...?」
ために溜めまくるオールマイトに思わず固唾を飲む丸越達
『審査制の
君の救助Ptは...57Pt!!我々はちゃんと見てたぜ!本来はライバルでもある他の受験者を救け、怪我人の応急処置を行い、即席のチームアップでの協力撃破。そして圧倒的脅威である0Pから多くの受験生を護ってみせた!!カッコよかったぞ!!見ていた私も感動しちゃったよ!!』
「ホントウチの子かっこいい!天才!」
「ちょ、母さん!」
母親だけでなくオールマイトからも褒められまくり、危うく褒め殺されそうになる丸越だが満更ではないようだ。
『そして、敵Pと合わせてトータル149Pt!!
最初から最後まで他の追随を許さない怒涛の快進撃!!素晴らしかったぜ!もう一度言わせてもらう!君は合格さ!それも、ぶっちぎりの主席合格だ!』
そう言うと投影されたオールマイトは腕をこちらに向けて伸ばし、最後に言った。
『来いよ丸越少年!
その言葉を最後にホログラムは消えオールマイトの映像が終わり、丸越の部屋は静まり返っていた。
「はあー、良かった...受かってた。」
「本当によく頑張ったわね...」
安堵からか丸越の体から力が抜け落ち、とても疲れた顔をしていた。手応えで合格していることがわかっていてもやはり多少は不安があったのか今までにないほどの疲れを感じていた。
「さて、今晩は丸越の合格祝いにご馳走作んないとねー、そうと決まれば買い物行ってくるわ。」
「ああ、いってらっしゃい」
母親が買い物に行き、部屋に丸越1人だけの時間が流れる。ふとスマホを手に取った時、自身の親友はどうだったのか気になり電話で合否を確認しようとする。
『...もしもし?』
「心操、丸越だ。...なあ、お前合否どうだった?」
『丸越は?』
「俺は余裕の首席合格だな。」
『ホントか?!...やっぱお前は凄いな』
「...お前はどうだった?」
『悪い、俺落ちちまった』
「...そうか」
会話でのテンションの低さに何となく予想ができていた。それでも丸越は頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われた。
『...丸越、知ってるか?』
「...?」
『体育祭とかの行事の結果によっては普通科からでもヒーロー科への編入も充分にあるらしい。』
「...!心操お前...」
『まだ出鼻をくじかれただけだ。俺は諦める気はサラサラねえ!ふんぞり返って油断して俺以外に足元掬われるなよ?』
「まさか、俺の足元掬えるのはお前くらいだろ!」
ヒーロー科に落ちたという過酷な現実に対して諦めずに成り上がるという心操の宣言に安堵にも近い感情になり、心操らしいと感じるのだった。
「じゃ、受験の打ち上げにどっか遊びに行こうぜ。」
『なら━━━』
二人の間には先程のまでのギスギスとした空気はなく、ただの親友同士として2人は時間を忘れて会話に耽った。
因みに俺の足掬える発言ですがあながち間違えじゃなかったりします。実は現役の雄英生の中では実は一番相性がよかったりする。丸越は搦手タイプの個性とは相性がいちばん悪い。因みに次点でイレイザーヘッドとも相性が悪かったりする。