不死鳥のヒーローアカデミア   作:ゴマだれ

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今回は個性把握テスト前までです
テスト本編は次回になります、ゴメンね。




いとも容易く行われるえげつない行為

 

「丸越、忘れ物ない?」

 

「大丈夫だって、昨日あんだけチェックしたでしょ。」

 

4月それは多くの人間にとっての出会いの季節でもあり、まだ慣れない新しい環境に身を投じることも少なくない。丸越にとっても例外ではなく雄英高校での生活に内心わくわくしていた。

 

「そんじゃ行ってくる。」

 

「丸越!」

 

「今度はなに?」

 

「今のアナタ、すごくカッコイイわよ!」

 

「…!おう!」

 

家を出て、入試の時と同じ駅に向かう。

丸越の家から雄英まではさほど距離はなく乗り換え無しの電車通学という事もあり、もれなく通勤通学ラッシュの参加者になった。

 

「悪い待たせた。」

 

「気にすんな、俺も今来たところだ。」

 

駅の前で事前に約束していた心操と合流し共に電車に乗る。例えライバル宣言をされてもそんな事で気まずくなるような脆い関係ではないので学科やクラスが違っても遊ぶこともあるだろう。

 

「というか今まで普通に流してたけどお前一応首席なんだよな…?」

 

「一応は余計だがそうだな」

「…実技試験で何Ptとったんだ?」

 

「総合で149Ptだな」

 

「それはまぁ…首席だろうな。もしさらに上がいたらヒーロー科諦めてたかも…」

 

「それはないだろ」

 

あの時触れずらかった入試の話をしているといつの間にか2人は校門の前まで来ていた。

 

「相変わらずデカい校舎だな。」

 

「こんだけデカいと敷地内で迷子になるかもな。」

 

常識外れな大きさを持つ雄英の敷地に未だにない2人がそんなやり取りをしていると。

 

「あれ、丸越じゃん。」

「響香か、お前も受かったのか」

 

「知り合いか?」

 

「実技試験の時にちょっとな…響香、紹介する。俺の親友の心操だ。」

 

「よろしく」

 

「宜しく、ウチは耳郎響香。」

 

お互いに簡単な自己紹介を済ませて一緒に教室に向かう。

 

「そう言えば二人とも何組?因みに俺はA組」

 

「あ、ウチもA組。」

 

「俺はそもそも学科が違うからかC組だな」

 

「え、心操はヒーロー科じゃないの?」

 

「あー、落ちちゃってな。」

 

「ご、ゴメン!そんなつもりは…」

 

無意識に心操の地雷を踏み抜いてしまったと即座に弁明しようとする響香だったが当の心操はまったく気にしてないような顔である。

 

「大丈夫だ、入試には落ちたがコイツは直ぐに編入してくるさ。そうだろ?」

 

「当たり前だ、もしかしたら二学期にはクラスメートになってるかもな。」

 

「そっか…」

 

「っと俺はこっちだな、それじゃまた授業後な。」

 

「おう」

 

手を振りながら二人と別れる心操。

3人で同じ教室に入る日もそう遠くはないのかもしれない。

 

「お、あれがA組の教室か」

 

「みたいだね。ん?あの子は…」

 

教室の近くまでやってきた2人だったが見知った姿が扉の前にいた。

 

「お前も合格してたんだな」

 

「え!?あ、えっと…」

 

「わるいな、一方的に知ってたから声掛けたんだ。

お前たしか実技の説明会の時にメガネの真面目そうなやつに虐められてたやつだろ」

 

「言い方…」

 

いじめられてたという第三者たちからすればあながち間違ってない事実に苦笑いしながら突っ込む響香。

 

「幻妖丸越だ、よろしくな。」

 

「ウチは耳郎響香」

 

「緑谷出久です!」

 

「おおぅ…なんか気合い入ってるな。」

 

中学校の頃から無個性というレッテル故に友達と呼べる存在もいなかった緑谷は咄嗟に力の入った返答をしてしまった。

 

「というか緑谷は何で教室の前で立ってたんだ?」

 

「ちょっと緊張しちゃって…」

 

「あー、ウチその気持ち分かる。」

 

「それじゃ、俺が開けてやるよ。オープン!」

扉を開けた先にはこの先苦楽を共にするであろうクラスメートが…

 

「君!机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねぇよ!テメェどこ中だよ、端役(モブ)が!」

 

「…なあ響香、ここA組の教室だよな?」

 

「私の目が可笑しくなければその筈だけど…」

 

「かっちゃん…」

 

机に足をけながらガンを飛ばしまくってるザ・不良の金髪少年とそれを注意する生真面目そうなメガネの少年というヒーローを志す者がいる教室とは到底思えない光景に困惑する丸越と響香、そして相も変わらず誰かに噛み付く幼馴染にため息をつく緑谷。

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

 

「聡明だぁ〜〜〜〜〜!?くそエリートじゃねえかブッ殺し甲斐がありそうだなぁ!」

 

「ブッコロシガイ!?君ひどいな!?本当にヒーロー志望か!?」

 

一人称がいまいち定まってないメガネもとい飯田は不良のぶっ殺す発言にドン引きしている。勿論丸越と響香もドン引きである。

 

「!あれは…!」

 

飯田がこちらに気づいたらしく3人の元に駆け寄る。

 

「そこの緑髪の君!君はあの受験のシステムに気づいていたのか!?」

 

「あ…ええと…」

 

「まずは自己紹介くらいしろよ、緑谷フリーズしてんじゃん」

 

突然の質問に返答を戸惑いフリーズする緑谷に丸越が助け舟を出す。

 

「す、すまない。ボ…俺は飯田天哉だ。緑谷くん、入試の件では済まなかった。合格したい一心で周りが見えていなかった 」

 

「僕は緑谷出久、僕も周りのこと考えずにブツブツとごめんね。」

 

自己紹介と実技試験のことを詫びながら話す2人。

そんな2人に丸越達は邪魔しないようにそっと教室に入る。

 

「そう言えば入試何位だったの?結構上位の方だったでしょ。」

 

「ああ、主席だった。」

 

「マジか…いや、あんだけやってたらそうなるわな。」

 

隣同士で席の近い2人が入試の順位の事について話していると

 

「友達ごっこがしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」

 

廊下から誰かの声が聞こえ、教室の出入口にいた3人が席に戻る。すると黄色い寝袋に身を包んだお世辞にも清潔とは言えない容姿の男が入ってきた。

 

「ハイ、静かになるまで12秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」

寝袋を脱ぎながら男は話し続ける。

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね」

 

((((担任!?))))

 

明らかに不審者の類にしか見えない男の担任宣言に教室にいた全員の心の声が重なる。

 

「早速だがこれ着てグラウンドに出ろ」

 

そう言い相澤は寝袋の中から雄英の体操服を取り出す。

 

「更衣室で着替えて十五分後に集合。更衣室は近くにある。くれぐれも遅れるなよ?」

 

質問する暇さえ与えず相澤は足早に教室を去っていた。すこしの間を空けて丸越が動き出す。

 

「よし、取り敢えず皆言う通りに着替えよう。ああいう人は時間とかに厳しいだろうから早めに動いた方がいいぞ。」

丸越の声に反応したのか続々と全員これから何が起こるのか想像しながら更衣室に移動していった。

 

 

 

 

 

 

「「「個性把握テスト!?」」」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」

 

全員が着替えてグラウンドに集合すると相澤の口から『個性把握テスト』なるものを実施すると言われた。当然、入学式をやると思っていた生徒達は大いに驚いた。自由な校風が売り文句、先生側もまた然りと言う事らしい。それにしても自由すぎる気もするが。

それにより、これから相澤は全8種目、中学の頃にやっていた個性禁止の体力テストを、今度は個性有りで行うことになった。

 

「実技試験の1位はたしか幻妖だったな、お前中学の時のソフトボール投げの記録いくつだ?」

 

「82メートルです」

 

実技試験の1位という言葉にほぼ全ての生徒の視線が丸越に集中する。中にはガンを飛ばす者もいるが。

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ、円から出なきゃ何してもいい。」

 

「それじゃあ…!」

 

円の中に入った丸越は個性を発動、体から蒼い炎を纏わせ足を不死鳥化させる。

 

「すげぇ!発火の個性か?」

 

「いや…でもあの足…」

 

「鳥!?」

 

丸越の個性に興味を示す生徒を尻目にボール手に持ち、垂直に投げる。そして構えをとり...

 

鶴爪(オングル)

 

ドゴォ!

 

落下するボールに蹴りを叩き込む。

蹴りによって強風が発生し、周囲の砂を巻き上げる。

それをモロに受けたボールは徐々に見えなくなっていき、空の彼方に飛んで行った。

 

「まずは最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段だ。」

 

そう言うと相澤は手元の端末を全員に見せる。そこには『4703.2m』という数字が出されていた。

 

「なんだこれ!すげー面白そう!」

 

「4km越えってマジかよ!」

 

「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!」

 

丸越の出した記録に様々な反応をするクラスメート。何をするのか不安だったが面白そうだと口をこぼす、だがその言葉は容易に相澤の地雷を踏み抜いた。

 

「…面白そう、か。君達はヒーローになる為の3年間をそんな腹積もりで過ごす気なのかい?」

 

不穏な空気を放つ自身の担任に何人かの生徒は思わず自分の言葉を呪った、そして相澤の口から残酷な宣告を言い渡された。

 

「よし。トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としようか」

 

「「「「えええええ!!?」」」」

 

ニヒルと笑うその顔は今の生徒達からすればもはや悪魔のようなものだろう。

 

「最下位除籍って…!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても…理不尽すぎます!」

 

あまりの理不尽な宣告に生徒の1人である麗日が講義の声を上げるが

 

「生徒の如何は教師の自由。これが、雄英高校ヒーロー科だ。自然災害、大事故、身勝手な敵達…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーローだ。放課後マックで談笑したかったのならお生憎。これから3年間、雄英は全力で君達に苦難を与え続けるぞ」

 

自分たちがヒーローを目指すからこそ、その道は生半可なものではなく先生達はあらゆる試練を与えて生徒達を磨き上げていくつもりなのだ。

 

「『PLUS ULTRA』さ。全力で乗り越えてこい、こっからが本番だぞ」

 

その言葉にあとには引けないと確信し、腹を括る生徒達。今日この中で一体誰が除籍されるのか。

 





朝起きたらお気に入り登録者が200人突破しててマジでヒビった。うせやろ…?
本当にありがとうございます!
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