今回は屋内戦闘訓練開始前までです。
何か書く度に文章量が増えていってるような…
個性把握テストの翌日、丸越は朝早くからよく自主練によく使っている公園に来ていた。ただそこに居たのは丸越1人だけではない、心操も来ていた。
「ッそこ!」
「やる…なぁ!」
心操の殴りに合わせて蹴りを繰り出す。心操もそれを読んでおり殴った腕とは逆の腕で防御をとる。
ドカッ!
「ウグッ!」
それでも充分な威力を持った蹴りを完全には防御できず、心操の体は浮き上がり後ろに押される。しかし、すぐに受身を取り最短で体勢を戻す。
「うん、受け身も防御も上手くなった。最初と比べたらマジで見違えるほどに戦えるようになったな。」
「…でもいいのか?こういうのって体作りからやるもんだと思ってたんだが…」
心操は雄英の入試に落ちてから丸越に特訓に参加させて欲しいと頼み込んでいた。丸越もそれに二つ返事でOKを出し、それだけでなく雄英体育祭に向けた『心操専用メニュー』を考案しヒーロー科への編入を目指していた。
「体育祭まで時間がそんなにない以上肉体作りに専念するよりこうやって組手を繰り返しやり続けて戦い方を体に馴染ませた方がお前の場合伸びるんだよ。」
「…確かに前より戦闘時間も伸びてるな。」
実際、心操の戦闘スタイルも大きく変わっており戦いの中での駆け引きや勝負勘は特訓開始時より格段に研ぎ澄まされておりここ数日間の跳ね上がりは特に大きい。
「ま、もちろん体作りは継続が基本…てな訳でこれプレゼントね。」
そう言うと丸越は心操に2つの腕輪を渡す。
「何だこれ?トレーニンググッズか?」
「俺考案の特製ブレスレットだ。着用者にとって重過ぎず、かといっても軽くもない良い感じの負荷を自動で調節してくれる優れものだ。」
「いいのか?これ…」
「構わねえよ、元は俺のおさがりだからな。」
「…そう言えばお前の父親って確かヒーローのコスチュームとかサポートアイテムのデザイナー兼エンジニアだったな」
「つまりはそういう事だ」
実は丸越の父親はヒーローを支えるエンジニアであり、その界隈ではそこそこ有名でもある。事実、イレイザーヘッドの捕縛武器を考案し開発を行ったりと中にはビルドボードランキングtop10入りするヒーローもお世話になっていたりする。
「それじゃ後は朝の特訓はここでお開き、あとは自主トレという事で」
「おう、それじゃ早速これを使って…っと!?…結構重いな」
「そんだけ心操が強くなったってことだろ」
「そう言えば昨日入学式の時どこに行ってたんだ?」
「あー…除籍の危機と戦ってた」
「除籍!?お前が!?」
「まぁ、色々あったんだよ」
「お、おう」
そんな丸越の疲れたような顔を見て、心操はそれ以上追求するのをやめた。その後筋トレをやり、二人とも学校もあるので解散し家に帰った。
一度家に帰り雄英に行く準備を整えた後、登校する。
今日から一般授業が始まるがいくらヒーローを目指す学科と言えど学問を疎かにする訳では無い。
「それじゃ、次の英文のうち間違ってるのはどいつだ?」
((((普通だ…))))
昨日の個性把握テストの後では普通の授業に拍子抜けしてしまう。ただ名門校の頂点にある雄英の授業スピードは早く、一部の生徒は焦った顔をしながらノートを取っていた。
「おらエヴィバディヘンズアップ!盛り上がれ!」
プレゼント・マイクは黒板の前でチョークを持ちながら皆のテンションを上げようとするが割と余裕がなく、反応はほとんどなかった。なお、丸越はその頭の良さゆえに切島や上鳴といった勉強できない組に頼られるのはまた別の話。
午前の一般科目の授業が終わり、昼休みの時間となった。雄英高校には大食堂があり、クックヒーロー『ランチラッシュ』が勤めている。丸越も今日は弁当ではなく食堂で食べていた。
「超うめぇ…」
「しかも安いから学生の懐にも優しいしありがたいね。」
「違いねえ」
ラーメンを啜りながら響香、切島とランチラッシュの定食を食べる丸越。母親の料理もおいしいがそれ以外でここまで美味しい料理は久々だった。
「なんつーか、午前が普通だったから午後の授業が何か不安だな…」
「昨日の今日だからね…」
「『ヒーロー基礎学』だっけか?常に除籍の危機がある俺からしたらおちおちしていられないな。」
昨日の相澤の除籍発言もあってか3人とも警戒しており、楽しみよりも不安の方が大きく勝っていた。
「そういや、丸越の個性って何なんだ?味方の回復が出来る鳥とか聞いたことねえぞ?」
「それウチも気になってた、どういう個性?」
「あー…俺の個性は『不死鳥』って言うんだが詳しくはみんなの前で説明するわ、二度手間だからな。」
「「不死鳥!?」」
丸越の個性名に驚く2人、仮に2人の認識としての不死鳥だったら無敵だが丸越の個性は無敵ではないし絶対的な不死という訳では無い。
「いや、余計気になったわ!」
「めっちゃかっこいいじゃねぇか!」
「まぁ、広範囲攻撃とかあんまないから1対多なら多分俺より強いやつとかいるけどな。」
「いや、それ考えて絞り出した末の弱点だろ!?」
「そもそも弱点なの…?」
しかし、回復、パワー、機動力などは昨日のテストですべて高水準なのは2人も把握済みである為、弱点らしい弱点がないという超万能型の丸越につっこむ。現状クラス全員で競い合った場合、丸越がトップ層に食い込むことは二人とも確信していた。
「あと、ずっと言おうか迷ってたんだけどさ…」
「ああ、俺も気になってたんだが…」
「どうした?」
「「お前(アンタ)食いすぎだろ(でしょ)!」」
「そんな事ないだろ」
因みに丸越の昼食のトレーには豚骨醤油ラーメン(特盛)と炒飯(大盛り)、餃子(30個)が乗っていたが既に完食済みである。
昼休みを挟んで午後、不安と期待が混ざり合ったヒーロー基礎学の授業が始まる。その担当は
「わーたーしーがぁ!普通にドアから来たぁ!」
特徴的な白いラインとマントのコスチュームに身を包んだオールマイトが教室の扉から入ってくる。
「オールマイトだ…!すげぇ、本当に先生やってるんだな…!」
「銀時代のコスチュームだ……!」
「画風違いすぎて鳥肌が……」
オールマイトの授業にクラス全員が興奮を抑えきれておらず、この空気が冷めないうちに授業の説明をしていく。
「さぁ皆!この授業で行うのはヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作るため、さまざまな訓練を行う科目だ!…あっ、単位数は最も多いから気をつけてね!」
話を終えるとオールマイトはポーズを取りながら『BATTLE』と書かれた白いカードを掲げる。
「早速だが今日はコレだ!戦闘訓練!」
「「「「!!」」」」
戦闘訓練という響きに三者三様、様々な反応を浮かべる。緊張で表情をこわばらせる者もいれば獰猛な笑みを浮かべる者もいる。
「そして、そいつに伴って………こちら!入学前に送ってもらった『個性届」』と『要望』に沿ってあつらえた……
そう言うと手に持ったリモコンのボタンを押す。すると窓側の壁が動きだし、コスチュームがある番号が書かれたケースが置かれている棚が複数現れた。ヒーローにおいてコスチュームは自身のトレードマークの一つであると同時に己の力を最大限に引き出すためのものでもあり、極めて重要な部分である。
そして戦闘訓練が始まると言うことはすなわち敵に対する対処法を学んでいかなければいけないと言うこと。訓練を訓練と思っていては出来ないことで、訓練であっても実戦と変わりはないことを意識した上であらゆる全てを糧にして強くなるのだと丸越は気を引き締め直したのだ。
「さあ、着替えたらグラウンド・βに集まるんだ‼︎」
「「「「はーい!」」」」
オールマイトの指示の下全員コスチュームの入ったケースを手に更衣室に向かった。
「ちゃんと要望通り、いい感じに決まってるな」
丸越は自身のコスチュームを見に纏い更衣室に備え付けの鏡の前に立ち、自身の姿を見る。紫のシャツに水色の腰巻き、黒のズボンにサンダル、腰にはポーチも着いていた。もちろんただの服ではなく防刃防火仕様。その上丸越の体毛が生地に編み込まれてあり不死鳥化させていない箇所を攻撃されても服に損傷はなく、肉体と同様再生させることができる。
「中々似合っているな幻妖」
「常闇もかっこいいぞ」
互いにコスチュームを褒め合う常闇と丸越。常闇のコスチュームは黒いマントというシンプルな服装ながら見た目と噛み合っており雰囲気があった。
「すげぇな、丸越の戦闘服オシャレだな!」
「戦闘中とかは服より俺の個性の方が目立つから折角だしオシャレしてみた、これなら一般人に紛れて尾行とかできるからな。」
「よし、着替えた者からグラウンドに行こう!」
ロボットみたいなコスチュームを着た飯田が委員長ムーブをかましながらその声に皆移動していく。グラウンドの入口には既に何人か着替え終えており、まだ着替えている他のみんなを待っていた。
「丸越かっこいいじゃん」
「響香もな…足とか腕についてるのはスピーカーか?」
「うん、実技試験の時も言ったけどこのアンプを刺して爆音を流せるからね」
「音か…防御とか難しいから厄介な攻撃手段だな」
「というか丸越、肌着は?」
「一応あるにはあるが、基本なしだな。」
「…めっちゃ鍛えてるね」
「当たり前だ、身体能力は強さを分ける重要な所だからな」
丸越の上半身は紫色のシャツに包まれているがボタンは閉められておらず、鍛えられた腹筋などが見えている。
「私も鍛えた方がいいかな…」
「いや、葉隠の場合は基本隠密からの不意打ちだからそこまで重要ではないんじゃないか?」
もちろん鍛えるに越したことはないが葉隠に正面戦闘の技術はほとんど要らないだろう。
「というか葉隠のコスチュームは光学迷彩タイプの奴か?」
「ううん、手袋とブーツ以外は何も着てないよ?」
「「「「え?」」」」
その場の空気が凍りつく。それもそのはず、今の葉隠は素っ裸であり女子としてはありえない格好をしていることになる。
「普通に個性に同調させるタイプで良かったんじゃ…」
「…あ」
「気づいてなかったのかよ!…取り敢えず、この訓練終わったら作り直してもらえ。毛髪とかから作れるから。」
「う、うん…」
幸いな事にこの一連の会話を聞いていた男子は飯田と轟、爆豪、切島、常闇であり、下世話をするような男子はいなかった。もし峰田や上鳴がいたらあらぬ事を想像していたことだろう。
「八百万、お前もだぞ?」
「え?私のコスチュームは個性の関係上このような仕様になっておりますわ。」
「…せめて戦闘中以外は羽織るものとかあった方がいいぞ」
「いいじゃないか!皆カッコイイぜ!」
集まった全員のコスチュームを見てオールマイトが白い歯を見せながらそう言う。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」
「いいや、もう二歩先に踏み込む!…‥今日やるのは、屋内での対人戦闘訓練さ!」
飯田の問に対してオールマイトが答える、オールマイト曰く敵退治は屋外でも見られるがちだが、全体で言えば屋内の方が割合が高いようだ。
「そこで!君らにはこれから『敵組』と『ヒーロー組』に分かれての2対2の屋内戦を行なってもらう!」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知る為の実践さ!ただし、今度はぶっ壊せばOKなロボじゃないのがミソだぜ!」
今の現状を知る事が今日の要であり、言わばスタートラインの確認でもある。
「勝敗のシステムはどうなりますか?」
「ぶっ飛ばしてもいいんすか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」
「このマントやばくない?」
「ンンン~聖徳太子ィ!」
怒涛の質問(一部マトモじゃない)責めにオールマイトも頭を抱える始末である。流石に聞き分けの力は聖徳太子に劣るようだ。
「いいかい!状況設定は敵がアジトに『核兵器』を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている!ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか『核兵器』を回収すること。敵は制限時間まで『核兵器』を守るかヒーローを捕まえることだ!」
(カンペ見えてるよ…)
カンペを見ながらやけにアメリカンな設定を説明していく、要は核兵器の争奪戦という意外にもシンプルな内容である。
「コンビ及び対戦相手はくじで決める!」
「まさか適当なのですか!?」
「プロは他事務所のヒーローと急造のチームアップすることが多いし、そう言うことを予想してのことなんじゃないかな…?」
「そうか…!先を見据えた計らい…失礼致しました!」
真面目すぎる飯田の質問に緑谷がフォローを入れる
「ですが、2人1組となると1人余るのでは…?」
「それに関してなんだが…幻妖少年!すまないが1人のチームを頼んでいいか?」
「ええ、構いませんけど…対戦相手は?」
「対戦前に彼とやりたい人から二人選ばせてもらう!…ただ、幻妖少年は敵チームという事になるけどな!」
つまるところ、対戦相手は完全ランダム。だが相手の個性がある程度分かっているハンデでやるという事である。
「それじゃ、チームを分けていこう!」
Aチーム:緑谷 麗日
Bチーム:轟 障子
Cチーム:八百万 峰田
Dチーム:爆豪 飯田
Eチーム:芦戸 青山
Fチーム:砂藤 口田
Gチーム:耳郎 上鳴
Hチーム:蛙吹 常闇
Iチーム:尾白 葉隠
Jチーム:切島 瀬呂
チーム分けはこうなり、特段強いメンバーが固るような事はなかった。
「続いて最初の対戦相手はコイツらだ!Aチームがヒーロー!Dチームが敵だ!」
AチームとDチームといえば爆豪と緑谷であった。昨日あったばかりの丸越にも二人の関係性が良くないことは容易に察せた、故に少し荒れる試合になるとも思っていた。自己犠牲の精神が高い緑谷とプライドの高い爆豪、この2人の組み合わせに少し不安を感じながらも丸越は他のクラスメイトと共にモニタールームに向かった。
心操君の強化は主にフィジカル系を中心に行っていきます。多分、原作だとワンチャン体育祭で緑谷に勝てるくらいにはなるかと…
お気に入り登録が900超えてて超ビビった…アリガトウ。
UAも20000超えてるし、評価も高くてホントに感謝してもし足りないくらいです…圧倒的感謝!!