その数週間後、学園都市のあちこちで謎の爆発が頻発した。
「ちょっと、ちょっと!」とアンチスキルが勝手に立入禁止のテープをくぐり、現場で
ある焼け焦げたコンビニに入ろうとした侵入者―九条貴利矢と佐天涙子を止めた。
「監察医の九条貴利矢だ」と医者免許を提示する貴利矢「黄泉川さんに許可はもらって
いる。悪いが、色々と調べさせてもらうぜ」
「それなら構いませんが・・・後ろの子は?」
「あぁ、俺の助手みたいなものだ。医者志望でね――構わないだろう?」
「はい」
「どーも」
「グラビトン?」と涙子「なんですか、それ?」
「連続虚空爆破事件。今、この街で頻繁に起こっている事件の総称だ」と貴利矢「詳しい
事は、不明だが、俺は、
「アルミとかを基点に重力子を加速させるとかいう、あれですね」
「そのとおり」
現場に入ると、そこにはあたり一面に肉片が飛び散っていた。
「うわぁ、えっぐいなー」
「すっかり、死体も見慣れたな、涙子チャン」
「こんなの、日常茶飯事ですよ。暗部ですから」
「1年ちょっとで慣れるもんかね~。俺なんか、見習いの時はいつも吐いていたぜ」
そういって、手に持っていたファイルと睨めっこする。
「被害者は
そうだ」
「・・・庇った、ねぇ」
「?」
そのとき。
「佐天さん!?」
聞きなれた声に振り向くと、そこには白井が少し疲れた様子でこちらを見ていた。
「げ」
「げ、とはなんですの!!」
「し、白井さん、ごぎげんよう・・・白井さんって、この学区の担当でしたっけ?」
「この近くの支部から応援要請がありましたの・・・で?連絡もしないで、どこに
いたんですか?初春心配していましたわよ?」
「じゃあ、もう心配しなくて良いって言っていてください貴利矢さんいきましょう」
「え、お、おい!引っ張るなよ!!まだ観察したいことが」
逃げようと試みるも――失敗。瞬間移動で阻まれた。
「逃がすとでも?」
「(ちぇッ、面倒くさい能力だな・・・性格も良いとは言えんな、こりゃあ)」
「な・に・か?」
「いえ・・・」
「ところで――そちらの殿方は?観察がどうとか言っていましたが?」
「監察医の九条貴利矢だ。涙子ちゃんは、俺の仕事をてつだってもらっているんだ。
はじめまして、ええと」
「白井黒子。その子とは――友達の友達といった感じですわ」
「そうか」
「ところで、もし宜しければ、あなたの観察の見解というのをお聞かせ願いたいのですが」
「あぁ、俺の考えとしては」
そのとき、入り口からすすり泣く声が聞こえた。声のするほうにいたのは一人の女子高生で
あった。隣には、アンチスキルらしき人が慰めている。
「彼女は?」
「無くなったジャッジメントに庇ってもらった同僚らしいですわ」
「そうか――って、涙子チャン!?」
驚く貴利矢たちを他所に涙子は――
「ねぇ――何で来たの?」
「!」驚いたような顔を見せる少女
「答えて。あなたは何のためにここに来たの?」
「なんでって、ここに来るのに理由がないといけないの?」
「だって、買い物が出来る状況じゃないよ、ここ?冷やかしに来たのなら帰った方が良いよ」
「なッ!?」
「ちょっと、佐天さん、あなた何を言っていますの!?」
驚いた顔をしていた少女は、その顔を憤怒の表情に変え、睨み付けた。
「仲間が死んだのよ!それも私のせいで!!なら」
「懺悔に来たとか?言っとくけど、ここにあるのはただの肉片だよ?」
「ッ」
「ちょっと、あなた、言っていいことと悪いことが」
「正義面しないでください。あなたたちアンチスキルがもっと、しっかりしていれば、
こんなことにはなっていないんじゃないですか?」
「な!?」
「・・・悲しいと感じるのは、人として正しい感情です」とジャッジメントに視線を
戻す涙子「でも、あなたがするべきことは、こんなところで油を売ることじゃない。悲劇のヒロインを演じて泣くことじゃない――前に進むことです」
「!!」
「彼女は死にました、あなたのせいで。それは覆ることのない事実。あなたの力が
及ばなかっただけの話です。だったら、こんなとこでメソメソ泣いている場合?」
「・・・すみません、私、事務所に戻ります!!」
涙子に頭をさげ、ジャッジメントの少女は走って言った。
「すみません」とアンチスキルに頭をさげる涙子「言い過ぎました」
「い、いえ」
涙子はふぅと息を吐いて、貴利矢のところに戻った。
「監察は終わりましたか、貴利矢さん?」
「あ・・・あぁ、大体は」
「なら帰りましょう。お腹が空きました」
「ちょっとお待ちになって」と白井が出口に向かおうとする涙子に声をかけた「あなた、
一体何者なんですの?」
「はい?」
「とぼけないで」
「・・・何者も何もない。私は私。ただの学生ですよ――多分、まだね」
「やった!!やってやったぞ!!」と一人の学生が歓喜していた。
少年の名前は、介旅 初矢。連続虚空爆破事件の犯人だ。
「これで馬鹿なアンチスキルもジャッジメントも己の無力さを痛感するはずだ!!」
「哀れだな。自分の復讐に、人殺しをするとはな」
「誰だ!?」
「ただの監察医で」と貴利矢がガシャットを二本取り出した「正義のヒーローって奴だ」
「お前は自分の欲のために力を振るって、罪のない人たちを殺した」とハルカ「僕の
線引きを超えた――ここで始末する!!」
[爆走、バイク!!] [ギリギリ、チャンバラ!!]
「爆速、変身」
「うおおおおおおおッ!!――アマゾンッ!!」
[ΩOMEGA! EVOLU-EVOLUTION!]
[(ガッチャーン!レベルアーップ!!)ばーくそーう、バーイク!!(アガッチャ!)
ギーリギリチャーンバラァー!!]
「・・・行くぜ、ハルカ」
「アァ・・・狩り、開始だ!!」
「ひッ・・・邪魔をするなぁ!!」と介旅がアルミ缶――に扮した爆弾を投げた。
「させるかよ」と貴利矢がアルミ缶に触れ――爆弾を投げ返した。
「ッ」
介旅が慌てて自分をかばおうとするが――起きた爆発は、殺傷能力のない程度だった。
「なッ!?―馬鹿な、能力は、確かに」
「俺の能力、電子化は、自身の細胞を電子に変えられる。つまりそれは――電子に近い
ものは、能力を操作、抑制できる」
「そんな――反則だろ、そんなの!!」
「お前にそんなことを言う資格はない」とハルカ「人を殺して平然と笑っているお前には!」
[VIOLENT PANISH]
グリップを引き抜き――剣をはやした。
「まて。話せば分かr」
ズシャッという音と共に――介旅に剣を突き刺し、引き抜いた。
「ハルカ、急所は外しただろうな?」
「あぁ――幻想御手の可能性があるからな」
「そういうこと」と貴利矢「ともあれ、まずはジャッジメントに」
「その必要はありませんわ、貴利矢さん」
「!」
瞬間移動で現れた白井がにっこりほほ笑んだ。
「よう、さっきぶり」
「えぇ、さっきぶりですわ。そして――やっと、追い詰めましたわ、騒ハルカさん?」
「!・・・僕の、なまえ?」
「ウチには、セキリュティなんて関係ないほどのハッキング能力を持つ少女がいますので。
能力はレベル0ということになっていたようですが、どうやら、違ったようですわね?」
「一応、言っておくが、幻想御手は使っていないからな」と変身を解除した貴利矢が白井に
釘をさす「俺も同じく」
「分かっていますよ。この街には能力開発を受けずとも能力を持っている方もいるという話を聞いたことがありますので。学生でない貴利矢さんはその類なんでしょうか?」
「内緒ということで」
「構いません。とはいえ、傷をつけたハルカさんには傷害罪で拘束。貴利矢さんにも事情
聴取させていただきますわ」
「かまわない」とハルカ「逃げても意味は、ないだろうしね」
「決まりだな」と貴利矢が爆走バイクガシャットを起動し、変身用スロットとは別の場所に
刺した。
すると、何もない空間から黄色い配色のバイクが現れた。
「ほら」
「っと・・・ヘルメット、ですの?」
「乗れ。ジャッジメントの詰め所まで案内してくれれば良いからよ」
「必要ありませんわ。私の瞬間移動で――」
「目のクマがひどい」
「!」
「呼吸も荒いし、能力の力場に乱れがある――寝てないな?」
「・・・えぇ」
「能力にも上限がある――ゲームで言うところのMP切れって奴だ。そのままじゃ、病院のベッドで目を覚ますことになるぞ」
「さすがは監察医ってところですね――介旅は?」
「救急車を呼んだ。僕らの仲間が奴を見張るから問題はない」
「そうですか――では、お願いします」