とある獣の覚醒衝動(アマゾンズ)   作:味なしコンフレーク

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Over System

 「一応、応急処置はしたから、死ぬことはないだろうけど、早めに来てくれると

助かるわ」

『了解した。すぐに救急車を手配するね?・・・全く、相変わらず、君のお仲間は、

血気盛んすぎるね?』

「そうね・・・でも、彼らは、戦い続けないといけない・・・自分自身のために」

電話を終了させた女性声をかけたのは、涙子だ。

「ナナハさん、ありがとうございます」

「どういたしまして・・・まったく、君の彼氏は、乱暴というか不器用というか・・・」

「はは・・・否定はしません」

「君が、支えてあげないとね?」

「!・・・はいっ!」

 

 「黒子!?・・・って、アンタは!!」

貴利矢の背中で静かに寝息を立てる後輩に驚き、隣にいるハルカに気付き、警戒するのは

おなじみ、御坂美琴である。

「悪いけど、ここ、ベッドとかある?相当、無理していたみたいだから、寝かせてやって

くれ」

「白井さんから連絡はもらっています。九条貴利矢さんに、騒ハルカさん、ですね」と

パソコンで事務処理をしていた初春が手を止めて、ソファーを指さした「お二人は、そこの椅子に座ってください」

「話が早くて助かる」と貴利矢が白井を横に寝かせ、ハルカと一緒にパイプ椅子に座った。

「アンタ、まさか、私の後輩を」

「誤解だ」とハルカ「僕たちは、連続虚空爆破事件の犯人を捕まえただけで、彼女とは偶然、

居合わせただけだ」

「どうだか」

「前にも言ったけど、僕たちはただ静かに暮らしたいだけなんだよ」とハルカ「君たちが

僕の線引きを超えない限りは、こちらから襲ったりしない」

「・・・そういうことにしておくわ。今はね」

そのとき、うめき声と共に黒子が気だるげにソファーから起き上がった。

「ここは・・・ジャッジメント支部・・・?」

「はい、貴利矢さんが背負ってここまで連れてきてくれたんですよ」

「!・・・そうでしたか。すみません」

「良いって事よ・・・で?事情聴取とやらをするんだろう?できれば手短にな」

 

 事情聴取を終え、貴利矢は、データ化でその場から消え去った。

「彼の能力です」とハルカは眠そうな顔で答えた「電子に関係するなら、彼の右に

出るものはいない」

「それはお姉さまの能力も、ですか?」

「もちろん。自身の電子化および、電気系統の抑制、おまけにもとより備わっている高い

戦闘能力に医者としての観察眼。結果は、火を見るより明らかだ」

「じゃあ、何であいつは、レベル0なのよ?」と少し不満げに、しかし認めざるを得ないといった表情を見せる美琴「そんなに強いならレベル5になっていてもおかしく無いんじゃないの?」

「彼は学生じゃないし」とハルカ「そもそも、彼の能力はこの街のレベルで測れるような

ものじゃない」

「原石とかいうものですか?」

「近い。けど違う」とハルカ「彼の能力は未知数です。この街風に言うなら『レベルx』と

いったところでしょう」

「未知数・・・?」

「ところで、いつまで僕はここにいないといけないのかな?」

「お忘れですか、おバカさん?」と白井「相手は、連続虚空爆破事件の犯人とはいえ、

あなたがやったことは立派な傷害罪ですのよ?」

「早く帰らないと、仲間が心配する」

「仲間?」

「僕にとっては家族みたいなものです。物心つく頃には学園都市の養護施設にいたから。

同じような苦しみや悲しみを抱えているけど、それを分かち合えることが出来る・・・

僕らの居場所を奪うやつらは、僕の線引きを超えた奴らだ」

「だから、介旅 初矢を半殺しに?」

「僕の能力は制御が聞きづらくて」とハルカ「殺さなかっただけでも大変だった」

「そんな危険な能力なら、使わなければいいじゃない」と美琴「ていうか、病院にでも

いたほうが良いんじゃ」

「そんなのは嫌だ!!!!!!!!」

「「「ッ」」」

「それは嫌だ。そんなの・・・檻の中で飼われている動物と同じだ」

「・・・!」

「ともかく、今日はここで大人しくしていてもらいます」と白井「幸い、死人は出なかった

事ですし、向こうも爆弾を使用したとのことですから、明日には解放いたしますわ」

「・・・分かった」

 

 翌日、ハルカは慌ただしい事務所の喧騒で目を覚ました。

「何事だ・・・?」

「あ、騒さん、おはようございます」

「初春さん・・・どうも」

「ご飯は、そこにあるのを適当に食べてください。ちょっと立て込んでて」

「何かあったんですか?」

「・・・木山春生が」と初春「能力を暴走させました」

窓の外に目をみやる・・・そこにいたのは。

 

胎児のような怪物であった。

 

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