とある獣の覚醒衝動(アマゾンズ)   作:味なしコンフレーク

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Zero

 (面倒くさいことになったな、これは)

「佐天さん」と初春「今の何ですか・・・それ、ハルカさんの使っていた奴に似ている

みたいな」

「・・・」

「ッ・・・何とか言ったらどうなんですか!!」

「・・・別に話すことなんか何もない」

「なッ!?」

「知ってしまったなら教えてあげる。私はもう、そちら側の人間じゃないってこと」

「そちら側?一体、何を言っているんですか?」

「もう私の事は忘れて。助けようとも思わないで。私は、ここが自分の居場所だって

思っている。生きていくって決めたの。『TeamNeo』のリーダーとして」

「佐天さんが、TeamNeoの、リーダー!?」

「白井さんや御坂さんには言わないでね。一応極秘事項だからさ、これ」

「私がそれに従うとでも?」

「初春は、そう言うと思った。だから知られたくなかったんだ。でも出来れば、

黙っていてほしいな。あの二人に知られると面倒くさいし――初春を殺さないと

いけなくなるからさ」

「ッ!?」

「そういうわけだから――じゃあね、ジャッジメントさん?」

 

 「酷い言い方をするねェ」

涙子の視線の先にいたのは、黒い半そでTシャツの白髪の少年だった。

「第一位・・・何か用?」

「いンやァ、別にィ。久しぶりに顔見に来たら中々面白ェことになってンなーと思ってよォ。見事に真っ黒に染まってンじゃねェか」

「そういうあなたはそこまで堕ちてはいないね・・・あぁ、いや、違うね。全部跳ね返す

から染まらないのか」

バイクに跨って、ヘルメットを手渡す。

「あぁ?」

「送っていく。どうせ今日も悪趣味な実験でお疲れなんでしょう?そんなことしてまで

レベル6なんて力を求める奴の気が知れるけど」

「お前、女だって自覚あンのか?」

「中学生はババアなんでしょう?だったら、襲われる心配はなし」

「・・・お願いするわ。今日は特に気分が悪くてよォ」

バイクを発進させ、彼のマンション付近に向かう。

「あいつら、怖いとか死にたくないって感情はないのかねェ?実験を始めますしか

言わねェし、命乞いもしない・・・正直、気味が悪ィ」

「そりゃあそうでしょ。15~6万円ですぐに量産される彼女達に、生きたいなんて

感情が存在するわけない。そういうのは長い時間をかけて知っていくもんなんだからさ。

だから、殺しても良いというのもおかしいけど」

「・・・何が言いてェ?」

「私はさ、別に言いふらしたりしないよって話。巻き込まれたくないし、死にたくない

からさ。でも、どうしても許せないことがある・・・悪いことをしているくせに正義面する偽善者。知らない癖に知ったような顔する奴とかさ、吐き気がしてくるし、殴りたくなる」

「・・・」

「あなたは違うんでしょう?自分が少なくとも良いことしているとは思っていない。悪の中の悪だって肯定して、彼女たちを犠牲に力を求めている」

「・・・間違ってはいねェよ」

「じゃあ、そうしていれば?私は止めようとは思わないし、助けようとも思わない。

あなたが私の線引きを超えれば、話は別だけどね」

「・・・大分、歪んじまってるなァ、オマエ」

「あなたにだけは言われたくない」

 

 「おかえりるい・・・おっと」

エプロン姿で料理をするハルカをぎゅっと抱きしめた。

「・・・どうしたの、涙子?何で泣いている?」

「・・・お腹すいた」

「ハンバーグ、作ったけど」

「たべる・・・デザートにハルカもたべちゃう」

「・・・きゃー、おそわれるー」

 

 「結論」とジン「AIMバーストは、レベル5の御坂美琴により、消滅。木山は拘束され幻想御手の使用者は容態が回復した。とはいえ昏睡状態の木山の教え子は、いまだ目覚めず、

らしいがな」

「関係ない」と涙子「幻想御手が出回ることもないし、木山もお縄についた。なら、もう

私たちには関係のない話」

「まァ、そっちの方は、俺が手を尽くしてみることにするよ」と貴利矢「じゃないと、木山

先生は大人しくしてくれないからね」

「往生際の悪い女。やっぱりあの時、殺しておけば」

「涙子ちゃん、ストップ・・・ところで、ハルカは?」

「次の依頼・・・というか、強制労働の報酬の前払いを受け取りに行っている」

「裏の仕事か」

「胸糞悪いけど、私たちが生きていくためには仕方がない――レベル6シフト実験の

関連施設の防衛任務、だってさ」

 

 「アイスクリーム、食べる?」

「・・・」

ハルカの隣でスーツを着て無表情で突っ立っているのは――御坂美琴。ではなく、

そのクローン。レベル6シフト実験で一方通行に殺された御坂496号であった。

死んだはずの彼女が生きているのには理由があり、何でも、昔、TeamNeoが提供

した、覚醒衝動の細胞を移植して蘇らせたらしい。

『記憶も人格も残ったまま、さらに生前の能力も使うことが出来る。生体兵器としては

かなり強力だろう?』

幻生とかいうジジイ曰く、彼女を「シグマタイプ」と名付け、量産系覚醒衝動能力者の

プロトタイプと位置づける、らしい。

(シスターズは僕も見たことあったけど――これはそれ以上に酷いな)

ただでさえ表情に変化の無い妹達(シスターズ)がさらに感情やらが無くなった感じ。

これでは、人形と何ら変わらない。

「・・・あぁ、すみません。今の問いには『必要ない』と答えるべきでした」

「!・・・というと?」

「そのまんまの意味です」とポニーテールを左右に揺らし応える「私は、食べなくても

死ぬことは無いので、お気になさらず。事務所に向かいましょう」

「・・・いや。食べに行こう」

「え?」

「科学者どもに何を言われたのかは知らない。でも、君は僕たちの仲間だ、496号。

折角、現世に舞い戻ったと言うのなら・・・アイスクリームを食べよう。今日は、暑いしね」

「・・・騒さんが、そう言うなら」

売店でバニラを二つ買って、一つを与えた。

「・・・」

「食べないの?」

「その・・・どう、食べたら良いのかなって・・・」

「舐めても良いし、かぶりついてもよし・・・君がしたいようにどうぞ」

「では」とてっぺんから小さな口を開けて、食べた「!」

「美味しい?」

「美味しい・・・?甘いとは感じましたが、それが美味しいかどうかは・・・」

「じゃあ、覚えておくと良い。それは美味しいってことだから」

「・・・美味しい」と、無表情だった少女が少しだけであったが、確かに笑った「美味しい。

美味しい、か・・・不思議ですね。何も感じないと思っていたのに、まだ、こんな気持ちを

感じることが出来るとは思っていませんでした」

「!」

(彼女が生き返ったことが良いことなのか、悪い事なのか。それは分からない。でも――)

「じゃあ、もっと、覚えていこうよ」

「覚える?・・・何を?」

「色んな気持ち。楽しいとか、嬉しいとか、悲しいとか、苦しいとか・・・せっかく、生き返ったなら、そうすると良い――そうしたっていいはずだ」

「・・・」

手を差し出す。

「僕たちは、今日から家族だ」

差し伸べられた手を不思議そうに見る少女の手を、そっと握った。

「!」

「ようこそ

 

TeamNeoへ」

 

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