「このッ」
深夜のとある研究所、御坂美琴は、とある暗部集団と交戦していた。
「オラ、そんなものか、第三位!!」
「ウザったい・・・いい加減、倒れろッ」
相手をするは、学園都市の第四位にして、暗部組織アイテムのリーダー、麦野沈利。
「で?一人だけ逃げてきたことに何か、弁明はあるか、フレンダ?」
「相変わらずの減らず口、ほっとした・・・貴利矢は、変わりないって訳よ」
「いくらお前がTeamNeoの一員でも、レベル5を相手にしていたら、命がいくつ
あってもたりないんだがなぁ」
貴利矢は、フレンダの右腕に着けられた鳥の顔を模したアイテムのようなものを見る。
「おかしいよね、麦野はそこらへん、分かっているハズなんだけど・・・結局、いつも
殺されそうになるって訳よ」
「ま、今回は逃げて正解だな」と貴利矢「爆弾程度で御坂美琴を止められるとは思えない」
「私の覚醒衝動は、不完全。足手まといにしかならないって訳よ」とフレンダ「ところで、
そっちの方は、大丈夫なの?」
「何だ、沈利チャンが負けるって思っているのか?」
「麦野は電子使い。対してあれは、電撃使い。麦野は御坂美琴、もしくは貴利矢の下位互換って訳よ」
『聞こえてるぞ、フレンダァ!!』
「うげッ」
「ったく・・・言っていることが正しいだけに余計に腹が立つ」
「は?」
「でも知ったことじゃない・・・ブチ殺せば何の問題もな」
「ストップです、第四位」
早くも二戦目に突入しようとしていた両者を一つの声が止めた。
「・・・佐天、さん?」
「・・・第四位。ここは私に任せてください」
「あぁ!?ふざけんな!この私に傷つけといて、無事で済むわけ」
「駅前の高級ケーキ」
「言ったからな!絶対だからな!」
麦野は、地面で倒れている仲間を抱えて、どこかへ去っていった。
「どういうこと、佐天さん?」
「どうもこうもありません。私がこうして、あなたの前に立っている・・・それ以上に
理由が必要ですか?」
「あなた・・・自分が何に手を貸しているか分かっているの!?」
「えぇ、存じています。絶対能力進化実験ですよね。非常に胸糞悪い実験ですよね~。
二万人ものクローンを殺すんですから、それも、あなたのクローンを。美琴さんの怒りも
もっともです」
「だったら」
「えぇ、ですが・・・仕事ですので」
「・・・は?」
「知っていますか?この学園都市には、たとえそれがどんなに危険でも、悪いことでも
生きるためにやっている人達がいる・・・私も同じです」
「あなたも・・・?」
「1年前の事です。レベル0という結果に絶望していた私は、不運にも拉致に遭いましてね、頭のおかしい科学者どもの実験台になってしまったんですよ」
「ッ!?」
「いやー、今、思い出すだけでも絶叫ものですよ~。他人の細胞を投与され、拒絶反応に
苦しむ毎日でした・・・能力が能力なだけに」
「あなたは、レベル0なんじゃないの?」
「幸運にも、私は、その実験を生き延びまして。覚醒衝動能力に目覚めたんですよ」
「覚醒衝動?」
「人間の奥底に眠る狂気が獣という形に変化した者たちのことです。ハル君やジンさんの
ような人たちの事です」
「!・・・まさか」
「覚醒衝動には捕食衝動がありまして。ようは人食いです」と涙子がでネオ アマゾンズ
ドライバーを装着した「私は、それを抑えられるかどうかの実験に巻き込まれた。まァ、
完全に抑えることは出来ませんでしたが」
「・・・」
「・・・一応、言っておきます。あなたは、私に勝てません。だから、帰ってください」
「安く見られたものね・・・そんなこと言って、ハイそうですかっていうと思った?」
「ですよね。あなたは、きっとそういう性格なんでしょうね。困っている人は、見捨てられない。きっと、彼女たちがあなたのクローンでなくても、あなたはそうする・・・本当に
反吐が出そうです」
「!」
「顔見知りを殺したくはないんですけど、仕方ありませんよね・・・私は、仲間のために、大切な人のために、あなたを止める。覚悟してください」
「・・・分かった」
バチバチと帯電する御坂。
「私も引く気は無い・・・ここであなたを止めて、初春さんのところに引っ張ってでも連れ帰る!!」
「私の居場所は、ここよ・・・アマゾンッ!!」
爆発音、そして――涙子が異形の姿へと変わった。
「お前が一方通行だな!」
「・・・誰だ、お前は?」
とある工場に、二人の男が対峙する。対するのはウニのようなツンツン頭の少年だ。
「実験のことを知った・・・お前は、何で、この実験に参加する?」
「何でか、だって?決まってンだろう?絶対的な能力を手に入れるためだ。第三位を二万回殺してな!!」
「・・・もういい。無理やりさせられているのかとも思ったが、そうじゃないみたいだ・・・
許さねぇ。ここで、お前も実験も止めてやる」
「それは困ります」
そこに現れたのは、アマゾンズドライバーを装着した496号。
「御坂妹・・・いや、違う、お前、誰だ?」
「彼女たちのどれかと交流があったようですが、それは、私には関係のないこと・・・
これも仕事です。TeamNeoとして、あなたを止める」
グリップを捻り、一言、呟いた。
「・・・アマゾン」
[ΣSIGMA!]
「なッ・・・!?」
そこにいたのは、
灰色の獣であった。
とある獣の覚醒衝動――“Identity”