佐々木武雄の人生   作:朝古挽

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佐々木武雄の人生

私の名前は佐々木武雄。異世界に漂流した者だ。

 

元の世界では大日本帝国の海軍の少尉をしていた。

 

異世界ハルケギニアに漂流するまでは、わたしは、両親に赤子同然の頃からあらゆる英才教育を俗にいう帝王学という名の教育を施されていた。

 

読み書き・算盤・暗算・記録術・剣術・体術・経営学・商学・医学・語学・工学・数学・マナー・歴史・調理・建築などを学んだ。

 

常人ならば発狂するような教育の数々だが、幸い私は頭と体の出来が並はずれて良く、自分でいうのも何だが万能型の秀才や天才だったと思う。

 

 

こう自負するのも、自分が帝国大学よりも合格するのが難しいエリート中のエリートしか合格できないといわれる海軍兵学校に合格したからだ。あの学校は帝国の大学院の博士課程で上位・主席の成績が帝国大学院卒くらいの学力がないと合格が出来ない難しさだと言われていたからだ。卒業して飛行機の操縦士になれた時は嬉しかった・・・。空にはあこがれていたからだ。

 

 

卒業し海軍で飛行機を乗り回していろいろ偵察したり、敵と争ったりした。

 

 

しかし、偵察の任務の途中で大きな光の鏡がいきなりあらわれ、それが飛行機ごと私を飲み込んだ。徒歩とは違いいきなり止まれない。

 

 

気が付けば異国の空を飛んでいた。

 

 

いや異世界だ。

 

天空に大きな満月が二つ見えた。

 

世界・・・、いや、地球ではありえないことだ。

 

 

しばらく、状況を把握するために飛行機であたりを飛び回った。

 

 

この地に人間に気付かれないようにはるか上空から偵察した。

 

 

そんなことを続けているうちに、燃料が底を突きそうになり、近くの村に着陸した。

 

 

その村の名はタルブである。

 

 

着陸しタルブ村に近づき、最初にあった村のモノに

 

 

「旅人さんですか?それとも傭兵さんですか?」

 

と尋ねられた。

 

 

とりあえず私は、

 

 

「旅人です。」

 

 

と答えた・・・。

 

 

「どこから来られましたか?」

 

そう返され、とりあえず私は

 

「東方から来ました」

 

と東洋から来たようにいった。

 

ここは西洋みたいなので、あながちウソではない。

 

それに、異世界から来ましたとかいっても信じないだろう。異国から来ましたとかの方が現実的だし、ここは文明があまり発達していなさそうだし・・・。

 

 

「東方からというと、サハラ砂漠のあたりですか?」

 

 

サハラ砂漠?なんでサハラ砂漠があるんだ?ここは実は異世界ではなく遠い過去の世界ではないのか?しかし、いくらなんでも月が2つはありえないだろう・・・。

 

 

「いいえ、もっと東です。極東ともいわれていましたよ。」

 

自分の世界に合わせ嘘・偽りなく(世界以外)答えた。

 

 

「となるとエルフと争い続けているという東の世界のロバ・アル・カリイエ空ですかな?どうりでほとんど見ない人種だと思いましたよ。」

 

 

 

まあ、西洋人と東洋人は分かりやすいくらい姿が違うから当たり前か・・・。

 

 

「では、遠回りして海路からハルケギニア大陸へきなさったんですかな?」

 

 

どう答えたモノかな・・・。飛行機に乗って、光の円盤を潜ってやってきましたとか言えば、キチガイに思われるか、バカにしていると思われ激怒するかもしれないし・・・。どうしようかな?

 

 

とりあえずユーモアなジョークで、

 

 

「飛行機という名の空飛ぶ乗り物に乗ってやってきました。」

 

 

と思い切って言ってみた。ふざけるなとキレたらジャパンジョークですとかいって乗り切ろう・・・。

 

しかし・・・

 

 

「それは、浮遊船ですかな?」

 

 

へ!?うそ!?通じた・・・。

 

 

しかし浮遊船か・・・。おそらく熱気球の飛行船のことを言っているのだろう。しかし、この人日本語がうまいな。最初は英語が通じるか不安だったがいきなり日本語が話せる人とは幸運だ。

 

 

「金属の塊ですけど・・・」

 

そういったら

 

 

「東方のマジックアイテムですか?風石はなんでも浮かせられるので新手の使い方ですかね?竜とかならばわかりますけどもしかして龍型のメタル・ガーゴイルですかな?」

 

 

うーん、風石というのは知らないけど・・・、空を飛ぶ金属機械のようなものは存在しているらしいな・・・。

 

 

 

「金属でできた竜ようなと言えば、一応当たっていますね・・・・・」

 

 

嘘は言っていないし本当でもない気がするが一応わかりやすく説明するためには必要な事だから割切ろう・・・。

 

 

「そんなものを持っているとは、貴方は貴族様ですかな?それとも大金持ちの行商のお方でしょうか?」

 

うーん・・・。いいとこのお坊ちゃんというのはあっているが、異世界だし、そんな身分もう意味がないし、ただの漂流者だしな。帰れるかも絶望的だし。

 

「ただの旅人・・・、いや遭難者です。」

 

 

村の者が他者たちを呼んできて、マジックアイテムを見せてくれといわれた。

 

 

「見せてもいいですけど・・・。もう飛べませんよ。燃料が切れましたから?」

 

 

風石か?と聞かれたが、

 

 

「いいえ、風石ではなく、凄い勢いで燃え上がる油の揮発油というものです。それがないとこれはもうただの鉄の塊です。」

 

 

正直に説明した。この世界にも空飛ぶアイテムとかあるみたいだしそういう風にまとめ、私は村長の下へ案内され、東方の話とか、自国の話(文明レベルで何とか理解でされそうなものだけ)とかした。村長に教養があるところが気に入られこの村に住まわせてもらう許可を得た。

 

 

 

この村に住んでから少しずつだがいろいろな差異に気が付いていった。

 

言葉が違うのに会話が成り立つこと

 

文字の違い。

 

貴族制度の封建社会

 

地球では迷信とされ、魔法があること

 

中世では異端審問の対象とされた魔法使いが貴族であることだ。

 

 

言葉が通じるのに文字の読み書きが出来ないことがおかしいと思うが・・・、とりあえず文字の読み書きが出来るように読み書きができる村人か寺院に教えを乞うことにした。

 

 

効率性を考えて寺院に学びに行った。幸い近かったので。自分は自国では秀才で通っているが半年は覚悟して学びに行った。

 

 

しかし、

 

 

どういうわけか、ハルケギニアの公用語であるガリア語をたった3日でマスターしてしまったのだ。自分は帝国大学院を余裕で合格できるくらい高い知能と学力があるがだからと言ってたった3日で文字の読み書きを把握・習得・熟達するほど出鱈目に良いわけではない。もしかしたらこれは神隠しによる副作用なのか?

 

 

試に自分が書いた構文を呼んで近くの人にオウム返ししてもらったが、意味は同じなのだが形式が若干異なっていた。

 

 

覆水盆に返らずが「皿の上のミルクをこぼしてしまった 」になっていたり

 

虎の威を借る狐が、龍の威光を借りた野犬だったり。

 

アメとムチがパンと杖になっていた。

 

訂正してみたら、ちゃんとアメとムチや覆水盆に返らずに直されていた。虎の威を借る狐も含めて。どういう事だ一度目で意味が同じ、訂正を入れて形式も正しく伝わる・・・。説明が楽なのでいいのだが、謎だ・・・。

 

私の名前も、シャシャキ・タァケオとか発音がおかしかったし。まあ、西洋のモノに日本語は発音的に難しいか・・・

 

 

 

まあ、とりあえず文字に関しては問題なくなり私は村に住みつき働いた。

 

 

本来ならば、士官している身だが・・・。この世界では意味がない・・・。と未練がましく黄昏たりもした。

 

 

わたしは慣れるために村でいろいろと働いてみた。

 

農業指導・交渉事・手紙の代筆・大工仕事など。わたしは万屋染みていた。そして魔法使いではないが何でもできると思われたわたしは村の若い娘たちにはモテていた。海軍は見た目と頭がいいものばかり取るとか聞いたことがあるがどうも自分はその部類らしい。

 

それを妬ましく思う村の男たちには良く突かれた。

 

喧嘩とか吹っかけられたが、これでも武術とかは有段者だ。白兵戦の経験もある。村の男たちのリーダー格の大男をとりあえずぼこぼこにしたら、他の者たちは怖がって逃げて行った。

 

喧嘩でも勝てなかったので、奴らは私がこの村に来た飛行機の話とかまるで私がキチガイのような風に悪意を越えて村中に流していた。

 

それのせいで村の娘たちは寄ってこなくなった・・・。

 

 

まあ、あまり気にはしなかったが、さすがに狂人扱いで傷ついた・・・。

 

 

それでも日常は何事もなかったように回る。村長は噂の事は若い村の男たちの醜悪な嫉妬によるものだと知っていたので、気にはしなかった。

 

 

 

しばらくして、タルブの領主が視察に来た。

 

 

税収が良くなったので、気になり来たそうだ。

 

 

 

「おまえが、次期村長候補とかいわれる、ターケェオか?」

 

 

 

「武雄です。領主様。」

 

 

訂正を入れた

 

 

「おお、すまんな。発音がむずかしくてな」

 

と軽く謝られた。

 

 

とりあえず、領主に東方についていろいろ聞かれ、東の世界(大日本帝国)のこととか、いろいろ感心された。東方の高い教養とかも評価された。

 

 

 

そして領主様に、従者になってくれないかと頼まれた。その知識・技術・知恵を私のために役立ててほしいと言われた。給金も平貴族よりも多くあったのでその話を受けた。

 

私は執事になり、タルブの領主の知恵袋とその息子の教育係も務めていた。翻訳能力もあり生徒はすらすら私の知識と技術を吸収していった。メイジでもあったのでコモンマジック

解読(リード・ランゲージ)で私の直筆の教本とかもすらすら理解をした。

 

 

ちなみに教育内容な私が受けた英才教育をなぞったものだが、翻訳能力と魔法能力の補助で苦労とかさほどされずなんとか吸収された。教え方がうまいとか褒められたがとんでもない。翻訳と魔法のおかげで苦労していないだけだ。地球だったら、リタイヤしている人間がうなぎ上りだろう・・・。

 

 

医学・工学・薬学・武術の基礎を指南するときは嫌な顔をされた。平民の技術が気に入らないようだったので、東方では高貴なモノしか学べない知識と技術だと説明したら現金なことに眼の色を変えて熱心に学んだ。

 

 

これによってタルブ内での領主の評価が非常に高いものに変化していった。

 

 

そんなこんなでタルブに貢献したりした跡継ぎも立派に育った。私に知識と技術を理解し修得できるものは出来たができないものもあったが知識と魔法で補った。

 

 

飛行機とかは、

 

 

「褒美は何が良い?」

 

とか聞かれたときに、領主に固定化を施してもらった。村の皆は大金を払ってガラクタに固定化をかけてもらったのだろうと思われたみたいだが、褒美として無償でやってもらったのだ。

 

 

さらに貢献するために主の領主に平民用の木造学校設立を企画した。許可をもらい、私が教師となった。お屋敷の方は私が居なくても回るようになったので、心置きなく教師やれた。領主にはスキルニルという魔法人形を貸してもらい、複数の私が村の人々・子供たちにあらゆる教育を施した。護身術として武術も教えた。異端に引っかからないように慎重に一族のモノには極秘で異世界の知識と技術を教えた。

 

 

 

タルブで過ごしているうちに、嫁を貰い・子供が出来・孫が出来・ひ孫ができた。

 

 

自分の一族には私の血が濃く出て黒髪・黒眼がほとんどだった。

 

 

いつの間にか60年も経った。

 

 

最近体が重いし、そろそろ寿命かもしれないな・・・。

 

 

自分の墓も子供が出来た時に作ったし、

 

 

遺言とかも書いたし

 

 

やることが無いな・・・

 

 

向こうの世界は今どうなっているのだろう?

 

 

戦争は終わったのか?

 

 

陛下に飛行機を返せなかったなあ・・・。

 

 

 

 

「ねえ、ひいおじいちゃん。どうしたの?」

 

 

曾孫のシエスタが話しかけてきた。

 

 

「ん?ああ、月が綺麗だなと思ってな・・・。」

 

 

「あははは、お月様ならいつも見えてるじゃない。変なひいおじいちゃん」

 

 

まあな、寿命がないと月の光がとてもきれいに見えてくる不思議だ・・・

 

 

「シエスタ・・・、ひいおじいちゃんはね、昔、竜の羽衣に乗って、東の世界で竜騎士のような大空の侍をしていたんだ・・・。限られた人間しか成れないすごいものだったんだよ・・・」

 

 

シエスターは、

 

「ふーん、そうなんだ」

 

とシエスタは返した。

 

そして

 

 

「なんで、ひいおじいちゃんはタルブに来たの?」

 

と聞いてきた

 

「ああ、仲間たちと魔法ではぐれてしまってね。帰れなくなってしまったんだよ・・・。」

 

 

「迷子になっちゃったの?」

 

 

今現在、死ぬまで迷子だよ・・・

 

 

「恥ずかしいことにね・・・」

 

 

異世界のことを話し続け、

 

 

眠ったシエスタをベットに連れて行き

 

 

「あー、最期に元の世界の事を話せてよかった・・・。シエスタはまだ幼いから理解できていないし忘れるだろうけど・・・。まあ、いいかそろそろ寝るか・・・」

 

 

佐々木武雄はそのまま永い眠りについた。

 

 

佐々木武雄、異界に眠る。

 

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