新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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はい。投稿日にきちんとできました。

続きです。



少年はその拳で何を守るのか?

「待っていたよ上条君」

 

 教会に着くと、木場と小猫と合流できた。

 彼らは教会から少し離れた木を陰にして待機していた。

 

「あそこに出入りしている天使も悪魔もいないんだ」

 

「そうか」

 

 そうなると、乗り込むしか上条達に残された手段はない。

 気軽には言うものの、難易度としてはかなり高い。

 

「アーシアを助けるんだ」

 

 パンッ!! と、頬を強く叩いて上条は『神器(セイクリッド・ギア)』を起動した。

 

「僕も行こう」

 

「私も行きます」

 

 祐斗は何処から出したのか剣を携えながら宣言し、小猫はいつもの無表情で告げた。

 

「何で……」

 

 上条は焦った。

 リアスからの許可とも取れる言質はある。

 だが、それと木場と小猫が協力してくれる事がイコールで繋がらない。

 

「個人的に教会に恨みがあってね」

 

 ゾクリ――上条の背筋が凍るような言葉を木場から貰った。

 続いて小猫が割って入るように言った。

 

「2人だけでは心配ですから」

 

 心の内から言葉が身に染みる。

 木場の想いも、小猫の想いも上条には分からない。

 

 特に木場には、教会には並々ならぬ事情があるとうかがい知れる。

 しかし、今この場で問い質すのは躊躇われられた。

 木場はきっと話してくれやしない。

 なら、話してくれる気になるまで待とうじゃないか。

 

「よし、行こう」

 

 それよりも、今は目先の敵に挑む。

 教会の扉は閉めきられており、鍵も掛かっている。

 

「退いてください」

 

 唐突に小猫が扉の前に立った。

 右腕を後ろへ引き、左腕を前へ突き出す。

 直後、彼女の両腕がブレた。

 

 ブォンッ!! という風切り音はかろうじて届いた。

 その後、扉はまるで飴細工のように粉々に吹き飛んだ。

 

「……」

 

 口を半開きにし、ただただ呆然と立ち尽くす上条。

 小猫は「行きましょう」と先頭を切った。それに続く木場。

 これが彼女の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の位――戦車(ルーク)か。

 

 細腕の少女にあれほどの怪力が備わっているなどと、夢にも思わなかった。

 戦々恐々となりながら、上条も後に続いた。

 

 真っ先に目に入ったのは巨大な聖母の石像。そして、左右に横長椅子が鎮座されている。

 

「待ってましたよ~。あ~くまく~ん」

 

 発狂した笑いを表情へ浮かび上がらせ、教会に足を踏み入れた上条達を待ち構えていたのは――先程に上条が殴り飛ばしたフリードだ。

 

「テメェ……やっぱ、レイナーレに協力してたんだな?」

 

 上条はフリードを睨み付ける。

 

「おんや~? ま~た来たのか。しかも今度は悪魔の気配もちゃんとあるんだな~?」

 

 うんうん――フリードは何度も頷きながら上条に顔を向ける。

 

「そんじゃ、今度は遠慮なくやっちゃおうかな~」

 

 上条達の位置からはフリードの身体が邪魔をして見えなかったが、背中の方に腰に挿した剣を引き抜いた。

 

「剣なら僕の出番だね」

 

 スッ――木場の目付きに鋭利さが増した。

 全員から一歩ほど前に出て剣を正眼に構える祐斗。

 相対するフリードも剣を正眼に構えはするが、身体が小刻みに左右に振れるので落ち着きはないように見えた。

 

 両者の間で視線が先に激突し――

 

 

 

 

 

 攻撃を先に仕掛けたのは祐斗の後ろに控えた小猫だった。

 

 

 

 

 

 横長椅子の1つをルークの力を存分に発揮して、両手で持ち上げた。

 無言で、砲丸投げの要領で横長椅子が放り投げられた。

 

 ズバゴンッ!! と衝撃音が辺りを支配した。

 発信源はフリード。理由は投擲された横長椅子を剣で斬る――というよりは突き立てて破壊した。

 

「おおおおおおっ!!」

 

 雄叫びを上げながら上条当麻が駆けていた。

 距離にして約3メートル。もう然程の距離の差はない。

 

「余所見をしているだなんて……余裕だね」

 

「なっ!?」

 

 上条に気を取られたと言い訳をするつもりは毛頭ない。

 気付けば、木場がフリードの背後を取っていたのだ。

 剣を上段に構え、思いっきり振り下ろす。

 

「くっ!?」

 

 苦虫を噛みながらフリードは木場の一閃を掻い潜る。

 即座に彼が悪魔だという情報と素早さに目が付いてはっきりと分かった。

 

 彼の駒の特性は騎士(ナイト)だ。

 これ程の速さで動ける戦士もそこまで多くはない。

 

 そこではたと疑問が起きた。

 では“あのツンツン頭の少年の駒は?”

 

 何の変哲もないので無視していたが、悪魔だと判明した今では警戒の対象だと言えた。

 

「逃がすかよ!!」

 

 上条は左手の赤い籠手を出現させた。

 その力を用いて上条は接近する為に自身の駒の力を使う。

 

「プロモーション・ナイト!!」

 

 上条は叫ぶ。

 使い方は簡単ながら木場から聞いていた。

 ポーンの駒の力を引き出すにはこうするのだと。

 

 プロモーションは敵地と判断した場所ではそれぞれの駒となれる。

 今回、この教会をリアスは敵地と判断してくれている。

 プロモーションはできると木場から伝えられた。

 

 上条はナイトの効力で素早さを引き上げ、フリードとの距離を一気に詰める――

 

 

 

 

 

 しかし、上条のプロモーションは失敗に終わる。

 

 

 

 

 

「なっ!? えっ!?」

 

 戸惑ったのは上条。

 ナイトの効力は上条には及ばなかった。

 いや、正確には“上条自身には何の変化も訪れなかった。”

 

 理由は考えるまでもない。

 『幻想殺し(イマジンブレイカー)』こそが原因なのだから。

 

 これまで『神器(セイクリッド・ギア)』によって引き上げられた身体能力が使えていた。

 “だからこそ”上条は本来の右手の有効範囲に自分も括られる事を失念していた。

 

 だが、話はそこで終わりではない。

 効力は上条に及ばずにいるだけで、彼の左腕――そちらには変化が起きていた。

 

 見た目には何の形容の変化もない。

 だが、水晶に「KNIGHT」の英単語が浮かんでいた。

 

 どういう事なのかと上条には分からなかった。

 だが、今フリードに追い付くにはナイトか『神器(セイクリッド・ギア)』の力は必須。

 

 1度だけで良い。

 上条は籠手の力を発現させる。

 

『Boost!! KNIGHT!!』

 

 瞬間、普段のものに付け加えた音声が流れる。

 上条が地面を蹴り上げた――刹那、彼はさながらロケットのようにフリードめがけて加速した。

 

「なんですと!?」

 

 フリードは驚くが、何よりも上条自身が一番に驚いている。

 突然の加速。一度の強化では起こり得ない。

 理由は――察せられる。

 恐らく今の『神器(セイクリッド・ギア)』での強化にはプロモーションの内容が含まれていたのだ。

 

 理由は不明――だが、出来るのであれば上条は深く考えない。

 一歩を、いつものように力強く踏むだけだ。

 

 上条がフリードの懐に飛び込む。

 

「プロモーション・ルーク」

 

 プロモーションと同時、先程と同様の状況に陥る。

 だから、さっきと同じ事をする。

 

『Boost!! ROOK!!』

 

 瞬間、上条の全身に力がみなぎる。

 ルーク――戦車の名を冠する駒の力は……

 

「耐久力、そして攻撃力の高さ!!」

 

 上条は構わず己の右拳をフリードに叩き込んだ。

 ズゴォッ!! と、殴り飛ばされたフリードは壁に激突。

 ズルズルと床の上に倒れ込んだ。

 

「凄いね」

 

 木場は素直に上条の行動を称賛した。

 あの動き、最早“戦いに慣れた者の動きだ。”

 その理由を聞こうかと思った矢先、小猫が石像をルークの駒の力を発揮して動かしていた。

 

「2人とも、ここに出入り口があります」

 

 地下へ続く階段。

 そんなものが発見された。

 

「よし、行こう」

 

 危険は承知の上。全員は地下へ続く階段を降りていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 上条達が辿り着いた地下は広かった。

 まるで東京ドームを連想させる程の広さ。

 対悪魔用武器――光の剣を携えた神父が何十人も待ち構えていた。

 それらは奥にある上へと続く長い階段。言葉を変えるならピラミッド状の造形物の上に設置された場所へ辿り着く為のものだ。

 その頂きに……十字架に磔にされたアーシアとその横に立ち構えるレイナーレの姿があった。

 

「アーシア!!」

 

「かみ……じょ、う……さん?」

 

 磔にされたアーシアが弱々しいながらも、確かに上条の名前を呼んだ。

 それだけで上条は立ち上がれる。

 

「待ってろ。今助けに――」

 

 上条の勇ましい言葉はそこで断ち斬られる。

 目の前には堕天使の軍勢。それを乗り越える事こそが必須条件だ。

 

「ここまで来れるのかしらね?」

 

 レイナーレが不適に見下ろす。

 その表情は完全に勝ち誇っている姿にしか見えやしない。

 

「行ってやるさ」

 

 上条の決意は堅い。

 ここで折れる訳には行かなかった。

 

「でも、だとしても遅かったわね」

 

 途端、ピラミッドの頂きの部分が光出した。

 

「塔城!!」

 

「は、はい!!」

 

 いつもとは違う。真剣な眼差しと声音で呼ばれた小猫は動揺する。

 しかしながら、驚いたのは次の一言だった。

 

「俺をあの場所まで投げてくれ」

 

「なっ!?」

 

 上条の提案に無表情な小猫の顔付きが強ばった。

 構わず、上条は小猫の両肩を掴んで懇願する。

 

「頼む!! ルークのお前にしか頼めない事なんだ」

 

「分かりました。どうなっても知りませんからね」

 

 渋々と、小猫が折れてくれる。

 上条の襟首を掴み、そのまま背負い投げの要領で目的の場所まで半円を描きながら投擲した。

 

「無駄よ。この子の『神器(セイクリッド・ギア)』は私が貰うのだから」

 

 上条が何をした所で間に合わない。

 あとはアーシアの中から『神器(セイクリッド・ギア)』――名前は『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』である。

 

 能力はあらゆる怪我を治す癒しの力。

 こんなにも凄い力をアーシアが持っているなんてレイナーレには許しがたかった。

 

「これで!! シェムハザ様も、アザゼル様も私を見てくれる!!」

 

 レイナーレの目的はアーシアから『神器(セイクリッド・ギア)』を剥ぎ取り、認めてもらう事。

 何の事はない。人間と変わらない目的ではないか。

 それだけなら上条当麻は構わなかった。

 それならば、認めて貰えるよう協力を求められればするし、応援だってする。

 だが、レイナーレの目的達成の手段は“強引すぎる。”

 

 『神器(セイクリッド・ギア)』を抜かれた人がどうなるかだなんて分からない。

 だが、今も弱っていくアーシアからろくでもない結果しか生み出さないのは見て取れる。

 

「そんな事……させるかよ!!」

 

 上条当麻の雄叫びが轟き叫ぶ。

 

『Boost!!』

 

 空中で身体能力を底上げ。

 しかし、そんな事をしても落下の速度が速まる訳でもなし。

 

 レイナーレは「無駄な努力」とほくそ笑む。

 上条が着地して数秒もせずにアーシアから『神器(セイクリッド・ギア)』が抜ける。

 『神器(セイクリッド・ギア)』抜かれた宿主はその生涯を終える。

 上条当麻は知ってか知らずか、阻止すべく動いていた。

 

 だが、自分の勝ちだという確信は得ていた。

 あの奇妙な力も気になりはする。あの左手の赤い籠手も。

 しかし、目標遂行の文字の前にはそんな疑問などゴミ箱に放り投げる。

 

 かくして、上条当麻はこの場へと着地した。

 ズドンッ!! と足が大地を踏み締める。

 それを抑えるべく、上条の両手が地面を着いた。

 

 レイナーレはどう嘲笑ってやろうかと思考を巡らせながら、アーシアから『神器(セイクリッド・ギア)』を抜く儀式を発動させ――

 

 

 

 

 

 刹那、パリィンッ!! という甲高い音が全体を支配した。

 

 

 

 

 

 まるでガラスが割れるように、まるで力を壊すように、まるで目標を壊すように――まるで、この世の幻想を打ち砕かんとすべく、辺りに響いた。

 

 これはレイナーレも一度は聞いた音。

 理解したのは同時。

 儀式に準備していた魔方陣が、術式が……まさに幻想のように霧散していた。

 跡形もなく、塵芥も残さず――結末を気に入らなくなった神が物語を破壊し尽くすように……。

 

 状況を把握しているのは上条当麻。

 そして、いち早く動けるのも彼だけだ。

 素早くアーシアに近寄ると、ルークの力を発現。

 アーシアに取り付けられた拘束具を外す。

 

「上条……さん」

 

 弱いが、しっかりと笑みを見せてくれたアーシアの存在を確かめながら素早く祭壇のような場所を降っていく。

 

「逃げるぞ」

 

 上条はアーシアをお姫様抱っこし、全速力で階段を駆け降りる。

 当然、神父達からの攻撃が待っている。

 

「はあっ!!」

 

「えい」

 

 木場の剣と小猫の援護で無事に修羅場を潜り抜ける。

 

「先に行くんだ!!」

 

「すぐに追い掛けます」

 

「悪い。後を頼む」

 

 木場、小猫にこの場を任せる。

 神父達との戦いも上条には足手まとい。

 1対1でないなら『神器(セイクリッド・ギア)』があっても不利は否めない。

 

 彼らなら大丈夫だ。

 上条よりも「この世界」での戦いに慣れているのだから。

 

 今度は入り口まで、全速力で駆け上がる。

 外に出ると、壁付近で倒れていたフリードも消えていた。

 扉は開いていたので、何処かへ逃げたに違いない。

 

「何処に行こうというの……?」

 

 上条を追って、レイナーレが続いていた。

 上条はアーシアを降ろし、背中に庇いながら一歩、また一歩と後退していく。

 

「まさか、こんなに計画を狂わされるだなんて……思ってもみなかったわ」

 

 レイナーレは頭を抱える。

 だが、上条は拳を強く握る。

 木場と小猫は無事な筈だ。

 時間的にレイナーレがあの2人に構っている余裕はないのだから。

 

「お前……アーシアから『神器(セイクリッド・ギア)』を奪おうとしたな? 奪ってどうするんだ?」

 

「偉大なるシェムハザ様、アザゼル様に認めてもらう為よ。

 特にアザゼル様は『神器(セイクリッド・ギア)』の研究に務めているわ。『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』なんて素晴らしいものを渡せば私を部下に加えてくれる筈よ。

 アーシアにはその為の贄となり、光栄に思って死ぬのよ」

 

 笑っていた……純粋に、それが“間違いじゃないと彼女自身が信じていた。”

 

「ふざけんなよ」

 

 上条には悪魔の事や堕天使、天使の事なんてさっぱりだ。

 ましてや、ここは上条当麻が知っているのとは“全く異なる世界だ。”

 

「誰かに認めてもらいたい気持ちは分かる」

 

 インデックスは留学生として学生ライフを謳歌していて、御坂美琴は上条当麻の幼馴染みで、土御門や青髪ピアスも平和に過ごしている。

 リアスや朱乃、木場に小猫……そしてアーシアと知り合えた。

 

「だとしても、お前のやり方は間違っている」

 

 そうだとして、上条は本当に「この世界」を守る理由はない。

 

「誰かを犠牲にして成して良い事なんかじゃない」

 

 でも……それでも、後ろで怯えて泣いてしまいそうな少女を放ってなんておけない。

 

「そんな間違った事をお前にはさせない」

 

 上条当麻はそれだけの理由で戦える。

 

「お前は私の敵に……下手をすれば天使を敵に回すのよ?」

 

「そんなもん、どうでも良いよ」

 

 彼は記憶を失っており覚えてはいないだろう。

 かつて、超能力者(レベル5)の少女が命を狙われていた時に言い放った。

 それを今、上条当麻は叩き付けてやる。

 

 

 

 

 

「今にも泣き出しそうな女の子を守る側に立てりゃあ、こっちはそれで本望なんだよ!!」

 

 

 

 

 

 絶句するとはこの事だ。

 上条当麻は堂々と宣言したのだ。

 

 レイナーレを敵に回す――と。

 

「は、はははははははははははははっ!!」

 

 壊れたラジオのように、ただひたすらに笑い声だけを響かせる。

 

 おかしい。

 上条当麻の頭のネジが何本か飛んでいるんじゃないかと思えた。

 

 それほどまでに愚かな行為。

 悪魔になっての日は浅く、堕天使の自分に勝てる要素など皆無の彼が喧嘩を吹っ掛けてきた。

 

「その減らず口、叩きのめしてあげるわ」

 

「上等だ……やれるもんならやってみろ」

 

 己の両腕にぶら下がる武器を携えて、上条当麻は堕天使と対峙する。




如何でしたでしょうか?

プロモーションの件に関してはどうしてこのようになgっているのかは追々分かっていくと思います。

レイナーレの目的が少し変わっているかもしれませんが、そこは完全に忘れているところでした。
ただ、なんとなく認められたいみたいな事を言ってたような……なかったような。
温かい目で見守ってください。

さて、いよいよ1巻の内容も終盤です。

果たして2巻以降も続けられるのか……それは作者のやる気次第!!

次回の更新予定も再来週の日曜日の予定です。

他にも書いているので、是非とも読んでみてください。

ではまた。
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