1日遅れですね。続きです。
事件後、気絶した上条が目を覚ました時にはカエル顔の医者が一番に目に入った。
その時に「あ~、また入院ですかそうですか」と覚りを開いていた。
彼はグレモリー家が尤も贔屓にしている医者の1人らしい。
上条にとっても馴染み深い顔だった事もあり、安堵はできた。
顔以外の全身を包帯でグルグルと巻かれ、首から下だけミイラ男状態である。
入院中はオカルト研究会のメンバーに加えて両親、バイサー、クラスメイトなんかが見舞いに来てくれた。
入院中に訪ねてきた木場から事件後の事を聞いた。
アーシアは事件後に彼女の希望で悪魔になったようだ。
理由としては、既に教会の方から見限られているのに生きていると知られたらいつまた命を狙われるとも知れないからだ。
リアスの方もアーシアを気に入ったらしく、彼女の希望を受け入れた。
だが、この理由を告げたのはアーシアではない。なんとレイナーレだった。
レイナーレ自身は悪魔になってはいないが、まだこの街にいるらしい。
特に事件らしい事件も起こさずにいるようなので、一先ずはホッとする。
そして、事件から一週間程が過ぎてようやく上条は退院を許された。
「か・み・や~ん!! 久し振りだにゃ~!!」
「久し振りやね~!!」
「お前ら!! まだ怪我治ったばっかなんだから叩くんじゃねえ!!」
上条の背中を叩きながら三バカは上条の席の周りに結集した。
上条の退院を喜んだクラスメイトが「おめでと~」や「良かったね」と言ってくれる。
何だかんだで嬉しい事だ。
「上条君。退院おめでとう」
「ようやく退院したわね上条当麻。授業に遅れないようにしておきなさいよ」
純粋に上条の退院を祝ってくれた姫神と辛辣ながらも心配をしてくれる吹寄からの祝いの言葉を貰った。
とは言え、授業に付いていけるとは到底思えない。
元々高校1年の授業も怪しかったと言うのに、いきなり2年に上がった状態でスタートだ。
もはや低空飛行どころか、発進直後に地面へ大激突間違いなしである。
本当にあのような事件があった後とは思えない日常劇である。
元々、事件を終えれば日常の世界へ戻れていた上条の悪運の強さもあったりする。
しかし、常に不幸にまみれた生活を送る上条が気付く事は決してない幸運だ。
時間と言うのは無情にも過ぎていく。
小萌先生の「上条ちゃ~ん。バカなのに入院で遅れちゃったから補習で~す」の台詞を聞かされてからアンニュイな気分は消えてくれない。
補習の前に部活動に顔を出しておきたいと小萌先生に伝えてから部室に向かう。
リアスから退院後には部室に顔を出すようお達しを受けていたからだ。
「不肖上条当麻、恥ずかしながら帰って参りました」
「そんな軍人みたいな挨拶は良いから座りなさい」
上条のボケをほぼスルー同然で流しながらリアスは着席を促す。
部室には上条とリアスの2人っきりである。
年上のお姉様と2人っきりというシチュエーションは純情の代名詞(自称)上条当麻にはドギマギを禁じ得ない展開だ。
「あのリアス部長、俺に用事って?」
「ええ、実はねあなたの家に居候させたい人が2人も居るの」
意外な申し出――というか、何故に上条家なのか?
彼の疑問など何のその、リアスは部室の奥にある扉へ向けて「入って良いわよ」と言った。
そこから顔を出したのは我が駒王学園の制服に身を包んだアーシアとレイナーレが居たのだ。
「か、上条さん!?」
「なっ!? 居たのか!?」
上条が来る事は知らされていなかったのか、アーシアとレイナーレは顔を僅かに赤くしていた。
そんな2人を見て「眼福眼福」と心の中で拝む。
「2人には駒王学園に入学してもらうわ。そのための手続きに忙しかったの」
「そうだったのか」
レイナーレはともかくとして、アーシアが顔を出さなかった事に疑問はあったがこれで納得はできた。
「でもレイナーレは大丈夫なのか?」
彼女の犯した罪は出るところに出れば裁かれてしまいそうだが、リアスは言った。
「トウマが未遂にしてくれたから、アーシアもレイナーレには死んで欲しくないみたいだからね」
上条の意志を汲んでくれたのだと理解した。
何度も世話になってばかりで、申し訳無いと同時に嬉しさも込み上げてくる。
「さて、さしあたって彼女達にはトウマ家に居候させたいのだけど」
「いやいや、待ってくださいって!! 俺の一存で決められないですし、第一に親が――」
「お母様の許可は貰ったわ」
上条の反論をバッサリと蹴り捨てる。
いつの間に根回しをしていたのか。
母なら二つ返事で受け入れてしまいそうなので、リアスが頼んだ瞬間にOKを出すシーンが脳裏に浮かぶ。
「oh……」
普段の英語の授業では出せないネイティブな発音がこういう時に出せてしまう。
「まあ、母さんの許可があるなら別に問題は無いですよ」
「それは良かったわ」
アーシア達を路頭に迷わせる訳にもいかない。
それに母が知るなら上条が拒む事に意味は何らないのだ。
「じゃあ、早速だけどトウマに依頼が来ているの」
爽やかな笑顔でリアスは切り出した。
上条はと言うと「はい?」と嫌な汗がブワッと噴き出す。
「それって、もしやミルたんでせうか?」
「その通りよ」
「ミルたんさんですか?」
「あいつの依頼者なのはわかるけど、何か嫌な予感がするわね」
純粋無垢なアーシアは首を傾げ興味を持ち、レイナーレは上条の畏怖した様子からただ事じゃないと退いていた。
「大丈夫大丈夫。アニメの話を聞いてきて欲しいだけだから」
「全然大丈夫じゃないです事よ!? 上条さんのライフはゼロを通り越してマイナスの位置を示していますの!!」
「さっき行くって伝えちゃったから♪」
「何をやっちゃってるんですか!?」
上条の背中を押して、向かうよう促すリアス。
観念した上条は半泣きになりながら叫ぶ。
「不幸だぁぁぁぁぁあああああーーーーっ!!」
しかし思う。
アーシアもレイナーレも無事でいる事そのものは「不幸」なんかじゃないのだと。
そう思えるだけで上条は「幸運」だと知らされる。
依頼完了後、小萌先生の補習がある事を連絡を受けるまで忘れており、再び「不幸」と叫んだのは避けられぬ「
如何でしたでしょうか?
少々駆け足気味になってしまいましたが、これにて1巻・旧校舎のディアボロス編は終了です。
次からは2巻・戦闘校舎のフェニックス編の内容に入ります。
使い魔関係の話は最中に行いますので。
続きは再来週の水曜の予定ですが、出来なければその次の水曜になるかもです。
作者の他の作品もお願いします。
さて、そろそろ色々と紐解いて行きましょうかね