新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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1ヶ月ぶりの更新ですね

他のは更新していましたが、遅くなりました。

続きです。




示す道標は未だ見えず

 オティヌスを見付けたその夜。彼女は上条家に転がり込んでいた。

 母親にオティヌスをどう説明するか悩んでいたところ、リアスが催眠術らしき悪魔特有の術で丸め込んでくれた。

 しかし、体長15センチ程の彼女をどう説明したのかが気になるところではあった。

 

 そして今、上条当麻はオティヌスと2人だけだ。

 居候の身であるバイサー、アーシアとレイナーレは彼女達に宛がわれた部屋を利用している。

 年頃の男子と一つ屋根の下なのだからこの配慮は当然ではあるが、アーシアが不満がっていたのは珍しかった。

 

「さて、オティヌスは現状を理解している訳だな?」

 

「そうだ。だけど、“それは今夜までだ”」

 

 肯定の言葉の後に時間制限まで設けられた。

 

「今夜までって……どうしてだ!?」

 

「分からん」

 

 上条の問いをしかしながらオティヌスはその一言でぶった斬った。

 

「こっちに来てから『この世界』に違和感を覚えて記憶を取り戻せる時がある。それは基本的に1日だけだ。それを過ぎるとしばらくは思い出せなくなる」

 

 上条は唖然とする。

 オティヌスは小さくなり力を失ったとは言え、『魔神』と呼ばれる存在に変わりない。

 恐らく魔術の知識としても10万3千冊を記憶の中に有するインデックスに比毛を取らない。

 記憶が戻った際に対処が可能そうなのに……それすらさせて貰えなかったと見える。

 

「力を失ったとは言え、『魔神』としての知識を役立てられない敵が現れたという訳になる」

 

「そ、そんな奴が……」

 

 上条は愕然とする。

 インデックスの様子からも彼女も対処は出来ては居るまい。

 『魔神』の知識が役に立たない――言い換えれば“『魔神』すらも歯が立たない可能性がある。”

 

 考えたくもない。

 オティヌス相手に1万32回も殺されて勝てなかった。

 和解は出来たものの、結果的に勝ててはいない。

 

「この状況になった事に何か心当たりは無いのか?」

 

「あるには……ある」

 

 上条は『この世界』に来る前に出現した男を思い出す。

 その時の事を事細かにオティヌスに伝える。

 

「話からすると、その男に間違いは無さそうだ。しかし……」

 

 オティヌスは考え込む。

 彼女は何か気になる事があるのだろう。

 

「人間、これは相当に厄介な事になってるぞ」

 

「やっぱこれはお前がやったように位相された世界なのか?」

 

 位相――見え方を変えてしまった世界だったか。

 オティヌスは何度も何度も上条の心を折る為に世界を構築し直していた。

 それを応用か、もしくは実行したのかを知りたい。

 

「推測だが、ここは私がしたように“見え方を変えた世界ではない”」

 

 つまり、位相による世界の改革ではないと言える。

 オティヌスですら「推測」と前置きをする位だ。

 並大抵の魔術ではない。

 

「そう思う根拠は?」

 

「上条当麻。『この世界』で知った顔と知らない顔……どっちの方が多い?」

 

 オティヌスの唐突な質問ながら上条は思い起こす。

 知ってるのはインデックス、御坂、土御門、青髪ピアス、吹寄、姫神、小萌先生、母親、そしてオティヌス。

 新しく出会った主な人物はリアス、朱乃、木場、小猫、アーシア、レイナーレ、バイサー、フェニックス兄妹、グレイフィア――他にも居るが、こんなものだろう。

 

「大体同じ位かな……10人前後ってところだ」

 

「だとしたら、ここは“別の世界であって、そうでも無さそうだと思う”」

 

「………………ごめん。上条さんの頭だと付いていけない」

 

 額に手を当ててギブアップ宣言をする。

 上条でなくともオティヌスの発言には多大なはてなマークが浮かんでるだろう。

 

「上条当麻がいた世界が消滅してる訳じゃない」

 

 オティヌスは上条の右手を指差しながら告げる。

 そこにあるものは上条の代名詞『幻想殺し(イマジンブレイカー)』だ。

 

 これが有る限り、異能による世界改変では上条当麻の知る世界は消滅しない――正確には上条当麻が覚えている。

 それに世界を消したいなら上条当麻以外の存在は消え去る筈なのだ。

 

「何と言うか……お前の知る世界に“別の世界の在り方が上書きされたみたいな感じだ。”例えるなら赤と青を混ぜて紫になるようにな」

 

 絵の具で赤色を画用紙に塗り、その上から青色を塗る――それだけで色は入り交じって紫になるのと一緒だ。

 『上条当麻の知る世界』と『別の世界』が色彩のように入り交じってしまった結果が『この世界』という事となる。

 

 どちらの世界も死んではいない。

 もう片方は分からないが、少なくとも御坂美琴が超能力を、インデックスが魔術の存在を肯定した。

 上条当麻の知る世界は生きている証拠に繋がる。

 頭の中で上条は情報を1つ1つ着実に積み上げていく。

 分からない事は多いけれども、上条に分からない事柄をオティヌスが知る筈もない。

 思考のスパイラルに片足を突っ込みかけた上条を見てオティヌスが強引に話を続ける。

 

「一応は『この世界』に悪魔だの天使だの堕天使だのが居るのは知っている」

 

「美琴やインデックスの話だと超能力者、魔術師も居る筈だ」

 

 オティヌスに乗っかり、現状で新しく仕入れた情報をぶつけ合う。

 オティヌスは新しいものを、上条は知っている事柄がある事の再認識を行った。

 

「ふむ。恐らくこれだけの異能集団があるなら“何処かしらが事件に関与していても不思議はない”」

 

「つまり、何処かしらの陣営が引き起こした結果が今のこれだと?」

 

「しかも下手をすれば各陣営にも派閥があって、その中の一角やもしれん。もしくは集団なんて可能性も否定はせん」

 

 上条はリアスの顔を思い浮かべる。

 彼女は自分達の下僕となる悪魔を家族のように愛しながら「眷属」と呼んだ。

 ライザー・フェニックスの方も「眷属」と呼んでいたのを同時に思い出す。

 ここから悪魔側で派閥があるのが分かる。

 それは天使、堕天使にも言える。

 

 恐らく人間の人口以上に存在する筈だ。

 そんな中から犯人を探り当てるのは難しい。

 

「ぐっ……もう時間か!?」

 

 オティヌスが唐突に呻いたかと思えば、両手を地面に付いた。

 表情は雲っており、脂汗が見えている。

 顔色も何処か青かった。

 

「おいオティヌス!! どうしたんだ!?」

 

「すまん上条当麻……時間が来た。『元の世界』の記憶が封じられていく……当分は忘れている筈だ」

 

「なら!!」

 

 上条は迷わずに右手の人差し指をオティヌスは頭部に当てる。

 幻想を打ち消す力を存分に振るい、オティヌスに降りかかる幻想を打ち消して――

 

「無駄、だ」

 

 尚も冴えない顔色は続く。

 『魔神』という力にすら通用した『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が効いていない。

 

「恐らく世界そのものの修正……みたいなものだ。如何な『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と言えど、断続的に続く異能には無意味だ」

 

「断続的に続くって!?」

 

 オティヌスの返答に上条は驚愕を隠さない。

 明らかに記憶を封じられるという異能は関わっている。

 断続的に続く――即ち“今尚も記憶を封じる『異能』を扱ってるに他ならない。”

 

「敵かは、分からん。仮にそうだとして上条当麻……お前に何のアクションも起こさない事は気にはなる」

 

 上条の前で心配を掛けまいと気分の悪さを押し隠し、彼の疑問の種を取り除く。

 伝えられる事は今の内に伝えねばならない。

 

「悪意があるかは不明だがな……少なくとも上条当麻、お前は“必要だから消されていないようだ”」

 

「俺もそう思いたい」

 

 切っ掛けとなった男が告げた一言――君に行って欲しい世界がある――を思い出していた。

 そして、この発言のインパクトで忘れていたその一つ前の「君に頼みがある」も脳裏にこべりつく。

 悪意があるならこんな言葉を添えて、わざわざ目の前に現れるのか?

 会えたら説明する――最後にはそう呟いたのを忘れていない。

 

 

 

 

 

 何よりの不安は上条当麻を知っていた事だ。

 

 

 

 

 

 オティヌスとの一件は生中継されており、上条当麻の名前を知る者も少なくはない。

 

 学園都市第六位の超能力者(レベル5)藍花悦(あいはなえつ)を名乗った少年――しかし偽名で利用しただけで、本名は加納神華(かのうしんか)――が「握った拳で並み居る猛者どもを薙ぎ払い、気に入った女は老いも若きも丸ごとかっさらって草の根一本残さない」等というイメージ図があるのを教えてくれた。

 

 だとして、男の発言は“上条当麻の性格や行動原理を知っていると言わざるを得なかった。”

 

 何か……何か、上条の預かり知らぬ場で途方もない事が起ころうと言うのか?

 

「ともかくジタバタしても仕方無い……今のお前なら大丈夫だろうが、無茶だけはしてくれるな、よ」

 

「待ってくれオティヌス!! 俺にはまだ疑問は山程あるんだ」

 

 左腕に眠る異能について、彼女程相談に適した相手はいない。

 

「すま、ん……時間切れ、だ。翌朝ま、で、起きな――」

 

 言葉は最後まで紡がれず、オティヌスは眠ってしまった。

 無理をして話してくれたのが原因だと思う。

 顔色が悪かったにも関わらず、無理を押し通してくれたのだから。

 疑問は仕方無い。

 それでも、一歩でも前進できた事を静かに喜んでいよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は夢を見ていた。

 ここでいう「夢」とは「将来の夢」なんてものではなく、眠りに付いた際に見る「夢」。

 「夢」と言うのは脳が記憶した事を整理する機能がある。

 なのに、“全く知らない「夢」を見た。”

 

 ツンツン頭の少年と出会い、騒がしくも楽しい一時を過ごした。

 けれども、“そんな事は記憶に一切ない。”

 

「また……あの夢……」

 

 何度見たものだろう。

 それを見る度に奥底で燻っているものが吐露されそうになるが、喉元で引っ掛かってしまう。

 

「何が起こってるのかしら?」

 

 膝に肘を付いて頬杖で誰とも知れない人物に訊ねる。

 答える声はなく、もどかしさだけが残る。

 

 その「夢」の中で共通点がある。

 「現実」でも「夢」でも呼ばれている呼称があった。

 本名ではなく渾名――照れ臭く言うなら二つ名みたいなもの。

 何の為の行為なのか、「夢」と「現実」の境界が未だに曖昧だからなのか……「夢」で呼ばれたフレーズを口ずさむ。

 

 

 

 

 

「学園都市で7人しか居ない超能力者(レベル5)で『心理掌握(メンタルアウト)』か……」

 

 机の上に置かれた銀色の安っぽい防災ホイッスルを見詰めていた。




如何でしたでしょうか?

最後の人物……ええ、わかるでしょう!! わかるでしょう!!

いったい何きちなんでしょうかねー?何ほうさんなのか作者分からないですねー。

新刊を待っていたのはオティヌスとの一件後に“上条当麻がどれだけ世界に認知されているのかを知りたかったんです。”

藍花悦改めて加納が上条の噂を聞いていた事からどの程度の認知かを知る為にせっかくだからと引用しましたwww

少なからず、スキルアウト辺りは認知してるみたいですしね。


あと、書き忘れていたのですがレイナーレは天野夕麻で入学しています。

レイナーレは渾名みたいなものと認識されておりますが故にで。

さて次回は再来週辺りに更新できたらなーと思いますんで。

では、今回はこの辺で。
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