新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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すいません。

色々とあって遅くなりました。

続きです。


底知れぬ闇

 上条と食蜂は『風紀委員(ジャッジメント)』の所まで連れていかれた。

 

「上条さん……また巻き込まれたんですね」

 

 『風紀委員(ジャッジメント)』の詰所は思っていたより広かった。

 事務所という趣の方が強い。

 上条と食蜂は入ってすぐにある2人掛けのソファに腰を下ろしていた。

 

 初春がパソコンの置かれた机から立ち上がり、上条達の真向かいにあるソファに座る。

 書類を書いていたようだが、上条達の巻き込まれた事件の聴取の為に切り上げたのだ。

 

「全く。あなたは何度巻き込まれれば気が済むんですの?」

 

 初春よりも先にソファに座っていたツインテールで常磐台の制服を着ており、腕に「風紀委員」の腕章をした少女――白井黒子(しらいくろこ)が呆れ返る。

 仲良く……とまではいかないものの、顔見知りの仲ではあるらしい。

 

 現に上条の妙な巻き込まれ体質にも慣れ親しんでるように見受けられる。

 

「悪いな白井」

 

「あなたに関しては最早疑問に思いません」

 

 キッパリと言ってくれるのは嬉しい反面、悪い意味での信頼を勝ち取っている事に苦笑いを禁じ得ない。

 

「それよりも私が気になっているのは、何故食蜂さんが居るのか? という点ですわ」

 

「あっ、私も凄く気になってたんですよ」

 

 白井に乗っかる形で初春も質問をしてくる。

 元々は超能力者側の事には詳しい面子だ。

 なら、彼女の事を知っていても不思議はない。

 

「上から今回の男の件を解決するよう言われていたのよ」

 

「そうだったんですね」

 

 食蜂の回答に素直に頷く初春。

 しかし、白井黒子は訝しいとばかりに食蜂を睨んでいた。

 

「まっ、信じるのも信じないのもそちら次第よ。そこまでは私の知った事ではないし」

 

 別に積極的に敵を作る気はないが、必要以上に味方も居なくても構わない。

 彼女の手元には優秀な「駒」が能力によっていくらでも生み出せるのだから。

 

「それはそうと上条さん。あなたは先日もはぐれ悪魔に襲われたのではありませんか?」

 

「そうだけど……知ってたのか?」

 

「はぐれ悪魔本人から聞きましたの」

 

 正確には外見を説明されたらしい。

 でもそれで上条にたどり着いてしまう辺り、彼女達も上条当麻との関わりは浅くはないようだ。

 

「そこでですね。上条さんには当時の様子を聞きたいんです」

 

「当時の様子って……例えば?」

 

「その時のはぐれ悪魔の様子ですの」

 

 随分と的確なものだ。

 上条は特に気にもせずに当時の状況を説明する。

 

「なるほど……そうでしたの」

 

「その場にはレイヴェルってフェニックス家の御嬢様も居たから詳しく聞きたいならそっちに聞いてくれ」

 

 全部を話したつもりで見落としている点もあるかもしれない。

 ならばもう1人に聞くのがベストだと思う。

 

「いえ、今の話だけで色々と確信が持てましたの」

 

 これ以上は言うに及ばず――黒子は何やら確信を得られたようだ。

 当然と言えば当然の事だが、情報をほとんど持たない上条には分からない。

 

「その時のはぐれ悪魔…… それと今回の男にある共通点があったんです」

 

「共通点?」

 

「事件を起こしてからの事を“全く覚えていませんでしたの”」

 

 誤魔化していたからじゃ?――上条は出かかった言葉を呑み込む。

 それならわざわざ言う意味が無いからだ。

 

「嘘かどうかを見抜く能力者、悪魔の方も居ますから」

 

「本当に覚えていないって事か……」

 

「随分と厄介そうな案件ね。嫌になるわ」

 

 食蜂は呆れた様子だ。

 上条としても同意見だ。

 

(じゃあ……あの時のは気のせいじゃない?)

 

 上条が男を殴り飛ばした際に『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が反応した。

 となれば、何らかの異能が働いていたのだと考えるのが自然だ。

 

「誰かに記憶を操られていたとか、そういう所じゃないかしら? トリガーがあって、元に戻ったとか?」

 

「多分、そう考えるのが自然ですわね」

 

 食蜂の推理に黒子が頷いた。

 彼女の推理が正しいなら黒幕がいる。

 

「でも良いんですか? こんな話をしてしまって。私はともかく、この人を巻き込んで」

 

「ご心配には及びません。彼はそういう体質ですの」

 

 食蜂の心配を余所に、黒子はそう切り返した。

 妙な信頼のされ方だと思う。

 

「この殿方は無駄に色んな事件に巻き込まれますの。今回も2度も巻き込まれてしまっていますから、話して心構えだけでも伝えておかないと」

 

「上条さんはトラブル製造機ですか!!」

 

 自身の生活を振り返ってみる――うん、ごめん。トラブル製造機でした。

 

「それに今は悪魔なのでしょう? でしたら、これからそんな機会は多くなると思いますの」

 

「肝に命じておく」

 

「何かありましたらご連絡しますわ。恐らくお姉様経由になると思いますが」

 

「本当、助かる」

 

 学園都市の頃とは違った白井黒子の一面に上条は驚いてもいた。

 御坂美琴を崇拝するあまり、彼女と仲良くする上条当麻を目の敵とも言わんばかりで絡んできた。

 なのに今はこうして普通に接している。

 

(不思議なもんだな)

 

 仲良く出来るなら上条としても何の問題もない。

 話が終わりならこれにて退散――

 

「初春ーっ!! 差し入れ持ってきたよ~っ!!」

 

 元気よく扉が開かれると両手に袋を掲げた佐天と美琴が現れた。

 

 

「およ? 上条さん。来てたんですか?」

 

「まあ、色々とあってさ」

 

「どうせまた事件に巻き込まれたんじゃないの?」

 

 見てきたかのような的確なツッコミをする美琴。

 上条は「そうなんですがね」と返す言葉もない。

 

「最近噂のはぐれ悪魔の事件に巻き込まれていますの」

 

「全く……レーティングゲームも控えてるんだから、無茶だけはしないでよね」

 

 呆れも混ざっているように見えるが、美琴なりに心配してくれているようだ。

 

「ところで佐天さん……袋の中にマンガがあるのは何故です?」

 

「いやぁ~、ついつい買っちゃったんだよねー。私の部屋には置き場がもうないから、ここに置いてもらいたいなぁ~と」

 

「はぁ~、ここは物置ではありませんのよ」

 

 黒子は佐天の行動をジト目で睨んではいるが、咎めてはいないようだ。

 

「そんな事を言っちゃって~、皆も私が買ってきたマンガやライトノベルを読んでくれてるじゃないですか」

 

「まあ、そうなんですけど……」

 

「へえ、佐天のチョイスって面白いのか?」

 

 そこまで言うのなら気になる。

 

「これなんかおすすめですよ。科学の発展した世界で不幸と叫ぶ主人公が色んな事件に巻き込まれて解決していく作品です」

 

「何か親近感の湧く作品だな」

 

  まさしく自分の身に起きている事に投影される。

 上条に似合う作品だなと感じてしまう。

 

「こんなのもありますよ。主人公が突然悪魔になっちゃって、エロ関係で強くなっていくハーレムラノベなんかも」

 

「本当、チョイスが凄い!?」

 

 エスパーなのか!?――上条は思わず叫びたくなる。

 今まさに的を射るような佐天の持ってきた作品に上条は戦慄する。

 

「そんな事より……なんで食蜂まで居るの?」

 

「あらぁ? 私が居ると邪魔なのかしらね?」

 

 美琴と食蜂の間に見えない火花が飛び散る。

 

「それより上条さんはリアスさん達の所に行かなくて大丈夫なんですか?」

 

「あっ!! いけね!!」

 

 今日の補習を終えたら上条は先に向かったリアス達と合流する手筈になっている。

 初春に指摘されてようやく思い出す。

 

「悪いな。俺行くわ!!」

 

 上条は自分の使命を思い出し、急いで目的地へと向かうのだった。

 一方、美琴と食蜂は上条が去った事に気付かずににらみ合いを続けていた。

 

 

 

 

 

 

「もうすぐレーティングゲームだな」

 

 自室でライザーは戦略を立てていた。

 椅子に座り、正面のテーブルに広げた資料を眺めていた。

 レーティングゲームの会場は恐らくリアス達に地の利のある場所に設定される。

 

「ふむ。駒王学園とか言ったか。あそこだろう」

 

 初心者たるリアスに万一でも勝てる可能性を作るのなら、学園が一番の候補になる。

 

 レイヴェルからは上条当麻の自慢話をされてきた。

 可愛い自慢の妹にあそこまで言わせる彼を腹立たしく思うが――それ以上に上条当麻を警戒すべきな事が伝わる。

 

 彼は『赤龍帝』なのを除いても、敵との戦闘でフェニックスの炎に何らかの作用を起こして消し去ったらしい。

 それが炎限定なのか、はたまた偶然か――いずれにしても問答無用でこちらの遠距離攻撃を消されてしまうのならば対策を講じなければならない。

 

「全く、『雷光の巫女』よりも厄介そうな相手だ」

 

 ライザーはボヤく。

 心踊る……と言うよりは、危機を感じさせる相手も珍しい。

 下手をすれば敗北も有り得ると考えられた。

 

 

 

 

 

「お邪魔しま~す」

 

 

 

 

 

 直後、ライザーに悪寒が駆け巡った。

 椅子から立ち上がり、ライザーはすぐさまドアの方向へ身体を傾けた。

 

 〝それは〟実に奇妙だった。

 全身が真っ黒なのだ。

 いや、黒い光が人間の姿をしていたのだった。

 手、腕、足、頭、体つき――全ては人間の全体的なシルエットではあるが、そのどれもが黒い光によって形成されていた。

 しかも、顔にあたる部分は白い面に黒い丸で目と口が描かれているだけだった。

 ムンクの叫びを彷彿とさせる顔つき――だが、そんな感想を抱く余裕がライザーにはなかった。

 

(なん、だ!?)

 

 手の平に汗が湿っていた。

 対面しているだけでプレッシャーに押し潰されてしまいそうだ。

 

「貴様は誰だ!? そもそもどうやってこんなところへ来た!?」

 

「そこは能力で、ね」

 

 弾む声音で黒い光を象った相手は告げてくる。

 

 

「オイラはガープだ。よろしく」

 

 何気のない自己紹介、だけどもライザーは戦慄する。

 何故だ? 何故こうも簡単に潜入を許してしまった?

 

「さ~て、御仕事しなくちゃね~」

 

「ちいっ!!」

 

 ライザーはコンマ1秒とて迷わなかった。

 腕を炎と化し、火炎放射機も顔負けの炎を噴射する。

 触れれば火傷などで済まない――それだけの熱量のものだ。

 

「あ~、こういうのは良いよ。めんどくさい」

 

 表情は読み取れない。

 だけども声音や口調から“本当にめんどくさがっているのが伝わってきた。”

 

 炎はガープに当たる事なく、脇へと逸れた。

 

「な、なぜっ!?」

 

「考えるだけ無駄」

 

 ライザーは気付けば首根っこを掴まれていた。

 締め上げられ、足に地が着かないよう持ち上げられる。 

 そんなにも力があるのかと、ライザーは戦慄した。

 

「んじゃ、悪いけどオイラの為に……働いて貰うよ」

 

 無表情なガープの顔が邪悪な笑みに染まった気がした。

 ライザーの記憶は、そこで途切れるのだった。




さて、如何でしたでしょうか?

今回、黒幕らしき人物が登場!!

もう原作とは全然違った方向に向かってますよ~。

ではでは次回は3週間後位にできたら良いなと思いながら
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