新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

サブタイも適当になる位に思い付かない……(;_;)

続きです。


上条君の不幸具合を舐めてはいけないのです

「遅いわねトウマ」

 

「何かあったのでしょうか」

 

 ここはグレモリー家の所有する合宿所――という名前の別荘――だ。

 人間界に用意されており、場所は山奥。

 人の目に付かないように結界も張っているので、誤って一般人が入り込む余地もない。

 

 そこにリアス達グレモリー眷属は来ていた。

 明後日に迫るレーティングゲームに勝つ為に訓練してきた。

 しかしながら、1人だけほぼ不参加の人物がいた。

 

 上条当麻――学校の後輩だ。

 ひょんな事から上条はリアスの『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を吸収した事で悪魔になった少年だ。

 

 だが、かなり順応性が高いようで、上条は悪魔の生活に慣れていった。

 普通なら戸惑いの方が多い筈なのに、そんな素振りを見せず……上条は悪魔と向き合ってきた。

 

 そんな彼もこの合宿に参加する予定だったが、補習で初日からの参加は無理となり、2日目以降に来る手筈なのだったが……

 

「はぐれ悪魔との遭遇、こっちへ向かう電車が丸一日動かなくなる、不良と一日鬼ごっこ――他にもあったし、もうトウマが何かしらに巻き込まれてるのは間違いないと思うわ」

 

 まだ短い期間でしかないが、上条のギャグとしか思えない不幸っぷりは目の当たりにしてきた。

 よくもまあ次から次へと不幸を呼び込む。

 

「上条先輩はこっちへ向かってるんですか?」

 

「今朝こちらに向かったみたいですわ」

 

 小猫と朱乃は到着の遅い上条の行方を推理しようとしていた。

 今の時刻は夕方。とっくに着いていてもおかしくはない時間帯だ。

 

「案外、動物に襲われてたりして」

 

「何を言ってるのよ祐斗。この辺りに動物なんて……」

 

 いない――そう続けようと思うのを止めた。

 上条の不幸は物理法則を曲げそうな気がしたのだ。

 多分、もはや理屈ではなくて笑いの神様がわざわざ引き起こしてる……そんな気がしてならない。

 

「有り得そうね……」

 

 木場の冗談は笑い話ではあるものの、上条なら引き起こしかねない気がする。

 

 上条の行方について、考えを巡らせている時だった……。

 ピンポーン――インターホンが鳴った。

 

「誰かしら?」

 

 リアスは不審に思いながら木場を引き連れて玄関へ向かう。

 

「どうもリアス部長」

 

 玄関を開けた矢先、上条が立っていた。

 しかし、学ランで来たのか制服は汚れて泥がへばりついている。

 それだけじゃない。髪には葉っぱが付いているし、服も髪も濡れているではないか。

 

「遅れました」

 

「遅れましたじゃないわ!! どうしたの!?」

 

 上条の姿を見てリアスは驚く。

 主の荒げた声が気になったのか、何事かと残りのメンバーも玄関に集まる。

 

「熊に遭遇して逃げ出して崖に落ちたら、湖があってワニが出てくるから必死に逃げて、猪に撥ね飛ばされて――」

 

「ごめん。もう言わなくて大丈夫」

 

 聞いてるだけで胸が痛くなりそうだ。

 リアスは制止の言葉を掛ける。

 

「とりあえずお風呂に入ってきなさい。案内するから。祐斗は着替えを用意してくれる?」

 

「分かりました部長」

 

 

 

 

 

 上条は風呂から上がってサッパリしていた。

 汚れていた服も今は洗っていて、学校指定のジャージを着用している。

 

「リアス部長には念のために謝っとかないといけないかな」

 

 度重なる不幸によるものだと分かってくれている辺り、上条の事はほとんど理解してくれてるようだ。

 でも、遅くなったのは事実。

 もうレーティングゲームまで日がない事を考えると、申し訳無い気持ちで一杯になる。

 

「居た」

 

 花畑に囲まれた庭園。

 その中心の噴水の付近にある休憩用の丸テーブルと椅子。

 狭いスペースだが、4人位なら座るのに訳がない。

 今、リアスはそこを1人で陣取っている。

 

 珍しく眼鏡を掛けている彼女の姿に上条は驚いていた。

 同じくらいにそこで何をしているのかと首を傾げそうになったがテーブルの上に置かれたファイルを見て確信を得た。

 きっと、あれはフェニックス家の資料なのだろうと。

 

「リアス部長」

 

「トウマ。もう大丈夫なの?」

 

 読んでいた資料を止め、顔を上げる。

 上条は「まあ」と心配される事もないのに歯痒くなった。

 

「すいません。もう少し早く着ければ良かったんですが……」

 

「まあ、トウマの不幸っぷりは知っているから。気にしなくても良いわ」

 

 分かってくれるのは実に嬉しい。

 いつものパターンなら噛み付かれたり、電撃を飛ばされたり、理不尽な頭突きを噛まされたりする。

 何というか新鮮で、知らずに涙が流れてしまう。

 

「あの、それってフェニックス家の資料ですか?」

 

「ええ。よく分かったわね」

 

 でなければあんなにも真剣に読み込んでもいないし、時期が時期だけに気分転換に関係ない資料を見るとな思えなかった。

 

「何か分かったんですか?」

 

「ええ、厄介な相手という事がよく分かったわね」

 

「厄介な……相手?」

 

 鸚鵡返しに上条は質問を投げる。

 彼の投げた質問のボールをきちんとリアスは捕球した。

 

「フェニックス――その名の通りに不死鳥のように何度でも傷を再生させるのよ」

 

「つまり、何度倒してもすぐに起き上がるって事ですか?」

 

「端的に言うとね」

 

 リアスの表情は重い。

 初めてのレーティングゲーム。

 対戦相手がフェニックス家という事も不安要素としてのし掛かっていた。

 

 それだけなら未だしも、ライザーは戦績もめざましいものがある。

 一筋縄どころの話ではない。

 勝利をもぎ取るにしては難しい相手にも程があった。

 

「大丈夫ですリアス部長」

 

 しかし、上条当麻には“不利には思えない。”

 

「確かに今の話が本当なら厄介です。でも……勝算がない訳じゃない」

 

 例えば“物理的に殴られればどうだ?”

 確かに怪我なんかは消えるだろう。

 体力も回復しよう。

 だけども、一度覚えてしまった身体の痛みを精神が忘れられる筈もない。

 

「でもこっちも何か欲しい……敵を出し抜ける、一発逆転を狙える切り札が……」

 

「あっ――」

 

 リアスの言葉で上条は自分の失念している事柄を思い出した。

 まだ彼女には“右手について何も教えていなかった。”

 

「リアス部長。俺の事についてなんですがね」

 

 丁度良い機会だ。

 この際なら話してしまおう。

 別段、隠すような事柄でもないのだから。

 

「トウマの事?」

 

「実は俺には『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』以外にも能力が1つあるんです」

 

「そうなの!?」

 

 上条の思わぬ告白にリアスは驚きに目を見開いた。

 それに小さく頷き、何度目かのキャッチコピーを右手を突き出しながら告げた。

 

「それが例え戦略級のレールガンだろうが、絶対の防御力を誇る盾だろうが、神の奇跡だろうが――異能の力なら打ち消してしまう『幻想殺し(イマジンブレイカー)』なんて力が宿ってます」

 

「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』」

 

 上条の能力名をなぞるように反芻した。

 彼女にも聞き及ばない内容だろう。

 異能の力を打ち消す――(にわか)には信じがたい話だ。

 

「まあ、異能の力以外にはてんで無力ですけどね」

 

「いえ、だとしても凄い能力よ」

 

 そう。まさしく異能の力と言って差し支えない能力を扱う悪魔、堕天使、天使だけではない。

 大天使、魔王、神の能力でさえ打ち消されるのならば、天敵中の天敵の能力。

 まさしく幻想に生まれし者を殺す為の能力。

 

 知らず、彼女の背筋も凍る。

 この力は“異能持ち全てへの切り札となる。”

 無論、異能を得意とするライザーにでさえ。

 

「じゃあ、あの時に能力を消していたのは気のせいでは無かったのね」

 

 リアスが指摘したのは部室で美琴が電撃を飛ばしてきた時の事だ。

 お流れになってはいたが、上条は条件反射に電撃を打ち消していた。

 信じづらい話も、その時の事を思い出せば信用に値する。

 

「この事はライザーは?」

 

「多分、知ってます。妹のレイヴェルに見られてはいたから……」

 

 はぐれ悪魔との一件はリアスの耳にも届いていた。

 その場にレイヴェルが居合わせていたのは初耳だが。

 

「となるとライザーの耳にも届いていても不思議はないわ。そこの所も考えないと」

 

 それにリアス同様に部室の一件で気付いた悪魔もいる可能性を考慮せねばいけない。

 でも、見えていたとしてもデメリットばかりではない。

 上条には『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』がある。

 その身体能力も含めれば鬼に金棒だ。

 

「一応弱点も……ハクションッ!?」

 

 上条が己の右手の効果範囲や『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』との相性の悪さを説明しようとした。

 だが、唐突なくしゃみが起こる。

 

「あ、あれ……?」

 

 上条はフラつき始める。

 地に足が付かない感覚がする。

 

「どうしたのトウマ!?」

 

「あっ……」

 

 答えるよりも先に上条は倒れてしまった。

 リアスの心配そうな言葉を最後に、上条の視界が暗転すると同時に意識が途絶えた。




如何でしたでしょうか?

今回は内容も短いでしたのは反省。

そして遂にリアスに右手の存在を伝える上条。

何やら彼の状態は雲行きが怪しくなってきている。

果たして何が起こったのか!?

多分察しの良い人には気づかれそう。

では、待て次回!!

次回は3週間後の予定です。

短編で六畳間の侵略者の小説を要望があったので作ってみました。
初見でも楽しめると思うので読んで見てください(ステマ乙)
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