新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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はてさて、お待たせしました。

何とか、何とか半年よりも前には書ききれた。

では、続きをどうぞ。


共同戦線②

 木場に「今、教会の2人に会っている。木場にも来て欲しい」と電話した。

 すると文句の一つも漏らさずにファミレスに訪れた。

 一触即発になる前に上条が席に促し、先程までの話を説明する。

 

「話は分かったよ」

 

 注文したコーヒーに口をつけながら木場は冷静にこれまでの話に耳を傾けてくれた。

 

「エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけど」

 

「ずいぶんな言いようだな。そちらが『はぐれ』なら問答無用で斬り捨てているところだ」

 

 両者は視線で火花を散らす。

 

「ストップストップ!! 共同戦線なんだから喧嘩はご法度だぞ」

 

 只でさえチームワークとはかけ離れたチームなのだ。

 これで喧嘩まで起こしては契約も御破算となる。

 

「『聖剣計画』のことで恨みを持っているのね?」

 

「当然だよ」

 

 イリナの突っ込んだ問い掛けでエクスカリバーと教会に木場が怨恨を抱いているのは確かだ。

 静かな、それでいて怒りに満ちた声音で木場は告げた。

 

「けど、その話をいつの間にしたのやら」

 

「上条先輩が補習を受けてる最中です」

 

 上条の呟きに小猫が答えてくれる。

 それが無くとも一触即発の空気になった事を思えば分かるだろう。

 

「でもね、木場くん。あの計画のおかげで聖剣使いの研究は飛躍的に伸びたわ。だからこそ、私やゼノヴィアみたいに聖剣と呼応できる使い手が誕生したの」

 

「だが、計画失敗と断じて被験者のほぼ全員を始末するのが許されると本気で思っているのか?」

 

 木場の瞳には憎悪の感情が噴き出していた。

 上条だってこんな胸糞の悪くなる話を聞いていて平然としていられない。

 残酷な処分を聞けば、神の信徒が行うにしては非人道的だ。

 木場の話を聞いてる限り、イリナも困惑しているのが目に見えて分かる。

 そこへゼノヴィアが話に割って入る。

 

「その事件は、私たちの間でも最大級に嫌悪された一件だ。処分を決定した当時の責任者は信仰に問題があるとされて異端の烙印を押された。今では堕天使側の住人さ」

 

「堕天使側に? そいつの名前は?」

 

 上条も興味を惹かれ、ゼノヴィアに名前を問う。

 

「バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ」

 

「バルパー・ガリレイ…………」

 

 仇敵の名前を胸に刻み込まんとばかりに木場はその名前を呟く。

 

「堕天使を追えば、その者にたどり着くかな」

 

 木場の瞳に憎悪以外に決意を感じた。

 根本は変わってはいまいが、それでも目標が分かっただけでも前進と考えて良さそうだ。

 

「そうなると、僕も情報提供をしておかないとね」

 

 一拍置いて木場はコーヒーを一口含んだ後に話を続ける。

 

 

「先日、エクスカリバーを持った者に襲撃された」

 

 木場からもたらされた情報は全員を驚かせるに十分過ぎた。

 しかし、例外は上条だけ。

 彼は事前に御坂美琴から話を聞かされていたからだ。

 

「神父が一人殺害されていた」

 

 起きた事実のみを淡々と述べる。

 悪魔の仕事柄、そういった生死に関わるものはまとわりついて回る。

 それでも上条と何ら変わらない年齢の少年が言うのでは重味が違う。

 

「相手はフリード・セルゼン」

 

「なるほど、奴か」

 

 木場の口から出てきた名前にゼノヴィアが納得したと言わんばかりに目を細める。

 

 フリードの事は上条達も知っている。

 特に上条には忘れたくても忘れられない存在だ。

 アーシアのクソ野郎としか言えない上司だ。

 上条の知る赤い髪の年下不良神父は話がわかる分だけ全然違う。

 

 しかし、気になるのはフリードの情報だ。

 

「あのイカれ野郎のことを知ってるのか?」

 

「ええ、元ヴァチカン法王庁直属のエクソシスト。13歳でエクソシストになった天才。悪魔や魔獣を次々と滅していく功績は大きかった」

 

「だが奴は同胞すら手にかけた。フリードには信仰心など持っていないのだからな」

 

 バケモノへの敵対心と殺意、異常なまでの戦闘執着――――本当に数度の邂逅でも上条も彼の異常性には気付かされる。

 案の定、手に余る存在なのは教会側も同様だったようで異端にかけられるのも時間の問題だったそうだ。

 

 イリナの説明からもフリードはイカれた性格な側面で天才だったと語られ、ゼノヴィアから補足説明を聞く。

 それだけでもう頭が痛くなる。

 

「話を聞くにフリードは奪った聖剣を使って同胞を手にかけた訳か。処理班の後始末できなかったツケを私たちが払うことになるとはな」

 

 忌々しげに口にするゼノヴィアからフリードが如何に嫌悪されていたのかが窺い知れる。

 

「でも当麻くんは何でフリードのことを知ってるの? さっきだって彼の名前だけで『イカれた野郎』とか言ってたし」

 

 話が一度落ち着いたのを見計らい、イリナが目敏く訊ねてくる。

 上条はと言えば「あー」と天井へ目を向ける。

 と言うより、現実逃避をしたがっているようにも見えた。

 

「実はですね~、アーシアの一件にフリードのイカれ野郎が絡んでおりましてですね…………その際に戦ったわけなんですよ、はい」

 

「確か、アーシア・アルジェントが悪魔になったと噂があった頃に奴も来ていたと話は聞いていたが……実際に戦っていたとは」

 

 上条――――その場には木場や小猫も居たのだが、そこは割愛させてもらおう。

 目を付けられたのも“そこ”が原因だと思われる。

 

「2回もあいつと戦うはめになって、どっちも何とかあしらったんですがね………………その時にフリードのブラックリストに載っちゃったみたいなんですよ、これが」

 

 誰が? 言うまでもない、上条当麻がだ。

 その申告は実に物々しい。

 イリナとゼノヴィアは目を付けられた上条に合掌すると同時にとある疑問が浮かんだ。

 

「しかし、奴と2度も相対して生き残ったのか?」

 

「いや、そこの木場や小猫の力も借りたけど…………」

 

「それでも一度は自分の力だけで退けています」

 

 ゼノヴィアの質問に上条は素早く答えるも、小猫が補足する。

 それを聞いてイリナとゼノヴィアは信じられないものを見る目で上条を見る。

 

 今代の『赤龍帝』の上条当麻の噂は耳にしている。

 ライザー・フェニックスを単騎で破った話は多くの勢力が知る話である。

 肝心の勝利した部分がボカされてはいるものの、プライドの塊のようなライザーが自ら敗北を認めていた。

 実力はあるのだと思っていたが、悪魔に成り立ててフリードすら退けたとは。

 それは彼も目を掛けるのは間違いない。

 

「ふっ、この一件が済んだら手合わせ願いたいものだ」

 

「上条さんは争い事が苦手なので勘弁してくれ」

 

 戦闘民族ではない上条には嫌な申し出だ。

 

「とりあえず、エクスカリバー破壊の共同戦線だ。何かあればここへ連絡をくれ」

 

 メモ用紙とペンを取り出してスラスラと連絡先を書いて渡してくる。

 

「わかった。俺の連絡先を教えて――――」

 

「そこは大丈夫。昨日おばさまから教えて貰ったから」

 

「個人情報保護法は無いのでせうか!?」

 

 イリナがさらりととんでもない事を言う。

 息子への断りもなしに言わないでくれ――――目に浮かぶ自身の母親が「あらあら」と笑いながら教えているのが容易に想像できてしまった。

 

「では、そういうことで。食事の礼はいつかするぞ。『赤龍帝』の上条当麻」

 

「食事ありがとうね当麻くん。悪魔だけど、当麻くんの奢りなら主もOKサインをくれると思うからまた奢ってね」

 

 両者共にお礼を述べる。

 しかしながらイリナのは上条の財布に打撃を与えてくるような言葉を言い残さないで欲しい。

 それに信仰心はそれで良いのかと問い詰めたくなる。

 

 かくして、教会コンビは先にファミレスを出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

「上条くん、何故こんな事を?」

 

 教会コンビが去ったファミレスにて、木場は真っ先に上条へ質問した。

 彼の懸念は実際に正しい。

 何と言っても悪魔側と神側との軋轢から戦争の火種になることも十分に考えられた。

 失敗したらイリナはともかくとしてゼノヴィアはエクスカリバーで両断をしようとしても何ら不思議は無かったのだから。

 

「前に言わなかったか?」

 

 それでも上条は怯む事などない。

 彼には彼なりの決意があって木場の為に奔走した。

 そこにはあの雨の日の取り決めが上条の中にあったのだ。

 

「お前が復讐をするのを止める権利なんか俺にはない。だけど、本当に引き返せなくなるようなところまで走るって言うなら殴ってでも止めてやるつもりだからだ」

 

 あの時とはニュアンスこそ変わってはいるが、根本は変化していない。

 木場が歩く棘の道を邪魔するつもりはないが、そのまま突き進んで取り返しの付かない結果が待ち受けるなら上条当麻はその拳を振るう事を躊躇わない。

 

「何故、そこまで? 僕を『はぐれ』にしたくないからかい?」

 

 もしもはぐれ悪魔となるなら迷惑を被るのはリアス・グレモリーだ。

 主の為に上条当麻は走るのか?

 

「いや、そういうのじゃ…………ないな」

 

 それは“上条当麻の事を良くも知らない人物の言い掛かりだ。”

 彼が奔走する理由の大半は他人絡みが多い。

 自分の為に駆け続けた戦いなんか、きっと片手で数えきれる程ではあるまいか?

 

 そう、自身の為に戦ったのは一番記憶に刻まれるのはオティヌスとの戦いの記録。

 自分がこれまで歩んできた人生を踏みにじられ、貶され、指を差され、言われ、見せられ、突き付けられて――――叱咤を貰いながら上条当麻は必死に自身を奮い立たせて戦った。

 その結果が上条当麻は自身の我が儘を貫き通して彼の望んでやまない世界を取り戻せた。

 

 上条当麻の戦いの原動力は基本的に『他人の為に奔走する』事が最終的に多い。

 けれど、決して“自分の為に動かない訳じゃないのだ。”

 

「友達だからさ」

 

 さらりと、恥ずかしげもなく上条当麻はたった一言を告げた。

 それを聞いた一堂の唖然ぶりは凄かった。

 

「ぷっ――――」

 

 反応を最初に示したのは当人の木場だ。

 堪えていた笑いが吹き出てしまった――――そんな感じな気がする。

 

「けど、それでも――――」

 

「私は、祐斗先輩が居なくなるのは…………嫌です」

 

 木場が言い切るのを先回りして小猫が割り込む。

 寂寥感…………それを前面に押し出した小猫の言葉。

 

「はは、参ったね…………小猫ちゃんにそう言われると…………」

 

 後輩女子からこうまで言われ、木場の雰囲気が普段のものに戻っていく。

 

「わかったよ、今回は好意に甘えるさ。真の敵も判明したしね」

 

 観念したとばかりに木場は両手を挙げて「降参」のポーズを取る。

 一番の目的が達成できた事に上条はガッツポーズを取る。

 

「あの~」

 

 そんな中で居心地悪くするのは他でもない匙だ。

 話を聞いてしまったが故に引き返せなくなったのはどうやら彼の方だったようだ。

 

「俺は…………関係無くない?」

 

「乗り掛かった船です」

 

「既に出航して辺り一面は海しかないな」

 

「それ酷くねえか!?」

 

 小猫と上条の連係プレーのような言い出しに匙は半泣きになる。

 最終的に残るのを決めたのは彼自身だったと上条は記憶している。

 

「そもそもエクスカリバーとか、木場がどうとか……何がどうなってるんだ?」

 

 そうやって聞いてくる辺りは気になってしょうがないのではないかと上条は思ったりする。

 

「それじゃあ、少し話すよ」

 

 何を? 聞かなくとも分かろう。

 木場祐斗のこれまでの壮絶な物語を…………だ。

 

 

 




如何でしたでしょうか?

中途半端な感じはありますが、ここで一区切りさせて下さい。

共同戦線締結までは何とか持ってこれた~

今後の上条さんもぜってえ見てくれよな

では、次回に(シュバッ!!)
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