新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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お久し振りです。

最後の更新から約3年半位も音沙汰無しで申し訳ありませんでした。

詳細と言うか、ざっくりとですが活動報告に言い訳はある程度は書いておきました。

内容を忘れたという方も居るでしょうが大丈夫です。
作者もあまり覚えていません(笑)

久々の更新ではりきりました。
続きです。


計画性を以て行動しよう

 上条は小猫、木場、匙を引き連れて歩いていた。

 全てはフリードを発見する為にだ。

 ただ、町中を適当に歩くだけでは周囲の人にも危害が及ぶ。

 フリードがアーシアのように心優しい性格なら良かったのだが、神父とは到底思えない程に歪みきった性格の奴にそんな期待など出来やしない。

 故に町中での衝突を避ける意味でも街の外れを歩き回る結果に繋がる。

 

 それにフリードの立場で考えるならグレモリーの他にもシトリーがテリトリーとする場所を大手を振って闊歩していれば即座に捕まるリスクがある事は容易に想像できる。

 御坂の話で木場とフリードの衝突の一件は耳にしている。

 それでも周囲に人が居ない場所での出来事だった。

 偶然か必然かは上条にも分からない。

 だが、狂った性格のような奴が町の近辺に住んでいても事件を何も起こさなかった事から計画的に行動しているのは確か。

 

 バックに付いている“奴”が入れ知恵している可能性は大いにある。

 そして、バレないように街から離れているのも事実。

 なので、探索する場所は限られてくる訳だ。

 

「ところでこの格好は目立たないか?」

 

「それも目的ではあるけど、力を抑える為だからな」

 

 匙が疑問を口にし、それが狙いだと上条は返した。

 今全員が魔の力を抑える神父服を着ている。

 

 今回のフリードもそうだが、14歳のくせにタバコを吸う不良神父の印象も強いせいで上条の心情的には複雑なものがある。

 しかし、それすら押し殺して上条は目的遂行の為に神父服を着る。

 

 町外れで目立つ格好で歩き回る事で、フリードなら勘づいてくれるだろう。

 魔力を抑えるのは、奇襲が可能だった場合の保険でもある。

 

「まあ、経験的に奇襲されるだろうから警戒するに越した事はないな」

 

「奇襲前提の策かよ!?」

 

「不幸に愛される上条さんを舐めてはいけません事よ? こういう時は最低値を考えておくのがベストなのです」

 

 分かるような気もするが、上条は上条なりに考えているのだと匙も理解する。

 内容は考えないものとする。

 

「何故か納得出来てしまいます」

 

 上条の自虐に等しい発言に納得の言葉を投げたのは小猫だった。

 

「この辺を歩いてる内に出会うだろ」

 

「どうしてそう思うんだい?」

 

 木場からの問い掛けは尤もだ。

 この辺りにいればフリードと出会える確証は何処にある?

 

「ちょっとした情報をキャッチしてな」

 

 情報提供者は言わずもがな土御門元春。

 土御門には記憶が戻った際に録画した映像を見せ付けた。

 これで彼に協力を取り付ける事が可能となった。

 

「闇雲に歩いてるよりは――――」

 

 

 

 

 

「神父の一団にご加護あれってね!!」

 

 

 

 

 

 直後の事だ。

 頭上から長剣を構えた白髪の少年神父――――フリードが降ってきた。

 

「っ!!」

 

 木場が魔剣を造り出し、フリードの長剣と一瞬だけ交錯し、弾いた。

「フリードか!?」

 

「その声は上条くんかい!? これはまた珍妙な再会劇でござんすね!!」

 

 上条がフリードの名を呼ぶと、声に反応してフリードが笑みを浮かべながら言う。

 その笑みは友好関係を築こうだなんてポジティブな感情ではない。

 獰猛な、獲物を見付けた動物のような好戦的なものである。

 

「戦闘は避けられないって事か」

 

 元より相手がフリードである事から予想できた展開だ。

 比べるのはよろしくないが、どっかの喫煙不良神父の方が百倍マシに思える。

 世も末だ。

 

「喋ってる暇はないよ!!」

 

 木場が『騎士(ナイト)』の力を存分に発揮し、魔剣を持って疾駆する。

 

 キィィィィィンッ!!

 

 魔剣と聖剣が衝突する。

 直後にフリードは後ろへ跳ぶ。

 

「逃がさない!!」

 

「ははっ!! 猪みたいだね!!」

 

 逃げるフリードを木場は追い掛ける。

 速度で勝てるのは木場だけだ。

 フリードは彼を猪と評するが、木場は意外と冷静だと言える。

 それにここで木場がフリードを抑える事に意味がある。

 これは上条の“段取り通りだ。”

 

「匙!! 頼む!!」

 

「分かってらぁ!! 伸びろ、ラインよ!!」

 

 匙の手の甲にはかわいらしくデフォルメ化された龍の顔が装着され、その口から黒く細い触手らしきものがフリードめがけて飛んでいく。

 

「うぜぇっ!!」

 

 フリードは舌打ちしながら聖剣で薙ぎ払おうとする。

 しかし、その動きを読んでいたのか、触手は軌道を下へ変えてフリードの右足に巻き付く。

 

「ちょこざいな!!」

 

 聖剣で斬り払おうとするも触手をすり抜ける。

 当たらなければ切断する事は決して叶わない。

 

「事前に用意していた策がピタリと填まりました」

 

「ああ」

 

 『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の譲渡の力を溜めながら気を窺う上条の横で小猫が策が上手くはまった事を声の低さとは裏腹に安堵していた。

 

 これでもフリードとは何度か相対している。

 彼の剣の腕がどれ程優れているのかは上条には残念ながら分からない。

 けれど、上条の見立てでは木場も負けてはいないと踏んでいる。

 

 後ろで上条が譲渡の準備、小猫には怪力を用いてフリードが逃げ出すようなら封じ、匙の『神器(セイクリッド・ギア)』で動きを封じながら――――

 

「おっ、と!?」

 

 木場と剣で打ち合うフリードの身体がよろめき始める。

 それを見逃す木場ではない。

 

「っ!!」

 

 息を呑む程の速さ。

 上条からすれば文字通りの「目にも止まらぬ速さ」を披露する。

 

「ははっ!! やるね!! やるね!!」

 

 狂喜に彩られた表情と歓喜の声が轟く。

 フリードは根っからの戦闘狂いだ。

 

 金属のぶつかり合う音がする。

 木場とフリードが互いに腕を振り、その度に甲高い音が上条の所まで届く。

 

「本当に食らい付くねえ!! 俺さまのエクスカリバー『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』は速さが一級品の代物なのにさ!!」

 

「っ!!」

 

 フリードは余裕の表情で聖剣を振り回す。

 対する木場は――――素人目の上条から見ても“劣勢なのは窺えた。”

 

 分かりやすく、木場はフリードへの対処に苦悶の表情を作っている。

 上条の推測では、木場は速度で負けつつあるのではないか。

 有り得ない話ではない。

 

 今、フリードが溢した言葉からも奴の聖剣は『速度特化』となる。

 『騎士(ナイト)』の木場を圧倒している事から妄言でも何でもない事が伝わってくる。

 

「このままでは、危ないです」

 

「小猫!! 頼む!!」

 

 上条は短く小猫に言葉を掛けると、脱兎のごとく駆け出した。

 プロモーションは使っていない。

 使って力を消費せず、蓄え力を譲渡する事を考えるべきだ。

 

 そして、小猫へ言葉を掛けたのは他でもない。

 フリードの動きに“制限を設ける為だ。”

 

「はっ!!」

 

 無造作にそこいらに落ちている石を複数投げる。

 投擲は当たらなくても問題ない。

 必要なのはフリードに“小猫が投げている情報を与える事だ。”

 

「小賢しい真似をしてくれるじゃん!!」

 

 フリードは舌打ちをしながら後ろへ軽く跳ぶ。

 以前、彼は戦った際に小猫の発揮した『戦車(ルーク)』の力を目の当たりにしている。

 彼女の投擲する石は直撃すれば拳銃の放つ弾丸と変わらぬ威力を発揮しても不思議ない。

 だから、意識を割かずにはいられない。

 

 その間に上条が木場に接近するのを許す結果に繋がる。

 しかし、これにフリードは反応しない。

 上条が合流したところで近接戦闘になる事実は変わらない。

 むしろ、遠距離手段のある小猫と匙を警戒しよう。

 

 好都合。いや、そうなる可能性が大きすぎた。

 それは彼が『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』を知らない初見勢でもあったから。

 

「木場!! 不本意だろうが譲渡するぞ!!」

 

『Transfer』

 

 有無を言わさず、上条は木場へ力を送り込む。

 

「貰ったからには仕方無いか」

 

 上条からの力の譲渡があったのは仕方無い。

 木場は『魔剣創造(ソード・バース)』を展開。

 複数の魔剣を空中に創り出すと、それらを弾丸として解き放つ。

 

「急に力が増大したね~。やるじゃんやるじゃん!!」

 

 木場が力を増大させた事に子どものようにはしゃぐフリード。

 迫り来る魔剣を聖剣を縦横無尽に振るい続けて叩き落としていく。

 

 さすがの腕だ。

 しかし、凄まじい剣技に陰りが見え始める。

 

「っ!? おかしいじゃない!!」

 

 振る腕の速度が上条の目でもかろうじて追える程に落ちている。

 目に見える形で起きたフリードの疲労。

 それにより、彼は迫り来る魔剣の全てを払いきれず、肉の皮1枚をあらゆる箇所を薄く斬られる。

 

 突然の不調に見舞われたフリードはたまらず後退。

 

「この触手か!?」

 

 足に絡み付いた黒い触手の真の理由に今更気が付くがもう遅い。

 

 匙の『神器(セイクリッド・ギア)』の『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』が原因だ。

 これは他人の力を吸い取るというシンプルながら強力なもの。

 しかも、上条の持つ『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』と同様にドラゴン系統のものでもある。

 故に成長の爆発力は凄まじいものがある。

 現にフリードが聖剣を叩き込むが斬れる様子がない。

 

 正直に言ってしまえば木場には不本意な形となる。

 だが、前以てフリードが手に終えないような場合にはこうしたサポートをして奴を叩きのめす事を決定していた。

 

「木場!! 不本意だろうが!!」

 

「分かってる」

 

 匙の叫びに木場は静かに答える。

 不本意だと表情からも窺えるが、上条達との約束、何よりも周囲への被害を彼は望まない。

 

「良いんですかー? 僕ちんを倒しちゃってー?」

 

「不本意なんだけどね。でも、君を放っておくと面倒になりかねないから。残りの聖剣の使い手に期待しておくよ」

 

「ハッハッハッ!! 残りの聖剣の使い手なんておれさまに比べれば下も下よ? ここで倒しちゃったら、他の奴等の聖剣を仮に壊せても満足できるかなー?」

 

 フリードは嫌らしい笑みを見せながら告げてくる。

 木場は聖剣の破壊こそが目的だ。

 

 正直、騎士道精神は上条には分からない。

 ただ、仮にも『騎士(ナイト)』の名を冠する彼だ。

 思うところはあるかもしれない。

 

「確かに、それは不満があるかもしれないね」

 

 木場はあっさりと認めた。

 しかし、彼の表情には余裕を持った笑みが浮かんでいた。

 それを見たフリードの性格を考えれば「面白くない」と思う。

 

「けどね。“僕の友達が傷付く恐れがあるなら、こんなちっぽけなプライドは捨てるさ”」

 

 それは、この場の誰もが驚いただろう。

 あれだけ聖剣に固執していた木場が手のひらを返した発言をするのだから。

 

「何を驚いてるんだい? 上条君。君が言ったんじゃないか」

 

 木場はクスクスと笑いながら上条へ告げる。

 

「復讐をしたい時には呼べって。それで、道が外れそうなら殴ってでも引き摺り戻すってさ」

 

「はは。そうだったな」

 

 愚直にも上条の言葉を信じてくれた結果だ。

 木場は聖剣への憎悪はあれど、以前程のものではなくなっている。

 

 それは、彼の表情が多少なりと柔らかくなっている事から知る事ができる。

 

 フリードは実につまらなそうな表情を作る。

 だが、奴はここで終わりだ。

 

「さて、全部洗いざらい吐いて貰う――――」

 

 

 

 

 

「やれやれ、何を遊んどるのやら」

 

 

 

 

 

 新たな人物の声が割って入る。

 神父服を着た初老の男だった。

 

「バルパー・ガリレイ」

 

 バルパー・ガリレイ――――木場祐斗にとって憎むべき仇の名だ。

 上条達に目もくれず、フリードへと視線を送る。

 

「聖剣の使い方がなっとらんな。おまえに渡した『因子』をもっと有効活用してくれたまえ。その為に私は研究していたのだからね。体に流れる聖なる因子をできるだけ聖剣の刀身に込めろ」

 

「へいへい!!」

 

 バルパーのアドバイスに従うと聖剣の刀身が輝き始める。

 それを振るうと『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』が断ち斬られる。

 

「まずい!!」

 

 匙の焦りの声。

 それもそうだ。このままでは奴に逃げられるのは当然なのだから。

 それだけは避けなくてはならない。

 

「悪いけど、逃げさせて貰うね。バイビー!!」

 

 バルパーを担ぐと、フリードは聖剣の力をフルに発揮して逃走を測る。

 スピード自慢の木場でも追い付くのは難しい。

 

「いや、逃がさない」

 

 けれど、上条当麻は宣言した。

 だが、自信満々に告げる彼からも距離がある。

 いや、この場の全員がそうだ。

 

 ならば、どうする?

 

 上条当麻は自分の不幸体質を分かっている。

 こんな時は幸運等という不確定なものには頼らない。

 “こうなる最低値は予想できていた。”

 

 

 

 

 

「やっぱり、こうなるのか!! 頼む!! リアス部長!! ソーナ会長!!」

 

 

 

 

 

「ええ、任せて」

 

「勿論です」

 

 上条の叫びと同時、2人の『(キング)』が並び立っていた。

 

「おっ、とぉっ!?」

 

 さすがに呆気に取られるフリード。

 

「ふふ。上条君が念のためにって声を掛けたのが正解だったみたいですね」

 

「皆さん、ご無事ですか?」

 

 アーシアの護衛を兼ねて朱乃も来ていた。

 

「上条くんも面倒をしてくれるね~」

 

「経験上、お前みたいなヤバい奴を逃がすとろくな事にならないのが分かってるからな」

 

 フリードの軽口を上条はそう返す。

 リアス達には予め今回の一件は伝えてあった。

 

 しかしながら、本来のシナリオなら木場が聖剣を破壊する事こそが一番良かったのだが。

 こうなってしまった以上、フリード――ついでにバルパーを逃がすのがまずい。

 

「ふむ。どうやら考える事は似ていたらしい」

 

 バルパーはずっと落ち着いていた。

 それは彼の言った台詞に理由が含まれているのと同義であった。

 

「こちらも保険を用意しておいて正解じゃったよ」

 

 直後、フリードとバルパーの背後に“何かが飛来した。”

 音は無かった。

 

 漆黒の翼を10枚生やした装飾の凝った黒いローブに身を包む若い堕天使の男だ。

 

「それ、土産だ」

 

 無造作に男は上条達に“何か”を投げ付けた。

 

「っ!?」

 

 反射的に上条は受け止めるが、勢いに負けて仰向けに倒れる。

 自分の上に投げ付けられた“何か”――――否、“誰か”だ。

 そして、その人物を上条は良く知っていた。

 

「イリナ!?」

 

 紫藤イリナをズタボロの状態で向こうは投げ付けてきた。

 

「イリナさんっ!!」

 

 悲鳴にも似た叫びを上げながらアーシアが駆け寄り、彼女に回復を行う。

 それを邪魔してはいけないと上条はアーシアに後を任せて男の方へと足を向ける。

 

「もう1匹は逃がしてしまってな。まあ、その内に現れるだろう」

 

 それより――――と、堕天使の男はリアスとソーナへと視線を落とす。

 

「その紅髪…………グレモリー家の娘か。忌々しい兄君を思い出させてくれる。そっちはシトリー家の娘だな?」

 

「ごきげんよう。堕ちた天使の幹部――――コカビエル。私の名前はリアス・グレモリーよ。覚えておきなさい」

 

「ソーナ・シトリーです。政治的なやり取りをする為に来た訳では無いようですね」

 

 リアスとソーナのコンビとコカビエル――――両者の間に火花が散る。

 

「ふん。俺の目的は――――」

 

「サーゼクスさんでも呼んで、一暴れしたかった…………とかだろ?」

 

 コカビエルが告げるよりも先回りした人物が居た。

 その人物をコカビエルは睨み付ける。

 ただ睨み付けるだけではない。

 とんでもないプレッシャーもぶつけてくる。

 

 しかし、当の本人――――上条当麻は“その程度では怯まない。”

 

「おまえ…………何故それを?」

 

「ちょっとした情報通な奴が居てな。三つ巴の戦争とやらが終わったせいで暇過ぎるからリアス部長の居る駒王学園にちょっかい掛けて、サーゼクスさんとかを呼びつけて戦いたかっただけなんだろ?」

 

 そう。コカビエルの目的は本当にシンプルだ。

 

「こんな壮大な計画を立ててる奴の最終目的はただ退屈を持て余した戦争ごっこがしたいだけの子供の我が儘って事だな」

 

「随分と肝っ玉の据わった奴が居たものだ」

 

 上条の挑発を分かっていながらもコカビエルは受けて立つ姿勢だ。

 何せ本人も承知しているのだから。

 

「そうさ。強者との戦いこそ俺の本懐。戦争がしたいのさ!!」

 

「それが生き甲斐だってのか? 戦争なんて、するだけ虚しくなるぞ」

 

「まるで戦争を体験してきたかのような言い方だな」

 

「ああ、知ってるよ。何なら、俺が発端でもあった戦争もあったからな」

 

 コカビエルからすればジョークのつもりだっただろう。

 けれど、上条当麻にとっては忘れられない戦争がある。

 

 かつて『神の右席』に居た『右方』のフィアンマが起こした戦争。

 あれは上条当麻の右腕を奪い取る目的があった。

 詳細は…………はっきり言って分からない。

 色々と説明されたが、それよりもインデックスや他の連中を巻き込んでいた事実の方が問題だったからだ。

 

「俺も、俺の知ってる奴等も“悪運が強かったから生き残れた。” 正直、全員が倒れててもおかしくも何とも無かった」

 

 それだけの出来事を上条当麻は体験した。

 そして、それを今後も体験したいとは思わない。

 

「もし、馬鹿げた理由で戦争を起こそうってんなら俺は全力で止める」

 

「本気で言っているのか。忌々しい」

 

 上条の言葉から本気の意味合いを受け取った。

 

 彼の事は腕にある『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』しか見ていなかった。

 だが、これは見解を改めるべきだ。

 

「今代の赤龍帝――――確か、上条当麻と言ったか」

 

 『神器(セイクリッド・ギア)』ではない。

 その宿主――――上条当麻にこそ、コカビエルは目を向けた。

 

「止められるものなら止めてみろ。これまで出会ってきた奴等とは“異質すぎる強者よ”」

 

 上条当麻をコカビエルは「強者」と称した。

 腕っぷしではない、悪魔だからでもない、その『神器(セイクリッド・ギア)』にでもない――――上条当麻と言う一個人をコカビエルは認めたのだ。

 

「フリード。おまえが気に入るのが分かった気がする」

 

 フリードが上条当麻をえらくお気に召す理由が分かった。

 しかし、コカビエルは自身の目的の為に止まるつもりはない。

 

「情報通が居るなら俺の今後の行動も予想できよう。待っているぞ」

 

 コカビエルはフリードとバルパーを担ぐと空中へ浮かぶと、何処へと飛び去った。

 

「逃げたか…………いや」

 

 コカビエルはわざわざ「待っているぞ」と告げてきた。

 つまりは、何処かに潜伏するつもりなのだ。

 

 何処へ行くつもりなのか推測を立てようとしている間にスマホが鳴る。

 相手は上条曰く情報通の土御門元春だ。

 

『上やん。時間が無いから一方的に話すぞ』

 

 声だけではあったが、既に土御門は「級友」としての顔ではなくて「魔術師」としての顔で以て連絡をしてきた。

 

『コカビエルの奴が駒王学園に来た。恐らく、リアス・グレモリーの庭を荒らしてサーゼクス辺りを誘き寄せるつもりだ。急いで来てくれ』

 

「分かった。すぐそっちに向かう」

 

 通話を切ると、リアスに向き合う。

 

「コカビエルが学校に現れたって連絡があった」

 

「なるほどね。情報の出所は後で問い詰めさせて貰うわ」

 

 終わったら詰問があることが確定した。

 土御門と口裏を合わせておこうと上条はひっそりと思った。

 

「行きましょう。こんな馬鹿げた事を終わらせる為に」

 

 リアスの号令の下、目的地――――駒王学園へと走り出す。

 




如何でしたでしょうか?

色々とはしょってる部分はありますが、それは主人公が兵藤一誠ではなくて上条当麻だからこそ。

そして、上条視点ではあの戦争でのフィアンマとのやり取りは曖昧なもの。
結局のところ、上条が行動を起こしたきっかけは平たい話がフィアンマがインデックスを巻き込んだからです。

そして本編に触れましょう。

上条の事を早くに「友」と認めたからこそ、木場も当初よりは聖剣への当たりも柔らかくなった
彼に先に打ち明けていたのがきっかけでしょう。

更にコカビエルが上条当麻を「敵」と認めました。
そういう方面でも彼は才能を発揮していますね。何がとは言いません。


上条さんは自分の不幸の事を知っており、イッセー君より戦闘経験も豊富なのでこの手の対策は上条さんらしいと思って採用しました。
新約以降で彼は他人に頼る事を覚えましたから。


現在、気が付けば新約は終わって創約まで出ております。
ですが、このお話は上里が出てくる16巻より手前位までのものまでで進んでいきます。

度々、それ以降のキャラクターが出てくるかもですが。

では、また次回に。

次回こそは年内に書きたい(願望)
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