新約? ハイスクールD×D   作:ゼガちゃん

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時間もギリギリですが続きです。


伝達事項は正確に

「つ、着いた……」

 

「あの……ありがとう……ございます?」

 

精神的な疲労を抱え込んだ上条と、そんな上条へ疑問形での礼を述べるアーシア。

と言うのも、上条は意気揚々とアーシアからの依頼を請け負った訳だが肝心の教会の場所を知らなかった。知らない事すら忘れているウルトラお馬鹿さんだと叩きたくなる。

幸いにも現代人の便利アイテム・スマートフォンが輝いた。近くのコンビニで住所を聞き、付近にある教会の検索を掛けてヒットした。その事に気付くのに1時間近く歩いていたりする。

 

「いやいや、礼は要らないよ。実際に俺はそんな役立ってないから」

 

「それでもです。上条さんは私をここまで連れてきてくれたのですから。

ああ、主よ。心優しき少年と出会えた事に感謝を捧げます」

 

両手を組んでお祈りを始めるアーシアに、銀髪のシスターの面影が重なった。

性格も、慎重も、声も……何もかもが違うと言うのに被ったのだ。

 

(俺って奴は……そんなにインデックスに会いたいのかよ)

 

美琴の家に向かえばいつでも会える。だけど、そこにいるインデックスはやはり“上条の知るインデックスとは完全なる別人なのだ。”

 

「では上条さん。またお会いしましょう」

 

「ああ、また会おうな」

 

アーシアと再会の約束を交わし、教会を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「二度と教会に近付いてはダメよ」

 

放課後、オカルト研究部を訪れた上条はリアスに『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の事を説明する為にやって来た。結局、昨日は『神器(セイクリッド・ギア)』に入った『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の件でてんてこ舞いになっていたからだ。

彼女なら信用できると話をしていて分かったので、思いきって打ち明けてしまおうと思っていた。

だが、上条が珍しく一番乗りだったらしく本日に起こった事柄を呟いていたら偶然にも部室前でリアスと朱乃が聞いていたらしく、彼女が来た時の開口一番がそれだった。

 

「えっと……リアス先輩? それはどういう事で?」

 

上条にはちんぷんかんぷん。訳の分からん事をリアスの口から言われたので訊ね返した。

 

「教会は悪魔にとって天敵の敵地なの。近付いた時に悪寒はしなかったの?」

 

「いえ。特にこれといった変化は無かったですよ?」

 

「本当に? 変ねえ」

 

上条が嘘を吐く理由もなく、リアスは上条に何の変化も無い事への思案に耽っていた。

 

「あの姫島先輩、何かあるんですか?」

 

「はい。私達悪魔は教会に近付くと悪寒がしたり、気分が悪くなったり……症状は様々ですが、良くない事が起こるのは確かです」

 

丁寧に説明をしてくれた朱乃の言葉を上条は反芻しながらアーシアと出会ってからの事を思い出す。

教会に近付き、むしろ真ん前まで行ったのに何ら変化は無かった。

 

「こんにちは」

 

「どうもです」

 

考え事をしている間に、木場と小猫がやって来た。

 

「部長はどうしたんです? さっきから考え事をしているみたいですけど……」

 

「新人さんの特異性について悩んでいるんですよ」

 

木場の疑問に朱乃は微笑みながら答えた。

何の事かを知らない2人は首を傾げるだけだった。

 

「ところで上条君も悪魔になったのなら、契約を取らないといけないのではないですか?」

 

今の朱乃からの話で、自分が本当に悪魔になったのかは甚だ疑問の残る所だ。

 

「そうですわね。上条君も私達と同じ悪魔になった……筈ですから」

 

朱乃も考えは上条に近しいらしく、語尾に自信無さげに付け加えた。

 

「部長。そろそろ上条君に契約を組ませては如何でしょう?」

 

「そうね。あれこれ考えるよりそっちの方が良いかしら」

 

リアスは「うんうん」と何度か頷き、上条に言った。

 

「それじゃあトウマ、ここへ行ってくれないかしら?」

 

「は、はい!!」

 

僅かに声が上擦ったのはほとんど初対面に近い年上の女性からファーストネームで何の予告も無しに言われたからである。

 

「あっ、それからトウマ。これからは私の事は『先輩』ではなくて『部長』と呼びなさい」

 

「わ、分かりましたリアス部長」

 

呼び方についての言及の最中にリアスから1枚の紙を渡される。そこに記されていたのは住所が3つだった。

 

「この住所は?」

 

「今夜悪魔を呼ぶ人間の住所よ」

 

さらっと言ってのけるリアス。個人情報とか大丈夫なのかと嫌な汗が流れてきた。

 

「えっと……何となく流れから上条さんはこの住所に直で迎えと暗に告げられているように思われるのですが?」

 

「そうよ。残念だけどトウマには魔力が流れていないなら仕方無い処置なの」

 

「魔力があると何かあるのか?」

 

隣に立つ木場にトスをする。

 

「魔方陣を用いた転移魔法で契約者の元に飛ぶんだ」

 

「上条君も貰ったあの紙ですわ」

 

言われて上条は「願いを叶えます」のチラシを思い出した。

あれには発信器みたいな機能と、悪魔を呼び出すなんて機能が備え付けられていた訳だ。

という事は仮に魔力があったとして、上条の右手がそれを阻むだろう。

 

「いやー、上条さん的にはこの後に『自分の足でここへ迎え』と言われそうな気がしないでもないんですがねー」

 

「察しが良いじゃない」

 

ニコリと、見る者を惚れさせる勢いの綺麗な笑顔を描いた。

残念な事に上条にはそれどころの話ではないのだ。

 

「待って!! そもそも俺が行く意味とかあるんですか?」

 

悪魔か否なのか、未だに上条には分からないのだ。

しかし、リアスは涼しい顔で返した。

 

「少なくともあなたは私の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を左手に吸収したの。『兵士(ポーン)』とは言え、困るのよ」

 

「えと……どういう意味ですかね?」

 

万年最下位さんの空っぽの頭でも理解可能なレベルの説明を要求する。

リアスは「説明がまだだったわね」と苦笑をしながら上条に向き直る。

 

「でも、今は契約者の所に行くのが先よ」

 

「いや、でも……」

 

「契約が上手く行けば報酬も貰えるのよ」

 

ピクリ――上条は「報酬」の単語に敏感に反応を示した。

万年金欠でもある上条には魅惑の提示だった。

 

「よし!! 任せちゃって下さいな!! 契約を取る事に定評のある上条さんにね!!」

 

報酬の単語に目の眩んだ上条が高らかに宣言した。意気揚々と部室を後にする上条。

だが、彼は肝心な忘れている。

報酬の内容が何であるのかと言う事を――。




如何でしたでしょうか?

なんだかんだと続けられている自分にビックリしています。

まだのんびりとした回が続きますがお付き合い下さい。

次回の更新は来週の月曜日の予定です。
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