では、続きをどうぞ。
「起きてくださいダーリン」
睡眠から上条の意識が浮上してきた頃に、身体を揺すりながら起こしに掛かる声がした。
更に付け足すなら、腹筋の辺りに重さを感じていた。
まさかこれが噂に聞く金縛りか!?――などと考えた末に目を開いた。
バイサーがバスタオル1枚で上条に馬乗りになっていた。
「ぶほぉぉぉっ!?」
純情な少年・上条当麻にとっては刺激の強すぎる行為だった。
「な、なななな何をしてててておおおいでなななのでせうか!?」
呂律の回らない上条。
こんな漫画でしか見たことのないエロティックな展開など初めてだ。
「だって、ダーリンが起きないのだもの」
上条の反応に不服な声音で返答した。
バイサーは先日とはうって変わり、下半身は人間のものと同じ足になっていた。
プロポーションも完璧な美人さんだというのに――
「グヘヘ、これで獣になったダーリンに滅茶苦茶に……」
「しないからな!!」
ありもしない事を言いそうになっていたので、バイサーの言葉をぶった斬る。
何故、口を開けば残念美人に成り果ててしまったのか。
結局、バイサーは上条家に居候をする身となった。
母親がダメ出しをするかと思えたが聖母もびっくりの器の広さを見せた。
息子への呼び方が「ダーリン」である事に母親は「当麻さんたら、いつの間にか女の子を引っ掻けて」と微笑んでいた。
「お母様が朝御飯が出来たって呼んでいるわ」
「起こしに来てくれるのは嬉しいけど……心臓に悪いからこれからは普通に起こしてくれ」
バイサーに退いてもらうように頼み、上条はベッドから起き上がる。
彼女には先に下に降りてもらい、上条は学校の制服に着替える。
「それにしても……」
咄嗟の事とは言え、“昨日はこの右手で殴り飛ばしてしまった。”
だが、バイサーは消えずに済んでいた。
さすがに妙なものに目覚めてしまったのは上条のせいではないと信じたい。
つまり、上条の
「考えなしだったけど、一先ずは安心して良いかな」
ただ、上条が踏み込んだのは何でもありのファンタジー世界だ。
上条の右手1つで消し飛ぶ命が無いとも言い切れないので油断はせずにおく。
「そこのところもリアス部長か朱乃さんに聞いておこうかな」
そこでバイサーの名前が出てこないのはこの後に学校があるから時間がないのだ。
しばらくは上条の家で厄介となり、その内にリアスが仕事を渡してくれるとの事らしい。
「とにかく、まずは目先の事だ」
グダグダ考えたって上条には分からない事だらけだ。
なら、1つ1つを潰していこう。
「おはよーなんだよトウマ」
「何だか疲れてるみたいだけど、大丈夫なの? 当麻?」
家を出ると、挨拶を交わしてくれたのはインデックスと上条の様子に違和感を抱いたらしい美琴だった。
「まあ、ちょっと普通なら有り得ない体験をしまくってさ」
随分と濃い1日だったと自分でも思う。
上条は笑いながらインデックスと美琴に応えた。
「さて、行くとする――」
「待ってくださいダーリン」
上条が2人と登校するのはいつもの事なのだろうと諦めて誘った時だった。
その声に重ねて上条家の玄関から声が掛かる。
声の主は振り返らずとも分かった。このメンバーへ、しかもついさっきまで聞いていた呼び方だから。
「バイサー……?」
「はい、これ。お弁当をお忘れですよ」
上条に布で包んだ弁当箱を手渡す。
瞬間……上条はかつてない危機を背に受けた。
恐る恐る振り返ると、凶器みたく、上下の歯を「ガキンッ!!」と刃物のように鳴らすシスターさん。そして、身体から怒りのあまり電流が漏れ出す短髪の中学生。
ああ、この後の展開に上条は心当たりがあった。
決めるのは覚悟、直後に起こる理不尽など日常茶飯事なのだから。
「不幸だ……」
天を仰ぎながら上条は風で消え入りそうな声で呟いた。
直後、インデックスさんの綺麗な歯が上条の頭蓋骨を割らんとばかりに牙を向けてきた。
上条は頭に歯形を作って授業を受けていた。
周りからは奇異の眼差しを送られていたが「まあ、上条だし」との事で1限が始まる頃にはスルーされ出した。
「かっみや~ん!! 僕らと一緒に本屋に行こうや!!」
「さあ!! 学生の青春を漁りに行くのにゃ!!」
放課後、青髪ピアスと土御門がかなりハイなテンションで上条の席付近に寄る。
「悪い。俺部活入っちまってさ……これからお呼ばれしてるんだよ」
「へえ、何の部活だにゃー?」
ヘラヘラと笑いながら「どうせ対した事ないだろ? ん?ん?」とでも言いたげな土御門の態度にイラっとしながら上条は答えた。
「オカルト研究部」
「「………………………………」」
途端、2人のテンションが一瞬で氷点下を過ぎていった。
「か、かみやんがオカルト研究部やと!?」
「天変地異の前触れだにゃーっ!?」
青髪ピアスと土御門の叫びを聞いていた残りのクラスメイトも「なんだと!?」「部活に入れただと!?」「明日は世界の滅亡だ!!」などと口々に呟き出した。
いずれは知られるだろう事なので、何気無く言ったつもりだったけれどもこの反応は異常だ。
「な、何だよ!! 何をそんな驚いて……」
「驚かんわけないやろ!!」
血涙しながら青髪ピアスは上条の胸元を掴んで前後にシェイクする。
落ち着け――と上条が諭し、冷静さを取り戻した両名が疑問に答えてくれる。
「ええか? オカルト研究部って言うたら、この駒王学園には知らぬ者の居ない部活動なんやで!!」
「しかも!! 部長であるリアス・グレモリーが認めた者でないと入れない部活動!! 入るのは宝くじを当てるのよりも遥かに難しいと言われてるのにゃ!!」
2人とも涙を流し、拳を握り込んで力説される。
「まずは学園の二大お姉様と呼ばれる部長リアス・グレモリー。そして、副部長の姫島朱乃!!」
「そして、学園のマスコット的存在!! 塔城小猫!!」
「「そしてついでに男子の敵、イケメンの木場祐斗」」
このクラスの連中の大半が最後の最後に木場の説明だけ怨恨の籠った声で言った。
「し、かーし!! まさか!! かみやんが裏切って皆が憧れのオカルト研究部に入るなんて……」
「「「許すまじ!!」」」
「って、何だよお前ら!!」
息の合った行進をしながら教室に足を踏み入れてくる顔をスッポリと覆い隠すトンガリの覆面をした異様な集団。
「我々、『リア充滅ぶべし団体』、略してR団は上条当麻を粛正する!!」
「何でそんな乗り気なんだよぉぉぉおおおおおっ!!」
上条は雄叫びを上げながら壮絶な鬼ごっこの幕を開けたのだった。
死闘の末、部室にたどり着いた頃には上条はボロボロだったという……。
如何でしたでしょうか?
何か組織名考えるのめんどくさくて適当になっちゃいました(笑)
さて、次はどうしようかな(ノープラン)
次回の更新は再来週の月曜日前後になるかと。おそくなるようでしたら月曜には前書きか活動報告にコメントしておきます。