FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
「・・・・・・・・・・・・・・・・っは!!クソッ!あのドレッド野郎!!ったく、今どうなって・・・・・・・・なんだ、まだ夢か」
アズマに爆破されて数分・・・・グランは飛び起き、そしてまた寝ようとした。いや、そんな状況じゃないのは分かっている。流石のグランもあの大爆発を喰らわれた為全身真っ黒焦げにされてしまい、気を失っていた。
たった今、闇ギルド“悪魔の心臓”から攻撃を受けている・・・・いや、もう既に受けているのは知っている・・・・その幹部の一人にやられたんだか「やられてねぇ!!!」・・・・やられてないらしい。まぁともかく妖精の尻尾の危機的状況である。
だが、そんな
というか夢であってほしい・・・・あんな数が相手とか、クソめんどくさいじゃん。
だが、残念ながら現実である。今も大量の敵が空から降ってくる・・・・そして先ほどまで倒れていたグランに向けて攻撃を仕掛けてくる。
いくらグランとはいえ、先ほどまで戦闘し魔力を消費し傷ついていたのだ・・・・流石にこの数は────────
「が・・・・・・・・ガハッ」
「・・・・く、クソ・・・・・・・・」
「つ・・・・つぇ・・・・・・・・ぇ」
────────全く問題なかったらしい。いくら数がいても所詮は三下の集まり・・・・・・・・多少は手こずったけどね。
「・・・・こいつらに聞いても意味なさそうだな・・・・・・・・それにしても、さっきの爆発と魔力は一体誰だったんだ?」
グランは襲ってきた悪魔の心臓の部下達に先ほど戦った敵“アズマ”がこの島に何をしたのか・・・・そもそも悪魔の心臓がこの島に何のようなのかを問いだそうとしたが特に何も知らなそうだった。戦っている途中で感じた魔力も気になったが、それは後回しだ。
「ウヒヒヒッ!オメェよくやるなァ、ウハッ!よくやるじゃねぇかよォッ!!」
ボゴォッ!
「なんだぁ!?」
突如、黒い炎がグランが倒した敵を燃やした。突然のことで混乱したが、わかるのは敵が焼け焦げているさまと・・・・・・・・怒りだ。
「今度はオレっちが相手してやんよ」
「・・・・・・・・誰だ、テメェ」
「オレっちはザンクロウ・・・・悪魔の心臓だよォ、ウヒヒッ」
「・・・・何で、こいつらを燃やした・・・・仲間だろぉが」
グランはザンクロウに何故こいつらを燃やしたのかを問う。するとザンクロウはさも当然のように、あっけらかんと答える。
「そいつらは燃やされて当然だってよ・・・・悪魔の心臓は最強のギルド、弱者は必要ねぇんだよ、ウハハハハハハッ!!!!」
「・・・・あー、そう。・・・・・・・・お前は嫌いなタイプだ」
グランはザンクロウを睨みつける。それでもザンクロウは笑い黒い炎を纏っている。
「ウハハッ、だったら何だってんだよォ」
「・・・・ぶっ潰す!!」
そう言いグランは駆け出す。だがザンクロウはただ笑って炎を放つ。
「ウハ───────ッ!!!!!」
ゴオォォォッ!
「ぐおぉ!?」
その黒い炎に包まれてしまうグラン。普通の炎・・・・さらにはナツの炎とも違う異質だが、どこか神々しい炎。
「ウハハ、どうだよォ、“神”の炎はよォッ!!
そしてザンクロウはその炎の正体を明かす。
「オレっちは神殺し・・・・
“滅神魔法”・・・・それは滅竜魔法と似ていているようで違う魔法。神を殺す為の魔法・・・・竜の炎よりも、強力な炎。
「ウハハハッ!竜殺しの炎なんか比じゃねぇだろぉ?神の炎は竜の炎と違って燃やすんじゃなく、全てを破壊する焔だよォッ!ウハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!」
そう高らかに笑うザンクロウ。もう既に勝利を確信しているからだ。・・・・だが
「・・・・・・・・あっそ。なら一ついい事教えてやんよ」
「ハハハ・・・・あぁん?」
と、炎が霧散していく。そこにいたのは、所々火傷はしているものの五体満足でいるグランの姿だった。
「お前の炎が神殺しの炎だろうが、ナツの炎よりも強力だろうが、全てを破壊できようが・・・・この程度じゃ、大地は燃やされねぇんだよ。・・・・さてと、お前には色々聞きたい事があるからな。さっさと終わらせる。」
「ウハッ!やってみろってよ!テメェがただの土塊になるまで燃やし尽くしてやるよォッ!」
グランとザンクロウはほぼ同時にブレスを放つ。
「地竜の咆哮!!!」
「炎神の怒号!!!」
ぶつかり合いそのまま爆発する。その爆発の隙にグランはザンクロウに近づき、腕を剣に変えて斬りかかる。
「地竜剣!!」
「ウハハーーーっ!」
それを薙刀の形をした炎で受け止める。連続で斬りかかっても全て受け切られてしまう。
「めんどくせぇなぁ!オイっ!!」
「ウハハッ!属性は違えど、竜狩りごときがオレっちに勝てるかよォ!!」
そして大きく薙刀を薙ぎ払い、グランを吹き飛ばす。そして今度は全身から炎を放つ。
「炎神のカグツチ!!!!」
迫り来る黒い炎・・・・その炎を前にグランは両腕を構えそのまま砂嵐を放つ。
「地竜の剛腕!!!」
「なにっ、ぐあっ!?」
その砂嵐はザンクロウの炎を巻き込んでそのまま吸い上げ、ザンクロウにぶつかっていく。
あまりにも予想外の事にザンクロウは防御できずにそのまま吹き飛ばされてしまう。
「チィっ!!ふざけんじゃねぇってよ!!竜風情が調子に乗ってんじゃねぇってよォ!!火竜の前に、おまえを喰らってやるよォッ!!!
炎神の晩餐ッ!!!!」
そう言ってザンクロウは両手に黒炎を纏い、グランの体を飲み込んでいく。
「ぐぅぅっ!!?」
「ウハハハハハッ!この炎に包まれたら最後・・・・テメェは灰になるまで出ることはできねぇってよォ!!」
黒い炎にじわじわと焼かれていくグラン。だが、炎に焼かれながらも一歩、また一歩とザンクロウに近づいていく。
「なっ!?何で動いてんだよ!?さっさと灰になっちまえよォ!!!」
さらに火力を上げるザンクロウ。だがそれでもグランの歩みは止まらない。そんなグランにザンクロウはあり得ないものを見た。
今、目の前にいるのは竜狩りの魔導士のはずなのに。そいつが一歩、また一歩と近づくたびに・・・・そいつの背後に巨大な竜の姿が見えてしまう。
「・・・・学習しねぇようだからもういっぺん伝えてやるが、大地はこの程度じゃ燃やされねぇんだよ。しかもなぁ・・・・ずかずかと団体で俺らの聖地を踏み荒らしただけじゃなく・・・・俺の仲間に手ェ出そうとしてる輩に・・・・・・・・・・・負けてたまるかぁっ!!!」
黒炎の中で腕を大きく振り上げザンクロウを空中に殴り飛ばす。その衝撃でザンクロウは魔法を解いてしまい、グランは自由となる。
「ぐおぁっ!?」
空中に殴り飛ばされたザンクロウへ跳んで近づき、両腕を岩のように変え、両手を合わせる。
「
地竜の・・・大鎚!!!!」
一つの岩の塊となった両手を一気にザンクロウへと振り下ろす。
「ぐおぉああぁああぁぁぁぁっ!!??」
そしてザンクロウはそのまま崖の下まで吹き飛ばされてしまう。
「・・・・・・・・ヤッベ、やりすぎた・・・・し、死んでねぇよな?・・・・・・・・・・・・・・・・確認しとこ」
散々ぶっ飛ばしておいて、最後やりすぎたんじゃね?崖の下で死んでね?何て心配するくらいなら、最初からしなければよかったのにな・・・・結局何も聞けてねぇんだから。
一方、グランと別れた後ウェンディ達は転移先で偶々ナツとハッピーと合流した。今攻めてきている敵の事、グランがその敵の幹部の一人と戦っている事を伝えて、共にグランの元へ向かった。その途中、大量の敵が空から降ってきた為、戦闘を開始。基本三下の集まりだった為そこまで苦戦はしなかってが、数が多い為、思ってた以上に時間がかかってしまった。
敵を吹き飛ばしながら、森の中を進んでいると、とある匂いを嗅ぎつけた。
「ん!この匂い・・・・じっちゃん!!」
「マスター!!!そんなっ・・・・」
森の中、傷だらけで倒れていたのは・・・・他でもない、マスター・マカロフだった。
「じっちゃん!!大丈夫かっ!?ウ、ウェンディ!!すぐに治してくれ!!」
「わ、分かりました!!」
急いでマカロフを治療するウェンディ。だが、傷が深すぎる為すぐには治らなかった。
「・・・・ナツ・・・・・・・・それにウェンディか・・・・ゲホッ、ゲホッ」
「じっちゃん!!よかった!!今、ウェンディが治してくれてる!!・・・・クソッ!誰にやられたんだ!!」
「ナツ・・・・・ウェンディ・・・・よく・・・・聞け・・・・・・この戦い・・ワシ等に勝ち目は無い。今回の・・・・敵は・・・・今まで・・・・・・・・以上に、強力じゃ・・・・」
「な・・・・何言ってんだよ、じっちゃん!!!俺たちは負けねぇ!!じっちゃんをこんな目に遭わせた奴は俺が倒す!!!」
いきなり、マカロフから言われたこの戦いに勝ち目はないという事に、即座に否定するナツ。だが、マカロフは自分の意思を曲げない。
曰く、“悪魔の心臓”のマスター・ハデスには、自分は手も足も出なかった。
曰く、彼の育て上げた魔導士達は、全員強力な魔導士であるということ。
それ等を踏まえた上で、もはや勝ち目はない、家族を危険に晒したくない・・・・そうマカロフは言っている。
「頼む・・・・ナツ・・・・みんなを・・・・連れて逃げるんじゃ・・・・」
「そんな事言うなよ!!S級試験は、どうなるんだ!!!じっちゃんは妖精の尻尾のマスターだろ!!!!勝てないなんて言うな!!!」
口ではそう言っているナツだが、それでも自分達のマスターがこんなにも簡単にやられ、傷だらけになっている姿を見て、ひどく動揺し・・・・それと同時に恐怖もした。
もしかしたら、本当に勝てないかも・・・・と。
「時には・・・・引かねばならぬ・・・・時も・・・・ぐふっ」
「じっちゃん!!!」
「マスター!!あまり無理をしないで!!・・・・・・・・グラン」
マカロフを治療している中、ウェンディは一人残してしまったグランのことが心配だった。
グランの強さは、ギルドの中では一番よく知っている。・・・・それでも、不安だった。心配だった。
と、皆がそれぞれ不安を抱えている時。
ズド───────ンッッ
と何かが物凄い勢いで落ちてきた。即座に警戒した。恐る恐るその落ちてきたものを確認しにいくナツ。そこにいたのは、全く見知らぬ魔導士─────ザンクロウだった。
「だ、誰だ?コイツ?」
「が・・・・・・・・・・・・・・・・ガハッ・・・・・・・・」
ほぼ虫の息だがなんとか生きているザンクロウは、もはや立ち上がる気力もなく、そのまま気を失っていった。
「・・・・そやつは・・・・悪魔の心臓の・・・・・・・・」
「幹部の一人って事!!?」
「一体、誰が・・・・」
悪魔の心臓の煉獄の七眷属の一人であるとわかった一同は、誰が倒したのかと疑問に思ったが、その疑問はすぐに解消された。
「・・・・・・・・・・・・あー、そいつ生きてる?」
「グランっ!!無事だったんだね!!!」
マカロフの治療がある程度終わったと同時に、ウェンディは崖から降りてきたグランに飛びつき、抱きついた。多少の火傷はあれど無事なグランがそこにはいた。
「・・・・グラン、お主・・・・倒したのか、悪魔の心臓の一人を・・・・っ!!?」
「・・・・マスター?大丈夫か?・・・・いや、まぁ一応。一人、逃したっていうか爆破されて逃げられたっていうか・・・・」
「爆破っ!!??大丈夫だったのアンタ!!?」
「グランッ、どこも痛くない!?大丈夫!?無理してない!?」
「とりあえずはな・・・・安心しろよ、ウェンディ。・・・・・・・・それはそれとして、今回はマジで相手が強い。さっき倒したコイツ・・・・ザンクロウも、既にここにきてたあのドレッド野郎・・・・アズマも・・・・もしかしたら、もう他のみんながやられてるかもな」
「そんな・・・・」
これが、グランが感じた事。妖精の尻尾のメンバーの中で唯一“悪魔の心臓”の煉獄の七眷属二人も対峙したグランだからこそ言える事。敵は強い。勿論、妖精の尻尾も強い・・・・だが、敵はそれよりも強いかもしれない。
グランがザンクロウに勝てたのは、やつ自身が油断していたのと、グランが大地の滅竜魔導士だったから・・・・それにアズマにはまんまと逃げられてしまった。
「関係ねぇ!!!!!!」
だが、そんなグランの言葉を吹き飛ばすほどの大声でナツは怒鳴る。
「引かなきゃいけない時もあるってのはわかる・・・・だけど今はその時じゃねぇ!!
決して引く意思を見せず、鼓舞を入れるように力強くそう言った。
「・・・・たしかに、そうだなナツ。戦って思い知らしてやろうぜ。・・・・・・・・ところで、マフラー黒いけど大丈夫か?」
「おう!大丈夫・・・・・・・・だ・・・・」
そう言った直後、ナツは倒れた。・・・・え、なんで?