FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
「終わったな……」
「あぁ……」
「私達勝ったんだね、グラン!!」
「・・・・あぁ、勝ったな、ウェンディ。」
「みんなー!!」
「うわあああ!!助けてナツー!!!」
皆が勝利に浸っていると、何やら叫びながら走ってくるハッピーとシャルル、そして魔力が切れてふらついているリリー。そしてその後から、恐らく、悪魔の心臓の下っ端と思わしき者達が大量に走ってきていた。
「待ちやがれーーーーっ!!!」
「ネコーーーーー!!」
「よくもマスターの心臓を!!」
「マズイぞ……」
「くそ・・・・流石にもう魔力が0だ」
「うあ・・・・」
「あー、めんどくせぇ・・・・」
流石に魔力がなく、消耗しきっている状態ではほとんどなす術が無かった・・・・だが、グラン達の後ろに複数の影が現れる。
「そこまでじゃ!!」
現れたのは他でもない・・・・キャンプに残っていた妖精の尻尾のメンバー達だった。
「うおお!増えたァ!!」
「あ・・・・あれはマカロフか!?」
「てか・・・・あそこ見ろ!!!マスター・ハデスが・・・・倒れてる!!」
マカロフ達妖精の尻尾のメンバーが現れたこと、そしてマスター・ハデスが倒れてること・・・・この二つの事実だけで悪魔の心臓の残党は完全に戦意が喪失していった。
「今すぐこの島から出ていけ。」
「ひいいいい!!」
「わ・・わかりましたー!!」
「信号弾だ!!」
慌ただしく逃げていく残党達・・・・これにより、完全に妖精の尻尾の勝利が確定した。
「やったね!!グラン!!・・・・グラン?大丈夫?」
「アンタ、顔色悪いわよ?」
「・・・・あー、あのジジイが出した気持ち悪りぃバケモン食ったからかなぁ・・・・クソ、瓦礫だからって食うんじゃなかった」
「・・・・ソレ、半分自業自得じゃない、もう」
まぁぶっちゃけあんな気持ち悪い物を食う方が悪いが・・・・しょうがない。他のメンバーもそれぞれが勝利に浸ったり、ラクサスが来たことに怒ったり、喜んだり、もう色々だ。皆ボロボロで、満身創痍がとても似合う状態だった。
「とりあえず、キャンプまで戻りませんか?」
「少しは休まないと体がもたないわ」
「・・・・まぁここに居続ける意味もないからな」
ウェンディとシャルルの一言で皆、キャンプ跡地へと足を進めていった。
「・・・・いやぁ、終わったなぁ〜」
「グラン、本当に大丈夫?無理してない?」
「オレは大丈夫だ・・・・ウェンディも、そんなに使って大丈夫か?」
「うん!天狼樹が戻ってから調子がいいの!」
キャンプに戻ってからは、皆それぞれ休息をとっていた。グランは、地面に座りその近くでウェンディが皆の傷を癒していた。
「・・・・で、アンタはなんでそんな格好してんですか?」
「ん?いや、何。ウェンディだけに負担をかけるわけにもいくまい。残りは私がやろうと思ってな!!」
「・・・・もう、お好きにどうぞ」
何故かナース姿になって、皆の怪我を嬉々としてやろうとしているエルザ。なんかもうめんどくさくなったグランはツッコミを捨てた。だってそれはルーシィの仕事だもん。
「それにしてもグラン。お前があそこまで強かったとは驚いたぞ。あのラクサスが認めるほどの強さとはな」
「いやー、流石にそこまで強くねぇっすよ。あん時はちょっと怒ってただけですし・・・・」
「もうアンタが妖精の尻尾で一番強い滅竜魔導士なんじゃない?」
「・・・・いや、それは「何ーーー!?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ白猫!!
ラクサスが破門中の今、妖精の尻尾で一番強い滅竜魔導士がグランなのでは?とシャルルが言ったせいで、ガジルとナツがそれに強く否定して、二人で殴り合いを始める。せっかく治り出した傷がまた増えるな。
「・・・・あーあ。すっげぇ暴れてる・・・・元気だねぇ〜」
「アンタは参加しなくていいの?」
「いや別に最強とかは興味ないし・・・・」
「なんだ、まったいねぇなぁグラン。お前ならすぐにでもS級になれるってのに・・・・しょうがねぇ、オレが直々に稽古つけてやろう」
「いや、必要ねぇしいつのまにこっち来たんだよアンタ?」
ナツとガジルが喧嘩してるのを眺めていたら、いつの間にか近くにきていたラクサスに稽古をつけてやろうと言われたグラン。ただ、何故かフランクに接しられ、肩に手を回してきた。それを羨ましそうに見ている雷神衆・・・・特にフリード。
「・・・・・・・・ラクサスにあんな親しげに・・・・・・・・羨ましい・・・・・・・・」
「うわー、すげぇ顔・・・・ってか、アンタこんなフランクだったの?なんか聞いてたイメージと違うんだが?それに稽古はいらん」
「何、遠慮すんな。お前ならいずれ、妖精の尻尾最強の魔導士になれる。」
「いや、話聞いてくんない?」
「そう言う話なら私も稽古をつけてやろう。何、焦ることは無い。少しずつでも前に進めばいいさ」
「なーんで、エルザさんも稽古つける気満々なの?ってか、ソレ治療の意味ある?グレイ生きてる?」
ラクサスの妙なノリに乗ったのか、今度はエルザまで稽古をつけると言い出した。それはいい・・・・いやよく無いが、その包帯でぐるぐる巻きなされているグレイは無事なのだろうか?・・・・多分無事だろう。
「何!?エルザとラクサスと戦えるのか!?だったらオレがやってやる!!燃えてきたぞっ!!」
「ギヒッ!テメェじゃ無理だ火竜!!オレが真っ先にS級になってやらぁ!!」
「話が変わってるぞー・・・・っていつの間に来たんだアンタら?」
先ほどまで喧嘩していたはずの二人も近くにきていた。もはや話が脱線しているが。
そんなこんなで過ごしていると、マカロフからある知らせが言い渡された。
「「「「何だと〜〜〜〜〜〜っ!!!!」」」」
「だ か ら〜。今回のS級昇格試験は中止とする」
その知らせはS級昇格試験の中止だった。そらそうだ。候補者の中に評議員が紛れていたり、そもそも悪魔の心臓に邪魔されてしまっているのだ。中止にするのが当然だろう。
今回の候補者達もナツ以外はそれに納得しているが、ナツだけは納得していなかったので、マカロフに勝てたらS級にするという約束をした。
まぁ結果は瞬殺だったけど・・・・。
そんな中、グランは少し前からずっと何かを考え込んでいた。
「・・・・ん〜、何だったっけ?」
「グラン、どうしたの?」
「めずらしいじゃない。アンタが悩み事なんて。」
「何かあったのか?」
そんな考えているグランを心配して、ウェンディとシャルル、それにエルザも声をかけた。
「・・・・いや、悩み事っていうか、なんていうか・・・・ゼレフが目覚める直前に、何か言ってたような気がするんだよなぁ〜」
「ゼレフが言っていた?一体何を?」
「何・・・・つうか、多分なんかの名前だと思うんだが・・・・確か、ア・・・・アクア?じゃなくて、アクノ・・・・えーっと・・・・あー!思い出した!!確かゼレフが言ってたのは・・・・
アクノロギア」
グランが、その名を口にした瞬間・・・・偶然か、必然か、突然鳴り響く巨大な轟音。耳を塞いでも、体の芯まで響く何かの鳴き声。
その鳴き声に覚えのあるナツ、ガジル・・・・そしてウェンディ。彼らの知っている声ではなかったが、限りなく近い鳴き声を知っている。それは・・・・ドラゴンの鳴き声。
「みんなー!大丈夫ー!」
「おまえら!」
突然の事だったが、妖精の尻尾のメンバー達は1箇所に集まっていた。
ただ一人、ギルダーツのみ何かを察知したかのように、失った左腕を掴んだ。
「あそこだ!!」
と、リリー天狼島上空を指差す。そこにいたのは・・・・全身が黒いドラゴン。その姿に全員が驚きを隠せなかった。特に驚きを隠せなかったのが、ナツ、ガジル、ウェンディの三人だった。
「マジかよ……!?」
「本物のドラゴン……」
「やっぱり・・・・ドラゴンはまだ生きていたんだ」
「黙示録にある黒き龍・・・・アクノロギア」
「・・・・ゼレフはこいつの事言ってたのかよ」
と、ナツがそのドラゴン・・・・アクノロギアに向かって叫んだ。
「お前!イグニールがどこにいるか知ってるか!?あと、グランディーネとメタリカーナも!」
「よせナツ!!」
「降りてくるぞ!!」
降りてくるアクノロギア・・・・そして上げる雄叫び。そこにあるのは純粋な殺意・・・・それも、捕食者が獲物を殺すための殺意ではなく・・・・ただただ殺すためだけの殺意。
着地し、少し皆を見たアクノロギアは、再び高く飛び上がる。
「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
ギルダーツの悲痛な叫び。その叫びに皆が反応するよりも早く・・・・アクノロギアは地面に再び着地・・・・いや、それは着地などではなかった・・・・すべてを破滅に導くための攻撃だった。アクノロギアが地面に触れた瞬間・・・・その地面が大きく砕け、風圧で周りのもの全てが吹き飛ばされていく。ただの着地・・・・それだけで、周りを破壊したのだ。
「ウソだろ!?」
「なんて破壊力なの!?」
「何なのよこれ・・・・なんなのよこいつ・・・・!」
「船まで急げぇ!!」
そして、全員が逃げ始める。アクノロギアはそれを追い始める。
「走れ!!!みんなで帰るんだ妖精の尻尾へ!!!」
「ウェンディ!あんた竜と話せるんじゃなかった!?何とかならないの!?」
「私が話せるんじゃないよ!竜は皆高い知性を持ってる!あの竜だって言葉を知ってるはず!!」
「なら、アイツにとってオレ達・・・・つうか、人間なんざ虫ケラ同然・・・・言葉を交わす価値なんざねぇって思ってんだろうな!!腹立つ!!!」
グランが吐き捨てるように言う。そして皆は走り続ける、ひたすら走り続ける。だが、それでもだんだんと距離を詰められていった。・・・・その時。
「じっちゃん!」
「マスター!?」
「船まで走れ」
マカロフは、その場で立ち止まり自らの魔法で体を大きくし、アクノロギアと同等の大きさまで変わりアクノロギアを抑える。しかし、まだ完全に癒えていない体では抑えることが難しく、傷が開いてしまう。
「無茶だ!かなうわけねぇ!!」
「マスター!やめてください!!」
グレイとエルザが、声を荒らげる。しかしそれでもマカロフはアクノロギアを押さえ込んだまま、離さなかった。
「走れ!」
「かくなる上は俺達も!!」
「当たって砕けてやるわー!」
「最後くらいマスターの言うことが聞けんのかぁ!クソガキが!!」
加勢しようとするメンバーに怒鳴り声をあげるマカロフ・・・・・・・だが、それでも納得できない者もいる。
「俺は滅竜魔導士だぁー!!そいつが敵って言うなら俺が・・・・うがっ!?」
「走るぞ、ナツ!!」
「ラクサス!!!お前・・・・」
ラクサスが、ナツの服を掴んで走り出す。その心に悲しみを押さえ込みながら。
「マスター・・・・」
「う・・・・うう……!」
そして、マカロフを残し、全員が退避する。マスターの・・・・最後の指示に従って・・・・
それでよい・・・・ いずれわかる時が来る
涙など虚空 人が死ぬから悲しいのか? 悲しみが人を殺すのか 答えは各々の胸の奥に 誇り高きクソガキどもよ
生きよ!!!未来へ!!!!
一人残ったマカロフは、アクノロギアを全力で止めた。自分の後ろには大事な家族がいるから。例えこの身が打ち砕かれようとも、決してこの先へは進ませない。・・・・だが、マカロフの全力の足止めも砕かれた。
アクノロギアはマカロフを倒し、そのままマカロフを踏みつけ痛みつけていく。
「がっ!?あああああああ"っ!!?」
その猛攻に溜まらず悲鳴をあげるマカロフ・・・・だが、ボロボロに傷付けられているのに・・・・何故かその表情は誇らしげだった。
初めて、親らしい事が・・・・・・・・できたわい。もう思い残す事はない!!!!
マカロフは覚悟を決めた・・・・だが、そんなマカロフの横を走り去りアクノロギアの体をよじ登る者がいた・・・・・・・・ナツだ。振り払われようとも、決して離さずに食らいついていく。
「じっちゃんを返せ・・・・・」
「ナツ・・・・」
「かかれーーーーーっ!!」
ナツだけじゃ無い。エルザの号令に続き、逃げたはずの妖精の尻尾のメンバー全身がいっせいにアクノロギアに攻撃を仕掛ける。例えマスターの命令に背いても・・・・家族を置いて逃げる事など、出来るはずがなかった。
皆がそれぞれ全力で攻撃を仕掛けた。・・・・だが、全く効いている様子は見えなかった。ナツ、ガジル、ウェンディ、ラクサス・・・・そしてグランの滅竜魔導士による同時ブレスをも浴びせたが、それすらも効いていなかった。
アクノロギアが腕をたった一振り・・・・ただの力任せの一振りだけで全員が吹き飛ばされていた。
「みんな無事か!?」
「くそっ!!」
「攻撃が全く効いてねぇ!!」
「クソがっ!!こっちは全力だってのに、アイツは戦いとすら思ってねぇんだろうな!!」
皆が吹き飛ばされ悔しがる中、アクノロギアがいきなり空高く羽ばたいた。そのまま雲を突き抜け、空高く。
「飛んだ!!」
「帰ってくれるのかなぁ……」
「油断しちゃダメよ。」
空高く飛んだアクノロギアは、静止して魔力をためる。もはや遊ぶ事にすら飽きたのか、奴がとった行動は・・・・天狼島ごと吹き飛ばす事だった。
「
「島ごと消すつもりじゃないでしょうね!?」
「防御魔法を使えるものは全力展開!!」
「はい!!」
「術式を書く時間が無い!!」
「文字の魔法には他にも防御魔法がたくさんあるよ!!」
「さすがレビィだぜ!!」
「みんな・・・・フリード達に魔力を集めて!!!」
「手をつなごう!!」
「俺たちはこんなところで終わらねぇ!」
「うん!絶対諦めない!」
「皆の力を一つにするんだ!ギルドの絆を見せてやろうじゃねぇか!!」
全員が手を繋いでいく。魔力を受け渡すため・・・・妖精の尻尾に帰るため・・・・みんなで、一緒に帰るため・・・・。
「みんなで帰ろう・・・・」
そして次の瞬間・・・・アクノロギアが放ったブレスが天狼島を飲み込んだ。島まるごと飲み込む大爆発がおき・・・・更には海にも巨大な穴が開いた。
そこは・・・・ほんの少し前まで天狼島があった場所だった。やがて穴は次第に海の水が流れ埋まっていった。
【X784年12月16日天狼島・・・・アクノロギアにより消滅。アクノロギアは再び姿を消した。その後、半年にわたり近海の調査を行ったが、生存者は確認できず】
【そして、7年の月日が流れた】