FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
という訳で大魔闘演武が開始され、最初の競技は隠密。
その名の通りなら、隠密が得意なものが出た方がいいだろう。
「まずはオラに任せるだーっ!!
まず、四つ首の猟犬からはイェーガー。
「最初は様子見・・・・アチキにやらせて」
人魚の踵からはベス。
「ナルプティング、お前が行け」
「了解でサー!!!」
大鴉の尻尾からはナルプティング。
「僕が出るよ」
青い天馬からはイブ。
「私が出よう。今日は小鳥たちの歌声が心地よい」
剣咬の虎からはルーファス。
「初めから飛ばしていく。オレが出る。」
蛇姫の鱗からはリオン。
「ほう、だったらオレが出よう。この大会、どんなモンか見させてもらうぜ」
そして妖精の尻尾Aチームからはグレイ。
「グレイ様が出るならジュビアも!!!」
「おい!わざと負けたらただじゃ置かねえぞ!」
そしてグレイが出るなら当然、ジュビアが反応する。妖精の尻尾Bチームからはジュビアが出ることに。
「各チーム、隠密の参加者は前へ」
カボチャが選手達にそう伝える。グレイは薄っすらと笑みを浮かべた。自分の力を発揮する時だ、とワクワクしているんだろう。
「行って来るぜ」
「がんばってー」
「絶対負けんなよ!!!特にガジルのチーム!!それと剣咬の虎と大鴉の尻尾・・・・それと」
「漢なら勝ってこいグレイ!!」
仲間達の激励を背に進んでいくグレイ。
『いよいよ始まりますね。果たして隠密とはどんな競技なのか。ヤジマさん、注目の選手は居ますか?』
『んー…本命はルーファス君だろうけど、ワスはグレイ君に注目したいね』
『ジェニーさんは?』
『もちろんウチのイヴ君よ。強いんだから』
実況席の会話が響く中、選手達がカボチャの前に集まった。
「グレイ様、申し訳ありませんが負ける気はないですよ」
「当たり前だ、全力で来い」
「悪いが、オレも全力でやらせてもらう──ジュビアの為に!!」
「あう〜〜〜」
「ほっとけよ、バカがうつるぞ。・・・・つーか、予選の時から気になってたんだが…お前なに?」
と、グレイがカボチャに向けてそう言った。・・・・それは聞いちゃダメでしょうが。
「見ての通り~♪カボチャですぅ〜♪」
「あれ?質問したオレが悪いのか?」
「ジュビアもカボチャに見えますよ」
「いや、いいんだ」
「毎年の事だからね、あまり気にしてなかったけど」
「たぶん主催者側の役員だと思うのー」
「「キャラ作り、ご苦労さまです」」
「ノンノン、楽しんでやってるからいいんだカボー」
なんか無理してキャラ作ってねぇか?
「ちょっと待って下さいや。これから始まる競技…どんなモンか知りやしませんがね、いいや…今後全ての競技に関してですがね、ど―――う考えても2人居る妖精さんが有利じゃありませんかねぇ」
「ア?」
「仕方ありませんよ、決勝に同じギルドが2チーム残るなんて凄い事なんですから。カ…カボ」
「いいのではないかな。私の記憶が詩っているのだ。必ずしも2人居る事が有利ともいえない…と」
難癖をつけてくるナルプティングに・・・・まさかのルーファスがその抗議を助けるように発言する。
「さすがだねー、それが王者の余裕ってヤツかい」
「仲間は君にとっても弱点になりうる。人質・脅迫・情報漏洩・・・・他にもいくつかの不利的状況を構築できるのだよ。記憶しておきたまえ。」
「忘れなかったらな」
・・・・だが、やっぱなんかムカつく野郎だ。
『フィールドオープン!!』カ・・カボ
マトーくんが叫ぶと、突然会場のあちこちから建物が出現。それらはどんどん構築され、会場に町を作るように並んでいく。・・・・というか、カボつけるならちゃんとつけようぜ?
『会場の皆さんは街の中の様子を魔水晶ビジョンにてお楽しみください』
と、実況が言った瞬間、町を囲むようにいくつもの映像が現れる。映像を見てみると、周りを見回している様子の参加者が見えた。
『参加している8名は、互いの様子を知る事ができません。隠密のルールは簡単。互いが鬼であり追われる側なのです。この街の中で互いを見つけ、どんな魔法でもかまいません、一撃与える。ダメージの有無を問わず、攻撃を与えた側が1P獲得です』
その説明の最中、町中のあちこちに光が溢れ、競技に参加している8人の選手達と全く同じ姿をしたコピーが大量に現れた。・・・・不気味だ。
『これは皆さんのコピーです。間違えてコピーへ攻撃をしてしまった場合、1Pの減点となります。さあ!!消えよ静寂の中に!!闇夜に潜む黒猫が如く!!隠密──開始ィ!!!』
ジャ――――ンと銅鑼が叩かれる。
いよいよ競技が開始された。
「・・・・これ、負けたな」
グランがボソッと呟いた次の瞬間・・・・
『グ・・・・グ・・・・グレイ様がいっぱい・・・・これだけ居るんだから1人くらいジュビアが貰っても…グレイ様~ん♡』
ブッブー!と音が鳴り響き、ジュビアの身体が光り出した。
『きゃうん!!』
直後、彼女の姿は消え、別の場所に転移される。
『おーっと!ジュビアがコピーへの攻撃で減点1です』
「あのバカ」
「ほらやっぱり」
「・・・・」
「これは、ちょっとジュビアには不利かもね」
『この場合、10秒後に別のエリアからリスタートとなります。また他の魔導士にやられてしまった場合も1P減点され、10秒後に別エリアにてリスタートです』
これにより、ジュビアの得点は-1になってしまった。
『制限時間内であればリスタートは何度でも可能です。制限時間は30分、1番得点を稼いだチームが1位です』
こんな事なら、ラクサスかグランが出ればよかったな・・・・と、若干落胆していると、今度はグレイがコピーに攻撃をして、マイナスされる。件の大鴉の尻尾のやつに嵌められたのだ。
別の場所に転移されたグレイだが、またナルプティングに見つかり不意打ちされグレイの得点は-2。
「・・・・必要以上に狙ってくんな、アイツ」
「チッ!あのクソどもが・・・・」
グランとラクサスが吐き捨てるように言った。そして、競技はどんどん進んでいき、ベスがグレイを狙うが、逆にイェーガーに居場所がバレ、攻撃された・・・・と思ったらイェーガーもリオンにやられてしまう。
そこにジュビアがパンチラしながらリオンにドロップキック。これでマイナスから0になった。
「眼福…」
そう呟いて転移していったリオン。・・・・七年前もあんな感じだったっけ?
そしてジュビアとグレイが対峙した。
『オイオイ、手助けは無用だぜ』
『分かってます。ジュビアはあなたに勝ちます。マスターと約束したから』
『じいさんと約束だぁ?』
『はい』
実は、彼女たちBチームはマカロフから「勝ったチームがもう一方のチームを1日好きにできる」と言われたらしい。
つまり、負けた方は罰ゲーム・・・・それをグラン以外全員が知っていた事だ。
『ふざけんなぁっ!!?オイ!!じーさん!!聞いてねえぞ!!そのローカルルール、オレ達のチームにも適用されんだろうな!!』
「も、もちろん」
「・・・・オレ聞いてねぇぞ、そんな話」
「お前砂になってたからな」
その後、やはり妖精の尻尾を狙っているのかジュビアとグレイをまとめてナルプディングが攻撃を仕掛ける。
とイブの魔法により町中に雪が降る。
息を吐けば白くなり、寒ければ体が震える。コピーかどうかを見分けるなら上等な手段だ・・・・まぁ、グレイとリオンには効かないがな。
『悪いがオレに寒さは効かんよ』
『だよね』
連続でポイントを稼いでいたイブだったが、リオンに攻撃され中断される。
各地で静かな攻防が続いているが、ナルプディングは妖精の尻尾・・・・特にグレイをずっと集中狙いしていた。
『見いつけたっ』
『チクショウ!!このアゴ!!オレばかり狙いやがって!!』
『それにしても剣咬の虎のルーファスがまったく動きませんね。未だに誰も倒さず、倒されてもいません』
たしかに、あの仮面野郎だけが、目立っていなかった。すると
『この競技はジミすぎる』
『こ…これは!?』
声がしたと思ったら、街中で一番高い建物。その頂上で悠然と立つルーファスがいた。
『私は憶えているのだ、1人1人の鼓動・足音・魔力の質。憶えている、憶えているのだ
突如、空が暗くなった。動揺している選手達を嘲笑うように、ルーファスは体に光を纏わせ、そして両腕を広げた。
『星降ル夜ニ!!!!』
彼が纏っていた光が解き放たれ、流星のように全ての選手達に降り注いだ。
グレイ達はなすすべもなくそれを喰らってしまう・・・・唯一避けたナルプティングはルーファスに攻撃を仕掛けるが、あえなく撃破されてしまう。
『ぜ…全滅!!一瞬で首位に立った!!これがルーファス!!これが剣咬の虎!!!』
実況も観客も大盛り上がり。あっという間に状況をひっくり返してしまった。
『主催者の皆さん・・・・この競技は面白くない。だって私には隠れる必要がないのだから・・・・私を見つけたところで私に攻撃は当たらない。そこには私の記憶が残るだけなのだから』
『造形魔法だぁ?』
同じ造形魔法の使い手として、グレイが反応する。
『ふざけやがって隠密ってルールを守りやがれ!!』
グレイが飛び上がってルーファスに向おうとする・・・・だが、それをナルプディングが蹴って阻止する。
「また・・・・か」
「ヒヒヒ・・・・」
『ここで終了―――!!』
そこで時間が来てしまい、映像が消え、町も空中に溶けるように消えていく。
『順位はこのようになりました!!』
1位、剣咬の虎 2位 大鴉の尻尾 3位蛇姫の鱗 4位 青い天馬 5位 人魚の踵 6位 四つ首の猟犬 7位 妖精の尻尾B 八位 妖精の尻尾A
妖精の尻尾は第一の競技をボロ負けしてしまった。
『これは第一競技ですので順位がそのまま暫定総合順位となります。やはり予想通り1位は剣咬の虎でしたね~!』
『見事だったねぇ』
『妖精の尻尾は2チームとも善戦したのですが、残念な出だしです』
『次に期待スような』
浮かない表情で歩いてくるジュビアとグレイ。
そんな彼らに追い打ちを掛けるように観客から罵声が飛んできた。
「やっぱ弱ェじゃん妖精の尻尾!!」
「万年最下位――――っ!!」
「もうお前らの時代は終わってるよ―――っ!」
口汚く妖精の尻尾を罵倒する観客達。・・・・ぶっ殺してぇ。
「・・・・アイツら全員地に沈めてもいいかな」
「やめとけ・・・・次で見返せばいいだけの話だ」
「・・・・すみません、ジュビアのせいで」
「気にしなくていいのよ?次、頑張りましょ?」
落ち込むジュビアを慰めるミラ。
・・・・何はともあれ、開始された大魔闘演武・・・・あまりいいスタートではないが、この先どうなることやら。