FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
エキシビジョンマッチが終わり皆で騒いだ後の夜の事。ナツ、ウェンディ、そしてグランはガジルに呼ばれて地下に来ていた。
「一体何があるんですか?ガジルさん。」
「黙ってついてこい。」
「何で俺たちだけ……」
「・・・・滅竜魔導士に関する何かなんじゃねぇの?」
「そうだろうな。」
「あいっ」
「……と言っても、野次馬もいるけどね。」
「馬ってやつがあるか。」
「だって気になるじゃない。」
まぁこの場にはグレイとルーシィもいるけどね。
「それにしても、グラン。滅神魔法が使えたんだね」
「アレはマジでビビったぞ?一体どうなってんだお前?」
「・・・・まぁもう沈めちまったから、使えるかどうかわからんが・・・・どうなってんのかは知らん。」
「・・・・やっぱわからんは、もう」
「すごいね!グラン!!」
いつもどおり適当なグランに、呆れるグレイと純粋に感心しているウェンディ。
それからしばらくして目的の場所についたのか、ガジルが止まる。
「ここだ。」
「ん?」
「これは……!?」
「なんだこりゃ……」
「動物の、骨……」
「・・・・というか、コレ・・・・動物じゃなくて」
ガジルが案内した場所。そこは、ある生物の骨が大量に存在していた。その骨がなんの骨か・・・・動物にしてはデカすぎる・・・・そう・・・・コレはまるで
「竜の骨、竜の墓場・・・・」
「これ、全部竜の骨!?」
「凄い数……」
「ドラゴンの存在を確定づける場所か……」
そう・・・・そこにある大量の骨は・・・・全てドラゴンの骨だった。流石のグランもこれには驚かされた。
「なんなんだここ。」
「知るか。」
「どうなってんだこりゃ……こんなに大勢の竜が……」
「ここで何かあったのかしら……」
「・・・・一応、聞くがここにお前らの親はいんのか?」
「・・・・いや、いねぇよ」
「俺達の竜が姿を消して14年だ……ここに眠ってるのはそれよりも遥かに古い遺骨だろうな。」
「・・・・そうか、ならいい」
と、今まで何かを考え込んでいたウェンディがハッとして顔を上げる。
「ミルキーウェイ」
「どうしたのウェンディ?」
「・・・・ミルキーウェイって確か」
「うん。ポーリュシカさんから教えて貰った滅竜奥義の1つ、ミルキーウェイ。天ノ川へと続くドラゴンの魂の声を聞け。私・・・・てっきり攻撃系の魔法かと思っていたんですが……もしかしたらこの事なのかも……」
「・・・・その、ミルキーウェイはどんな効果が?」
「・・・・多分、魂となった竜の声を聞く魔法かも。」
「何!?」
「それって……」
「ここに眠る竜の声が聞こえれば、ここで何があったか分かるかも知れません。・・・・そして、いなくなった私達のドラゴンのことも……」
そしてまたしばらくして、ウェンディはその場に魔法陣を書き始めていった。
「魔法陣?」
「やっぱり!攻撃用の魔法だと思ってたからここの文字が違ってたんだ……」
「何やってんだウェンディ?」
「あんた話聞いてなかったの?」
「ミルキーウェイだって。」
「黙ってみてろ馬鹿」
「これでよし!皆さん少し下がっててください。」
そして魔法陣を描き終えたウェンディは、皆を少し下げる。
「さまよえる竜の魂よ、そなたの声を私が受け止めよう・・・・
ミルキーウェイ」
ウェンディが言葉をつむぎ、そして魔法陣が光り輝き洞窟の天井に、まるで星空のような輝きが映し出される。
そして、魔力が渦を巻き、一箇所に集まり一斉に骨達が震え始めた。
「ひゃあ!?骨が……」
「大丈夫なのかウェンディ?」
「竜の魂を探しています。この場にさまよう残留思念はとても古くて……小さくて……っ!!見つけた!!」
ウェンディが祈るようなポーズをとると、洞窟内の広いところに何かが集まっていくのが見えた。
「うおおっ?!」
「あれが魂なのか!?」
「ウェンディ?」
「集中しているみたいね。」
「・・・・邪魔すんな。・・・・それより、来るぞ」
そしてその集まった魂は次第に形を作っていく。いくつもある鱗、鋭い爪に牙を持つ巨大な生物……竜だ。
グアアアアアアアアアアアっ!!!
「「「あぁあああああ!! 」」」
「・・・・うっるさ」
そして現れた竜が吠え、ナツ達が驚き、グランが耳を塞ぐ。・・・・そして
「あーっはっはっはっ!」
「「「「っ!!?」」」
「人間の驚いた顔はいつ見ても滑稽じゃのう。」
「・・・・趣味悪いな、お前」
「気にするとこそこ!!?」
その反応にぽかんとする一同とやっぱりなんかズレていることに驚くグラン。その竜は驚くグラン達を気にせず話を続けていく。
「我が名はジルコニス・・・・翡翠の竜とも呼ばれておった。ワシの魂を呼び起こすとは……
そしてキョロキョロと辺りを見渡し、じっと黙って集中しているウェンディを見つけ、顔を近づける。
「かーわええのう!こんなにちんまい滅竜魔導士が、ワシを起こしたのか!」
「オイコラウェンディに近づくんじゃねぇぞおいコラ聞いてんのかコラ」
「嫌じゃ、この娘はワシが食う。」
「・・・・・・・・・・・・潰ス」
「冗談に決まっておろうがっ!!バカな種族よ!!!ホレ!!“幽体”に何が出来ようか!?あはははっ!!」
わざわざ見せつけるように、爪をすり抜ける。
「・・・・なんなの?このふざけた人」
「人じゃねぇ、竜だ」
「魂らしいがな」
「我が名はジルコニス、翡翠の竜とも「さっき聞いたわーっ!!」」
「・・・・翡翠の竜って自分で考えたんかな?」
「だからそこじゃないでしょ!!?」
「ここで何があったの?」
「ここには竜の亡骸がいっぱいあって……」
「その真相を知るためにお前の魂を呼び起こしたのだ。」
もう埒があかなくなったシャルル達がジルコニスに質問を投げつけるが、ジルコニスは態度を変えることはなかった。
「人間に語る言葉ない、立ち去れ。」
「オイラ猫だよ。」
「……そうだな、あれは400年以上昔の事だ。」
「ずいぶんアバウトな自分ルールだな」
「・・・・適当な竜だな」
お前が言うか。
「かつて竜族はこの世界の王であった。自由に空を舞い、大地を駆け、海を渡り繁栄していった。この世の全ては、竜族のものであった。人間等は、我々の食物に過ぎなかったのだよ。ぐふふ。・・・・だが、その竜族の支配に異論を唱える、愚かなドラゴンがおった。人間と共存できる世界を作りたい・・・と抜かしおったのじゃ。それに賛同する竜と、反対する竜との間で戦争が始まった。ワシは、反対派として戦った。」
「・・・・つまり、人と共存なんざしてられねぇって奴らの一体ってことか」
「そう・・・・ワシは人間は好きじゃない。食物としてなら、好物であるがな。」
「食いもんと会話してんのかおめー。ぷぷっ」
「ほら!!そーゆーのムカつくの!!!」
「それで・・・・その戦争はどうなったの?」
「コホン……戦況は拮抗しておった。竜と竜の戦いはいくつもの大地を裂くものだった。やがて共存派の竜どもは、愚かな戦略を打ち立てた。人間に竜を滅する魔法を与え、戦争に参加させたのだ。」
「滅竜魔法……?」
「滅竜魔導士の原点ってこと……?」
「・・・・マジか」
「滅竜魔導士達の力は絶大であった……人間との共存を選んだ竜達の勝利は目前と迫っていた。しかし、ここで一つの誤算が生じる。」
「・・・・誤算だと」
「・・・・力を付けすぎた滅竜魔導士達は、人間との共存を望んだ竜達さえも殺していった。そしてその人間の中の1人に……竜の血を浴びすぎた男がおった。」
先ほどまでずっと笑みを浮かべていたジルコニスの顔から笑みが消えて・・・・少し怯えたような表情になっていた。
「その名を口にするのも恐ろしい。“男”は、数多の竜を滅ぼしその血を浴び続けた。やがて“男”の皮膚は鱗に変わり……歯は牙に変わり……その姿は竜そのものへと変化していった。」
「人間が竜になったの……!?」
「それが滅竜魔法の先にあるものだ。・・・・ここに眠る竜達も、その男により滅ぼされた。男は人間でありながら、竜の王となった。竜の王が誕生した戦争・・・・
それが竜王祭」
「・・・・その、男の名は?」
グランがそう聞くと・・・・ジルコニスは答えづらそうにしていたが・・・・その口からハッキリと答えた。
「王の名は、アクノロギア。竜であり竜ならざる・・・・暗黒の翼。」
「・・・・アイツが!?」
「まさか、あれが……」
「元は人間だった!?」
「ばかな……!」
その名を聞き、全員が驚愕する。その竜はかつて、自分達を滅ぼそうとした竜の名だったからだ。
「奴により、ほとんどの竜は滅んでいった・・・・それが今から400年前の話だ。ワシは、貴様らに・・・・・・・・」
と、突如としてジルコニスは最後まで言わぬまま姿を消した。
「オイ!」
「消えた!!」
「まだ聞いてねぇことあるだろ!!」
「翡翠の竜って自分で考えたのか!!」
「だからそこじゃない!!」
「ウェンディ!!」
「ダメです……この場から完全に思念が消えました。東洋の言葉で言う、成仏というものでしょうか。」
「なんだか、エライ話になってきたな。」
「スケール大きすぎよ」
「滅竜魔法使いすぎると本物の竜になっちまうのか!?」
「それは困る!」
「どうしよう……」
「・・・・これって俺はどうなんだろうな」
「それはありえんよ。」
と、ここにまた第三者の声が聞こえてきた。
「誰!!」
「話は聞かせてもらった。やはり我々の研究と史実は一致していた……君達はゼレフ書の悪魔を知っているかね?・・・・アクノロギアはそれに近い。1人の滅竜魔導士をゼレフがアクノロギアにしたと推測される。」
「ゼレフが!?」
「つまり……全ての元凶であるゼレフを討つことが、アクノロギア攻略の第一歩となるのだ。」
「・・・・ゼレフを倒す?」
「何言ってんだ!!」
「誰だテメェ!!」
「ユキノ!?」
そして現れたのは・・・・白い鎧を身にまとった騎士・・・・そして元剣咬の虎のユキノがその場にいた。
「私はフィオーレ王国軍、クロッカス駐屯部隊、桜花聖騎士団団長アルカディオス。」
「同じく臨時軍曹のユキノ・アグリアでございます。」
「軍のお偉いさんがなんでこんなところに……」
「ユキノ……あんた剣咬の虎の一員じゃなかったの?」
「辞めさせられたって言ってたよね?」
「はい、その通りです。」
「私から説明しよう。極秘に進めていたある作戦に星霊魔導士が必要だった。そこでユキノ軍曹に力を借りているという訳だ。」
「星霊魔導士……?」
アルカディオスの言い分に、ナツが憤慨し始める。
「ちょっと待て!!何の話かわからねー!!ややこしい話はパスだ!!用件をいえ!!」
「・・・・ナツ・ドラグニル君だね?先ほどの戦い、素晴らしい魔闘であった。」
「んな事ァどーでもいいんだョ。こっちは星霊魔導士が必要とかどうとかってのに引っかかってんだ。言いてえ事があるならはっきり言いやがれ。」
アルカディオスの話に聞く耳を持たず、詰め寄り睨みつけるナツ。その行動を、誰も止めようとはしない。・・・・もう既に、ルーシィが狙われているからだ。
「ついてきたまえ。」
「おい!てめぇ!!」
「ルーシィ様……私からもお願いします。」
「え?」
「この作戦が成功すれば……ゼレフ、そしてアクノロギアを倒せます。」
「……アクノロギアを?」
「・・・・とりあえずついていってみるか」
こうして一同は、渋々ついていくことにした。
そして場所が変わり、華灯宮メルクリアス・・・・王が住んでいる城である。
「んだー!?コリャー!!」
「華灯宮メルクリアスですね。」
「陛下のおられる城だ」
「オイラたち入っていいの?」
「・・・・大丈夫だろ」
「まず初めに………数日前、ルーシィ殿を狙い……誤って攫おうとしたことを謝罪したい。」
「何!?」
「あれ、あんたの仕業だったの!?」
「勿論危害を加えるつもりは無かったが……些か強引な策に走ってしまった。あの時は早急に星霊魔導士が必要だと思いこみ、判断を謝った……申し訳ない。」
「・・・・そうか。・・・・ちょっといいか」
「何だ?」
ドゴンっ!!
「・・・・とりあえず、これでウェンディ達を攫ったのはチャラにしてやる」
「殴ったーーーーっ!!?」
アルカディオスの腹にパンチを喰らわせ、アルカディオスはその場に少しうずくまった。
とりあえずで国のお偉いさんに腹パンするコイツは色々すごいと思う。アルカディオスも、それを甘んじて喰らったようで、ふらつきながら立ち上がり、話を続ける。
「・・・・だ、大魔闘演武は、魔導士達の“魔力”を大量に接収する為のカモフラージュだった。」
「毎年魔導士達から魔力を奪ってたのかよ」
「……きたねぇな。」
「なんと言ってもらっても構わんよ。全ては計画の為にやったこと。」
そしてアルカディオスを先頭に城の中を進んでいく。そして彼らの目の前に巨大な扉が見えきた。
「世界を変える扉、エクリプス・・・・これの建造の為、大量の魔力が必要だった。」
「扉!?」
「何だコリャ?」
「・・・・デッカ」
「太陽と月が交差する時……十二の鍵を用いてその扉を開け。扉を開けば“時”の中。400年の時を渡り、不死となる前のゼレフを討つ。それこそがエクリプス計画。」
巨大な扉を見上げなが、アルカディオスは語る。
「と・・・・時を渡る……?」
(・・・・コイツが謎の魔力の正体か)
「ルーシィ様、星霊界はこの世界と時間の流れが違うと聞きます。」
「そう言えば、そうだったけど……」
「その星霊界独自の次元境界線を利用し、星霊魔導士の力でこの扉を開くのです。」
「当初の計画では、星霊魔導士は擬似的な魔力で代用できる予定であった。だが、本物の星霊魔導士と十二の鍵があれば、計画がより完璧になる。もはや必要不可欠と言って良い。太陽と月が交差する時、即ち三日後の7月7日・・・・君の力を貸してほしい、ルーシィ殿。」
「え?」
「7月7日・・・・」
「・・・・それって確か・・・・竜が消えた日だよな」
「・・・・うん。私たちの竜が消えた日だよ」
「ただの偶然か・・」
「太陽と月が交差する・・・・
「そこまでだ!!」
とそこに大声とともに、大量の兵隊が彼らを囲い込んできた。
「王国兵!?」
「なんだよ!?」
「・・・・ここでやろうってか?」
「大人しくして頂こう……アルカディオス大佐。」
「国防大臣殿!?これはなんの真似ですか!?」
そして現れたのはこの国の国防大臣だった。
「それはこちらの台詞だ。極秘計画……超国家機密を部外者に漏らすなど言語道断。」
「部外者ではない!知っているでしょう、この作戦において重要な役割を持つ者達です。」
「それは貴様の独断で決められるほど……簡単なものではない。」
「あなたは単にこの計画に反対なだけでしょう!!今すぐこんなふざけたマネはやめていただきたい!!」
「反対に決まっておるわ!!歴史を変えるなど!!その危険性を少しでも想像出来んのかっ!!小僧がァ!!」
大声を出し怒鳴る国務大臣。・・・・だが、彼の言う通り歴史を変えるという事の危険性は計り知れない。
「アルカディオス大佐を、国家反逆罪の容疑で拘束する!!並びにユキノ・アグリア、ルーシィ・ハートフィリア・・・・そしてグラン・ワームランドも拘束!!それ以外の者は追い出せ!!」
「何!?」
「ちょっとあたしまで……」
「・・・・え?なんで俺も?」
拘束対象に選ばれたルーシィと何故か同じく拘束対象にされたグラン。ルーシィは恐らく星霊魔導士だからであろうが・・・・グランはなんでなのかさっぱりすぎて頭が混乱しているうちに、拘束されていった。
「てめぇら……ルーシィとグランを巻き込むんじゃ……!」
「よせっ!!ここで魔法を使ってはならん!!」
「ぐあ……!?」
仲間を拘束されるのを見てられなかったナツが魔法を発動させようとしたその瞬間、突如エクリプスが起動しナツの魔力を全て吸い取ってしまった。
「言ってなかったかね?大魔闘演武は魔導士の魔力を微量に奪い、エクリプスへ送るためのシステム。
こんなにエクリプスの近くで魔法を発動すれば、全ての魔力が奪われてしまうぞ。・・・・騒ぎは起こさんでくれ、魔法の使えん魔導士など、我が王国兵の敵ではないのだから。」
「ちょっと!!離してよ!!」
「貴方達!アルカディオス様の部下ではないのですか!?」
「・・・・オイマジでなんで俺も拘束すんだ・・・・待て、俺だけ拘束具ゴツくないか?それ明らかに怪物用のだろ?アレか、俺は怪物みたいだって言いてぇのか?」
「ルーシィ!」
「ユキノさん!!グラン!!!!」
王国兵に捕えられるルーシィとユキノ・・・・それとグランとアルカディオスも捕えられてその他の者達は皆城の外へと追い出された。
「私とて本意ではないことを、理解していただきたい。全ては国家のため……だが、一つだけ助言することもできよう。
陛下が妖精の尻尾フェアリーテイルをたいそう気に入っておられる。大魔闘演武にて優勝出来たなら、陛下に謁見する機会を与えよう。
心優しき陛下ならば、仲間の処遇についても配慮してくれるやもしれん。」
そうして、一同はルーシィと・・・・本当に何故かグランまでも王国に捕まってしまったまま、その場を去ることしかできなかった。