FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
美しかった花の都は血で穢れ
人と竜の魔の祭り
人と人が戦い 竜と竜が戦い 人と竜が戦う
これぞ、古の厄災・・・・竜王祭の再来である。
「地獄竜の極拳!!!」
「グワハハハハハハっ!!!」
ぶつかり合うグランとハリドロングの拳。地獄竜となったグランの力でやっと互角に殴り合う事ができるほどの強敵。だが、こちらにも勝算はある。・・・・多分。
まず、攻めてきたドラゴンのうちの一体・・・・あの燃えているドラゴンはなぜかわからないがこちらの味方となり、空を飛ぶドラゴンと戦っていくれている。
そのおかげでジルコニスの方に、先ほどまで燃えているドラゴンと戦っていたラクサスが駆けつけてくれた。
先ほどからチラホラと雷撃が飛んでくる。効きはしないが、一々びっくりする。
「グワハハハハハっ!!!楽しいがそろそろ死んでくれ!!」
「だから死なねぇって言ってんだろうが!!!」
互いに血を流し合いながらの殴り合いを行い続けていく二人。ドラゴンと真っ正面から普通に殴り合えるグランが凄いのか、グランに血を流し未だに倒れないハリドロングが凄いのか・・・・どちらも化け物という事には変わりないな。
だが、微かだがグランの方が優勢である。ハリドロングはダメージが蓄積されていき傷が増えていく一方だが、グランは少しずつ傷を治していっている。
ダメージが多く常に魔力を消費してしまうが、出し惜しみしている場合ではない。
このまま続けていけばグランも瀕死ギリギリになるかもしれないが、確実にハリドロングを倒せるだろう。
「グワハハハハハっ!!!こうなればどちらか死ぬまで戦い続けようか!!!!」
「上等・・・・・・・・・・・・だっ?」
だが、グランは見てしまった。
ラクサス達と共に戦っていたウェンディが────────今まさにジルコニスに食われそうになっているのを
「────────っ!!」
その瞬間、駆け出した。目の前の敵を放り出し一直線に、ウェンディの元へ
「ウェンディっ!!!」
「きゃっ!?グ、グラン────」
そして、ウェンディを押してその場から突き飛ばす。飛ばした先で怪我をしないように、大地を柔らかくしたから大丈夫・・・・ウェンディは無事だ。
(・・・・・・・・何で、ウェンディは泣いてんだ?)
どこも怪我をしていないはずのウェンディが、なぜか泣いていた。いきなり突き飛ばしたから怒ってんのか?すまない・・・・と謝りに行こうとしたが・・・・何故か動かない。感覚がない。下半身と・・・・・・・左半身の感覚が・・・・ない。
「あ”ーー、なんじゃコイツは!?ペッ!ペッ!不味い上に砂利だらけじゃないか!!」
食われた。でもよかった。ウェンディは無事だ。
「グラン・・・グラン・・ごめん・・・・ごめんね・・・・」
ウェンディは泣きじゃくりながら、グランに治癒魔法をあてる。暖かい光が当てられているのに・・・・それを感じる事ができない。
ハリドロングとの戦いで・・・・魔力を使いすぎた。体を再生できない。
「・・・・まさか小娘を助けるために、己を犠牲にするとは・・・・。ふむ、大分予定とは違うが・・・・もう楽にしてやろう!!」
ハリドロングも近づいてきて、その巨大な拳をグランとウェンディに向けて振り下ろしてきた。
グランは・・・・最後の力・・・・最後の魔力を使い、ウェンディを守る。大地を使いウェンディを掴み、安全な場所まで届ける。
「いやっ・・・・いやっ!!離して!!離して、グラン!!」
「・・・・・・・・じゃあな」
「いや、ダメ!!グラン────」
ウェンディの無事を、その目で確認し・・・・・・・・・・・そして
降り注ぐ、巨大な拳の雨。大地は割れる。体は砕ける。意識がなくなるまで・・・・永遠とも思える時間が流れていく。
「・・・・そん・・・・な」
「嘘だろ・・・・」
「・・・・いやいや・・・・ただのフリでしょ?・・・・じゃなきゃおかしいじゃん」
グランが潰されていくその光景を・・・・信じられない目で見ている、ミラとラクサス・・・・そしてガイヤ。
いつものように、またひょっこり現れる。いつものように・・・・そう願うが・・・・ハリドロングがその拳を止め、そこにあったのは
「・・・・・・・・あぁ・・・・・・・・あぁ・・・・っっ」
何もない。グランを表すものは、何一つない。一片の欠片も残さずに・・・・グラン・ワームランドは・・・・死んだ。
「・・・・これで、我の命は終わりだな。・・・・ふむ、グラン・・・・その名を生涯覚えておこう」
そして、ハリドロングは惚けているウェンディ達の元へ行き・・・・そして
「お前らも、あの人間・・・・グランの元へ届けてやろう!!!」
巨大な拳をウェンディ達へと振り落とし───
「グワハハハハハっ!!!楽しいがそろそろ死んでくれ!!」
「だから死なね・・・・・・・・ん、なんだ?」
グランは殴り合っていた。ハリドロングと、両手で、両足でしっかり立ちながら。
だが今のはなんだ?ウェンディが食われそうになって、それを俺が止めて・・・・んで、食われて。
・・・・つまりこの後無計画に突っ込んでってたらウェンディは助けられるが俺は死ぬと・・・・んじゃやり方変えよう!!
「グワハハハハハっ!!!こうなればどちらか死ぬまで戦い続けようかァァーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!??」
「ん?なんじゃあぁぁぁっーーーーーーーーーーーーーーー!!?」
グランはハリドロングの腕を掴み、ジルコニスの方へと思いっきりぶん投げた。そしてハリドロング達は地面に豪快に倒れていく。
「グランっ!!」
「うおっ!・・・・ウェンディ、無事か?」
「うん!・・・・でも、さっきのは」
「・・・・分からん・・・・が、妙な感じだ」
ウェンディが駆け寄り、グランの無事を喜ぶようにグランに飛びつく。グランもそれをしっかりと受け止めていく。
そして、先ほど見た光景を思い出す。・・・・幻にしては、嫌にリアルだった。何がどうなっているのかさっぱり分からないが・・・・とにかく今はドラゴン達を倒さねばならない。
「・・・・まだ、いけるか?」
「うん!!グランも、気をつけて!!」
「あぁ・・・・任せろ!!」
ウェンディはラクサス達と共にジルコニスを倒しにいく。グランはハリドロングに向かっていく。
ドラゴン達も、それぞれの獲物めがけて突撃してきた。
「グワハハハハハッ!!また投げられるとは・・・・やはり面白いぞ!!」
「ウルセェ・・・・とりあえずムカついたからその腕斬り裂いてやらぁ!!」
夢?でハリドロングに殴り殺されたため、その腹いせに腕を斬り落とそうというのだ。・・・・仕方がないが、向こうからしたらとんでもない八つ当たりになる。
グランはその腕を、巨大な剣に変えてハリドロングの拳に向けて斬りかかる
「獄竜剣!!!」
ズバァァンッ!!
「グオォオッ!!?」
そしてハリドロングの腕を斬り落とした。元々ダメージが蓄積されていたのと、一番傷の深い場所に斬りつけた為、ハリドロングの強靭な鱗をも斬り裂く事ができたのだ。
だがその影響で、“地獄竜”が解除されてしまったが、この戦いで一番のダメージを与える事に成功した。斬り落としされた腕は宙を舞いながら地面に落ちていく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・腹減ったな」
魔力が消耗してしまったグランは・・・・・・・何故か落ちた腕をじ〜〜〜〜〜っと見ている。・・・・何をする気だ?待て、うまくないぞ?絶対上手くはないぞ!!?多分魔力は回復しないぞ!?
「・・・・グワハ・・・グワハ・・・・グワハハハハハハハハハっ!!!我が腕を斬り落とすとは・・・・やはり素晴らしいぞ!!!さぁ!!とことん楽しもうじゃないかっ!!」
「・・・・・・・・んが?」モグモグ
「って我の腕食ってる〜〜〜〜〜っっ!!!???」
ハリドロングが同じように高笑いをして、後ろを振り返ってみると・・・・そこには先ほど斬り落とした腕をモグモグと食べているグランの姿があり、目玉が飛び出るほど驚愕した。
腹減ったからって普通食べるか?いや、食べるのはまだいい・・・・普通本人の前で食うか?あー、でも魔力は何故か回復してるっぽい。
「ちょ、おい!!何食っているのだ!!?」
「・・・・腕?」
「疑問形にしなくとも腕じゃっ!!!」
「お前の腕、筋肉ばっかでかったいな〜」
「えっ、そりゃまぁ他のドラゴンよりは我は鍛えているからな・・・・じゃないわ!!?」
一応言っておこう・・・・今は戦いの真っ最中である。
「うははははははっ!!ハリドロングの奴、腕を斬られた挙句食われとるわ!!!うははははははっ!!!」
ジルコニスもウェンディ達を襲うのをやめて、大爆笑していた。
「・・・・何やってんだアイツ」
「あらあら・・・・」
「ねぇねぇ。妖精さん達はあんな変なのしかいないの?それともグランがおかしいだけ?」
「だ、ダメだよグラン!!そのまま食べたらお腹壊しちゃうよ!!ちゃんと焼いて食べないと!!」
「うん、ウェンディちゃん?そこじゃないよ?ボクらが言いたいのはそこじゃないんだよ?」
「・・・・・・・・ゴックン。・・・・さてと、最後はド派手に決めるか」
腕を食い終わり、自身の魔力も戻り、大地より魔力を取り込んでいくグラン。“地獄竜”は、もうすでに解除しているが・・・・それにも劣らないほど魔力が高まっているのを感じる。
ハリドロングもそれを感じとり今一度グランに向けて拳を振るう・・・・だが、その拳をグランは弾き返していた。
先ほどまで出来なかった芸当に驚愕をあらわにするハリドロング。
何が起きたのか、わからないが、今この瞬間にグランはドラゴンを超えた。
惚けているハリドロングに向け、大地から十分な魔力を取り込み両腕を構え・・・・奥義を繰り出す。
「滅竜奥義・・・・極乱・地竜破拳!!!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
「グボラバァッ!!?」
連続で撃ち続けられる大地竜の剛拳に、たまらず苦痛を上げて倒れ込むハリドロング。
「・・・・ウソ、グランがドラゴンに勝っちゃったよ」
「ボサっとしてんな!!俺たちもコイツを倒すぞ!!」
「はい!!」
「ハリドロングの奴・・・・人間如きに負けるとは・・・・だが、貴様ら風情に負ける我では・・・・ん?」
「・・・・んあ?」
ウェンディ達もグランに負けじとジルコニスを攻撃していこうとする。それを薙ぎ払おうとしたジルコニスは、ふと空を見上げる。
その場の全員も空を見上げると・・・・巨大な炎の塊が落ちてきているのが見えた。
・・・・そして
ドッゴォォォォンッ!!
凄まじい轟音が鳴り響いた。その場所を見ると・・・・ナツが空を飛んでいたドラゴンを落とし、エクリプスを破壊していたのだ。
そして・・・・ドラゴン達の体が光りだした。
今、エクリプスが破壊された事により・・・・ドラゴン達もこの時代から元の時代に帰るのだ。
「ぬおおお!?なんだこれは!!?」
「ドラゴンが・・・・」
「消えてく・・・・!?」
「え?ウソ?これボクらの勝ち?まだ倒してないよ?」
だが、ジルコニスは最後の足掻きで暴れ出す。
「人間如き・・・・人間如きがぁ!!!」
「・・・・ごめんなさい」
そんな暴れるジルコニスの前に、一人の女性が出る。
「時をつなぐ扉を建造したのは私です。あなた方の自然の時の流れを乱してしまった。あなたは400年前に生きる者。我々は現在に生きる者。本来・・・・争うべき理由が全くないもの同士。それを歪めてしまったのは私です。」
「何だ貴様は……」
「ヒスイ・E・フィオーレ。」
「ヒスイ?」
「そう・・・・あなたの体の色と同じ翡翠です。」
「同じ・・・・だと?」
「同じです・・・・翡翠の竜よ」
(・・・・あれ姫さんがつけたのか・・・・)
それを聞いていたグランはふとそう思った。
「翡翠の竜・・・・悪くない響きだな。・・・・ん?うわっちょっと待て!!くそっ!!ハメられた!!オレは・・・・」
最後の最後にハメられたジルコニスは最後まで言う事なく帰って行った。
次々と他のドラゴンも元の時代に帰って行った。
・・・・それはハリドロングも同じ事。
「・・・・・・・・グワハ・・・・ハハハッ!・・・・・・・・我が負けるとはな」
「・・・・なんだ、意識あったのか」
「・・・・人間・・・・貴様の・・・・名は・・・・」
「・・・・グラン。グラン・ワームランド」
「・・・・・・・・グワハハハ・・・・覚えておこう・・・・・・・・我を倒した・・・・人間の名を・・・・・・・・」
そう言って、ハリドロングも帰っていった。それを目に焼き付けながら、グランはウェンディ達の元へ向かった。
「・・・・俺も覚えておくよ。ハリドロング・・・・一度、俺を殺したドラゴンとしてな」
夢・・・・いや、あの一つの現実で起きた事を思い出しながら・・・・グランはハリドロングの名を頭に刻み込んだ。
「グラン!!凄いね!!ドラゴン、やっつけちゃったね!!」
「・・・・まぁ。偶々だがな」
「その偶々も俺らには出来なかったんだぞ?・・・・ったく、呆れるほど強くなっていくな、お前。」
「・・・・まぁいいや。・・・・戦いは終わったからな」
「・・・・そうだな」
「・・・・うん!」
滅竜魔導士は・・・・グランを除いた全員がドラゴンを倒せていなかった。それほどまで強力なドラゴンとの戦いに・・・・生き残り、この世界を守れただけでも・・・・我らの勝ちである
「・・・・・・・・」ギュッ
「・・・・どうした?ウェンディ?」
先ほどまで、グランの勝利を自分のことのように喜んでいたウェンディは・・・・グランに抱きついた。
「・・・・グランは・・・・私とシャルルを置いて死なないよね?」
その目に、涙を溜めながらグランに問いかける。あの時・・・・あの光景が・・・・ウェンディは頭から離れない。自分のせいで、あぁなってしまったと・・・・そのせいでグランが・・・・と考えてしまうから。
「・・・・安心しろよ、ウェンディ」
そんなウェンディを抱き返すグラン。優しく、その小さな体を包むように
「・・・・俺はウェンディとシャルルを置いて死なねぇよ。絶対にな」
「・・・・うん・・・・うん!」
ウェンディはさらに強く腕に力を入れて、グランを抱きしめる。そしてグランは、ここに誓う、決して死なないと。何があっても、ウェンディとシャルルの元に戻る・・・・と。
X 791年 7月7日。ドラゴンの襲撃を回避、エクリプスを破壊・・・・ここに、新たな未来へと進みだした。
その未来に待っているのは、絶望か、希望か・・・・まだ、分からない。
だが・・・・今はそんな先のことよりも・・・・今この勝利を喜ぼう。
皆で掴んだ・・・・この