FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜   作:紅蓮大地

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第五十四話 妖精の尻尾vs冥府の門

 

冥府の門の策略により、妖精の尻尾はギルドごと吹き飛んでしまった。その様子を空を飛ぶキューブより見ている冥府の門。

 

「ご覧の通りですわ、キョウカ様。」

 

「よくやったセイラ。」

 

「ゲヘヘヘ…失ったお命は、おいくらかおいくらか。」

 

「一掃出来たのなら、こんな辺境の地まで冥界島(キューブ)を動かす必要はなかったな。これより、作戦を従来のフェイス計画に一本化する。時は満ちた……人間共の猜疑心が生み出した白き遺産によって、人間共は自らを滅ぼすのだ。フェイスは人間共から全ての魔力を奪い、我ら魔族の時代を約束するだろう。全ては、ゼレフの望む世界のために。」

 

そして、邪魔者がいなくなった奴らは等々、計画へと実行していこうとしていた。そんな中。

 

「おんや?」

 

「どうしたフランマルス。」

 

「いえね、多数の魔力反応が……」

 

フランマルスが多数の魔力反応があると報告する中、1人の兵士が部屋の中に大急ぎで入ってくる。

 

「大変です!冥界島に向かってくる三体の影を確認しました!」

 

「三体?いや、これはもっと大勢の魔力ですぞ?」

 

その兵士の報告にもっといると言うフランマルス。

 

「視認できるのは3体のみです!」

 

だが、兵士は視認できるのは三体のみと、少し矛盾が生じていた。

 

「何事だ?」

 

「アンダーキューブを映しますわ。」

 

島の下側、その映像が映し出される。そこに三体の影がいた。ハッピー、シャルル、リリーが、今まさに冥界島に向かっていた。

 

「ネコ…!?」

 

「あれは確か妖精の尻尾の…!?」

 

「あんな小動物から多数の魔力反応だと!?」

 

「キョウカ様、手に何かを持っているようですわ……カード!?」

 

そして、セイラはハッピー達が大量のカードを持っている事に気がついた。

 

 

 

 

 

 

時間をすこし巻き戻す・・・・爆発のほんの少し前

 

エルフマンの様子がおかしい事に疑問を思ったカナはエルフマンを追うと、エルフマンが魔水晶をセットして今にも爆破させようとしている所に遭遇。

 

なんとか止めようにも、エルフマンは敵に操られている様子で押さえつけられてしまう。

 

間に合わない・・・・そこでカナがとった行動は、皆を一斉にカード化させる事。

 

そしてギルドが爆発したと同時に、ハッピー、シャルル、リリーに脱出と特攻を命じていた。

 

この一瞬の出来事のおかげで、ギルドは破壊されてしまったが、皆無事だった。

 

「あのカードは、妖精の尻尾の魔導士ですぞ!!」

 

「なんだと!?」

 

「そんな…私の……失態………」

 

「防衛線を張れ!アンダーキューブに重力場を展開!フロント・リア・サイドキューブは第1戦闘配置!トップキューブには近づけさせるな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ!?」

 

「何これ!」

 

「吸い寄せられてる!!」

 

「これは…重力!?」

 

冥界島へと飛んでいたハッピー達は、島の真下に急激に引き付けられてしまい、ハッピーとシャルルは地面に叩きつけられてしまう。リリーはうまく着地していた。

 

落ちた直後・・・・大量の冥府の門の兵士達が襲いかかってくる。

 

「オイラ達逆さまになってるの!?」

 

「そんなことより敵が出てきたわ!!」

 

「全員カードから解凍!行くよ!!」

 

「「「おおおおおおおっ!!」」」

 

「「「妖精の尻尾、出陣!!」」」

 

そして皆、カードから解凍され出撃していく。今ここに、妖精の尻尾と冥府の門の戦争が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・それにしても無駄に数が多いな!!」

 

向かってくる兵士たちを蹴散らしながらそう言うグラン。彼の言う通り、そこまで大した事がないのだが、いかんせん数が多い。加えて、病人や怪我人も守りながら戦わなければならない状況にあった。

 

早く城まで行かなければならないが、中々突破口が見つからない。

 

「グラン!!アンタならこれくらい壊せるでしょ!!」

 

「・・・・そしたらみんな真っ逆さまだけど?」

 

「ぐずぐずしてないで兵士を倒しなさい!!」

 

「えぇ〜」

 

兵士達の相手をしている場合ではないのだが、突破口がなければ向かえないのもまた事実。どうしたものかと思っていると・・・・いきなり地面が盛り上がったと思ったら、その部分が破壊されて、槍を構えたエルザが飛び出してきた。

 

「・・・・突破口できたな」

 

念願の突破口が、まさかエルザにあけてもらえるとは思っていなかったが、そんな事を気にしている場合ではなかったので、その突破口へと降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何…!?この部屋……」

 

「沢山文字が浮いてる」

 

「あの大きい球体、地図みたいですよ。」

 

「制御室かしら……」

 

「・・・・なんか気持ち悪い気配があるな」

 

突破口より入ってしばらく、グラン、ウェンディ、ルーシィ、ハッピー、シャルルはある一つの部屋に立ち寄った。

 

「エルザが言ってた通り、フェイスの封印が解かれたみたい。」

 

「ど、どうしよう、グラン」

 

「・・・・どうしような」

 

「この魔法陣使って、また封印できないのかな?」

 

「駄目ね、完全にロックされてるわ。動かせない。」

 

「あれ?ここには現地の手動操作じゃないと起動出来ない、って書いてあるのに……起動してる!?」

 

エルザが言っていたのだが、もうすでにフェイスの封印が解かれてしまったいるらしい。そしてルーシィが見た画面にはもう既に起動しているらしい。

 

「これ・・・・フェイス発動まで後41分」

 

ウェンディのその言葉に、グラン以外は驚き焦り始める。グランは「・・・・あらら」的な感じだ。だからもっと驚け!

 

「41分!?あとたった41分で大陸中の魔力が!?」

 

「どうしようどうしよう!!みんなに知らせなきゃわー!?」

 

「落ち着きなさいハッピー。」

 

「ここを壊してもダメ!?」

 

「・・・・無理だな。解除も現地でやるしかないっぽい。」

 

「みんなに知らせてる時間はないわね……私たちで行きましょう!」

 

「あい!!」

 

「・・・・俺は?」

 

「アンタは走りなさい!!」

 

止められないとわかれば、即座に判断し、フェイスを止めようとフェイスの出現した場所まで向かおうとした矢先・・・・部屋に錫杖の音が鳴り響く。

 

「仄暗き乙女の祈りは、地獄に響く鈴の音か。照らす魔皇は、大地を回復せし明星の息吹。冥界に落ちた妖精の乙女よ。骸となりて煉獄を彷徨え。」

 

「が、がいこつ……」

 

「お面ですよきっと…」

 

「・・・・俺の事が言われてない」

 

「そこはどうでもいいでしょ!!」

 

そこに現れたのは、冥府の門九鬼門の一人、漆黒僧正キース。見た目は、完全に骸骨だ。そしてグラン、そこは気にするとこじゃない。

 

「時間が無い、スキを作って脱出しよ。」

 

「はい。」

 

「早くフェイスを止めないと…」

 

「大変なことになるわ。」

 

「もう大変なことになっているんですよ、お嬢さん、お坊ちゃん方。ゲヘヘヘヘ。」

 

と、そこに恐らく元々この部屋にいたであろうフランマルスもひょっこりと現れた。

 

「一人増えた!」

 

「・・・・一つ目ボール」

 

「誰が一つ目ボールですか!?」

 

「あたしに任せて!開け金牛宮の扉、白羊宮の扉!!タウロス、アリエス!!」

 

「MOォ!出番ですかな!」

 

「頑張りますすみません!!」

 

ウェンディが一人増えた事に驚き、グランがどうでもいい事を言って相手の気を引いている間にルーシィは2人の星霊を呼び出す。

 

「モコモコウール100%!!」

 

「もっ!?ぶほぉ!!」

 

「MOOOOOOO!ウールタイフーン!!」

 

「ぶほほっ!?」

 

アリエスが出したウールを、タウロスが戦斧を振り回して勢いよく巻き上げる。

 

「今のうちよ!!」

 

「あい!!」

 

「フェイスの場所分かる!?」

 

「ドクゼリ渓谷の大空洞よ!!」

 

「急ごう!!」

 

「はい!!グランも!!」

 

「・・・・悪いが、もう一人きた。先行ってろ」

 

「え?」

 

星霊達が足止めしてくれている間に、急いでこの場から脱出しようと考えていたが、どうやら敵は簡単に逃してくれないらしい。

 

「砕け散れ土塊ェっ!!」

 

その言葉と共に激しい爆発音が鳴り響く。その威力は凄まじく、ウェンディ達は吹き飛ばされてしまう。

 

「グラン!!」

 

「アイツは!?」

 

その爆破を起こしたのは・・・・グランに一度ボロ負けして倒されたジャッカルであった。

 

「・・・・生きてたんだな、爆破魔。今は犬じゃないんだな」

 

「じゃかしぃ!!お前だけは一片のかけらも残さずに粉々に爆破させたらぁっ!!」

 

側にいたウェンディ達には全く目もくれず、グランに敵意と殺意をあてまくるジャッカル。だが、これはある意味好都合。

 

「・・・・今のうちに行け!後で追いつく!!」

 

「ごめん!!任せる!!」

 

「ごめんね!フェイスは任せて!!」

 

そう言ってその場から勢いよく飛んでいくウェンディ達。そんな彼女達を止めようともせずにグランに突っ込んでいくジャッカル。その勢いのまま、壁に激突して破壊していく。

 

「・・・・しつこい」

 

「オラオラ!!さっさと反撃してみろや!!」

 

容赦のない爆破の雨・・・・いや嵐。ただただ一方的な攻撃にもはやなす術なしか!?

 

「ワハハハハハっ!!どうしたどうした土塊ェ!!手も足も出ぇへん「・・・・・・・・悪いが」かっ!!?」

 

ガシィっ!!と、ジャッカルの顔面を握りしめ、力を込める。

 

「・・・・お前に構ってる暇は・・・・・・・・ねぇんだよ!!」

 

「うおぉおおっ!!??」

 

そしてそのまま勢いよくぶん投げて、吹き飛ばす。今の最優先事項は、フェイスを止める事であり、こいつと戦うことではない。

 

さっきは、まだウェンディ達がいた為、相手にしていたが、ある程度の時間を稼げれば問題はない。

 

ジャッカルはぶん投げられ壁の向こうへと消えていく。死んではいないだろうが、当分はこれでいいだろう。

 

「・・・・急ぐか」

 

グランはそのまま、ウェンディ達が飛んで行った方まで走っていった。

 

 


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