FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
場所は変わり、ドクゼリ渓谷の大空洞。ウェンディとシャルルはフェイスを止めるべくその深い大空洞の中へと進んでいった。
だが、簡単には見つからず冥府の門、九鬼門の一人エゼルと対峙してしまう。
ウェンディでは敵う相手ではない。逃げた方がいいというシャルルに対し、逃げきれないからやるしかない。そう告げるウェンディ。シャルルを安全な場所に移し、戦闘を開始する。
が、しかし。エゼルには敵わなかった。ウェンディの攻撃は対したダメージにならず、吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばされたウェンディはエゼルに踏み付けられ、身動きが取れなくなる。
「あぅっ!!?」
「見ろ・・・これがフェイスだ」
そしてちょうど吹き飛ばされた場所にフェイスがあった。それは巨大な白い柱・・・その頂点に人の顔のようなものがある。
「発動まであと5分。流石にこんなに近づくとすげぇエーテルナノ濃度だ。臭くていけねえ。・・・・・だが、その魔法粒子が魔法を滅ぼす。大陸中の“魔力”を奪い、オレ達の“呪法”が世界を支配する・・・・・・・・・お前はその前に粉々に砕いてやるョ」
そしてエゼルはより一層にウェンディを踏む力を強めていく。本気でウェンディを粉々に踏み砕くために。
「ウェンディを放しなさいっ!!このっ!このっ!!」
だが、それを阻止しようと陰にいたシャルルがエゼルへと攻撃する。その攻撃は、決してダメージなど与えられない・・・微々たるもの。それでも、ウェンディを助けたくて、居ても立っても居られなくなったシャルルが出来る唯一の抵抗。
「んだァ?このネコは?食っていいのかョ」
当然、エゼルに簡単に掴まれてしまいその大口を開けシャルルを食らおうとする。
「やめて!!お願い!!!」
ウェンディは動けぬ体で必死に声を張り上げながら懇願するも、悪魔の耳には届かない。
抵抗虚しくエゼルがシャルルを食らおうとした、その時
ゾッ
「・・・・・・っ!!?なんだっ!!?」
得体の知れない何かを感じ取ったエゼルは咄嗟に振り向いた。その何かはエゼルにとっては何かわからない・・・本来悪魔である自分が持ってはならない・・・・・・恐怖を感じてしまうようなもの。
対し、ウェンディとシャルルにとっては・・・・・・いつも感じている・・・昔から知っている・・・・・・自分達を守ってきてくれた・・・そんな存在。
(・・・・・・もう・・・守ってもらうだけなんて・・・・・・そんなのいや・・・・・・いつまでも・・・弱いままなんて・・・・・・私も・・・グランみたいに・・・・・・今度は私が・・・守れるように!!)
一瞬だった。エゼルの踏み付けによる拘束が弱まったのも、エゼルがウェンディとシャルルから気を逸らしたのもほんの一瞬。すぐに気のせいだと思い、シャルルを食らおうと、ウェンディを踏み砕こうとする。
だが、ウェンディにとって・・・その一瞬で充分だった。
ゴオオォッ!!
「な・・・何だ!!?」
フェイスの近くを漂う高濃度エーテルナノ・・・それが空気と混ざり合い・・・・・・その空気を取り込んだウェンディは・・・今、
逆巻く風を纏い、ウェンディは立ち上がり、反撃を開始する。
ヒュンッ
「消え・・・・・・ごあああああっ!!?」
一瞬でエゼルの死角に回り込み一撃を食らわせる。先程までとは打って変わった力にたちまち声を上げるエゼル。
「このガキっ!!」
当然黙ってやられる訳もなく反撃するエゼルだが、その攻撃は空を切る。そのまま逆に吹き飛ばされる。
「面白ェっ!!」
突如としてパワーアップを果たしたウェンディを相手にさらに闘争心を激らせるエゼル。
「ウェンディ・・・もう時間が・・・」
だが、コイツを相手に時間をかけるわけにはいかない。残り時間はもう既に5分を切っている。
「わかってる!!!これで・・・・・・決める!!」
「ア?何だこれは・・・風!?」
だからこそウェンディは次で止めを指すつもりだ。魔力を高めていき、エゼルに向けて放つ。
「滅竜奥義・・・照破・天空穿!!!」
放たれる滅竜奥義。これで決まると思っていた。
「オレの“呪法”は全てのものを斬り裂く“妖刀”!!!!三日月!!!」
エゼルは腕を振るいウェンディの滅竜奥義を斬り裂いた。
「ああぁぁっ!!」
斬り裂かれた衝撃で吹き飛んでしまうウェンディ。対しエゼルは、その姿を変貌させ追い討ちをかける。
「斬撃モード!!!オレの妖刀は斬れ味をさらに増すぜぇ!!」
迫るエゼル。そして刻一刻と過ぎていく時間。
(・・・この空間は・・・今・・・・・・私が・・・支配してるんだ!!)
そして次の瞬間────────────この空間から風が消えた。
「・・・・・・・・・ア?」
先ほどまで逆巻いていた風はおろか、その周りの風・・・いや、空気が消えていた。それら全ての空気は、ウェンディへと集っていく。
エゼルの本能がそれをいち早く察知しウェンディを斬り刻まんとその凶悪な妖刀をウェンディへと向けたが・・・・天竜は既に狙いを定めていた。
「滅竜奥義・・・・極波・天竜哮!!!」
ドゴォォォォォォォォォォっ!!!
放たれた天空竜の咆哮は、エゼルを通してフェイスをも破壊した。
それとほぼ同時にウェンディの竜の力も解けて、ウェンディは地面に倒れ込む。
やった・・・・・・そう喜ぶのも束の間。フェイスは破壊したはずなのに・・・・・・カウントダウンは止まっていなかった。
「え?」
「何で・・・・・・フェイスを壊したのに・・・カウントダウンが止まらない!!」
「くっ・・・あうっ。あれ?・・・体が・・・」
もう一度何とかしようとウェンディは立ち上がろうとするが・・・体に力が全く入らず、また地面に倒れてしまう。
より一層に光出すフェイス・・・があった場所。カウントダウンはもう3分を切っていた。
更に・・・・・・ウェンディ達を絶望が襲う。
「くそがァァァァァァァァァァァァっ!!!」
「え!?」
「何で・・・」
倒したはずのエゼルが雄叫びを上げながら立ち上がった。目の焦点はあっておらず全身ボロボロな状態で、ウェンディを睨んでいた。
もはや立つことすらままならないはず。だが、奴は起き上がった。自らのプライドをズタズタにされた屈辱を糧に、ウェンディへの憎しみだけでその体を保っていた。
「このガキがぁぁっ!!!!!」
そしてボロボロの刃をウェンディに向けて振り下ろさんと襲い掛かる。ウェンディは避けようにも、体は動かない。シャルルはその小さな体に懸命に鞭を打ちウェンディを守ろうとするが間に合わない。
(だめっ・・・・・・)
(助けて・・・・・・)
((グランっ・・・))
「邪魔」
ドゴォォォォンッ!!
「グボハァっ!!??」
刃がウェンディへと振り下ろされる瞬間、飛んできたグランに因ってエゼルは地面に叩き潰され・・・完全に意識を失っていく。
「・・・あっ」
「・・・頑張ったな、ウェンディ。あとは任せろ」
「・・・うん」
と、ここでウェンディは安心しきったかのように気を失った。
「・・・さて・・・と。シャルル、コイツが自爆した時の爆破の範囲は分かるか?」
「・・・分からない。本来なら私がやろうとしてたから。この先の未来は真っ白だったの。それに、爆破の範囲は予想・・・予知ができない。」
「・・・なら、出来るだけ遠くに送るから、何とか頑張ってくれ」
「・・・アンタは大丈夫なの!?フェイスの自爆の威力は分からないわ!いくらアンタでも・・・・・・」
フェイスを止める方法・・・大量に吸収したエーテルナノ、そのエネルギーを別の属性に変換させ、自立崩壊魔法陣を発動させる。つまりフェイスを自爆させようという事だ。
だが、その威力は計り知れない。だが、だからと言ってこのまま作動させてしまえば、世界中から魔力が消えてしまう。
「・・・大丈夫、約束したからな。お前らを置いて死なねぇってな」
そう言い、グランは大地を操作して、ウェンディとシャルルを出来るだけ遠く、安全な場所まで移動させる。なるべく遠くに。
ある程度の距離を離した後、グランはフェイスの近くへと近づく。
「・・・恐らく、ここをこうする・・・・・・・・・あ、合ってた」
コイツ、まさかのほぼ勘で自律崩壊魔法陣を展開させようとしてたらしい。バカじゃねぇの?しかもそれで出来ちゃったし。
「・・・・・・これを押せばいいのか」
そしてフェイスの自律崩壊魔法陣を展開させ、後はボタン・・・紋章?を押す・・・いや触るか?・・・まぁどっちでもいいか。それだけとなった。
・・・・・・フェイスの自爆による爆発の威力は予想ができない。息を整え、今一度覚悟してから「・・・ポチッとな」え?まだ覚悟できてな──────
ドゴォォォォンッ!!
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオ
オオオ
フェイス爆発場所より離れた場所にて、フェイスの自爆を目の当たりにしグランが無事かどうか心配するものがいた。
「・・・・・・本当に大丈夫なんだろうな、アイツ」
ドランバルトだ。グランがウェンディ達の元に向かう途中で偶然にも遭遇し、ウェンディとシャルルを途中から安全な場所まで送り届けてもらうよう頼んであったのだ。
「だが、これでフェイスが破壊された。グランのおかげ・・・・・・いや、この小さな勇者達のおかげだな」
「・・・・・・何カッコつけてんだ、お前」
「どわぁあっ!!?」
感傷に浸っていたドランバルトの元にしれっと現れたグラン。所々傷はあるものの、ほぼ無傷と言っていい状態で無事だったようだ。いよいよやばいなコイツ。
「ぐ、グラン!?お前、無事だったのか!!?」
「あの程度じゃ死なん」
ならどうやったら死ぬのか教えてくれ。
だが、これでフェイスは無くなった。この世から魔力が消えることは無くなった。これで一安心・・・・・・とはいかなかった。
まだ終わってはいない。
まだ、絶望は残っている。
そして、更なる絶望がこちらに向かっている・・・・・・暗黒の絶望が。
だが、それを知るのは・・・もう少し後のこと。