FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
フェイスを破壊して少し経った後、グランとドランバルトはウェンディ達を岩の木陰に休ませて起きるのを待っていた。
「・・・・・・っ!ここは!?」
「ウェンディ!」
そしてしばらくして、シャルルが起きその少し後にウェンディが目を覚ました。
「・・・よく休めたか?」
「あ、グラン!!フェイスは!!?フェイスはどうなったの!!」
「君たちとグランのおかげで起動は停止した」
ウェンディの疑問に答えたのはドランバルトだった。そしてフェイスが破壊された事に喜び、シャルルと共に抱き合って喜ぶウェンディ。
「これで皆んな助かるね、グラン!」
「・・・あぁ、そうだな・・・・・・って言ってやりてぇとこなんだが」
「とても伝えにくいんだが・・・・・・まだ・・・何も終わっていないんだ」
「え?」
そう・・・まだ終わっていなかった。見た方が早いと言われ、シャルルと共に飛び上がったウェンディ・・・そこには衝撃的な光景が広がっていた。
「そんな・・・」
そこにあったのは、地面から突き出た無数の顔・・・・・・大量のフェイスがそこにはあった。
「・・・・・・顔のデザインどうにかなんなかったのか、評議員は」
「そこじゃねぇんだよ」
でも正直気持ち悪いと思う。
「現在確認されてるフェイスは約二千機」
「いや、三千だ」
ドランパルドが告げた数を訂正する様にグランがそう告げた。
「私たち・・・あんなにがんばって一つ壊したのに・・・・・・グラン、アンタでもどうしようもないの?」
「・・・・・・流石に数が多すぎる。例え猶予が一日あったとしても、ぶっ通しでやって千壊せるかどうかだ」
それでも一日で大陸中にあるフェイスの三分の一を破壊できるといえるコイツはやっぱヤバイと思う。
「・・・じゃあ・・・もう、終わ───」
「言わないでシャルル。もう、絶望なんてしたくない。」
弱音をはこうとしたシャルルに待ったをかけたウェンディは手に風をまとわせ、即座にウェンディは自身の髪を切って肩までの長さに揃える。
「ウェンディ!!」
「弱音も吐かないし、涙も流さない。みんな戦ってる……だから私も諦めないよ!」
そこにあったのは、何があっても諦めない、覚悟を決めた顔だった。下をむきかけたシャルルも顔をあげる。
「そうね、弱音を吐いてる場合じゃないわね!」
「ああ、まだ終わったわけじゃない!」
「ウェンディ!!その髪も似合ってるぞ!!」
「え?そう///」
「アンタは少し真面目にやんなさい!!」
各々覚悟を決めたと言うのにグランはウェンディの切り揃えた髪しか見ていない・・・・・・コイツマジでなんなん?
「それはそうと・・・これだけの数のフェイス、一体どうしたら・・・」
「・・・・・・とりあえず、マグノリアまで戻ってウォーレンの力をかりる」
「うん、ウォーレンさんの魔法で大陸中のギルドに呼びかけるの」
「分かった。だが、ここからだと中継地点をいくつも挟むからな・・・急いで5分位だ」
まずはマグノリアに戻り、皆と合流し、ウォーレンの念話で大陸中の魔導士達にフェイスの破壊を協力してもらおう・・・というらしい。
「じゃあ行くぞ!」
「はい!グランも・・・グラン?」
「・・・・・・・・・悪い、ちょいと用事ができた。先行っててくれ」
いざマグノリアへ向かおうとした時、グランはマグノリアとは別の方向を睨んでいた。
「こんな時にどうしたのよ?何かあったの?」
「・・・ああ。多分早めに対処しないと、手遅れになるかもだからな」
グランの口からはっきりと告げられた言葉に無言で頷くウェンディとシャルル。ドランバルトも承諾し、ウェンディとシャルルと共にマグノリアへと魔法で飛んだ。
グランもまた、その場から跳んでいった。マグノリアとは別の方向へ
場所は変わり・・・マグノリアから少し離れた上空。そこを巨大な黒い影が物凄いスピードで飛んでいた。
それは全てのものにとっての厄災・・・ドラゴンにとっての絶望・・・人々の悪夢
闇の翼“アクノロギア”。奴が向かう先は・・・マグノリア。何故奴がそこに向かうのか。冥府の門の殲滅?それとも消し損ねた妖精の尻尾を消滅させるため?それとも別の何かなのか・・・・・・それは奴にしか分からない。
だが分かるのは、このまま行けばいずれまた妖精の尻尾も巻き込まれてしまうという事。アクノロギアに認識すらされずに。
だからと言ってコイツを止めれるものはいない。いや、それよりもアクノロギアに対し何の関係もない者がアクノロギアを止めようと動くわけがない。
関係ない者は・・・だが
突如としてアクノロギアの前に巨大な土壁が立ち塞がった。これが普通の土壁ならば、構わずそのまま真っ直ぐ突き破るが・・・この土壁から“魔”を感じたアクノロギアは今まで緩めることをしなかったスピードをほんの一瞬緩めた。
「グオォ!?」
ほぼ真下から放たれたブレスにより、バランスを崩しその場に止まるほか無くなった。
アクノロギアはブレスが放たれた方向を睨みつける。一体何が己の邪魔をしたのか。
「・・・・・・久しぶりだな、クソ野郎」
そこにいたのは、アクノロギアを睨みつけているグランだった。
何故ここにいたのか、そもそもどうしてアクノロギアがマグノリアに向かっていると分かったのか?
そういう細かいことはいいや。頭痛くなりそうだし。
だがアクノロギアにとっては所詮は人間・・・・虫ケラを一々相手にする必要もない。
だが、一瞬。グランから竜の気配を感じ取った。ならばアクノロギアが行うのはただ一つ──────────破壊するのみ。
アクノロギアが轟音を上げながらグランへと突撃していく。直接その身体を破壊する為に。その漆黒の爪がグランを切り裂かんと迫ってくる。
だが、アクノロギアの予想とは違い、この虫ケラのような存在はアクノロギアによる攻撃・・・・・・いや、アクノロギアにとってはただ腕を振り払う感覚だっただろうが、それを易々と退けた。
次は外すまいと再度繰り出すが、また避けられた。次も、次も、また次も。
当然、アクノロギアも本気では攻撃していない。竜の気配があったとしても、所詮は虫ケラ。そんなモノに一々本気で相手にする方がバカらしい。
だが、それでもこの虫ケラを破壊するつもりで繰り出している攻撃を避けられ、苛立ちが溜まっていく。
「・・・・・・どうした、ちんけな虫ケラ一匹も満足に破壊できねぇか?」
そんな挑発するような・・・いや、挑発してんのか。それを受けたアクノロギアはさらに激しい攻撃に出る。爪だけでなく、牙で噛み砕こうとしたり、ブレスで一掃しようとしているが、グランはそれもほぼ紙一重で避けていく。
もはや当初の目的を忘れ・・・・・・何かは知らんが・・・グランを破壊せんと牙を剥き出し襲い続けるアクノロギア。
攻撃が激しさを増す一方で、易々と攻撃をよけ、挑発までできるグランは・・・・・・・・・内心めちゃくちゃ焦っていた。
アクノロギアは適当に相手していたが、グランはその適当な攻撃をギリギリで避けるだけで精一杯だった。
しかもアクノロギアはグランの態度が気に食わなくなり、攻撃がさらに勢いを増してしまい、もういっぱいいっぱいだった。
そんな状況でよく挑発するよな、コイツ。まぁ怒らせたのは自業自得だがな。
だが、ただやられっぱなしでいられるような魔導士でないのは、皆、百も承知だろう。
グランを噛み砕こうと突撃してきたその次の瞬間、グランは予想外の行動に出る。
突撃してきたアクノロギアを避け、あろう事かそのままアクノロギアに飛び乗った。
不快!不快!!不快!!!虫ケラ如きが我に乗るなど、烏滸がましい!!そんな事を言わんばかりに、アクノロギアはグランを振り落とそうと暴れ回る。
それでもグランはアクノロギアの身体に喰らい付き中々落ちない。そしてここから、これまでの反撃に出てかかる。
「モード地獄竜!!滅竜奥義!!」
拳を握り、今出せる最大を与える。半端な攻撃じゃ怯みもしない。やるんなら、全力で殴り続ける!!
「獄乱・地竜破拳!!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!
「グオァっ!!?」
獄炎を纏った大地竜の拳が無数に叩き込まれ、あのアクノロギアが苦悶の声を一瞬上げた。
殴る!殴る!!殴る!!!
大地の魔力、そして自身の魔力の限りを尽くし殴り続ける。
流石のアクノロギアでさえも、この連撃にはこたえたのか鬱陶しそうに頭を振り払う。
だがそれでも落ちず殴り続けるグランに対し、アクノロギアは強行手段に入る。
遥か上空に飛び上がったと思った次の瞬間、今度は猛スピードで地面にむけて急降下していった。
そんな中でも殴り続けるグラン。迫る地面、さらにスピードを上げるアクノロギア。
そして・・・・・・
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!
物凄いスピードで地面に激突し、凄まじい轟音と共に土煙が舞い上がる。と同時にアクノロギアはまた上空へと飛び上がり、大地に向けてブレスを放つ。
ブレスを放ち終え、しばらくすると先ほどまで聳えていた土壁が瞬く間に崩れ去っていった。
「・・・・小さな竜擬如きが、我の道を阻もうなど・・・・・・不快」
先ほどまで一言も発しなかった言葉を吐き捨てるように言い、またマグノリアまで物凄いスピードで飛んでいった。
アクノロギアが飛び去ってしばらく、アクノロギアが放ったブレスの影響で大穴があいた大地。その大穴から動く影が一つ。
「・・・・・・久々に死ぬかと思った」
グランだ。・・・・遥か上空から叩き潰され、その上からブレスを撃たれたと言うのにいつも通り無傷・・・・・・というわけではなかった。
身体は半壊状態で、所々から血を流している。体の再生が間に合わずモロに喰らってしまったからだろう。
だが、アクノロギアと戦い・・・相手はそう思ってなくても、戦ってこれだけで済んでいるのだから流石というべきである。
「・・・・急いでマグノリアに戻らねぇと、今度こそ妖精の尻尾が全滅しちまう。」
グランは激痛の走る身体にムチを打ち、マグノリアへと向かった。