FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
エルザの元へ向かう中、ナツはずっとジェラールの事が気になっていた。
「ジェラール・・・・あの野郎・・・・何でこんな所にいやがるんだ」
「・・・・まぁアンタらとジェラールの間に何があったのか詳しいのは知らんが、まぁ落ち着けって」
「落ち着けるかァっ!」
「えー」
一応考えても仕方ないと思い落ち着くように声をかけるが怒鳴られるグラン。
グランもジェラールの事について噂は聞いていたが、自分達が一緒に過ごした彼と違いすぎてあまり信じていなかった。無論、ウェンディも。だが、ソレは後で考えるとして今は急いでエルザの元へと行かなければならない。
“ナツくん、グランくん”
「!」
「ん?」
といきなり頭の中で声が響いた。だが、どこかで聞いたことのある声だった。
“聞こえるかい?”
「その声・・・・」
「確か、青い天馬の・・・・」
“そう、僕だ。青い天馬のヒビキだ”
エルザの元に残っていたヒビキから頭に直接語りかけられていた。そしてすぐさま自分達のいる場所の地図を彼らの頭にアップロードする。
「おおっ‼︎?何だ何だ‼︎?」
「何だこりゃ、すげぇなオイ‼︎?」
“急いで、ナツくん、グランくん”
そして地図の示す場所へと一気に走り出す。
「着いたー‼︎‼︎」
「よっしゃー‼︎!」
「ナツ‼︎‼︎それにグラン‼︎‼︎」
走り出してから少ししたところでエルガたちの元に辿り着けた二人。なぜ頭に地図が出たのか不思議だったナツだが、それよりも早くエルザを治さなくてはならなかった。
「そうだ!!ウェンディ!!!起きろ!!」
「いや俺ごと揺らすな!!!」
少々興奮気味のナツはウェンディを抱えているグランごと揺さぶる。
「・・・・んぅ・・・・・・・・・・・わぁっ!?///」
そして目が覚めたウェンディは、一瞬自分の体が浮いてるのを不思議に思ったが、すぐにグランに抱き抱えられているのだと理解し頬を染める。
「起きたか、ウェンディ!」
「うん、起きた!起きたから下ろして〜///」
「・・・・コレは」
「でぇきてぇるぅ〜」
その光景を目にした他のものは何となく察し、ハッピーはにやつきながら巻き舌で言っている。分かってないのはナツとグランくらいだ。
「それよりウェンディ!!!頼む、エルザを助けてくれ!!!」
「えっ?」
「毒にやられてる。治癒を使ったところ悪いが頼めるか?」
「う、うん!治します!!」
「ほ、本当か!!?」
ナツとグランに頼まれてエルザの元にゆき解毒を行うウェンディ。そんな中、ジェラールがエルザやナツたちにした事がどうしても信じられずにいた。それはグランも同じだったが、今それを証明できるものも無かったので内心はすごくモヤモヤしていた。
「終わりました。エルザさんの体から毒は消えました。」
「ん」
「「「おっしゃー!!!」」」
しばらくしてウェンディが解毒が終わり、毒が消えたと皆に報告をして、皆エルザの無事を喜ぶ。
ナツたちは嬉しさのあまりハイタッチをする。
「グラン!お前も!!」
「あぁ、よかったな!」
「おう!!!」
そしてグランもナツとハイタッチを行い、ナツはウェンディとも行いながら礼を言う。
「いいこと?これ以上天空魔法をウェンディに使わせないでちょうだい」
そんな中、シャルルはこれ以上ウェンディに魔法を使わせないように皆に言う。この魔法は魔力を大量に消費する。ウェンディの体を心配しての事だ。
だが、ウェンディにはそれよりも気掛かりな事があったが、それを話す前に皆が気合を入れていた。
「後はエルザさんが目覚めたら反撃の時だね」
「うん!!!打倒六魔将軍!!!」
「お─────っ!!!ニルヴァーナは渡さないぞぉ!!!!」
その時、突如何かが光り出したと思ったら黒い光の柱が現れた。その光に向かい黒い何かが纏わりついていた。
「まさか・・・・」
「あれが、そうか?」
「恐らく、あれがニルヴァーナなのだろう」
「まさか六魔将軍に先を越された!?」
突然現れたニルヴァーナに先を越されたのではと考えるルーシィ。だがナツは誰がニルヴァーナを発動させたか、検討はついていた。
「あの光・・ジェラールがいる‼︎‼︎」
体から炎だし、その表情は怒りに満ちていた。意外な人物の名前に目を丸くするルーシィだったが驚くよりも先にナツが走り出した。
「私の・・私のせいだ・・・・」
そんな中、ニルヴァーナが復活したのは自分のせいだと、自分がジェラールを治してしまったからだと思ってしまったウェンディはどんどん自分を責めていく。
「私がジェラールを治したせいで・・・・ニルヴァーナ見つかっちゃって、エルザさんや・・・・ナツさんや・・・・」
どんどん、どんどん自分を責めていくウェンディ。その心は少しずつ、少しずつ黒く染まっていく。
ニルヴァーナがどんな魔法か
「ウェンディ、大丈夫だ。お前のせいじゃない」
ウェンディの目線までしゃがみ込むグラン。そんなグランを涙を含んだ目で見るウェンディ。
「グラン・・・・でも、私が治さなかったら・・・・」
「いや違う。お前はニルヴァーナを探すのを手伝ったんじゃない。俺たちの恩人を治したんだ。お前は悪くない。」
「でも・・・・でもぉ・・・・」
恩人を治しただけで、お前は悪くない。そう言うグランだったが、それでもウェンディは自分を責める。そんな彼女を見て、グランは・・・・そっと抱き寄せる。
「ふぇっ!?」
「大丈夫だ、安心しろウェンディ。お前は間違ったことはしちゃいない。それでも、お前を責める奴がいても、俺が守ってやる。俺がついてる。だから、大丈夫だ」
「グラン・・・・うん、ありがと」
そう言いウェンディも、グランの背中に手を回し抱き返す。ウェンディの心にもう暗い感情はなかった。彼女に纏わりついていた闇も打ち払われた。彼女の目からまた、涙が溢れる。だが、先ほどまでとは違う、後悔の涙ではなく、感謝を表している涙だった。
「・・・・どぅえぇきてぇるぅ〜」
しばらくの間、完全に二人の世界に入っていたが、どこぞの青い猫がさっき以上ににやつきながら煽ってくる。ルーシィもにやにやしながら二人を見てる。
「アンタ達!!いつまでも抱き合ってないで、さっさと離れなさい!!!」
そして痺れを切らしたシャルルが怒鳴る。その言葉に一瞬ポカン、としたウェンディだったがすぐさま言葉の意味を理解し顔を真っ赤にした。グランは割と普段通りだったが。
「ちちちちちちち違うの、シャルル!!コレは、えっと、あの!はわわわわっ!?///」
ズザザ─────と勢いよく離れていき、そのまま勢いよく木にぶつかりそして
「・・・・きゅう」
「ウェンディ─────っ!?」
頭を強く打って気絶してしまった。
気絶したウェンディを背負いニルヴァーナを目指すグラン達。その途中でヒビキからとんでもない事実を聞かされる。
「本当のことを言うと・・・・僕はニルヴァーナという魔法を知っている」
その事実にその場の全員が驚きを隠せなかった。グランも同様だ。何故それを誰にも伝えなかったのか・・・・それはこの魔法の性質が関係していた。意識してしまえばしまうほど危険であり、彼らのマスターからヒビキのみに説明された。
「どういう事?」
「どんな魔法何だよ」
「とても恐ろしい魔法だ。」
一呼吸置き、答える。
「光と闇を入れ替える。それがニルヴァーナ」
「光と・・」
「闇を・・」
「入れ替える‼︎?」
「・・・・どういう事だよ、それ」
その答えに疑問を隠せない一同。その疑問に応えるようにヒビキは続ける。
「しかし、それは最終段階の話だ。まず封印が解かれると、黒い光が上がる。まさにあの光だ。黒い光は手始めに、光と闇の狭間にいる者を逆の属性にする。例えば、強烈な負の感情を持った光の者は闇に堕ちる。」
「・・・・なるほど、さっきのウェンディみたいな感じか」
「そう。“自責の念”は負の感情だからね。・・・・実を言うと、あの時グランくんが止めていなかったら、ボクはウェンディちゃんを気絶させようとしてたんだ」
「はぁ!?」
「シャルル、落ち着けって。・・・・まぁ仮にそうしてたらどんな理由であれ沈めてたがな」
まさかのカミングアウトに直ぐにシャルルが抗議しようとするが、グランがそれを止めつつ、ギロリとヒビキを睨む。
「すまない。だが、あのままじゃウェンディちゃんは闇に堕ちていたかもしれない」
「・・・・まぁ、いい。結局気絶しちゃったしな」
闇に堕ちたウェンディもそれはそれで見たいような、とものすごくアホゥな考えをしていた。この非常時に何考えてんだ、コイツは。
「ちょっと待って!それじゃ“怒り”は!?ナツもヤバいの!?」
「そういやぁ、すげぇ怒ってたなあの人」
「何とも言えない・・・。その怒りが誰かの為なら、それは負の感情とも言い切れないし」
誰かのための怒り、確かにナツは今、怒ってはいるがそれは自分のための怒りではなく、エルザの為の怒りだ。一概に負の感情であるとは言えない。
「どうしよう・・・・意味が分からない」
「あんたバカでしょ」
ハッピーはよく分かっていなかったようで、シャルルがバカにしつつ簡単に教える。つまり、ニルヴァーナが封印から解かれた時に、正義と悪とで心が動いている者は、今の性格とは真逆のものになってしまう、という事だ。コインの表と裏がひっくり返るように。簡単に。
「それが、僕がこの魔法の事を黙っていた理由。人間は物事の善悪を意識し始めると、思いもよらない負の感情を生む。
“あの人さえいなければ…”
“辛い思いは誰のせい?”
“何で自分ばかり…”
それら全てが、ニルヴァーナによりジャッジされるんだ」
「・・・・それはまた随分な魔法だよなぁ。ニルヴァーナ、随分と質が悪りぃな」
「そのニルヴァーナが完全に起動したら、あたしたちみんな悪人になっちゃうの?」
「でもさ・・・逆に言えば、闇ギルドの人の奴等はいい人になっちゃうってことでしょ?」
「・・・・ニルヴァーナが無差別で使われたら、全部ひっくり返るだろうな」
もっともな疑問。闇ギルドもいい人になるならば、六魔将軍が狙う意味が分からない。そう言った意味も含めてハッピーは言うが、グランがそれは無差別ならと応える。その答えに、心当たりがあるヒビキも答えた。
「そういう事も可能だと思う。ただニルヴァーナの恐ろしさは、それを意図的にコントロールできる点なんだ。グランくんの言う通り、無差別でなく」
「そんな‼︎!」
とんでもない事実を聞かされ驚くルーシィ。それが奴らが狙う一番の理由。闇ギルドを省き、光のギルドにのみを標的にする。そんな事が起きて仕舞えば、大変な事態になる。
「そう、例えばギルドに対してニルヴァーナが使われた場合・・・・仲間同士での躊躇なしの殺し合い・・・・他ギルドとの理由なき戦争。そんな事が簡単に起こせる」
「なら、はやく止めねぇと」
「あぁ。一刻も早く止めないと、光のギルドは全滅するんだ」
だから、急がねば。仲間同士で争う前に。一同はより一層に速く走り出す。
「・・・・ところでグラン?アンタさっき変な事考えてなかった?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・黙秘します」
「やっぱ考えてたんじゃない!!!」