FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜   作:紅蓮大地

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第六十二話 マスター救出

 

場所は変わり、ナツ達は兵士達を相手にしていたが、当然相手になるはずもなく、ボッコボコにしていた。

 

が、直ぐに増援がきた。

 

マリン・ホーロウと名乗るアルバレス帝国軍、ブランディッシュ隊所属の男が現れてから、戦況は一変。

 

空間系の魔法を全て封じてしまうマリン・ホーロウの前では、エルザもルーシィも魔法が使えず、ナツとグレイも点と点で空間を移動しながら戦うマリンに苦戦する。

 

そして、さらに一人増援がきた。

 

それこそが、島の質量を変えるほどの力を持った人物。

 

アルバレス帝国軍、スプリガン12(トゥエルブ)の一人・・・ブランディッシュ・μだった。

 

魔力だけでもマスター以上。さらに質量を簡単に変えられるほどの力を持つ彼女を前にし、一時的に体が動かなくなる一同。

 

だが、彼女に戦闘の意思はなく、帰ろうとする。

 

そこにナツが突っかかる。仲間が一人やられてんのに、黙ってはわけないと

 

だが、ブランディッシュは予想外の行動に出る。

 

なんと彼女は、マリンを一瞬にして消してしまったのだ。まさかの行動に唖然とするナツ達。

 

「これでこっちも仲間を1人失ったわ。おあいこね。悪いけど私、めんどくさいの大嫌いなの。」

 

「自分の仲間を……!」

 

「めんどくさいのは大嫌いだからね。スパイも合流してた奴も始末したってことにしておいてあげる。だから西の大陸には近づかないでね。」

 

ナツ達はそれでさらに驚愕した。自分達のやろうとしていることが、完全に敵に筒抜けだったから。

 

「……マカロフは生きているわ。けど貴方達が余計なことをしたら…どうなっちゃうのかしら。これは忠告、私達に近づくな。」

 

そう言った瞬間、地面が消えた。・・・と思ったら、またいきなり現れた。一瞬。どちらも一瞬で消えて、一瞬で元に戻ったのだ。島の住民も、ナツ達も意味が分からなくなる。

 

「・・・さっきも止められた。一体誰?」

 

「・・・お前か、さっきから島の体積いじってんのは」

 

そこに現れたのは、誰であろうグランである。一瞬で縮んだ地面を一瞬で戻すとは・・・さらに化け物じみたな、こいつ。

 

「・・・あなた、グランね。めんどくさいのがいたわね。」

 

「・・・いきなり面倒扱いされたんだけど」

 

「でも、まぁいいわ。いまのでわかったと思うけど。この程度の魔道士はアルバレスには12人いる。いくらそいつがいても、敵わない戦はしない事ね・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

妖精の尻尾への忠告。善意からくるものではなく、ただ面倒な事をしたくないが為の忠告。そのまま彼女は自身が乗ってきたであろう船へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・怪我人はいなさそうだな」

 

「あぁ、助かったぞグラン。」

 

あの後、念のため島にいたもの達に怪我がないかを確認して、一度船に戻ったグラン達。

 

「・・・あの女が島・・・というより大地に対して使ったから何とか出来ただけだ。それ以外なら多分無理だな」

 

「・・・島を丸ごと小さくするとは。かなり高度な魔法だ」

 

「・・・さらに言えば、巨大化も可能・・・あの女と同等・・・もしくはそれ以上の実力を持ってる魔道士が後11人。・・・・・・真面目に今回の敵はヤバそうだな」

 

グランでさえ、今回の敵がいかに危険であるかがわかってしまう。敵にはもう自分達の目的がバレている以上、これからの行動を慎重にせねばならない。・・・慎重に出来るかは知らんが。

 

「・・・ひとまず諜報員を探さねぇとな」

 

「ああ、そうだ━━━」

 

と、次の瞬間、エルザの姿が一瞬にして消えた。そして

 

「っ!?」

 

「なっ……」

 

「なにこれ!?」

 

「うわっ!?」

 

「・・・お?」

 

残りの全員も突如として姿を消し、次の瞬間別の場所に移動していた。

 

「大丈夫・・・俺の・・・魔法だ・・・」

 

「いきなり瞬間移動使わないでよっ!!」

 

どうやらメストの瞬間移動の魔法で移動させられたらしい。一言言ってくれてもいいと思うんだけど

 

「おお!!ここ!!乗り物じゃねぇ!!」

 

「わぁ」

 

「え?待ってウェンディ、今のわぁってもっかいやって」

 

船から移動したことでダウンしていたナツとウェンディは大喜び。ウェンディの喜び具合を見てグランも大喜び。

 

「どこなんだ、ここは」

 

「位置的にはカラコール島の近海の・・・海中だ」

 

「・・・・・・・・・え、マジで」

 

移動した先はまさかの海中である事を知ったグランは・・・一瞬でテンションが下がった。

 

と、皆それぞれの反応をしている時、いきなり神殿が動き出す

 

「今度はなんだ!?」

 

「メスト!」

 

「わ、わからん……」

 

「ちょっとこれ……動いてない?」

 

何故かは分からないが神殿が突如として形を変えて急に動き出した。外から見ると、円柱の建物の上に羽付の大砲がくっつき、両端にも羽が生え、さらには足も生えたよく分からん乗り物?へと変わっていた。

 

当然、乗り物だからさっきまで喜んでたナツとウェンディは直ぐに気分が悪くなる。

 

「ようこそ。」

 

「誰かいたー!?」

 

突如、第三者の声がしたと思ったら壁がひっくり返り、中から1人の人物が現れた。

 

「移動神殿オリンピアへ。艦長のソラノだゾ。」

 

そこにいたのは、元六魔将軍のエンジェルだった。

 

「エンジェル!!」

 

「何で水着なんだ?」

 

「海だからじゃない?」

 

「・・・お前は服着ろよ」

 

「諜報員ってまさか……」

 

「正解だゾ。」

 

「・・・アンタが敵にバレて」

 

「・・・島まで逃げてきたせいで」

 

「島が消えかけた」

 

「私だって命からがら逃げてきたのよ!ま……メストには借りがあるからね。今回だけは手を貸すけど、仲間になったわけじゃないゾ。 」

 

「ありがとうエンジェル……ソ、ソラノ?」

 

ルーシィが礼を言うが、エンジェル・・・否ソラノは彼女を見たまま少し間を置いて、その後でルーシィに近づき、彼女が着ているビキニの紐を指で引っ張って持ち上げながら、笑顔で話しかける。

 

「カレンを殺したのは、私。忘れちゃダメだゾ。」

 

「っ……」

 

「よせソラノ。」

 

「はいはい。」

 

エルザがソラノを制して、おちゃらけた様子でソラノはルーシィから離れる。

 

「こ、これ……どこに向かっているんですか…?」

 

「地獄か……?」

 

「・・・どこでもいいから、海から出たい」

 

乗り物によりグロッキーになってる二人と海中にいるという事でブルーになってるグランからどこに向かっているのかを聞かれたソラノ。

 

そしてその質問に答えるように、目的の場所を告げた。

 

「マカロフの所だゾ」

 

その答えに皆驚愕した。まさかマスターの居場所をもう突き止めていたということに

 

「見直した?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アルバレス帝国では。

 

一年前、交渉を目的としてアルバレスへと足を運んだマカロフ。意外にもアルバレスの皇帝はマカロフを客人として招き入れ、アルバレス帝国の大臣 ヤジールと交渉をすることが成功していた。

 

放浪癖のある皇帝陛下を待つこと一年・・・ようやくアルバレスの皇帝が帰還した。

 

・・・・・・だが、その正体にマカロフは驚愕した。

 

それはイシュガルで黒魔道士として名を馳せているゼレフ本人だったから。見間違いでも、人違いでもなく・・・紛れもない本人。

 

そして、ついに交渉が開始されるが・・・そもそも交渉の余地はないらしい。

 

ゼレフは何百年も前から竜王祭の準備だけはしていたらしい。イシュガルに攻め込む理由はルーメン・イストワールを手に入れる為。

 

正式名称・・・妖精三大魔法のさらに上位・・・秘匿大魔法 妖精の心臓(フェアリーハート)

 

だが、そう決めたのは最近で、元々はアクノロギアに対抗するために集めた出した力なのだという。

 

「本当の竜王祭が始まる・・・黒魔道士・・・竜の王・・・そして君たち人間。生き残るのは誰なのか、決める時が来たんだよ」

 

「戦争を始めるつもりか」

 

「殲滅だよ」

 

戦争ではなく一方的な殲滅であると告げるゼレフ。その後、フッと小さな笑みを浮かべる。その様子を不思議そうに見ながらも警戒するマカロフ。

 

「何がおかしい!!」

 

「いや・・・・・・一年ほど前に彼・・・グランから言われた事を思い出してしまってね。後悔するのは一体どちらだろうってね」

 

「後悔するのは貴様の方だ・・・貴様に初代は渡さんぞ!!!」

 

ゼレフに啖呵をきるマカロフだが、次の瞬間ゼレフによって拘束されてしまう。

 

「むぐっ!!?」

 

「君には少しだけ感謝しているんだ。ナツを育ててくれて、ありがとう」

 

「・・・・・・!!?」

 

「直ぐに楽にしてやろう。そして体をナツに届けよう。」

 

さらに力を込め、マカロフを殺しにかかるゼレフ。

 

「怒るだろうな・・・僕を壊すほどに」

 

「むぐ・・・ぐぐっ!!?」

 

「最後に言い残す事はあるかい?」

 

「うう・・・醜い・・・悪魔め・・・」

 

「おしいね。スプリガンというのは醜い妖精の名前さ」

 

もう直ぐやられる・・・と思った次の瞬間、マカロフは間一髪でメストによって救い出された。

 

「じーさん!」

 

「マスター!」

 

「じっちゃん!」

 

「マスター!」

 

「わぁ!」

 

「・・・無事で何より」

 

「お、お前達……」

 

メストが、マカロフを連れて戻り、嬉しそうに反応するナツ達と驚いているマカロフ。

だがしかし、メストがそれどころではないと言わんばかりに、驚きと焦りに満ちた顔をしている。

 

「ゼレフ!!ゼレフがいた…!」

 

「ゼレフがいるのか!?」

 

「この大陸に……!?」

 

「ワシも知らんかった・・・・・・皇帝スプリガンを名乗る男こそ、ゼレフ本人じゃ」

 

「・・・スプリガン・・・醜い妖精・・・・・・何故醜い妖精?」

 

「そこはどうでもいいと思うよ、グラン」

 

「お前達がここにいるということは、事のいきさつはメストから聞いてるという事か。」

 

「はい。」

 

「兎に角無事で良かったです。」

 

「・・・・・・ワシの考えが浅はかだった。奴らは初めから、交渉に応じる気などなかったんじゃ。ギルドの歴史を汚してまで、西方入りしたと言うに・・・・・・全てが無意味、こんなに悔しいことは無い

 

拳を握り、悔し涙を流すマスター。歴史を汚してまで守ろうとしたが・・・それが無意味に終わったから

 

「無意味なもんか、この1年があったからみんな成長した。」

 

「あたし達はまた集まることが出来たんだよ。」

 

「人を想って起こした行動は、必ず意味のあるものと信じています。それが、あなたの教えだから。」

 

「帰ろう、じっちゃん。妖精の尻尾へ。」

 

「・・・ああ」

 

泣いて、悔やみ、俯いていたマスターにナツが手を差し伸べる。それに、マカロフは涙を流す。

 

「つもる話もあるけれど、まずはこの場を離れましょう。」

 

「そうだね。」

 

(誰じゃこやつ・・・)

 

「連続で瞬間移動(ダイレクトライン)を使いすぎた。今の魔力じゃみんなを連れて移動できるのは一回。その1回はソラノの船?までの1回に使いてぇ。瞬間移動で船まで行ける地点まで戻らねば……」

 

「━━━折角仲良くなれたのに、帰っちまうのかマカロフ。」

 

一同が相談している中、そこに話しかける1人の男が現れた。マカロフを助けるため侵入はしたが、それにしたって追手が来るのが早すぎる。

 

「土産は持ったかい?土の中へは意外とすぐについちまう。」

 

「・・・いや、土は意外と沈みにくいぞ。沈みやすいのは砂・・・・・・ってお前アジィールか」

 

「知っておるのかグラン!!?」

 

「バカな、どうやってここに・・・!!!?」

 

「砂!砂はいい……全てを語ってくれる・・・が、お前までいるとは語ってくれなかったな、グラン」

 

「残念だったな。大地に関係するすべてのものは俺の味方だ」

 

悠長に話しとる場合か馬鹿グラン馬鹿

 

グラン以外の全員が戦闘態勢に入る。この男の魔力量がブランディッシュの同じくらいだったからだ。

 

「いいねぇ……」

 

「よせ!戦ってはいかん!勝てる相手ではない!逃げるんじゃ!!」

 

「っ!けど……」

 

「マスターが言うんだ、引くぞ!!」

 

「・・・別に負けねぇけど」

 

「いいから行く!!」

 

そう言って、全員が一斉に引き始める。エルザが、目くらましとばかりに剣による攻撃を行いながら逃げていく。

 

「こっちに魔導四輪を用意してあるわ!!」

 

「今のうちだ!乗り込め!!」

 

「車……」

 

「私が運転する!!SEプラグ接続!行くぞ!!」

 

そして、エルザは自身の魔力を注入し、魔導四輪を動かし逃げていく。

 

「とばせ、エルザ!!」

 

「わかってる」

 

そしてさらに魔力を注入し、最大限のスピードで逃げて行く。

 

「……来るぞ…」

 

「あ?」

 

「何あれ!?」

 

「砂!?砂の怪物!?」

 

魔導四輪の後ろを巨大な砂の怪物が迫っていた・・・が

 

「・・・鬱陶しい」

 

というグランの一言と偶に、砂の怪物はすぐさま形を保てず崩れ去って行く。もういよいよを持ってチートだな。前からそうだが、大地関係でコイツに勝てんのいるのか?

 

「・・・・・・よし」

 

「よくやった!!」

 

「・・・もうグラン一人でいいだろ」

 

グランが直ぐに砂の怪物を崩したおかげでさらに逃げやすくなったが・・・簡単には敵も逃してはくれない。

 

「ふぅぅ・・・やっぱグランがいたら意味ねぇかァ。・・・まぁだからって逃がさねぇけどなァ!」

 

その一言と共にアジィールの姿が一瞬で消える

 

「消えた!!」

 

「下じゃ!!奴は砂と同化する!!」

 

そして次の瞬間

 

「蟻地獄ゥ!!」

 

魔導四輪の下が流砂となる。その範囲のデカさに避ける暇もなく巻き込まれてしまう

 

「しまったァ!!」

 

「くぷっ!」

 

「くそっ!!」

 

「・・・ウェンディ、シャルル、つかまっとけ」

 

「あ、ありがと」

 

「だからわたしたちは!!?」

 

とりあえずウェンディとシャルルの安全をすぐさま確保するあたり、全く変わってないなコイツ。

 

「アーハッハッハッ!いいねぇ!無様な姿が実にいいねぇ!」

 

「車から出るんだ!!」

 

「・・・もう出てるぞ」

 

お前とウェンディとシャルルはな。

 

「くそ……魔導四輪が……!」

 

「砂が!」

 

「まとわりついて……!」

 

「動けない!!」

 

「何人殺してきたかなぁ、いくつの街を飲み込んで来たかなぁ……この蟻地獄は終わりの扉、逃れられた者はいねぇ「・・・とりあえず、ゆっくり行くから、口閉じとけよ」「わ、わかった」「えぇ、お願いね」・・・・・・いいかァ!死ぬ前に一つだけ覚えて「・・・・・・あ、後あんま動かん方がいいぞ。纏わりついてうざいからこれ」「じゃあ早く助けてよ!!?」「・・・・・・頑張って」「おい!!?」・・・覚えておけぇ!!お前ら程度の魔導「・・・砂うまっ」「食ってねぇではよ助けろ!!?」テメェグランちょっと黙ってろぉ!!!!!!!!」

 

哀れアジィール。本来ならば、高笑いしながら一同に上から目線でものを言い始めるという見せ場なのに空気読まない&蟻地獄が効かない&マイペースなグランに邪魔されてなんか変な空気になってしまっている。ルーシィとグレイも今の状況を忘れ普通に突っ込んでるし

 

「・・・・・・イシュガルの地は神に見捨てられた!これよりアルバレスによって支配されるだ「・・・・・・ふぅ、もうめんどくせぇ。」「「いやめんどくさがんな!!!!」」だから黙ってろぉ!!!」

 

「・・・んじゃぁ、ほい」パンッ

 

と、間の抜けた声と共に手を鳴らすと、先ほどまで鬱陶しいほどに纏わりついていた砂も蟻地獄も一瞬にして消え去っていた。

 

「・・・何地面に寝っ転がって遊んでんだ?」

 

「「ソレができるなら最初っからやれ!!!!」

 

「・・・・・・何一つ昔とかわっちゃいねぇぇ」

 

「・・・・・・いや〜、ソレほどでも」

 

「「「褒めてねぇ!!!」」」

 

敵からも味方からも突っ込まれるグラン。・・・・・・状況は敵に追い詰められて最悪なのに、コイツのせいでシリアスは台無しだな。

 

 





「・・・これだいぶ原作と違うがいいのか?」

お前がやったじゃん

「・・・書いたのはお前だけどな」

いいんだよ、こういうのはノリと勢いに任せりゃ大抵何とかなるなる!

「・・・ねるねるねるね?」

誰もんな事言ってねぇ







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