FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
「・・・前回、なんやかんやあって無事マスターを救出できた俺たち。まぁ結局敵には目的バレてたけどそこはいいとして、追手にアジィールがやってきたんだよね。一戦交えても良かったけど、マスター救出が第一だからなぁ。まぁアジィールは普通に退いて、天馬の船がこっちに来てたから全員で乗り込んで・・・・・・まぁそんなこんなで今は立て直せたギルドにいるってわけだ」
「グラン?さっきから誰に言ってるの?」
「・・・誰だろうな」
いきなり喋り出したと思ったら何?前回のあらすじ?だいぶ適当だな、おい。
とりあえず今は皆無事にギルドに戻ってこれたって事で。
あの後色々質問攻めされたグランだが、「・・・・・・昔の知人?」とかもうなんか聞いても無駄だと悟りマスターの無事を喜ぶ事に専念した。
と、皆が飲んで食べて騒いでいる時、マスターが壇上に上がり杖で床を強く叩きつけ、皆の注目を集め、話し始める。
「皆・・・済まなかった。言い訳はせん、皆の帰る家をなくしてしまったのはワシじゃ。本当に済まない。」
「メストから聞いたぜー」
「俺らを守るための判断だったんだろ?」
「気にしてねーよ。」
「そうだ、もう復活したんだ!!」
「辛気臭い顔すんなョ。酒が不味くなる。」
皆に謝罪するマカロフに対し、皆は気にしてないと、慰めの言葉を入れる。マカロフはそのまま話を進めていく。
「更にワシの策さえ無意味じゃった。アルバレスは攻めてくる。巨大な大国が、このギルドに向かい進軍してくるのじゃ。」
「それがどうしたァ!!」
深刻な顔をし話すマカロフに向かい、ナツは大声を張り上げる。
「俺たちは今まで何度も何度もギルドの為に戦ってきた。敵がどれだけ強かろうが、大切なものを守りたいって意思が俺たちを強くしてきたんだ。」
づかづかとマカロフに近づき、地図を置いたテーブル1枚挟んでナツは手をたたきつける。
「恐怖が無いわけじゃねぇ。どうやって下ろしていいかわからねぇ重荷見てーだよ。けど、みんなかきっと手伝ってくれる。」
そのまま炎を出して、ナツは地図の上に置いてあるアルバレスを模した駒に火をつける。
「本当の恐怖はこの・・・楽しい日の続きがなくなる事だ。もう一度みんなと笑って過ごせる日のために、俺たちは戦わなきゃならない。
勝つ為じゃねぇ!!生きるために立ち上がる!それが俺達の戦いだ!!」
全員が、ナツの言葉に同意する様に、覚悟を決めた顔をする。恐怖は・・・次第に勇気にもなりうるというように。
明日を失わないために、アルバレスと戦う。
「全員覚悟は出来てるみてーだぜ。」
「・・・・・・・・・・・・ワシもじゃ。」
一度顔を伏せたマカロフだったが、すぐに顔をあげ、拳に力を込める。
「我が家族に噛み付いたことを後悔させてやるぞ!!返り討ちにしてやるわい!!」
杖を大きく掲げて、マカロフは勝鬨をあげる。それに合わせて、妖精の尻尾全体も一気に湧き上がる。
「燃えてきたァー!!」
「必ず勝利しましょう。」
「当たり前だ。」
「・・・全員沈めてやる」
妖精の尻尾全体が湧き上がり、勇気を振り絞っていく。マカロフは杖を叩きつけて皆を静かにさせる。どうやら、未だ話しておくべきことがあるようだった。
「戦いの前に皆に話しておかねばならぬことがある。ルーメン・イストワール・・・正式名称
マカロフがこの戦いにおいて最も重要なことを話そうとしたその時、マカロフの後ろから1人の人物が現れる。
「それについては私から話しましょう、六代目・・・いえ・・・八代目。」
「初代!?」
その人物は初代妖精の尻尾マスターであるメイビスだった。
「皆さん…妖精の心臓は、我がギルドの最高機密として扱ってきました。それは、世界に知られては行けない秘密が隠されているからです。ですが、ゼレフがこれを狙う理由もみなさんは知っておかねばなりません。
そして、私の罪も……」
「…罪?」
「初代……」
「良いのです。全てを語る時が来たということです……これは、呪われた少年と呪われた少女の物語、2人が求めた1なる魔法の物語・・・」
そして、メイビスは語り始める。事の発端・・・・・・妖精の心臓のこと・・・自身のこと・・・呪われた少年とのこと
過去を話すことで、それらを話していく。
100年以上も昔、妖精の尻尾創設の少し前。マグノリアの東の森で、メイビスと一人の青年・・・ゼレフと偶然出会った。
ゼレフはアンクセラムの呪いに苦しんでいた。それは意図せず、人の命を奪ってしまう呪い。
しかしメイビスはゼレフに惹かれた。ゼレフから沢山の魔法を教えて貰っていた。そして、当時マグノリアは闇ギルドに支配されており、メイビス達はマグノリアを解放すべく、魔法を覚えた。
そしてその戦いの中、メイビスは未完成の黒魔法を使い勝利した。だが代償に、メイビスの体は成長ができない体になってしまった。
X684年4月 妖精の尻尾が創設。当時は領主同士の通商権争いが激しく、第ニ次通商戦争が始まった年。やがて魔導士ギルドも、傭兵として領主達の戦いに巻き込まれていった。
X690年、第2次通商戦争が終わった。第1次戦争に比べ各地の死傷者の数は数十倍にのぼった。
それは、戦争に魔導士ギルドが介入したのが原因だと言われたらしい。魔法界もこれを受けて、ギルド間抗争禁止条約を締結した。
まぁ、そらそうだわな。妥当だ。
この条約により、魔法界にしばしの平和が訪れた。
・・・・・・そして6年後のX696年。メイビスは偶然にも、黒魔道士である彼・・・ゼレフと再開した。
・・・・・・その時のメイビスは純粋すぎた。ゼレフが黒魔導士であると知っても、悪い人だとは思えなかった。
……その時、メイビスは知った。ゼレフの本性と、メイビス自身が不老不死になっているということを
当然信じるわけがない。自身が、不老不死の体になり、アンクセラムの呪いにかかっていることに。
そして、そのことを信用しないまま……メイビスはギルドに戻った。
X年696年 ユーリの子、マカロフ誕生・・・・・・そして母親の命をメイビスは奪った。
矛盾の呪い。人を愛するほど、周りの命を奪い、愛さなければ命を奪わない
木々を枯らし、動物の命を奪い、人の命さえも奪う。
それ以来、メイビスはギルドに顔を出さなくなり、あてもなくさまよい、いくつもの命が消えていき、そして、1年が経過した。
その時、メイビスはゼレフと再開した。
その当時ゼレフは、エーテリアス…ゼレフ自身を殺すためだけの悪魔を作りだした後だった。
まぁその悪魔もほとんど居ないけど・・・そこは関係ないから割合して
そしてさらにゼレフは国を作っていると言っていた。
それがアルバレス帝国
領土を広げていくことを楽しい、国づくりは醜い領土の拡大、楽しくない・・・・・・そう言っていた。自身の思考さえも矛盾していく。おかしくなっていく。
メイビスはゼレフと一緒に呪いをとく方法を探そうと言った。メイビスはゼレフに惹かれていった。ゼレフもまた、メイビスの優しさに惹かれていった。
魔道の深淵・・・全ての始まり・・・・・・それは1なる魔法“愛”
愛は奇跡を引き起こし、時に悲しみを引き起こす。
矛盾の呪いをかけられた二人の愛は、最後の矛盾をつきつけられる。
愛すれば愛するほどに命を奪うその呪いは、不老不死であるはずのメイビスの命を奪っていった。
その後、メイビスの体は妖精の尻尾のギルドに届けれた。その当時マスター代行をしていたプレヒトは、メイビスの心臓が少しだけ動いていることを確認し、メイビスの体を魔水晶に封じ込めた。
そしていくつもの蘇生魔法をプレヒトは試していくうちに、メイビスにかけられたアンクセラムの呪いに気づいた。気づいてしまった。
こんな事実・・・ギルドのメンバーには伝えられない。ソレが秘匿とされたきっかけである。
X697年、プレヒトはギルドメンバー達にメイビスは死んだと告げ、天狼島に墓を建てられた。メイビスと出会った島。始まりの島に。
同年に、プレヒトは2代目マスターとなり、仕事の傍ら私の蘇生に心血を注ぎこみ、約30年……それを続けているうちに、プレヒトの類まれなる才能と知識・・・・・・そしてメイビスの不老不死がもたらす半永久的な生命の維持。それらが融合し……説明のつかない魔法が生まれた。
魔法界を根底から覆す魔法
それが、それこそがルーメン・イストワール・・・
「永久魔法
「永久・・・魔法?」
「それは一体……」
「その名の通り永久・・・無限。絶対に枯渇することの無い魔力。」
「なんだそりゃ!?」
「一生使える魔法源って事!?」
ナツとハッピーが、同時に驚く。いや、声に出していないだけでこの番にいる全員が・・・・・・まぁグランはほへーって感じだが、驚いていた。
「例えるなら…エーテリオンという兵器がありました。一撃で国をも消滅させる旧評議院の超魔法。妖精の心臓は、そのエーテリオンを無限に放つ魔力を持っているのです。いいえ…魔力を持っている、という表現自体が体をなしません。無限なのですから。」
エーテリオン、一撃で国をも滅ぼせる超魔法・・・それを何度でも放ててしまうのが妖精の心臓。
その真実は、この場にいる全員を絶句させていた。
「そんな魔法が公表されたら……」
「確かに魔法界は根底から覆る……」
「・・・そんな魔法がありゃ・・・誰もが欲しがる。」
「かつてイワンもこれを欲した……どこで漏れたのか、アルバレスにも情報が渡った。」
「アルバレスは妖精の心臓を奪うために攻めてくるってのか!!」
「でもなんのために?」
「力は十分に持ってるはずなのに。」
「恐らくはアクノロギアを倒す為だと推測されます。あれは、ゼレフに取っても邪魔な存在。」
「逆にそうでもしなきゃ、倒せないってのかいアクノロギアは……」
「そんな……」
「あのさー、単純な質問なんだけど。そんなに強い魔法なら、アルバレスもアクノロギアもバーンてやっつけられないの?」
最もな意見をあげるハッピー。確かにそんな魔法がいや、永久に使える魔法源があるならば、それを使えばいい。
「確かに一理ある。ワシも大量のフェイスを前に、1度はそれを考えた。
しかし、一時的な勝利はできてもそのあとどうなってしまうのか。もし、無限に降り注ぐエーテリオンが制御不能だったら……」
「・・・・・・・・・・・・ッッ」
マカロフが言ったことに、ハッピーが絶句する。あくまでも妖精の心臓は無限の魔力を持っているだけ。それを制御できるかは全くの無関係である。
「ごめんなさい……」
「毒を以て毒を制すわけには行かんからな。」
「毒って……初代の体よ一応。」
「妖精の心臓はいかなる理由があろうと、世に放ってはならん。」
「おう!そんなの当たり前だ!」
「そもそも初代の体だ!他の奴らに渡せるかってんだ!!」
皆がアルバレスに妖精の心臓を・・・初代の体を渡すまいとテンションを上げていく。
そんな皆を見て、初代は申し訳なさそうに俯く。
「っ……私の罪から生まれた魔法が、まさかみなさんを巻き込んでこんな事態になってしまうなんて……」
「人を好きになるってのが、なんの罪になるんだよ。そんな罪じゃ、逮捕は出来ねぇな。」
そんな初代をフォローしたのは、まさかまさかのガジルだった。
そして、全員が驚いた顔でガジルを見ていた。
「「「「え?」」」」
「なんでよてめぇら!!」
「・・・だって似合わないし」
「ぶっ飛ばすぞ、グラン!!」
だってあのガジルからそんな言葉が出てくるとは思わないじゃん。
「初代…どうか自分を責めないでください。」
「うん、不幸な出来事が重なってしまっただけ……」
「貴方がいなければ、妖精の尻尾はなかったんです。」
「つー事は、私達が出会うこともなかったんだね。」
「初代はここにいるみんなを繋げてくれた人なんだ。」
「私たちは、初代の作ったギルドを守りたい……だから戦うんです。」
涙を流しながらも微笑むメイビス。どんなことがあれ皆を繋いだのは初代。このメンバーを家族にしたのは紛れもない、初代だ。
「良いギルドになりましたな……初代。」
「しくしく……」
「なっ!?」
「メイビス様は、かつて愛した人と戦わなくてはならないんですね。」
「それは遠い過去の話……今のゼレフは、人類に対する脅威です。必ず倒さねばなりません。」
涙を拭き改めて話を進めていくメイビス。
「でもよォ……アルバレスの兵はなんとかなるにしても…」
「ゼレフという者は不老不死なのだろう?」
「不死身ってことじゃない!!」
「どうやって倒せばいいんだ……」
「グラン、何とかならない?」
「・・・生き埋めにしても這い出てきそうだしなぁ」
「そこは任せてくれよ。」
皆がどうするかを話し始めた時、ナツがテーブルに飛び乗って包帯を巻いた右腕を皆に見えるように見せつける。
「ゼレフは俺が倒す。そのための秘策がこの右腕なんだ!!!」
「・・・・・・で?」
「その秘策とやらは……」
「秘密だ!だからこそ秘策なんだ。」
自慢げに笑みを浮かべるナツ。しかし、あそこまで露骨にアピールをされて、いざ秘密です話しませんと言われて引き下がるほど妖精の尻尾は大人しくない。大人しかったら評議院に何度も世話になってない。
「勿体ぶってんじゃねぇ!!」
「その右腕にどんな秘密があるんだー!!」
「知りたい!!」
「かじるのやめろ」
「でも・・・ナツさんが言うんだからきっとすごくとっておきなんだろうね、グラン」
「・・・まぁ、こんな時にくだらん冗談は言わねぇだろうな」
ちなみに、ハッピーは何か知っているようでなぜかドヤ顔してる。
「とにかく
「1回・・・」
「本当に奥の手というわけか。」
「私にもいくつか策がありますが、今はナツを信用しましょう。」
「…マスター。」
「「「はい。」」」
何かを聞きたかったルーシィがマスターを呼ぶが、メイビス、マカロフ、エルザに加え、一応マスターだったマカオが同時に返事をした。
「えーっと、おじいちゃんの方で。これから私達が戦う敵のことを教えてください。」
「うむ……そうじゃな。ワシが知る限りのことを伝えておこう。」
そう前置きを置いてから、アルバレスの主な人物達をマカロフは紹介し始めていく。
「まずは皇帝スプリガン。イシュガルでは最強の黒魔導士として知られるあのゼレフじゃ。そして、その配下にスプリガン12と呼ばれる先鋭部隊がいる。わしもこの1年間で会うことが出来たのは6人だけ……土地が広いせいで全員が一同に会することは滅多にないらしい。
冬将軍インベル。奴はゼレフの参謀であり執政官でもある。その異名の通り氷系の魔法を使うと思われるが、詳細は分からん。」
「氷……」
「砂漠王アジィールは、脱出時に交戦した砂の魔法の使い手。12の中でもかなり好戦的な奴じゃ。」
「・・・砂漠王・・・・・・まぁ間違ってねぇか」
「ってか、結局アイツとどういう関係なのよ」
「・・・だから昔あった知人ってだけだ。そんな詳しく知らん。」
「国崩しのブランディッシュ。好戦的ではないが国をも崩すという魔力の持ち主。」
「奴とはカラコール島で1度だけ接触した。奴は恐らくものの質量を変える魔法を使う。」
「戦乙女ディマリア。やつの魔法は知らんが、戦場を駆け巡った女神を通り名に持つ女騎士。」
「魔導士ではないのか!?」
「あんたがつっこむの?」
「聖十最強の男ゴッドセレナ。やつはいわゆる残念な感じの男なのだが…やつの強さはワシがいちばんよく知っておる。」
「聖十大魔道の序列1位の人が敵だなんて未だに信じられない。」
「何故イシュガルを去ったのでしょう…」
「そればかりは本人に直接聞いて見なきゃわかんないよね。」
「裏切り者めぇ!」
「魔道王オーガスト・・・・こやつ・・・だけは・・・ワシの知る限り別格!!!他の12とは比べられんほどの大魔力の持ち主。・・・聞いた話では古今東西のあらゆる種の魔法を使えるとか……使える魔法の種類だけで言えば、ゼレフより上かもしれん。」
マカロフが言った言葉に、全員が絶句する。ありとあらゆる魔法が使えるだけでも厄介なのにその数が数百年生きているゼレフよりも多いとなれば、厄介以外何でもない。
「ワシが知っているのはこの6人…あとは名前だけ知っているのが3人。ブラッドマン ナインハルト そしてワール」
「・・・つまりは、半数以上が未知数な上、その強さは最低でも聖天大魔道の序列一位並ってか。・・・やっばいね、コレ」
流石のグランも小さく弱音を吐いてしまうほど、今回の相手は強大。
「これから作戦を立てます。皆さん…よく聞いてください。ゼレフは全軍を率いて攻めてきます。私達の置かれている状況は圧倒的に不利と言えるでしょう。敵は今まで戦ってきた敵とは桁違いに強い。ですが、勇気と絆を持って戦い抜くのです。ギルドの力を見せてあげましょう!!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!
メイビスの言葉に、全員が大声を出す。士気は上がりに上がりまくった。
あとは、決戦まで待つのみ。
「・・・腕が疼く・・・炎竜に喰われた左腕が・・・
竜王祭・・・我が全てを喰らってやろう。我こそが竜の王にして絶対の存在・・・アクノロギアなり」
今ここに・・・厄災が・・・絶望が・・・闇の翼がまた、イシュガルを舞う。