FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜   作:紅蓮大地

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第六十五話 時を燃やす黒炎

 

「完全なる滅竜まで・・・・あと8人」

 

いよいよ、アルバレス帝国との戦争が開始した妖精の尻尾。グランは一人、東の陣を行うよう命じられ、そこでスプリガン12のうちの3人、オーガスト、ジェイコブ・・・そして元聖天のゴッドセレナの対峙。グランとゴッドセレナの戦闘の途中、人の姿のアクノロギアが現れ、そのままゴッドセレナの腹を抉り絶命させてしまった。

 

「・・・・・・ッ!!」

 

「よせ、敵う相手ではない」

 

ゴッドセレナが殺されたことに怒ったジェイコブがアクノロギアへ仕掛けようとしたのをオーガストが静止する。

 

いくら仲間が殺されたとはいえ、相手はアクノロギア。下手に手を出してはいけない存在。

 

「もう一人、ドラゴンがいるなッ」

 

ドガァァァァンっ!!

 

アクノロギアがこちらを振り向いたその瞬間、アクノロギアは思いっきり殴られて、地面に叩きつけられる。誰がやったか?決まってる。

 

「・・・久しぶりだな、クソ野郎。覚えてるか知らんがな」

 

グランだ。あの一瞬でやつの死角に入り拳を叩き込んでいた。約1年ぶりの再会。これほどまでに嬉しくない再会があるのだろうか。いや、ないな。

 

「・・・貴様・・・我の道を阻もうとした竜か」

 

「・・・竜擬・・・じゃなかったか」

 

アクノロギアに対してダメージは入っておらず、ゆっくりと立ち上がりグランを見る。アクノロギアはグランを覚えていたようだ。自らの道を阻もうとした者として。

 

「破壊できなかったとは・・・不快」

 

「そらこっちのセリフだ。完全なる滅竜だ?そんな確実に俺の仲間に被害が来るような真似簡単にさせてたまるか」

 

グランとアクノロギア。両者の纏う魔力がより一層プレッシャーを高めていく。まさに一触即発の雰囲気である。

 

だが・・・アクノロギアはグランから視線を外し、歩き出して行った。

 

「・・・あ?」

 

「貴様は後だ。後で・・・破壊する」

 

そう言い残し、アクノロギアはその場を去って行った。グランも今本格的にやり合うのは得策でないと判断し、アクノロギアが去るのを黙って見ていた。

 

「・・・完全なる滅竜・・・ねぇ。何がしたいのか、分かりたくねぇな。っと、そう言えばあの二人は・・・・・・・・・・・・・・・どこ行った?」

 

グランの意識がアクノロギアに向かっている隙に、オーガストとジェイコブはもうすでにこの場を去っていた。

 

アクノロギアがいたとはいえ、敵の主戦力を逃すとは・・・やっぱどっか抜けてんな、コイツ。

 

「・・・とりあえず、マスター達に報告だけしとくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日は進み、フィオーレ南方で行われているハルジオン解放戦。ここでは、ハルジオンを奪還すべく、人魚の踵と蛇姫の鱗が戦っていたが、苦戦を強いられていた。

 

敵の圧倒的な兵の数に加え、スプリガン12のディマリアにワール、さらにまだ戦場に出てきていないナインハルトまでもいる。苦戦は当然である。

 

妖精の尻尾からも、グレイ、ジュビア、エルザにウェンディ、それにラクサスも援軍にきた。

 

ラクサスはきて早々にワールと対峙・・・雷が効かない上に、体内を魔障粒子により侵されていた為多少苦戦はしたものの、見事に勝利。

 

そして戦場で、ウェンディとシェリアとシャルルはディマリアと対峙。

 

だが、ディマリアの魔法はある種最強の魔法・・・誰しもが一度は願った、時を封じる魔法アージュ・シール。これが彼女の魔法。彼女だけの世界。勝負は一瞬で終わる・・・はずだった。

 

突如動き出したウェンディ達にディマリアは動揺を隠せず、二人の同時攻撃を喰らう。

 

何故動けたか?その理由はすぐに分かった。

 

一年前の大魔闘演武以来行方不明になっていた、魔女の罪のウルティアが彼女達の時を固定して動けるようにしたらしい。

 

「急いで!私が“時”を固定してる間しかあなたたちは動けないのよ!!!

 

「はい!!!」

 

「ありがとう!!!」

 

ウルティアの言葉と同時に二人は駆け出していく。ウルティアがウェンディ達の時を固定できる時間は短い。早く決着をつけなければならない。

 

「ここは私だけの世界!!!誰にも邪魔させない!!」

 

だが、時を封じる魔法が効かなくなったとはいえ相手はスプリガン12の一人。そう簡単にはやられてくれはしない。

 

「天竜の翼撃!!!」

 

「天神の北風!!!」

 

天竜と天神の暴風がディマリアを攻撃するが、尚も彼女の顔から不適な笑みは崩れない。

 

「何故私が“時”を操れるか・・・・・・見せてあげるわ。12の実力を」

 

ウェンディ達を薙ぎ払ったと同時に、彼女の右腕の防具が砕けた。そして次の瞬間放たれる、圧倒的な魔力

 

「うぁあぁああっ!!」

 

「きゃぁあぁああ!!」

 

その圧倒的な魔力に耐えきれず、ウェンディとシェリアはその場から吹き飛ばされてしまう。砂埃が収まりそこに現れたのは・・・紛れもない神の力だった。

 

接収(テイクオーバー)・・・ゴッドソウル」

 

そして次の瞬間・・・大爆発を起こした。とてつもない威力・・・これこそがディマリアの真の力・・・神の力だ。

 

「畏み申せ。我が名はクロノス・・・時の神なり」

 

何故彼女が時の神の力を手にできたのか。それは彼女が、古の時の都ミルディアンの末裔で、ミルディアンが祀っていた神がクロノスだったのだ。

 

「本当に神様なら、滅神魔導士(わたし)の出番って訳ね!」

 

そう意気込むシェリア。だが、ディマリアはそんなシェリアには目もくれず、徐に指を指す。

 

「ウェンディ!!」

 

「え!?」

 

そして未来を予知し、危険を察知したシャルルはすぐにウェンディをその場から退かす。

 

そして次の瞬間、ディマリアの指からレーザーのようなものが放たれる。たったそれだけで、命を奪える程に強力な一撃からウェンディを守る為に身を挺して助けるシャルル。

 

未来を予知しても避けられない理不尽すぎる神の一撃。無慈悲なレーザーがシャルルの身体を貫こうと刻一刻と迫っていく。

 

・・・・・・もし、これがif(原作)の話だったのならば、彼女達はどうなっていた?シャルルはレーザーを受けたと同時に、ウルティアが時の狭間から脱出させ、時が動いたと同時に治癒をかけなければいけない程の重症を負ってしまう。

 

そして、ディマリアを倒すために、未来に手に入れる可能性の魔力を今すぐに手に入れることのできる第三魔法源(サードオリジン)をシェリアが使い、滅神の奥義を持ってディマリアを撃破。だが、代償としてシェリアは今後一切魔法が使えなくなってしまう。

 

・・・・・・だが、それはif(原作)の話。この世界にはアイツがいる。めちゃくちゃにデタラメで呆れるほどに強い地竜が

 

そしてレーザーは貫いた。シャルルの体を?否、シャルルではない。時を封じる神の力を()()()で焼き、この世界に存在できるようになったもの。

 

誰であろう?当然、グラン(コイツ)である。

 

「ッ!貴様はっ!!」

 

「・・・普通に痛い」

 

「グランっ!!」

 

「た、助かったわ。けど、下ろしてちょうだい」

 

間一髪のところでシャルルを抱きかかえ、レーザーから守ったらしい。しかし、何故この時が止まった世界で動けるのか?ウルティアがやったのか?いや、文字だと分かりにくいが、グランの登場にめちゃくちゃ驚いているから、彼女ではないな。

 

「グラン、大丈夫なの!?お腹!!?」

 

「あ?シェリアか。・・・こんな所で天空シスターズが復活するとは・・・衣装は着ないの?」

 

「あ、ごめんね、グラン。あの衣装は今ないの」

 

「グラン、その事は今関係ないよね!?後、ウェンディも!!お腹の傷治さないとってもうない!!」

 

「・・・あの程度じゃ、対して効かねえよ。それよか無事でよかったよ。ウェンディもシャルルもシェリアも。他のみんなも無事そうだし、後ウルティアも・・・・・・・・・あ、ウルティア?なんでアンタこんなとこにいんだよ」

 

「・・・・・・そ、それがちょっとややこしいのよ」

 

「じゃあいいや」

 

「いいの!!?」

 

さっきまでの緊張感ある場面はどこいったのか、なんでコイツが出るだけでここまでボヤッとした雰囲気になるのだろうか

 

「っていうか、なんでグランは動けてんのよ?」

 

「・・・それは・・・なんでだ?」

 

「いい加減にしろ!!我を神と知っての狼藉か!!」

 

だが、とうとう痺れをきらしたディマリアがグランはむかい拳を放つ。それをグランは難なく受け止める。

 

「っ!!?グァアッ!!?」

 

そしてディマリアの拳はグランの黒炎によって焼かれてしまう。

 

(馬鹿な、あり得ない!たかが人間の炎に我が焼かれるなど!!可能性があるならば・・・)

 

「・・・なるほど。神の力で時を止めてたと。そら、燃える筈だわな。炎神の炎に」

 

「炎神・・・だと!?貴様、滅神魔導士か!!?いや、だが情報では貴様は大地の滅竜魔導士だった筈!!?」

 

「・・・まぁ色々あって使えるんだが、もう沈めたから二度と使えねぇと思ってたんだがな。なんか使えた。」

 

やっぱそこは適当なのか。だがまぁ納得・・・・・・・・・したくはないが納得した。炎の滅神魔法で、時の神が封じたこの世界を焼き、この世界へと存在できたのだ!・・・ごめんやっぱわからん。ってかなんで使えんの?後書きでこれが最初で最後って言っちゃったよ?言っちゃったよ!!?どーすんの!?「・・・そんなもん、俺は知らん」っざけんな!!こんちくしょうめが!!

 

・・・もういいや、もう。グランだからしょうがないってことにしよ

 

「貴様如きが我に・・・神に敵うと思っているのか!!」

 

「・・・大丈夫だ。お前よりでっかいのやってるから、心配すんな」

 

そこじゃねぇよ。

 

まぁ当然、グランの態度で怒りが込みあがり攻撃を仕掛けてくるディマリア。さすがは神の力。一撃一撃がとてつもない威力。だが、グランはそれを軽々受け止め、反撃を喰らわしていく。炎神の黒炎が神の力を焼き尽くし、次第にこの静止した世界にまで影響しだした。

 

「っ!見た、シェリアっ!」

 

「うん、みんな今少し動いた。」

 

「時間が・・・少しずつ進んでる」

 

周りの人間が少し・・・ほんの少しずつだが動きだしている。それ即ち、ディマリアがこの世界を留めておくことが困難になってきた証拠である。

 

「ふ、ふざけるな!!?我の・・・私の・・世界が!!?」

 

「・・・もう限界か?神の力、剥がれかけてんぞ?」

 

「っっ!!黙れぇぇ!!!」

 

接収が解けかかっている事に焦りを感じたディマリアは更なる猛攻に出る。自身の世界を穢された怒りを込め、目の前の者を完全に消し去るために。

 

「・・・もういいだろ、時の神。・・・炎神の炎に焼かれちまいな」

 

そんなディマリア相手に、グランは両手に黒炎を纏いそのまま黒炎は形を変えていく。それは巨大な炎の剣となり、神を斬る。

 

「・・・ヒノカグツチ」

 

「─────ッッッッ」

 

そのままディマリアを斬りつけ、ディマリアはそのあまりの熱量に、声も上げられず吹き飛ばされる。

 

それと同時に止まっていた時が完全に動き出す。

 

「時が動いた!って事は」

 

「グランが勝った!!」

 

「まっ、当然ね!!」

 

ディマリアに勝利した事を互いに手を取り合って喜ぶウェンディとシェリア。シャルルも腕を組み、当然といった表情を浮かべていた。

 

一方のグランを中心にして、辺りで燃えている黒炎が次々とグランへと吸い寄せられるように集まっていく。

 

「・・・また沈むのか。まぁなんにせよ、助かった」

 

再び炎神の炎は、グランの体へと沈んでいった。時の狭間の影響か、あるいは神の力で時を止めた故に、使えるようになったのか定かではないが、今は勝利を喜ぶとしよう。

 

・・・・・・でもやっぱり、止まった時を燃やして無理やり動けるようになったのはヤバすぎると思う。

 

 

 


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