FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜   作:紅蓮大地

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第六十六話 過去の強者

 

「・・・あー、また調子が悪くなってきた」

 

「大丈夫?」

 

「まぁなんとか」

 

ディマリアを撃破後、ウェンディとシェリアの傷を癒す為暫しの休息をとっていた。

 

別にグランは怪我はしてないが、炎神の魔法が一時的なのか使えるようになったせいか、まだ本調子にはならなかったのを理由に少し休んでいる。

 

まぁ東のボスコ付近からハルジオンまで跳んで、停まってる時の中を燃やしながら移動してスプリガン12の一人と戦ってんだから普通はもっと疲れてる筈なんだよ。

 

「でもすごいね!スプリガン12をあんな簡単に倒しちゃうなんて!」

 

「アンタ、ちょっと強くなりすぎじゃない?・・・まぁ、おかげで助かったけど」

 

「・・・まぁな。それで、ハルジオンにいるスプリガン12はあと2人・・・いや、さっき馬鹿でかい雷が落ちてたから、おそらくラクサスが一人倒したとして・・・残り一人・・・・・・あ?」

 

「どうしたの?」

 

「・・・いや、なんかいきなりあちこちにデカい魔力が増えたから何かなって思っただけだ」

 

「魔力が増えた?」

 

そう、いきなりあちこちで魔力が増えた・・・その中にはグランも知っているものもあったが、それはもうこの世にいない筈の者の魔力だった。

 

すると、いきなりグラン達の前に一つの大きな影ができた。そして目の前にはウェンディとシャルルの見覚えのあるものが現れていた。

 

「え?」

 

「何コレ・・・」

 

「また会ったなぁ・・・チビィ!!」

 

「コイツは!!?」

 

「・・・だれ?」

 

そこにいたのは冥府の門(タルタロス)にいた九鬼門の1人、エゼルだった。何故コイツがここにいるのか、それは分からないがまたコイツと戦わなければならない緊張にウェンディとシャルルは包まれていたが、グランだけはエゼルではなく、その上を見ていた。

 

「わざわざテメェを斬り刻む為に・・・戻ってきてやったぜェ、チビィっ!!」

 

「くっ!!」

 

「ちょっとは空気読みなさいよ!!」

 

「・・・お前が誰か知らんが・・・そこにいると危ねぇぞ?」

 

ウェンディとシェリア、それにシャルルは魔力を高め戦う姿勢をとっていたが、グランだけはエゼルとは別の方・・・上空に視線を向けたままだった。

 

「オレが誰か・・・だと!?人間風情がなめてんじゃねぇぞ!!俺様こそ、冥府の門、九鬼もっっ」

 

ズドォォンッ!!

 

「えっ!?」

 

「なになに!?どうなってるの?!」

 

「あーあ」

 

せっかく自己紹介的なのをやってたのに、空から落ちてきた巨大な何かに潰されて、そのまま消滅してしまったエゼル。

 

落ちてきた・・・いや、降りてきた者は土煙の中ゆっくりと立ち上がった。

 

ここでようやくグランが戦う姿勢をとる。この場に流れている緊張感は、先ほどの比ではない。

 

そいつは見覚えがあった。当然だ。一年前、フィオーレ王国を襲った過去からの来訪者にして・・・一度、グランを殺した存在。

 

「グワハ、グワハハハハハハハハハっ!!久しぶりだなぁ!!人間・・・・・・いや、グランよ!!!!!会えてうれしいぞ!!!」

 

「・・・そうかよ、俺は全然嬉しくねぇよ、クソドラゴン・・・いや、ハリドロング」

 

そう、ハリドロングだ。奴もまたこの世に復活して、グラン達の前に立ちはだかっていた。

 

理由はわからないが、おそらくそこらじゅうにいきなり現れた数々の魔力は死より復活した過去の強者達なのだろう。

 

だからと言ってコイツまで復活しなくてもいいと思うのだが。

 

「・・・ウェンディ、シャルルとシェリアを連れて速く逃げろ」

 

「えっ・・・」

 

「何言ってるの!?私たちもまだ戦えるよ!」

 

「それにまだアンタ調子戻ってないんでしょ!!」

 

グランはウェンディ達にこの場から逃げるように言い、前に出る。シャルルの言う通り、まだ本調子とは言えないがコイツの強さは一番よく分かっている。

 

だからこそウェンディ達を守る為にこの場から遠ざける必要があった。

 

「俺なら平気だ。だから安心しろ」

 

「でもっ!」

 

「いいから速く行けっ!!」

 

それでもなお逃げないシャルル達に怒鳴るように言ってしまうグラン。その勢いに少し押されてしまうシャルルだったが、まだ諦めずに説得させようとするが

 

「ゴチャゴチャと言っとらんで、さっさと戦おうぞ!!」

 

待てなくなったハリドロングがその巨大な拳を振り下げてくる。反応が遅れたグランはその拳を避ける術なく、そのまま吹き飛ばされるはずだった。

 

「天竜の鉤爪!!」

 

だがその拳は、ドラゴンフォースの力を纏ったウェンディによりグランに当たる前に弾かれる。

 

「んなぁ!?」

 

予想外・・・いや、予想もしていなかった者からの攻撃に驚愕するハリドロング。そんなハリドロングにさらに追撃を喰らわせる。

 

「天竜の咆哮!!」

 

「ぐぬぉお!?」

 

放たれた暴風にハリドロングはたまらずに吹き飛ばされてしまう。

 

「ウェンディ、何してんだ!?ここは俺に任せて早く逃げ「グラン」ろ・・・?」

 

あまりの予想外の出来事に静止していたグランだがすぐにウェンディへ逃げるように言うのだが、ウェンディはドラゴンフォースを解き、振り向きムッ!とした表情でグランに詰め寄る。

 

しばしの静寂に包まれる。何か言おうにも言葉が出てこない。怒っているのか?それとももっと他のことか?

 

だが、ウェンディは少し険しかった表情から、優しい笑顔になり口を開く

 

「グラン・・・ありがと、いつも守ってくれて」

 

「・・・おう?」

 

まさかの感謝の言葉に思わず間抜けな声が出るグランの頬に手をやり、ウェンディは話を続けていく。

 

「昔からずぅーっと守ってくれた・・・私が弱かったから・・・ずっとグランに迷惑をかけてきちゃった・・・でも、もう大丈夫!!」

 

ウェンディは再びドラゴンフォースとなり、風を纏う。

 

「もう守ってもらうだけの、弱い私じゃない!!私も、グランと一緒に戦える!!

 

ゴオォ!!

 

と先ほどよりも強く逆巻く風を放つウェンディ。そこにいるのは、か弱い少女ではなく、心強い妖精の尻尾の魔導士だった。

 

「・・・グワハハハハハッ!!小さいくせにやるではないか!!貴様もまとめて叩き潰してやるわぁ!!」

 

と、吹き飛ばされたハリドロングが起き上がり、またその巨拳を振り下ろす。また迎え撃とうとするウェンディだが

 

ボコッ ドゴォォォォッ!

 

「なんうごっ!?」

 

グランが地を操り、ハリドロングを突き上げる

 

「・・・ウェンディ」

 

「・・・うん」

 

そしてウェンディの横に立ち、呼びかける。それに小さく頷くウェンディ。

 

「・・・俺は一度も、お前もシャルルも弱いと思った事は無い・・・だが、それでもお前らが大事だから・・・守ってきた・・・けど、まぁなんだ・・・強くなったな、ウェンディ」

 

「えへへっ、そうでしょ?」

 

はにかむウェンディ・・・うん、可愛い・・・じゃなくて

 

目線をウェンディから上空にいるハリドロングに向け、拳を構える。ウェンディを守るためでなく・・・一緒に戦うために

 

「いくぞ、ウェンディ!」

 

「うん!!」

 

そして、二人同時に跳び上がる。それを見たハリドロングは不敵な笑みをうかべ、巨拳を持って迎え撃つ。

 

ウェンディが巨拳を弾き、グランが地竜の一撃を打ち込む。グランが巨拳を受け止め、ウェンディが天竜の爪で切り裂く。

 

攻防一体・・・多少、意味は違うが二人はまさに攻撃と防御を同時に行えている。

 

「地竜の剛拳!!」

 

「天竜の翼撃!!」

 

「グオォオッ!!?」

 

そして同時に攻撃し、地面に叩き落とす。ハリドロングもやられっぱなしでは終われない。すぐさま体制を立て直し、二人が地に着地したと同時に仕掛けていく。

 

だが、二人はもう既に攻撃を放つ姿勢に入っていた。そしてそのままハリドロングに向かい魔法を放つ。

 

「地撃・壊振!!」

 

「天竜の砕牙!!」

 

「ぐがぁあっ!!?」

 

放たれた魔法により、ハリドロングは耐えきれずそのまま完全消滅していった。

 

一息をついたのち、勝利を喜びウェンディはグランに抱きついた。

 

「やった、やったよグラン!!」

 

「あぁ・・・やったな、ウェンディ」

 

やった、やったと喜びながら抱き合いその場をクルクルと回る。そんな二人を若干呆れた目で見るシャルルと笑顔のシェリア

 

「全く・・・一時はどうなるかと思ったけど。まっ、結果オーライってとこね」

 

「そうだね!二人の“愛”の勝利だね!」

 

「そうね、今回は“愛”の勝利かしらね?」

 

まぁ、何はともあれ。いきなり現れた過去の強敵を打ち倒せたのだ。

 

スプリガン12を次々と撃破できている。妖精の尻尾の・・・ひいてはイシュガルの勝利は近い。

 

・・・だが、油断はできない。まだ残りの12が残っている。そこにはまだ厄災と絶望が残っている。

 

まぁ・・・今は勝利を喜べはいいか。

 

 

 

 

 

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