FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜 作:紅蓮大地
前回、とうとう動き出してしまったニルヴァーナ。その進行方向にはグランたちのギルド、化猫の宿が。それを止めるべくニルヴァーナへと向かい、敵の一人、ブレインと遭遇。そして対決する事となった。
吹き飛ばされ、未だに驚愕の表情を浮かべるブレイン。そんなブレインを睨みつけるグラン。
「流石だ、グラン殿」
「オッサンが言ってた事、冗談かと思ってたが・・・・」
「もしかして・・・・本当に聖天と同じくらい強いの!?」
敵の大将を吹き飛ばしたその実力に、ジュラは感心し、グレイとルーシィは驚きが隠せない。
この戦いの前、聖天の称号を持つジュラが認めた強さ。正直半信半疑ではあったが、今、それが確信に変わった。
「なるほど・・・・貴様もドラゴンスレイヤーか。そこらの雑魚とは違うという事か。まさか天空の巫女以外にもいたとはな」
口元の血を拭いながら立ち上がるブレイン。最初の一撃、そして与えられたダメージに最初こそ驚いたが、それでも余裕の表情を浮かべる
そして杖に魔力を溜め
「
杖の先から怨霊のようなエネルギーをグランに放つ。放たれたエネルギーがグランに迫る。それに対しグランは両腕を岩に変えて構える。
「地竜の剛腕!!!」
飛んできたエネルギーを薙ぎ払い、砂嵐を起こす。放たれたエネルギーは砂嵐に巻き込まれ、霧散していく。だが、それを見越していたかのようにブレインはグランの背後に回り込む。
「
「まずいっ」
杖の先から螺旋状の光線をグランに向けて撃つ。それをグランは先ほどと同じように砂嵐を巻き起こすが、放たれたエネルギーは砂嵐をモノともせずに突き進んでいく。
「無駄だ‼︎!常闇奇想曲は貫通性の魔法!!そんな砂嵐ごときでは止めることはできぬわ!!!」
そう高らかに告げるブレイン。その言葉通りエネルギーは砂嵐を突き破り、遂にグランに届く。そしてそのままグランの右腕を貫き、砕かれる。
「なっ!!?」
「うそっ!!?」
「・・・・・・・・」
グランの右腕が砕かれた事でグレイとルーシィは小さく悲鳴をあげる。だが、ジュラだけは笑みを消さずにいた。
だが、勝利を確信したブレインは高笑いをしながら叫んでいた。
「ふははははははっ!!所詮貴様程度では相手にすらならなかったという事だ!!!そのまま朽ち果てろ!!」
そしてまた杖に魔力を溜め、グランへと放とうとする。だがグランは砕かれた腕をすぐに
「地撃‼︎‼︎」
ドガァァァァン!
瞬間、ブレインの立っていた地面が爆発を起こした。
「ガハァっ!?・・・・な、にぃぃ!?」
砕いたはずの右腕が再生したと思った次の瞬間、空中に吹き飛ばされ訳が分からず混乱するブレイン。空中に浮かんでいるブレインの元まで跳び上がり、同じように魔力を溜めてその体に直接叩き込む。
「地撃・壊振!!!!」
ドォォンッ!!
「うあ"あ"あ"あ"っ」
ブレインはそのまま地面に叩きつけられ、遂には動けなくなった。
「やりやがった!!!こいつ六魔将軍のボスだろ!?」
「あたしたち勝っちゃった‼︎!」
「流石の腕前だ、グラン殿。・・・・グラン殿?」
敵のボスを撃破できた事で喜ぶ一同。そんな中、グランはただその場で立っているだけだった。不思議に思ったジュラが話しかけた直後
「・・・・・・・・・・・・気持ち悪・・・・オェ」
バタンッ、と倒れ込んでしまった。ニルヴァーナが化猫の宿を狙っているという怒りでブレインを相手していたが、ブレインを倒した事で今までの乗り物酔いの波が押し寄せてきたのだ。無茶するからだ。
グランは自分は気にしなくて良い的なジェスチャーを出す。その後、ジュラがブレインに問い詰めたが、ブレインは何か気になる事を言いながら気絶していった。
「あの方?」
「つーかこいつの顔・・・・今、模様が一個消えなかったか?」
「ぶ、不気味な事言わないでよぉ〜」
「・・・・・・・・やべ、吐きそう」
やいのやいのと話していると向こうのほうからウェンディとシャルルが走ってきて、この都市が自分達のギルドに向かっているかもと告げできた。
「らしいが、もう大丈夫だ」
「え?ひゃっ!?あ、グラン!!大丈夫!?」
「・・・・・・・・ウェン・・・・ディ・・・・」
「アンタ、この大きさでもダメなの?」
倒れているブレインに驚いたが、それよりも顔を青くしているグランの方が心配になりすぐさま駆け寄るウェンディ。シャルルは乗り物がダメなことは知っているが、まさかここまでとは知らず呆れ半分でいる。
結局、化猫の宿が狙われる理由は分からずじまいだが、コレで終わりだと皆安堵していた。
「お・・終わってねぇよ・・・・早く、これ・・・・止め・・・・うぷ」
「ど・・・・同意・・・・オェ」
約二名ダウンしてるが、とりあえずニルヴァーナを制御していたであろう王の間に行ってみることにした。
王の間についたがニルヴァーナを制御していると思われるようなものが何一つなかった。
ブレインを倒せば止められる・・・・その考えが甘かった事に気がついてしまった。
「・・・・クソッ、どうすりゃ良いんだよ」
「止めようにも、止め方が分かんないんじゃ・・・・」
「・・・・・・それ・・・・以前に・・・・オェ。まだ、ニルヴァーナが動いてる事が・・・・問題・・うぷっ・・・・・・・・だな」
王の間に横になりながらも、今起きてる不自然な点を述べるグラン。グランの言った通りここで制御して、その操作していたと思われていたブレインが倒されたにも関わらず動いているニルヴァーナ。(ちなみに、ナツはウェンディのバランス感覚をやしなう魔法トロイアをかけてもらい乗り物酔いは治まっているが、グランはウェンディに無理させないように断って、今も地面に寝っ転がっている)
そのことから、最悪な考えがよぎった。
「まさか、自動操縦!?すでにニルヴァーナ発射までセットされて・・・・」
「可能性は・・・・高い・・・・な・・・・」
その事実に、ウェンディは涙を流し悲痛の声をあげる。
「私たちの・・ギルドが・・・・」
「大丈夫!ギルドはやらせねぇ」
だが、乗り物酔いから治ったナツが、ギルドは大丈夫だと、必ず止める、決意の表情でそう告げた。
「でもどうやって止めるの?止め方分かんないんだよ?」
「壊す!!」
「またそーゆー考え!?」
「・・・・・・・・沈める」
「アンタはとりあえず寝てなさい」
「やはりブレインに聞くのが早そうだな」
色々とどう止めるか意見は出たが、まだ意見が纏まる様子はなかった。そんな中、ウェンディはある心当たりがあると告げどこかへ行こうとした。
「私・・・・ちょっと行ってきます!」
「ウェンディ!!待ちなさい!!」
「・・・・・・・・ウェンディ、シャルル」
そんなウェンディを追いかけるシャルルと声をかけるグラン。
「どうしたの、グラン?」
「何よ?もしかしてやっぱりウェンディに魔法かけてほしかったの?」
「違ぇよ。・・・・・・・・俺は一度、ギルドに戻る。」
「えっ!?」
「なんと!?」
「え、今!?なんで!?」
一度ギルドに戻ると告げたグランに耳を疑った一同。何故今戻るのか、と疑問に思うが、考えてみれば当然だと思う。自分のギルドが危険に晒されているからだ。
「・・・・万が一、ニルヴァーナを止められなかった場合に備えて、俺がギルドを守る。だから、オッサンたちには悪いがウェンディ達を頼む。」
「・・・・うむ、わかった。」
「おう!!任しとけ!!」
グランの申し出に、心良く返事をするジュラとナツ。他のみんなも同意見のようだ。ただ、ウェンディとシャルルだけは少し不安そうだった。
「・・・・グラン、無茶しないでよ?」
「・・・無茶はしねぇよ。した事ないだろ?」
「だいぶしてるわよ、アンタ。その度にウェンディが心配して泣き出すんだから」
「ちょっとシャルル!!そんな事今言わないでよぉ!!」
「・・・・まぁいい、とにかく行ってくる。それと、ウェンディ。」
「なぁに?」
「・・・・いざとなったら、“天”を喰え。お前ならできる筈だ」
「・・・・天を?」
「その内わかる」
ギルドに向かう前に、ウェンディたちに別れを告げるグラン。その間、グランとウェンディの間に、なんとも言えない雰囲気が流れていた。
「「でぇきてぇる〜〜〜」」
「・・・・大体こんな感じよ。この二人は」
そんな二人をニヤニヤしながら巻き舌でいうハッピーとルーシィ。それとこれが普通だ、というシャルル。それに気づき顔を赤くするウェンディと、よくわかっていないグラン。
「・・・・んじゃ、行ってくる!!」
その言葉と同時に跳び上がるグラン。目的地は化猫の宿・・・・自分達のギルドへ。ニルヴァーナよりも先に到着する為に。
「・・・・やっぱギルドに向かってんな、コイツ。全然止まる気配ねぇし。」
ギルドへ向かって跳びつつ、一向に止まる気配のないニルヴァーナに少々の愚痴を言いながら進んでいくグラン。空を飛べるわけではないので地面に着地する瞬間に、地面を弾力性にして跳んで移動している。これを繰り返してギルドへと進んでいるが、ニルヴァーナもすぐそこまで迫っている。何故、自分達のギルドを狙うのか。その理由は分からないが、とにかく急いで向かわなければならない。グランは更に速度を上げてギルドに跳んでいく。
「・・・・見えた!!化猫の宿!!」
なんとかニルヴァーナよりも先につけそうだが、ニルヴァーナもすぐそこにいる。急いで避難させなければ。そう思った矢先──────ニルヴァーナに異変が起きた。
ゴゥゥオォォン
「・・・・・・・・は?」
まるで・・・・いや、確実に魔力を溜めている。ニルヴァーナを発射させる気だ。もはや避難は間に合わない。なら、どうするか・・・・そんなものは決まってる。
すぐにグランは地面に降り立ち、地面に拳を突き立てそのまま巨大な土壁を作り出す。
「───なんだぁ、ありゃあ?」
それをブレイン────いや、マスター・ゼロは不快そうにみる。彼が望むは破壊ただ一つ。それが例え土塊でも邪魔されるのは不快でならない。
「あのガキは・・・・
更にその土壁を作り出しているのが、ブレインをやった者だと知り、更に不快感が増していく。
「そんな土塊建てたぐれぇで・・・・・・・・オレの破壊を止められるかァ──!」
キィィィィンコオオオオオオオオオオオオオっ
刻一刻と溜まっていく魔力。もはや止める事は不可能である。
「マスタ〜〜」「ひぇ〜〜」「ここまでだ・・・・」「ううう・・」
もはや絶望の淵に立たされた化猫の宿の仲間たち。それぞれが絶望に顔を青くし、悲鳴をあげる。だが、マスターだけは違っていた。
「何を狼狽える。これがワシ等の運命、なぶら重き罪の制裁」
これこそが自分達────ニルヴァーナを作り出してしまった自分達への制裁であると、その覚悟を決めていた。
「善意よ・・・・・・・・滅びるがいい────────!!!!」
そしていよいよ発射されてしまう。
「やめてぇ──────!!‼︎」
ウェンディの悲痛の叫びも虚しく、その時は来てしまう。
カッ
ズドォォンッ!!
とうとう発射されてしまったニルヴァーナ。それは化猫の宿の前にそびえ立つ土壁へと近づいていく。
が、しかし。グランは決して諦めたわけではなかった。時間稼ぎの為に・・・・ニルヴァーナを防ぐために土壁を建てた訳ではなかった。ただ、自身の高さをニルヴァーナの発射口と同じ高さにしたかっただけであった。
突き立てた拳を更に地面に沈め、
土や砂、石や岩などの大地の魔力の媒介物からの摂取ではなく、大地から直接魔力をその体に溜め込むグランの滅竜奥義。
その魔力は普段の何倍・・・・いや何十倍にも膨れ上がり、その力を増していく。
グランが編み出した・・・・グランだけが使うことのできる魔法。
「滅竜奥義・・・・
極波・地竜哮!!!!」
放たれる大地竜の咆哮。大地の魔力と地竜の魔力が混ざり合い放たれたその咆哮はニルヴァーナと激突した。
二つの強大な魔力がぶつかり合い、その影響で大気が震え、物凄い衝撃波が起きる。
ある騎士は、信じられないとばかりに驚きを顔に表し。ある破壊者は、自身の思い通りにいかず苛立ちを露わにし。
ある少女は─────ただただ少年の無事を祈るのだった。
そして・・・・遂に終わった。
撃ち消しあっていた二つの魔法はほぼ同時に消え失せた。化猫の宿を傷つけることなく・・・・マスター・ゼロの破壊は失敗に終わった。
そして、グランもまた魔力をほぼ使い切ってしまった。次第に土壁も崩れていき、遂にグランの足場は無くなってしまいそのまま重力に従って落ちていく。
「・・・・・・・・後は・・・・頼んだ・・・・・・・・ぞ・・・・」
グランは、そう一言呟いた後、意識を失った。
グランの体について
グランは滅竜魔法を使う際、一部を岩などに変えて攻撃を繰り出します。そしてその岩へと変わった部分は魔力を込めていない時はある程度の攻撃で壊れてしまい、それこそブレインの放った魔法のように貫通系などを喰らうと簡単に砕けてしまいます。しかし、グラン自身の魔力がある限り砕けた、又は壊された部分は再生可能です。無論、永遠に再生する訳ではないので何度も壊されては再生は出来なくなります。魔力を回復させれば再生はできます。