FAIRY TAIL 〜『大地』の滅竜魔導士 〜   作:紅蓮大地

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今回、少し長めです。そして六魔将軍編は終了です。


第八話 終結・・・・そして別れ

 

ニルヴァーナが発射されてから約二十分・・・・今度こそニルヴァーナを止めるべく足にあるラクリマを破壊する必要があった。残った魔導士、ナツ、グレイ、ルーシィ、一夜、エルザ、ジェラール・・・・そしてウェンディ。だが六魔将軍のマスター・ゼロがラクリマを守っていた。皆、満身創痍であるがそれでも、ニルヴァーナを止めるべく進んでいく。

 

そんな中、ナツがマスター・ゼロと対峙した。だが、マスター・ゼロの圧倒的な実力に苦戦していたナツ。その途中、思わぬ者がやってきた。記憶を失ったかつての敵・・・・ジェラールだ。がしかし、記憶が戻ってしまった。ジェラールはゼロではなく、ナツに攻撃を仕掛ける。だが、彼に炎を通じない。なら何故攻撃するのか・・・・それは、思い出したから。「ナツ」という希望を。だからこそ、ナツを助けるべくここにきた。だが、記憶がないからと言って過去の罪が許されるはずもない。ナツは忘れない。ジェラールも分かっている。・・・・だからこそ、今はゼロを倒すためにナツに力を与えたい。

 

咎の炎。金色の罪。

 

それを受け取ったナツ。そしてそれは起こる。全てを破壊する力。滅竜魔法の最終形態。

 

その名も、ドラゴンフォース。

 

これが最後の戦い。それでも、ゼロは倒されない。ゼロは言った。てめぇごときゴミが一人で相手できる訳ない、と。

 

だが、ナツは言った。一人じゃないと。みんなの想いがオレを支えている。支えてくれているからこそ、今立っていられる。仲間の力が体中をめぐっているのだ、と。

 

ゼロは惜しんだ、これほどの男を粉々にするのを。だから、奴に最高を“無”を・・・・ゼロの最大魔法を繰り出す。

 

ナツも、滅竜魔法・・・・その奥義を繰り出す。

 

「滅竜奥義・・・・

 

 紅蓮爆炎刃!!!!」

 

 

 

「ジェネシス・ゼロ!!!!!」

 

 

 

 

そしてぶつかる。ゼロので呼び起こした無の旅人がナツを喰らいつくそうと襲い掛かる。だが、ソイツ等は全員金色の炎に燃やされた。ゼロの最大魔法が・・・・いとも簡単に。

 

そして、ゼロは見た。ナツの背後に・・・・巨大なドラゴンの幻影を。

 

そして思い知る。ドラゴンを倒す為に、ドラゴンと同じ力を身につけた魔導士。これが、本物の

 

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だと。

 

 

「全魔力解放!!!滅竜奥義“不知火型”・・・・

 

 

紅蓮鳳凰劍!!!!!」

 

 

 

そして繰り出された滅竜の奥義。それを使いマスター・ゼロごと、ラクリマを破壊する。

 

それと同時に他五つのラクリマも破壊される。

 

一つはグレイ。

 

「時間だ!!!みんな頼むぜ‼︎‼︎」

 

一つはルーシィ。

 

「開け!!金牛宮の扉・・・・タウロス!!!!」

 

一人は一夜。

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおっ!力のパルファム全開〜〜!!!!」

 

一人はエルザ

 

「ナツ」

 

そして最後の一つは────ウェンディ。

 

「天竜の・・・・咆哮!!!」

 

そして、遂に

 

バキィィッ!! 

 

ドドドドドドドドドドドド

 

六つのラクリマが同時に破壊され、マスター・ゼロも倒され、ニルヴァーナの破壊に成功した。

 

だが、喜びも束の間、ニルヴァーナは崩壊していった。当然中にいる者たちは危険だ。急いでニルヴァーナからの脱出を試みた。

 

「シャルル!!」

 

「ウェンディ、こっちよ!!」

 

ウェンディとシャルルも崩壊するニルヴァーナから脱出しようとしていた。だが、途中転んでしまいその上に瓦礫が落ちてくる。

 

「ウェンディ!!」

 

絶対絶命の時、一つの影が動いた。シャルルとウェンディを抱き抱え、瓦礫から身を守った存在。

 

「よくやった!ウェンディ!!」

 

「グラン!!無事だったんだね!!」

 

「遅いわよ!!」

 

ニルヴァーナを防ぎ、そのまま地面に落下したグランが助けに来ていた。無事だった事に喜ぶ二人。そしてそのまま脱出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・いや〜、危なかったな」

 

「危なかったなじゃないわよ!!!ニルヴァーナと正面から撃ち合うって何考えてんのよ!!!」

 

「お、落ち着いてよ、シャルル〜」

 

あの後、なんとか無事全員脱出することに成功したのだが、ニルヴァーナに正面から挑んだ無茶についてシャルルに説教されていたグラン。まぁほとんど聞いておらず、どこ吹く風だが。そんなグランに弱々しい猫パンチを喰らわせるシャルルとそれを宥めるウェンディ。

 

「ブレインってやつをぶっ潰した時、強いとは思ったが・・・・まさかニルヴァーナを防いじまうなんてな」

 

「あれは流石に驚かされたぞ。」

 

「ともかく、全員無事で何よりだね」

 

「みんな・・・・本当によくやった。」

 

「これにて作戦終了ですな✨」

 

「……で、あれは誰なんだ?」

 

そんな中、グレイが少し離れた位置に立っているジェラールを見てそう呟く。

 

「ジェラールだ。」

 

「何っ!?」

 

「あの人が!?」

 

「あ、ジェラール?お久〜」

 

どうやら姿を知らなかったグレイとルーシィがその人物がジェラールであると聞き驚きを隠せない。グランはグランでそういえば久しぶりだなぁ〜的な感じで挨拶してた。

 

「・・・・君も、オレを知っているのか?」

 

「そりゃ、昔ウェンディと一緒に旅してたし・・・・覚えてねぇの?」

 

「記憶を失ってるらしいの・・・・」

 

「へー、まぁいいや。オレグラン。よろしく」

 

「・・・・ああ、よろしく頼む」

 

ウェンディから記憶がないことを聞いたグランは、まぁとりあえずよろしくと言った感じで手を差し伸べる。それに応えるように手を握り握手をするジェラール。

 

その後、エルザと何やら話をしていたのだが、その途中

 

ゴチィン

 

「メェーン!」

 

「どうしたおっさん!?」

 

「トイレのパルファムをと思ったら何かにぶつかった〜✨」

 

「何か地面に文字が……」

 

「なんだぁ?」

 

「こ、これは……術式!?」

 

この場にいる全員を囲うように術式が現れる。

 

「いつの間に!?」

 

「閉じ込められたァ!?」

 

「誰だこらァ!!」

 

「沈めんぞコラァ!!」

 

そして、術式が発動してすぐに、どこからとも無く大量の人が現れる。十字架のようなマークをど真ん中に描いた服を着て、統一されている杖を装備している者達。

 

「……手荒なことをするつもりはありません、しばらくの間そこを動かないで頂きたいのです。」

 

そのうちの一人が代表して話を進める。

 

「私は新生評議院第四強行検束部隊隊長、ラハールと申します。」

 

「新生評議院!?」

 

「もう発足してたの!?」

 

「我々は法と正義を守るために生まれ変わった。如何なる悪も決して許さない。」

 

「おいら達何も悪いことしてないよ!!」

 

「お・・・・・・・・おう!!」

 

「なんか今間が無かったか?」

 

「存じております。我々の目的は六魔将軍の捕縛・・・・そこにいるコードネーム:ホットアイをこちらに渡してください。」

 

そう、彼らの目的はグラン達ではなく、元六魔将軍の一人であるホットアイ・・・・いや、リチャードの捕縛だった。ちなみにグランは最初リチャードを見た時、なんでここにいんの?と思ったが、すぐにまぁいいか、と深く考えずにそのままにしていた。

 

「ま・・・待ってくれ!!」

 

「いいのデスネ、ジュラ。」

 

「リチャード殿」

 

微笑みながらジュラの肩に手を置くリチャード。それは諦めではなく、償いをしたいという彼の気持ちの表れだった。

 

「善意に目覚めても過去の悪行は消えませんデス。私は一からやり直したい。」

 

「・・・・ならば、ワシが代わりに弟を探そう。」

 

「本当デスか!?」

 

「あ、なら俺も手伝うぞ。同じ属性仲間だし」

 

「おお、ありがとうございますデス!!」

 

リチャードの代わりに弟を探すことを違うジュラと、同じ属性仲間であるという理由で一緒に探すというグランに感謝を述べるリチャード。

 

「弟の名を教えてくれ。」

 

「名前はウォーリー、ウォーリー・ブキャナン。」

 

「ウォーリー!?」

 

「「!!」」

 

その名前に聞き覚えがあるのか、エルザとナツ、ハッピーが驚いたような表情をしていた。

 

「その男なら知っている。」

 

「なんと!?」

 

「マジで?」

 

「ああ。私の友だ。今は元気に大陸中を旅している。」

 

エルザのその言葉に、リチャードは涙ぐみ、嗚咽を漏らす。探していた弟が元気で暮らしている、その知らせだけで彼の心はとても救われていた。

 

「これが、光を信じるものだけに与えられた・・・・奇跡という物デスか・・・・ありがとう・・・・ありがとう・・・・・・・・ありがとう!!」

 

そして、リチャードは評議院に連行される。だがなぜかまだ術式の解除はされなかった。

 

「もう良いだろ!術式を解いてくれ!漏らすぞ!!」

 

「そうだぞ、早くしねぇと酷いことになんぞ?」

 

「いえ、私達の本当の目的は六魔将軍如きではありません。」

 

「へ?」

 

「ごときて・・・・それ以上のがいんの?」

 

そう言いながらラハールは指を向ける。グランの質問に答えるかのように、その人物の罪状を述べる。

 

「評議院への潜入・・・破壊。エーテリオンの投下・・・・もっととんでもない大悪党がそこにいるでしょう。」

 

そして、その人物の名前を言う。

 

「貴様だジェラール!来い!抵抗する場合は、抹殺の許可も降りている!」

 

「そんな!?」

 

「ちょっと待てよ!!」

 

「はぁ?おい、ふざけんな!!」

 

「その男は危険だ。二度とこの世界に放ってはいけない……絶対に!!」

 

ラハールが強く言い放ち、面々が文句を飛ばす中……エルザだけ、他と違う表情を浮かべていた。

 

「ジェラール・フェルナンデス、連邦反逆罪で貴様を逮捕する。」

 

手枷を付けられるジェラール。彼はそれに一切抵抗をすることはなかった。ただただ己の罪を受け入れるだけだった。

 

「待ってください!ジェラールは記憶を失っているんです!!何も覚えてないんですよ!!」

 

「そうだ、ふざけんなコラ。ようやっと会えたのにまた別れとかざけんな!!」

 

「刑法第13条により、それは認められません。もう術式を解いてもいいぞ。」

 

「はっ」

 

部下に術式の解除を命じるラハール。ウェンディやグランの言い分に聞く耳を持っていなかった。

 

「で、でも!」

 

「いいんだ、抵抗する気は無い。・・・・君達のことは最後まで思い出せなかった。本当に済まない、ウェンディ、グラン。」

 

「……この子は昔、あんたに助けられたんだって。」

 

「・・・・一応、俺もな」

 

「そうか・・・・俺は君たちにどれだけ迷惑をかけたのか知らないが、誰かを助けたことがあったのは嬉しい事だ。」

 

シャルルとグラン言葉を聞き、満足そうにするジェラール。だが、それでもこの場にいるものは納得できずにいる。

 

「エルザ・・・・色々、ありがとう」

 

ジェラールは最後に、エルザに感謝を述べた。

 

「他に言うことはないか?」

 

「あぁ。」

 

「死刑か無期懲役はほぼ確定だ。二度と誰かと会う事はできんぞ。」

 

ラハールの説明を聞いても、ジェラールはそうなることを受け入れるかのように、驚きすらしない。

 

ルーシィやウェンディは驚きや悲しみでその表情を曇らせていた。

 

このままでは、ジェラールには二度と会えなくなってしまう。

 

「行かせるかぁぁっ!!」

 

誰もが諦めていた時、ナツが飛び出していた。ナツは評議院に殴りかかり、ジェラールを取り戻そうとした。

 

「ナツ!?」

 

「相手は評議院よ!?」

 

「ああ、やっていいのか?なら、やってやらぁ!!」

 

「グランっ!?」

 

ナツが飛び出したことに驚愕する一方で、それなら自分もというように評議員に殴りかかるグラン。

 

「どけぇ!そいつは仲間だぁ!!連れて帰るんだァァァ!!」

 

「と、取り押さえなさい!!」

 

ラハールは、スグに部下達にナツとグランを取り押さえるように命令を下す。ナツが大量の評議員に囲まれる瞬間、部下の一人をグレイが弾き飛ばした。

 

「グレイ!!」

 

「こうなったらナツは止まらねぇからな!!気に入らねぇんだよ!!ニルヴァーナの破壊を手伝ったやつに・・・・一言も労いの言葉もねぇのかよォ!!」

 

グレイのその言葉が引き金となり、皆が評議員相手に動き始める。

 

「それには一理ある。そのものを逮捕するのは不当だ!」

 

「悔しいけどその人がいなくなると、エルザさんが悲しむ!!✨」

 

「もう、どうなっても知らないわよ!!」

 

「あいっ!」

 

「過去がどうとか云々以前にウェンディ泣かせやがって、覚悟しとけよ評議員ゴラァ!!!」

 

皆それぞれ思惑はあれどジェラールを取り戻す、それが全員の願いであった。

 

「お願い‼︎!ジェラールを連れていかないで!!」

 

「来い、ジェラール!!お前はエルザから離れちゃいけねぇっ!!ずっとそばに居るんだ!エルザの為に!!だから来いっ!!!俺達がついてる!!仲間だろ!!」

 

「全員捕らえろぉぉぉぉぉぉ!!公務執行妨害及び逃亡幇助だ!!」

 

全力を持って捕えに罹る評議院。例え一人一人は大した事なくても、数だけは一丁前にいるため、ナツも揉みくちゃにされていく。

 

「ジェラァァァァァル!!」

 

だが

 

 

 

「もういい!!そこまでだ!!」

 

 

 

 

たった一言。エルザの一喝。たったそれだけで争っていたギルド連合軍側も評議院側も全員が動きを止めていた。

 

「騒がして済まない、責任は全て私がとる。ジェラールを・・・・連れて・・・・行け・・!」

 

「エルザ!!‼︎」

 

この中で恐らく一番助けたいという思いはあったであろう、エルザ。しかしそれを飲み込んで押さえ込み、エルザはジェラールに罪を償わせる選択をした。

 

この場の誰よりも、悲しそうに辛そうに悔しそうに表情を浮かべながら。

 

「……そうだ、()()()の髪の色だった。さよなら、エルザ……」

 

「……あぁ。」

 

そしてジェラールは評議院に連れていかれた。最後の一言の意味は、恐らくエルザしか分からないだろう。

 

ウェンディとグランも、エルザの考えを受け入れた。自分達よりも長く過ごしたエルザが決めたことに、賛同する他なかった。

 

その日の朝焼けは、空が怖いくらいに美しい緋色に染まっていた。それでも、グランはその美しい空が憎らしかった・・・・何故かは自分でも分からないくらいに・・・・その日の空は憎らしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・そういやぁ、ずっと思ってたことなんだけどよォ。化猫の宿っていつからギルド連盟に入ってたんだ?」

 

「・・・・さぁ?」

 

魔導士ギルド化猫の宿、ギルド連合軍の全員が今はこの場に集っていた。ギルドマスターの好意により、ボロボロになった服の代わりに新しいのを用意させてもらうのと同時に、お礼がしたいとの事だった。

 

「まぁ無名だろうなぁ〜。考えてみりゃ、基本ギルドの仕事俺以外あんまやってなかったし・・・・まぁ、まともな攻撃魔法が使えるのが俺とウェンディくらいだったからか?まぁ、そこはいいや。とりあえずマスターが待ってっから、早く行こうぜ?」

 

そうして、全員が外へと出る。集落の中央で化猫の宿とギルド連合軍のメンバー全員が集まっていた。

 

「妖精の尻尾、青い天馬、蛇姫の鱗……そしてウェンディにシャルルにグラン。よくぞ六魔将軍を倒し、ニルヴァーナを止めてくれた。地方ギルド連盟を代表して、このローバウルが礼を言う。ありがとう・・・・なぶらありがとう・・・・」

 

「どういたしまして!マスター・ローバウル!!✨六魔将軍との激闘に次ぐ激闘!!楽な戦いではありませんでしたがっ!!!✨仲間との絆が我々を勝利に導いたのです!!✨」

 

「「「さすが先生!!」」」

 

「ちゃっかり美味しいところ持っていきやがって。」

 

「あいつ誰かと戦ってたっけ?」

 

「いや、誰とも戦ってねぇぞ」

 

改めて六魔将軍との戦いを終えたのだと実感する面々。ようやく終わったことへの達成感などで皆気分が良くなってきていた。

 

「グラン殿も、よくぞニルヴァーナを塞いでくれた」

 

「流石は、ジュラさんが認める魔導士だ」

 

「別に、大した事してねぇよ。俺がやったのは、ブレインぶっ潰してニルヴァーナの光線を塞いだ程度だよ。ニルヴァーナを止めたのはウェンディ達だ。後、どうでもいいけど服どうした?」

 

それでも十分だと思うのだが。

 

「この流れは宴だろー!‼︎‼︎」

 

「あいさー!!‼︎

 

テンションが見るからに高いナツとハッピー、そしてさらにテンションの高い青い天馬がそこにはいた。

 

「一夜が✨」

 

「「「一夜が!?」」」

 

「活躍✨」

 

「「「活躍!!」」」

 

「それ✨」

 

「「「「ワッショイワッショイワッショイワッショイ!!」」」」

 

「さぁ化猫の宿の皆さんもご一緒にィ!?✨」

 

「「「ワッショイワッショイ!」」」

 

「ワ・・・・✨」

 

ヒュウウウウウ

 

ワッショイダンスを踊っている青い天馬の面々、そしてそれに便乗して踊り出すエルザを除いた妖精の尻尾の面々。そして一夜が一緒に踊ることを提案したが、ウェンディ、シャルル、グランを除いた化猫の宿のメンバー全員が真剣な顔で黙っていた。その真剣な顔を見て、テンションが上がっていた面々は徐々に落ち着いていった。

 

「・・・・皆さん、ニルビット族のことを隠していて、本当に申し訳ない。」

 

「そんなことで空気壊すの?」

 

「全然気にしてねーのに・・・・な?」

 

「そうだぜ、マスター?俺もウェンディもシャルルも、全く気にしてねぇぞ?」

 

グランの言葉を聞いた後、ローバウルは深呼吸をする。真剣な表情から、何か緊張するかのような雰囲気が出ていた。

 

「・・・・皆さん、ワシがこれからする話をよく聞いて下され。まず初めに・・・・ワシらはニルビット族の末裔などではない。ニルビット族そのもの・・・・400年前ニルヴァーナを作ったのは、このワシじゃ。」

 

「へー、400年前にニルヴァーナを・・・・は?」

 

ローバウルが語る真実。その言葉に誰もが驚きと動揺を隠しきれていなかった。ウェンディやシャルル・・・・グランでさえ困惑した。

 

「400年前・・・・世界中に広がった戦争を止めようと、善悪反転の魔法“ニルヴァーナ”を作った。ニルヴァーナはワシらの国となり、平和の象徴として一時代を築いた。しかし、強大な力には必ず反する力が生まれる。闇を光に変えた分だけ、ニルヴァーナはその“闇”を纏っていった。・・・・バランスを取っていたのだ。人間の人格を無制限に光に変えることは出来なかった。闇に対し光が生まれ、光に対して必ず闇が生まれる。人々から失われた闇は、我々ニルビット族にまとわりついた。」

 

「そんな・・・・」

 

「・・・・考えたくねぇんだが・・・・そんな闇が纏わりついたら・・・・」

 

「そう、グラン。お主の考えている通り・・・・。地獄じゃ・・・・ワシらは共に殺し合い、全滅した。生き残ったのは……ワシ一人だけじゃ。」

 

全員が驚愕していた。400年前から生きている人物、更に隠されていたニルヴァーナの真の闇。その全てに驚き、動揺し、困惑していた。

 

「いや・・・・今となってはその表現も少し違うな。我が肉体はとうの昔に滅び、今は思念体に近い存在。ワシはその罪を償う為、また・・・・力無き亡霊(ワシ)の代わりにニルヴァーナを破壊出来る者が現れるまで、400年・・・・見守ってきた。今・・・・ようやくその役目が終わった。」

 

「そ・・・・そんな話……」

 

「役目が終わったら・・・・なんだってんだよ・・・・」

 

ウェンディとグランは謎の不安を覚える。そしてその不安を表すように、ローバウルが・・・・否、化猫の宿の面々がその体を光り輝かせ、次々とその姿を消していく。

 

「マグナ!?ペペル!?何これ……皆!?」

 

「あんた達!?」

 

「何が・・・・どうなって!?」

 

「騙していてすまなかったな。ウェンディ、グラン。ギルドのメンバーは皆・・・ワシの作り出した幻じゃ……」

 

「幻だぁ!?」

 

その事実に涙を流し始めるウェンディと驚愕するグラン。仲間だと思っていたのが幻で、その幻が今解かれようとしていた。

 

「ワシはニルヴァーナを見守るためにこの()()()()で暮らしていた。七年前、ある少年がやってきた・・・・一人の少女とそれを抱えている少年を『預かってほしい』と言われた。少年のあまりに真っ直ぐな眼にワシはつい承諾してしまっていた。一人でいようと決めていたのにな・・・・

 

『おじいちゃん、ここ・・どこ?』

 

『こ・・・・ここはじゃな・・・・・・・・』

 

『ジェラール・・・・わたしたちをギルドに連れてってくれるって・・・・』

 

『・・・・大丈夫か?ウェンディ?』

 

『ギ・・ギルドじゃよ!!ここは魔導士のギルドじゃ!!!』

 

『本当!?』

 

『・・・・あれ?なんか廃村っぽくなかったか?』

 

『なぶら、外に出てみなさい。仲間達が待ってるよ』

 

『うん!』

 

『なぶらって何?』

 

 

 そして幻の仲間たちを作り出した。」

 

それは優しい嘘。一人の少女を悲しませない為、たった二人の子供達の為に作られたギルド・・・・それが化猫の宿。

 

「・・・・んだよ、それ。今更聞きたかねぇよ、そんな話!!!」

 

「バスクもナオキも消えないで!みんないなくならないで!!」

 

そんな真実()にグランも涙を流しながら、彼らが消えていくことを拒んだ。消えてほしくない・・・・そう伝えるウェンディ。

 

だが、ローバウルは微笑みしか返さない。運命は決まっている、そう言わんばかりに

 

「ウェンディ、シャルル、グラン・・・・もうお前達に偽りの仲間はいらない。

 

 

本当の仲間がいるではないか

 

 

ローバウルはそう言いながら、ウェンディとグランの後ろにいるギルド連合に指を指す。そして、満面の笑みでウェンディとシャルル・・・・そしてグランを見る。その姿は、どんどんと薄く消えていった。

 

「お前達の未来は始まったばかりだ……」

 

「マスター!!」

 

走り出すウェンディ。しかし消える。消えてしまう。

 

「皆さん本当にありがとう・・・・ウェンディとシャルル、グランを頼みます。」

 

手を伸ばすウェンディ。しかし、その手は届くことなく・・・・マスター・ローバウルは、完全に姿を消した。

その後すぐに、ウェンディ達に刻まれたギルドの紋章も消えた。まるで、役目は終わったと、言わんばかりに。

 

「マスタ────────────────!!!!」

 

ウェンディは膝をつき、涙を流す。その肩に、後ろからエルザが安心させるかのように手を置いた。

 

「愛する者との別れの辛さは・・・・仲間が埋めてくれる。来い、妖精の尻尾へ。」

 

この日、この時をもって魔導士ギルド『化猫の宿』はこの世から姿を消した。たった3人のメンバーと優しい嘘(悲しい真実)を残して。

 

「・・・・ありがとう、マスター。俺たちの居場所を・・・・作ってくれて」

 

そして彼らは旅立った。化猫からの贈り物を受け取る妖精達に手を引かれながら、また、彼らの新しい道が開かれた。

 





次の章として、エドラスに入ると思いますが・・・・エドラス編は短いです。それはもう、すぐ終わります。物語的にも原作とほぼ変わりません。変わるのはある戦いだけです。とりあえず、お楽しみに!
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