終末世界でガチ上位者が一般人やってる話 作:MORGANSLEEP / 統括導光
空の神フレイメアリスは僕じゃない。
何度も言っていることだ。
けれどソイツは、メガリアの中を輝きながら降りて来たソイツは──かつての僕と全く同一の姿をしていた。
「やぁ、
「
「否定しなかったら同じだろう」
「
「ボディランゲージというものがあってね」
尚、この意味だけを抽出したような言葉はモルガヌスも同じだけど、それはアイメリアの使う"魂を用いた対話"がこの形式だからであって、たとえばアスカルティンやモモがもっと上のステージに行ったらこんな感じの言葉を使うようになるだろうし、反対にモルガヌスは人間の頃であれば普通に流暢に話していた。
この言葉は人間には聞こえない。というか意味として捉えられない。音としては聞こえるだろうけどね。
それで、じゃあ、まぁ。
「長話もなんだ。そろそろ決着をつけようじゃないか。そのために降りて来たんだろう、
「
どろりと《茨》を出す。
それを周囲に刺して、この場に溢れるエネルギーの全てを吸い取っていく。
アレキとチャルの体力譲渡。アレの本来の使い方だよね。
始まりに合図はない。
襲い来るのは不可視の錐体。それを《茨》で絡め取り、"毒"と"罅"を走らせていく。
バキン、なんて音を立ててソレを割り砕き、高速で材質の変換と組み上げを行っていく。
浸透した"毒"が動力となり、"罅"はパーツを分けて、《茨》が植え付けた"種"が各所を繋ぐ。
砲塔、砲身。
左腕に絡みついた《茨》と、そこから伸びる毒々しい尖塔。
「見たことがあるだろう。見ていたのだろう。彼女らが辿り着いた、再現したものとは一線を画す──本物だ」
融合プラント種グローリー・タンク。メインウェポンが超長距離砲──『バルグルフル・メイザー』。名付け親は当時の上位者だから意味は知らない!
良い音がする。組み上がり、組み代わり、装填されたエネルギー塊が幾度とない圧力をかけられ、その瞬間を待ちわびる。
「
「果たしてそれはどうかな!」
エネルギーに阻まれて音が響いて行かないのがちょっと残念だけど、外だったらそれはもう凄い轟音が鳴っていたはずだ。
その射程、その威力から付けられた仇名が「
フレイメアリスが壁を張る。不可視の壁。
それを
「!?」
「あははっ──君の力が、僕に勝ると!? 君が採取したのはモルガヌスの力だろう、知っているよ──だけど残念、僕は彼とは比べ物にならないほど強いよ……!」
「
「間に合うと良いね」
二撃目。
一撃目で必要としていた溜め時間の一切を無視した追撃が、フレイメアリスの身体を捉え、砕く。
やっぱり生身じゃないか。なんだろうね、アレ。ガラス? いや、水晶かな。
「
動かないフレイメアリスを続けて撃つ。
全弾命中だ。その度にアレの身体が砕け散り、キラキラとした粒子となってその場に漂う。
バルグルフル・メイザーだけじゃ華が無い。GS-88やカイルス、オルクスなんかも作っては撃ち放つ。ん-、やっぱり機械でも生物でもないか。
「
「あはは、どこまで修正する気かな。それとも計り知れない? 修正しながら死んでいくかい?」
「
「!」
輝くフレイメアリスの右腕に、砕けたその身や周囲のエネルギーが巻き付いていく。
作り上げられるのは砲塔──色は違えど、形はそっくりのバルグルフル・メイザー。やれやれ、どこまで真似っこなんだか。
「だから何度も言おう。少年漫画的展開に興味は無い、ってね」
同じ武器のぶつけ合い、なんてするものか。
二番煎じは嫌いなんだよ、僕。だから次々と新しいものを使うのが性に合っているのさ。
上方修正されるなら、より強いものを。それさえも追い縋られるなら、さらに強いものを。
相手がそれで強くなっていく事なんて関係ない。
僕の一番楽しい部分はもう誰だって知っているだろう。
「殺すよ、
「
発射。それを巨大な鎌で割断する。
鎌の取り扱いなんか知らないけど、まぁこんな感じでしょってテキトーに。
「けれど、予想外でもあったかな。君にそれほどやる気があったなんてさ」
「
「そうさ。だってそうだろう? 別に君は、今までどおり僕のフリをして、僕のいないところで僕の影になって生きていればよかった。それをこうやって出てきてまで僕を殺したがるんだ。自分が本物になりたがる。それをしてやる気と言わず、なんと呼ぶって話だよ」
「
フレイメアリスがその手を翳す。
そこから、波のようなものが広がるのが見えた。新しいね、なんだろう。
──波が《茨》に触れる。それだけで、すっぱりと斬れる《茨》。
波は止まらない。《茨》も、フレイメアリスが使っていた不可視の錐体も、そして周囲のエネルギーさえも切り裂いていく。
波は止まらない。止まらないで──僕に辿り着く。
「──っ」
ギリギリだった。
ギリギリのところで、僕に入力されていた武人系の直感が働いた。
だから避けて──でも避け切れなかった。
ぶちん、と斬れたのは、僕の足。
生身だけじゃない。概念体ごとすっぱりとやられた。
「
「……過去の改竄だって? それは──アイメリアにもできない所業だよ。神の領域だ」
「
「あはは、流石、とは言っておこう。
ただ、それができるなら僕を根本から滅することもできるはずだ。
それをしないのは、この星に刻まれた、ってところがキモだから、かな?
あくまでこの星の活動記録にしか干渉できないと見た。それだけでもかなり脅威だけどね。
……これは僕の方も上方修正しないと。
ここへ来たのはコイツをこの空間に引き込むためでもあったんだ。外でやり合うと、ホワイトダナップが大変なことになるってわかってたから。でもそれ以上だった。無計画に時間をかけすぎると外にまで干渉してくる可能性がある。
仕方がない、ちゃんとやるか。
しかし、チャルがいなくてよかったな。ちょっとコイツには勝てなかったかも。
「創り変えるよ」
空間に揺蕩うエネルギーに手を当て──そこからバチバチと赤雷を走らせる。
直後、緑と銀の空間は真っ暗闇になった。真っ黒になった。
あれだけサラサラ流れていたエネルギーも、コールタールのようにドロドロと体に纏わりつくソレに変じる。
時折走る、時折走り寄って来る赤雷だけが素早さを保ち、あとは重く圧し掛かるほどぐったりとした空間。
その余りにもな重さに、フレイメアリスも降りてくる。
この水底に、泡さえも上がっていけない暗くて深い海の底に。
「
「創り変えたのさ。メガリアを稼働させるエネルギーのほんの一部、僕と君を囲う全てを、別の物質に作り替えた。あはは、これ、何だと思う?」
地に臥せるフレイメアリス。
それを見下ろす僕。
慣れているからね、この重さには。あはは、宇宙を航海しているとたまにぶつかるんだよ。見えないからタチが悪い。
「ブラックホール。液体みたいで面白いだろう?」
「……!」
アレは高密度なエネルギーと引力の塊みたいなものだ。
超密度に圧縮されたあらゆるものは押しつぶされ、その形を保てずに液化する。
今フレイメアリスの身体に圧し掛かっている液体だけで、小さな恒星一つ分くらいの重みがあると思ってくれていい。
まぁそれは僕も同じなんだけど──さっきも述べた通り、僕は慣れているからね。
一歩、二歩。
さしもの僕も、この空間で素早く動くことはできない。生身があるからね。
先程きり飛ばされた部分は液体を創り変え直して足にして、一歩、一歩と進んでいく。
向かう先は勿論フレイメアリスで、目的は簡単。
「さて──遺言はあるかな、
「……!」
「もしくは希望か。ああ、望み、という意味だよ。だって今から──」
君を創り変えるんだから。
その身体に、手を伸ばす──。
「……ル! チャル!」
「んにぇ、アレキ……?」
「良かった、目を覚ました!」
目を開けた時、視界にドアップのアレキの顔があった。
揺さぶられていた感覚がまだ体に残っているのか、揺蕩う波のようなそれが消えていない。
風は……ああ、ここは、お気に入りの。
「起きたのか。ったく、ぶっ倒れてるの見た時は流石の俺も蒼褪めたぜ」
「良かった……本当に」
「ケニッヒさん……モモさん……?」
倒れていた。らしい。
自分は……ここで倒れていたのだとか。
何故?
──"わかったよ、チャル。答えもわかった。"
反芻する。
揺蕩う波のような感覚は、揺さぶられていたからじゃない。
──"僕も単純に、君が好きなんだね。"
ガバッと身を起こす。
アレキが「きゃ」なんて短い悲鳴を上げて驚いているけれど、ごめんね、今はそれどころじゃない。
顔を動かす。見る。見る。
探す。
「どうした、チャル」
「……フリス。フリスは?」
「はぁ?」
ケニッヒさんの怪訝な顔。
その顔に、彼の一番大切なものは映っていない。そうだ、捨ててきたから、読めなくなったんだ。
だけど、そんなものが必要ないくらい、この場に集まった人たちからは親愛が伝わってくる。だから──だから、聞く。思いついてしまった荒唐無稽な推測が間違っている事を願って聞く。
「フリスだよ、フリス。私の、好きな人──」
「誰だよ、そりゃ」
「誰の話をしているんだ、チャル……?」
頭を叩かれる。
さび付いた機械のようにギ、ギ、ギと首を動かして、親友を見れば。
「チャル……もしかして、浮気?」
怒った顔の、彼女がいた。
「フリス……ふむ。そのような名の上位者は聞いたことが無い……が、俺もそこまで稼動年数が多くない。俺の知らん個体の可能性もある」
「すまないな、私も力になれそうにない。探しに行こうにも世界がこんなだし、何よりこのシールドフィールドを保たせるために私とケルビマはここを離れられないんだ。申し訳ないけれど、他を当たってくれるかい?」
最有力候補もダメだった。
あの場にいたみんなは勿論、奇械士協会のみんな、お母さんの知り合いや少ないながらにホワイトダナップに残った人々、加えて記録の類。
すべてに当たって、今上位者の二人にもあたって──成果ゼロ。
何故かみんな、フリスのことを忘れている。
空歴2543年6月4日。あの日私はアレキと出会い、
ケルビマさんもエクセンクリンさんも同じだ。モモさんやアスカルティンさんも首を傾げるばかりだし、一番繋がりが深かっただろうケニッヒさんとアリアさんも怪訝な顔をして、なんなら「冗談はよしてくれ」と最大限譲歩した怒りを引き出してしまった。
誰も。
誰もフリスの事を覚えていない。
私はアレキと付き合っていて、最年少奇械士コンビとして数々の事件を解決してきたことになっていて。
焦燥感があった。焦っていて、逸っていて、どうにかなってしまいそうな自覚があった。
妄想。幻想。
彼がいたという記録、記憶。その最たるものだったオルクスは溶かしてきてしまったし、アレキのテルミヌスは普通にフレメアで手に入れたものと、スファニアさんのカイルスはヘイズさんから貰ったものと、そういう話に辻褄が合わされていて。
それが嘘なのかどうか、私にはもう見抜けなくて。
こういう時に何かを知っていそうなアルバートさんや、何よりもずっとフリスと一緒にいたフレシシさんは行方不明。
残っているものも、覚えていることも。
私の頭の中にしかない。
そのまま一日が、二日が。ううん、三日も経ってしまった。
お母さんも凄く心配してくれたけど、やっぱりフリスの事は覚えていなくて。アレキはアレキで、私の心がアレキに向いていない事を悟ったのだろう、この三日間全然会えなくて。
心が割れそうだった。
だって。だって。
折角、やっと、ようやく。本当にようやく振り向かせることができたのに。
ずっとずっとどこか彼方を見ていた彼を、やっと引き戻すことが出来たのに。
──"じゃ、それはそれとして、外で待ってて"
「それが無理だって、知ってるよね、フリス」
待てない。
特別な力はなくなった。特別な武器も無くなった。
それでも私は待てない。待てなくて先走って……だからあの時も、フリスの一番近くにいたんだから。
あそこはこの惑星メガリアの、その内部だと彼は言っていた。
行った時のやり方は、《茨》と《茨》を合わせるというもの。でも多分それだけじゃな行けない。だってそれならスファニアさんを治した時に同じ事象が起きているはずだから。
何かフリスにしかできないことをして、それで行けたんだと思う。
それが何か。
……ダメだ。
圧倒的に知識が足りない。
「知らないなら聞けばいい。調べればいい。──それが奇械士だから」
「その通りだ、チャル・ランパーロ。私は君が鍵だと断定した。──あってはならない、この非凡なる頭脳の私に、知識の抜けなど」
「ッ!」
下がる。退く。
突然背後から聞こえた声に最大限の警戒を払う。
そこにいたのは、長身の男性。ホワイトダナップにあまりに似合わないローブを纏う、顔立ちの整った中年男性。
……どこかで、見たことが、ある、ような?
「そう警戒するな、チャル・ランパーロ。私は君に危害を加えようとは思っていない。思っていないし、今後も思わないだろう。なにせ、私の研究は一つの終わりを迎えたのだから」
「あなたは……誰?」
「ミケル・レンデバラン。研究者であり聖職者であり──どこぞの英雄の、協力者だった男だ」
それはありそうでなかった邂逅。
ずっとニアミスを起こしていた出会い。
宿敵であり仇敵であり人類最大の裏切者であり──父の協力者であり。
そしてこの状況において、誰よりも頼りになる者であると、この時の私は──。
「フリスという存在を、探しているんです。世界中の誰よりも、何よりも強大な力を持った男の子を」
「ああ、私も探している。私の計算の穴を埋めるに値する強大な存在を」
確信していた。
「成程、成程……サイキック。その最上位存在」
「はい。それで、私が最後に見たのは」
「光り輝くそのフリスなる者と同じ存在、だろう?」
「あ、はい」
「ああ、それこそが『神』だ。空の神フレイメアリス。私がこの世に生れ落ちる前に触れ、出会い、その神を降ろすためだけに生きて来た」
ホワイトダナップ南部区画。
兵器群が建立されているために人の気配が無いそこを、二人で歩く。
ミケルさんは博識だった。色々なことを知っていた。
その上で、おかしな点があった。というか、あるのだと彼は気付いていた。
「初めは機奇械怪こそがその器たり得るのだと考えていた。……だがそれは違うと気付かされた。アレは結局、人間とそう大差のない器だ。だが──」
「それも、何故気付いたのかを覚えていない、ですか?」
「ああ。先ほど述べた『機奇械怪の製造炉の可能性』と同じだ。製造炉ではあらゆるものを製作、修復できる。ならば大型も大型な機奇械怪であれば……製造炉内部で壊れたものを、即座に直し得るのか。それは例えば同じ機奇械怪であっても可能なのか」
そしてそれは可能だった。
──が。
「何故可能だと結論付けたのか、私は覚えていない。実験の記録をつけない事はあり得ないし、結果を忘れることもあり得ない。何をしたのかさえ覚えていないとなると、
「忘れさせられている……」
「そう。神の器のこと然り、君の想い人然り、だ」
歩いて、歩いて。
そうして辿り着いた場所は、南部区画の……フレシシさんが誘拐されて、フリスと一緒に助けに行った場所。
けど、そこは。
「……潰されているな」
「はい」
要塞砲一基。
それにより、でんと潰されていた。
「……君は奇械士だったな、チャル・ランパーロ」
「あ、はい。……でも今武器を失くしちゃってて」
「いや、
ミケルさんは、要塞砲の丸みを帯びた側面に手を当てる。
「出来るかね?」
「あ……はい。わかりました」
彼は穏やかに笑い、頷く。
次の瞬間だった。
バチリと走る、青い雷。
あの赤雷を彷彿とさせるそれは──確実にミケルさんの手から走っていて。
「
「ど……どうやって」
「あぁ、単純だ。私のこの手は」
右手の中指を左手で引っ張るミケルさん。
それで、たったそれだけで、ズルりと皮が剥けた。
一瞬頬が引き攣ってしまう。
「ははは、流石に驚くか。まぁ、義手ということだ。機奇械怪を弄るにあたって生身では色々と不便だったのでな、切り落として付け替えた。ただしこれは機奇械怪ではないから、討伐の対象にしないでくれたまえ」
「い……いえ、機奇械怪だからといって討伐する、みたいなことはないですけど……」
「それならば良い。行くぞ、チャル・ランパーロ」
要塞砲。その内部へと入っていく。
機奇械怪じゃない、けれど精密で、しかも対象を創り変えるような機能を持つ義手。そんなものを作ることのできる男性。
この人は本当に何者なんだろう。
すごく、凄く。
なんならこの場所で見たような覚えがあるんだけど──。
「時に、チャル・ランパーロ。神とは何だと思う?」
「え? ……えーと、三個あるんですけど、どれがお好みですか?」
「ははは、良い質問だ。では君の考えと、そして君の知っている事を聞こう」
教科書通り、はやっぱり要らなかったみたい。
「……わかりました。まず、私にとって神様とは、ですけど……正直、なんでもないもの、です」
「ほう」
「神様が何かをしてくれたこともないし、何かをしてきたこともない。この前の『災厄』なんかを指して『神』だと宣う人もいたけれど、あれは神様なんかじゃないって、何より私が知っているので」
「成程。神と呼ばれしモノが神ではないと知っているから、神はいない──そういう解釈で良いかね?」
「いえ、いないとは思ってないです。ただ、いても私には関係ない、と。そう思っています」
「良い意見だ。では次、君の知っている事を聞こう」
「……はい」
地下へと繋がる階段を下りながら話す。
ローブのフードを上げたミケルさんの顔は、やっぱりどこかで見たことのあるもの。
「空の神フレイメアリスは、実在する神です」
「それはどこで知ったことかね?」
「皇都フレメアに行った時、ある歴史書を見つけたんです。……後々それは偽物だってわかったんですけど、でも気になる事が書かれていて、それを自分で調べて……そうしたら、ある事実が浮かび上がりました」
「ふむ、普通に盗掘行為だが。まぁいい、それはどういうことだろうか」
「架空のものとして、なんなら少しばかりの著者の悪意さえ込めて書かれていたフレイメアリス。それがいないという証拠。皮肉気な記述だったので、いるとする証拠、と言った方が正しいんですけど、その証拠群が
ケルビマさんから聞いた。
フリスが書いたというあの禁書。そこにはフレメアの歴史と、そしてフレイメアリスについての話が書いてあった。
フレメアの歴史の方は半分本当で半分冗談だったみたいなんだけど、フレイメアリスの方は全部嘘。「これこれこういう証拠があるから実在する」というものが全部嘘だから、絶対に実在しない。そういう仕組みで書かれているらしかったソレ。
だけどこの五年間で、私はちゃんと調べた。
現地に赴いて、フリスが見向きもしないだろう所を、彼が面白おかしく書いたのだろう現場を調べて。
その全ての部分に神の痕跡があることを掴んだ。
「問い返す形になってしまいますが、どういうことだと思いますか? 神の不在を誰よりも知っているはずのフリスが言った、神が不在である証拠。その全てに神が実在する証拠があった──この事実は」
「考えるまでもない」
ミケルさんは一拍置いて。
「フリスという存在によって生み出された、虚構が如き存在。それが空の神フレイメアリスである、ということだ。フリスなる者が意識したかどうかは関係なく、な」
そう。
だって、あまりにも寄り添い過ぎているから。
私はそれで確信した。
「空の神フレイメアリスは、アイメリア・フリスを否定するために生まれた存在だ、と──そう考えています」
「──恐らくは、真実だろうな、それが」
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
フレイメアリスを創り変えるために、その身に手を伸ばして。
ただそれだけで、僕の腕がボロボロと崩れ落ちたのだから。
「ッ──」
「
「おびき出されたのは僕の方か!!」
転移する。
液体ブラックホールの外に出て、崩れ落ちた腕を観察する。
生身はもう消えているが、それはいい。問題は中の概念体だ。……かなり疎らになっている。念動力を通さないブルーメタリックを直接体内に入れられたような感じだ。
……まぁ、いい。
成程、成程。
まだまだやれる、まだまだ終わってないってことか。いいよいいよ。
「悪くない」
「
そうだよね。
あはは。生存競争だもんね。
「悪くないよ、
──僕が淘汰される可能性も、ちゃんと考えないとね。