白雪に染る夜叉   作:ほがみ(Hogami)⛩

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8話 魔神

パイモン「なぁ六花…また考えごとか?ほんとに大丈夫か?」

 

遺体のデットエージェントを観察して動かない六花に向かってパイモンは心配の声をかける。パイモンが声をかけたくなるのもわかる。なぜなら六花はずっと動かなかったからだ

 

―不動。不変に変わらない体制を見て心配したのだ

 

六花「あぁ…大丈夫だ。ちょっとしたことだからな」

蛍「ちょっとしたことって…本当に大丈夫?」

六花「大丈夫だ。先に進むぞ」

 

そうそう言って歩き出す六花の背を二人は見ていた

先に進むぞ―そういった彼の顔は少しばかり悲しそうに。悲しみを噛み締めているかのような顔をしていた。ちょっとしたこと―その悩みがその顔を作った原因なのかはわからない。だが、蛍やパイモンはその顔を見て少し不安だと感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花「む…行き止まりだな」

 

先を急ぐ三人の行く手を阻むのは高く高くそびえ立つ壁だった。壁を注目して見てみると、道があるように見える。どうやら行きべき先はこの壁を登ったところに有るみたいだ

 

パイモン「迂回路は――無さそうだな」

蛍「どうやって登る?よじ登る?」

六花「以前は階段があったのだが…朽ちてしまったようだな。さて、どうやって登ろうか」

 

よじ登るのも悪くは無い。と六花は少し思う。しかしよじ登っている時に敵襲が来たら、為す術がないだろう。弓矢持ちのヒルチャールなどがいた場合はもっと最悪だ

 

上がる道は無いのだろうか。六花はよく探してみる

すると、壁際の地面に何かが埋まっているのが見えた。見たところなにかの装置のようだ。丸い形に線が入っており…その線の場所には凹みがある。その凹みからは翠玉色の光が漏れていて―と、ここでこれがなにであるかを六花は理解した

 

六花「元素石碑か――」

蛍「元素を与えたら動くやつ?」

六花「そうだ。だが残念なことにここにいる元素持ちでは解決出来ない。なぜなら、この石碑は"風"元素で反応するものだからな」

 

六花のどうしようもないというため息が遺跡中に響き渡る。ここを突破できるものがないと断言してしまうのは仕方のないように思えるだろう。蛍は岩元素、六花は氷元素、パイモンはよくわからないが、少なくとも風元素ではないだろう

 

―どうすればこの壁を超えられるだろうか

 

六花が夜叉の力を使い、颯爽に飛べば簡単に超えることができるだろう。だがしかし、それをしてしまうと、六花の体内に有る業瘴が増加し、魔神との戦闘どころではなくなってしまう。傀儡を使うのも同様に業瘴の影響を受けてしまうため、使うのを控えている

 

悩んでいる六花の横から蛍がスッと出てきて、元素石碑に手を触れる

 

その瞬間、ブワッ!!っと風が巻きおこり、元素石碑が風元素を感知して封域を作り出した

 

六花「…元素は岩ではなかったか?」

蛍「えへへ…私は少し特殊でね。今のところ3つの元素をあやつれるんだ」

 

三元素を操れると聞いた六花は少しその体質を羨ましく思った

六花がもし三元素を使うとしたら、氷と水と炎だろう。氷の傀儡と水の傀儡を作り、自身の元素を炎にする。そうすることにより、氷と水で凍結。凍結したのを炎で溶解することができ、敵に大ダメージを与えることができるのだ。それだけでなく、氷の次に炎が当たったとしても溶解。氷が当たらず、水が当たったとして、その次に炎であっても蒸発反応を起こすヤバい夜叉になってしまう

 

――まぁ、一人ではそんなことできないが…

 

今六花が考えていた先方はかつて仙衆夜叉と共に戦っていたときに使っていた技だ。応達と伐難、そこに六花が入ることによって爆発的なダメージを与える戦法であった

 

そんなことはさておき

これでやっと遺跡の奥に行くことができる

 

六花「よし、行くぞ」

蛍「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――歌神支配域遺跡地下 最深部――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人はかなり深いところまで来た。おそらく最深部と見ても過言ではないだろう。そこは暗く、中途半端に光る鉱石が多々あるだけであり、無妄の丘と似ている雰囲気であった

六花はもうすぐ魔神が鎮座しているということを確信していた。妖魔の気配がとてつもなく大きくなってきているからだ

―しかし、それ以外にも気になる気配があった

 

業瘴の気配。先程も感じた業瘴の気配…

 

悩む六花を見て、パイモンは本当に心配そうにする

 

パイモン「悩んでるっても…あんなに悲しそうな顔するか?」

蛍「結構深い悩みなのかもしれないね」

六花「何を話している?」

パイモン「いやいや!なんでもないぞ!」

 

突然来た六花に対し、パイモンはびっくりして手を思いっきりブンブン振って否定する

 

六花「なんでもないのにそこまで否定するか?」

蛍「――パイモンが悩みについて聞きたいって言ってた」

パイモン「おい!オイラはそんなこと言ってな――」

六花「――良かろう。話してやる」

 

悩む素振りも無く、六花は淡々と話し始めた

その姿はどこか悲しそうにも見え、パイモンは更に心配する

 

六花「先程の遺体の近くに水が落ちていた。その水には夜叉が背負っていた業瘴が付着していた」

パイモン「それがどうかしたのか?」

六花「…自然界で業瘴が生成されることはほぼない。それが生成されるのは死した魔神の死骸か妖魔…それと夜叉が技を行使するときだけだ。だが、あそこにはあった。何者かに襲われた遺体の近くにそれはあった」

蛍「そのとき妖魔の気配は?」

 

その問いに対し、六花は首を横にふる

妖魔はそこにはいなかった。妖魔がいた形跡も感覚も全てそこにはなかったのだ。仮に妖魔がいたとしたら六花が排除しようとしただろう。だがしかし、この空間には何もいない

魔神の死骸の近くではあるが、それなら業瘴がそこら中に蔓延しているだろう

 

蛍「となると…残されたのは…」

パイモン「"夜叉が技を行使した"ってことか?!」

六花「そうなるな――」

 

六花が言い終わると同時に遺跡の壁が崩壊し土煙が蔓延する

一人は驚いて人の背中に回り込み、一人は戦闘状態に入る。そして一人はその正体を察した

―強い業瘴の気配。その身に背負った業瘴は精神をすり減らし死を招く。かつてその現状を六花はその目で見た。仙衆夜叉と呼ばれた彼の者たちの末路…それに匹敵するかのような強い業瘴がそこにいる

 

??「わざわざこの地に入ってくるとは…無様なものよ…

 

土煙の中から聞こえるだみ声。人といえる声ではなく、死した者の声と言い換えても寸分違わない声であった。旅人はその声に恐怖を覚え、六花はその声に聞き覚えがあった

 

かつてこの遺跡に玉座していた魔神。死者を下僕として扱うあの魔神。六花の主を死に瀕するまで追い回した魔神。六花としては因縁の相手

 

六花は傀儡を生成し、土煙でけむっている場所に飛ばす。傀儡はまっすぐに土煙に飛んで行くが、なにかに弾かれたように土煙から飛び出てきて、その姿を失う

 

??「せっかく復活したのに殺されるのは神とて許されることではない

パイモン「だれだ!」

??「名を名乗るときは自分からと言われなかったか?のう(すい)

推「――――」

 

土煙が晴れる。そこには、女性と思われる人が二人。凛々しくこちらを蔑むように見ていた

夕日を背負うような赤い服。風になびく艶のある髪は、まるで燃え盛る炎のようであり、無意識に引き込まれるかのようであった

 

その隣には、深淵まで届くほど澄明な水のようにきれいな髪の女性が立っていた。頭には甘雨のような角が生えていて、明らかに人ではないことがわかる

顔には魈のような仮面をつけていて、表情がわからない

 

旅人は六花の方を見ると、青い女性を見て固まっていた

 

六花「まさか…そんな――」

??「おや?我らを見ておそれおののいているのか?なんとも無様なものよ

蛍「っ――これ以上人を馬鹿にするなら容赦しない―!」

??「何ができる?集まったとしてもたかが人。我らには敵わない。さぁ行け、推よ

推「………」

 

推と呼ばれた青い人は、両手に水のようなもので獣のような爪を作り、こちらに突進してくる――と思った瞬間、蛍の目の前にその人は現れた。その間、およそ0.1秒ほど。それは六花が蛍を助けた時よりも早い速度であり、人の目では追えない速度であった

 

蛍は未だ硬直する。雷電将軍の雷をも凌ぐその速度について来れない

しかし確実に攻撃は迫って来る。息の根を止めるような攻撃は止まらず、蛍の腹部に迫る。その時――

 

――六花の剣がその攻撃を弾いた




なんかこんな感じの終わり方しかしていない気が…もっと成長しなくては
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