白雪に染る夜叉   作:ほがみ(Hogami)⛩

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かなりの時間おまたせしました!
次話投稿です!

誤字報告等、誠に感謝いたします。誤字の無いように気をつけてはいるんですが…誤字ってしまいます…ほんとに感謝してもしきれません















13話 思想

真っ黒な泥のような空間に六花は漂っていた

――ここはどこだ?我はどうなった?

不安が六花の心を侵食していく。六花が最後に見たのは苦しむミュルクスの姿。六花の玉塵法剣が全身に突き刺さったミュルクスにトドメの一撃を突き刺した

 

――あぁ、ここは死後の世界なのだろうと、六花は思った。そうでなくてはこの変なところには来ないだろう

 

六花(…主…申し訳ありません。我は…誓を守ることができませんでした…)

 

落ちる

この沼のような空間に落ちていく。それと同時に数多の記憶が六花の頭に思い出される

生まれたときの記憶。主に助けられた記憶。魔神戦争の記憶。主との別れの記憶…そして、帝君に救われたあの日のこと―――すべてが、思いだされる

 

六花は魈や伐難に対する懺悔の言葉を並べる

 

六花(金鵬…我はお前に戦いを申し込まれた時、断ってしまっていたな。すまなかった…)

魈『――まだだ――!――我はお前と手を合わせていない―――!!!』

 

空間に魈の声が聞こえた気がする。それは空耳なのか、六花の幻聴なのかわからない。次に、六花は伐難に対する懺悔の言葉を述べた

 

六花(伐難―いや瀞…君には本当に世話になった。我がいなくてもあの旅人たちがいる…)

伐難『―雹蕾!!戻ってきてよ――!――私はまだ…あなたに感謝を伝えてないの――』

 

そんなことを言ったってこの現状は変わらない。この空間から逃げ出す方法など存在しないと思わなくては正気が保てない。次第に、体の感覚が薄れていく。感覚が鈍くなっていくことに六花は恐怖を覚える

 

自分が自分ではなくなっていく感覚。それはなんとも言えないほど不気味で、気持ちが悪かった

 

そんな時、魈でも伐難でもない声が、六花の名を呼ぶ。それは六花にとってみれば懐かしい声ばかりで、これが走馬灯かと六花は思う

 

応達『六花殿!手合わせを所望致します!』

六花(……応達。初めて我に弟子にしてくれと頼んできた時はさすがに笑ったな…いきなり襲ってきて、天を仰いだと思えば、すぐに立ち上がり弟子にしてくれと言ってきたな。まぁ我は最後のひと試合でしか負けてないが…)

 

ぼんやりと応達の姿が見てえてくる

霧がかかったかのように境界線がボヤかされ、はっきりとは見ることが出来なかった

 

また誰かの声が六花に届く

 

弥怒『六花殿。そろそろ行きましょうか』

六花(弥怒…お前はいつも浮舎に服を着ろだのちゃんと身だしなみを整えろだの言っていたな。我はそういうところ、嫌いではなかったぞ)

 

そして応達と同じようにぼんやりと姿が見える

だがやはり霧がかかったように境界線がボヤかされていて、見ることは出来ない

しかし2人はそこにいるかのような生気を出していた

 

六花(あぁ…我の命はもう無いのか…主よ…)

「―私は許しませんよ。あなたはまだこちらにくるべきではありません」

 

その声は優しく、愛に満ちていた

声は六花の体をめぐり、体の鈍った感覚を取り戻していく。六花はその声を聞いて涙が出て滴るが、その雫を光の女性が零さずすくった。そして、六花のひとみに溜まった涙を払い、優しく頭を撫でた

 

「あなたは変わりませんね」

六花(我が主…)

「幼くて雪のような性格…だけどその心には誰かを守るための情熱がある。ここで立ち止まらないで。ほら、あれを見てみなさい」

 

光の女性が指した方向には明るい球体が浮かんでおり、その球体の中にはかつて六花が体験した記憶が写っていた。心が暖かくなるような記憶。六花にとって懐かしむべき記憶

六花はその記憶に吸い込まれるように意識が向いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥蔵山。そこの頂上にはテーブルと席があり、仙人と帝君が座するべき席であった

景色に優れていて、涼しいことからかなりの人が訪れ、その席に座ろうとするが、仙人からそれを拒まれる

 

――そこは貴様らの席ではない。今すぐこの場から去ね!!!!

 

その言葉を聞かされた人々は恐れすぐに下山していくことであろう

 

だが、今その場にはいくつかの影がその席に座っていた

仙人はそのことには何も触れず、ただその者たちを眺めるばかり

 

その座っていた一人が口を開き、大丈夫かと男に聞く

 

「六花殿…本当に大丈夫なのですか…?」

六花「大丈夫だ弥怒。ちゃんと帝君(留雲)話し合って(闘って)決めたからな。勝利したのは我だ」

留雲「はぁ…帝君…申し訳のない…」

 

凛々しい人の姿になった留雲は申し訳の無いように声を漏らす

帝君のために作ったその座席は今、六花率いる夜叉が占領している。悪い子とかと思われるが、実際は六花は帝君に許可を取っているから何の問題もない。と言ったのに、留雲が「帝君が良くても妾が許さぬ」といったため、六花は決闘して勝ったらその人の言うことにしよう―ということで決まった

 

「しかし…我々がここにいても良いのだろうか…妖魔は未だ消えぬのに」

 

雷の夜叉・浮舎が心配をするも火の夜叉・応達が大丈夫でしょうと浮舎に言う

 

応達「束の間の休息なんですよ?こんな時にも身を張っていたら疲れますよ」

浮舎「そうであるが…心配にもなるだろう?璃月を守る我らが休息をとっていては守れるものも守れなくなる。我はそれを危惧している」

弥怒「あなたはへんなところでマジメですね…」

浮舍「変なところでとはなんだ、変なところでとは」

 

浮舍は弥怒に少し怒りを飛ばすも、すぐに収める。喧嘩をしたところで何もならないことを知っているから、喧嘩はしない。言い争いはするが…

 

そばで見ている応達と六花は相変わらず仲がいいと心から思った

実際、喧嘩という喧嘩はした事がなく、なにか気に食わないことがあれば、何かしらの対決で白黒つける決着をする。だが、それも本気ではない。訓練というていで行っていることだ

 

六花はテーブルに茶菓子とコップを置き、急須に理水と削月から貰った特製茶葉を入れる

削月曰く、この特製茶葉は1000年もの月日をかけて乾燥させ、仙人の力で香りや旨みを凝縮したものだという

 

応達「このような素晴らしいもの…頂いてしまっていいのでしょうか?」

六花「あぁ。我が削月達にこの会をすると言ったら快くくれたものだからな。使わないと彼らにもこの茶葉にも失礼だ」

 

六花が言い終わると同時に登山口の方から伐難と金鵬が道具を持って歩いてきた

―おもーい!と言いつつ運んでくる伐難に六花は傀儡を飛ばし、その荷物を代わりに運んでやる。金鵬はオイという顔をしていたが、後で美味いものを食わせるから我慢して欲しい

 

ドスンと置かれる荷物。六花はその荷物の紐を解き、準備を始めた

 

浮舍「六花殿?その料理器具はなんのために…?既に茶菓子はここにありますが…?」

伐難「茶菓子はあっても茶はないんじゃ無いですか?浮舍の兄者♩」

浮舍「む、その通りだな…ならばそれは茶を沸かすために?」

 

浮舍の問に六花はこくりと頷く

すぐに六花は茶を沸かす準備に入り、それと並行するかのように別の料理を作り始める。冷凍肉を鍋で煮込み、その旨味を土台に塩や調味料を加えてスープにする。一度冷製肉を取り出し、その冷製肉をフライパンで全面こんがりと焼く。焼けたらフライパンに蓋をしてじっくりと中まで熱を通す

スープに野菜を入れ、火を通して柔らかくする

 

それと同時にお湯が湧いたため、みんなにお茶を注ぐ

透き通ったきれいな茶色のお茶は、心地の良い匂いを出している

 

金鵬「良いものだな」

伐難「景色も最高ですし、日頃の疲れが取れますね〜」

応達「ところで、六花殿は何を作っているのでしょうか?」

六花「ん?まぁ少し待っていてくれ」

 

六花は再び料理に戻る

スープを鍋から取り出し、皿に盛り付ける。焼いていた肉に竹櫛をさし、中まで火が通っているか確認し、火が通っていたため、薄く切ってスープが入った皿に盛り付け、みんなの席に運んでいく

 

六花「ほら、おまちどうさま。"雪下の恵み"食べてほしい」

伐難「わぁ〜!お肉おいしそ〜!いっただきま~すっ!」

応達「伐難、そんなに急いで食べては喉につまらせますよ?もっと味わって食べないと。私もいただきますね六花殿」

 

仙衆夜叉は六花の作った料理を食べ始める

 

金鵬「――優しい味だな」

弥怒「温まりますね」

浮舎「うむ、美味だ!」

 

六花の料理を食べた仙人はみんな笑顔になり、その笑い声は璃月中に聞こえたという

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな心があたたまるような記憶

 

みんなと笑いあった記憶

 

人を助けたときに感謝された記憶

 

 

そんな記憶が六花の背中を押し、真っ黒な空間から逃すように六花の体を掴む

 

 

ここにいては行けない。まだ生きなければならない。まだ夜叉として―――璃月に生ける者としての契約を果たしていない

 

 

 

魈『―戻ってこいっ!』

 

 

伐難『――戻ってきて!!』

 

 

蛍『―――六花!!!』

 

 

パイモン『―――おい!帰ってこい!!!』

 

 

留雲『―――まだお前に勝っておらんぞ!!!!』

 

 

理水『――――まだ茶はあるぞ!!!!!』

 

 

削月『―――――ここで死ぬならば許さんぞ!!!!!!!』

 

 

みんなの声が空間中に響き、六花が見ている方向から流れ星のような光の線が六花を包む

 

 

全部包まれたと思った時、六花の頭に一つの記憶が浮かんできた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前に名をやろう」

 

雹蕾「はっ…」

 

「お前に名は――――"六花”。六度目に立ち上がった時、花を咲かせよ。そういう意味だそうだ」

 

雹蕾「…?―失礼ながら帝君、だそうだ…というのは?」

 

「―お前の主が決めた最後の名だ。彼女からの最後の贈り物。夜叉の名は持っているだろう?彼女にはネーミングセンスがないから人の名をきめられなかったらしい。だから俺と二人で考えたこの名を使ってくれ」

 

雹蕾「――主…」

 

 

 

 

六花は暗闇の中、目を閉じる

 

それは諦めではなく、希望であった

 

まだ生きることができる―――その思いは決して消えること無く、六花の胸に残った

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