白雪に染る夜叉   作:ほがみ(Hogami)⛩

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14話 感謝

―草の香りに水の匂い。六花の背には地面の硬さ。炎が燃える音と遠雷の咆哮。風が運んでくる氷の冷気。7つの元が六花の体を刺激する

 

六花「う…うん…」

 

再び目を開ければ、そこには見知れたいくつもの顔があった

仙人である留雲、理水、削月。夜叉である魈、伐難。共にミュルクスと闘った旅人。そして――ともう一人を見る前に、涙ぐんだ伐難を六花が見た瞬間、六花は伐難に抱きつかれた

 

心配したんだよと子供のように泣く伐難の頭を六花は優しく撫でる

その髪は昔と変わらず、なめらかでとても懐かしい気持ちになる。一応ではあるが、夜叉としての歴は六花のほうが上であるため、よく技を見てやっていた

 

みてみて出来たよ―とはしゃぐ伐難の頭をよしよしと撫でてやったことが思い出される

 

伐難「心配したんだからぁぁ…」

六花「済まなかった。すぐに戻るつもりだった」

伐難「だってだってぇ…」

 

泣き止ませるまでに数分かかった…久しぶりに会えたというのに、悪いことをしてしまったなと六花は反省する。ほんとうはもっと早く帰るべきであったが、ミスで死んでしまうという失態をおかしてしまった

―終わったら"雪下の恵み"を作ってあげようと約束する

 

伐難が六花から離れたあと、近くにいる仙人たちにお礼を言おうと思ったが、口を揃えてみんなこのようにいう「礼を言うべき相手は他にいる」

六花は少し悩んだが、すぐにその意味を理解し、すぐに立ち上がり、そばで立っている男性に頭を下げた

 

六花「助けていただき、誠に感謝いたします」

鍾離「…無事であったか?」

六花「はい。帝君のお陰様でこの通りです」

鍾離「まさか歌の魔神が原因だとは、俺も予想外であった。それに――予想外な収穫もあったみたいだしな」

 

鍾離は伐難の方を見て少し微笑む

―何百年前に失ったはずの夜叉(伐難)がそこにいる。それは夜叉を従える帝君()として微笑ましい感情に浸っているのだろう。それは魈であっても同じ感情であろう。共に戦った戦友とまた会えた。それだけで魈の心はかなり救われた

 

鍾離は再び六花の方を向き、六花に声をかける

 

鍾離「では俺はもう行くぞ」

六花「はい。帝君のご厚意に預かり感謝いたします」

鍾離「あぁ、お前も体に気をつけろ」

パイモン「あ、鍾離!」

 

去ろうとする鍾離にパイモンは声をかける

鍾離はその声に反応し、顔だけをパイモンの方に向け、何だという

 

パイモン「さっき言ってた"契約を破ることはしない"ってどんな契約なんだ?六花を助けるための契約なのか?」

鍾離「…それは実際に彼から聞いてくれ。俺が話すより、彼から聞いたほうがいいだろう。では、またな」

 

鍾離はそう言い残して去っていってしまった

パイモンはそのことがどうにも気になるようで、六花にそのことを聞こうとするも、六花は魈や他の仙人に世話になったなとあいさつを交わしている

 

留雲や理水や削月は六花に別れの挨拶を告げ、自らの住処へと帰っていってしまった

残された魈や伐難は六花の無事を祝し、こうしようああしようなど、いろんなことを話し合い、六花が喜びそうなことを提案しあっている。六花はその様をみて、昔の夜叉だけでの会議を思い出した

 

六花が一人になったのを見計らい、パイモンと蛍はさっきのことを六花に聞くことにした

 

パイモン「なぁ六花、鍾離が言ってた――」

六花「契約のことか?詳しく話すと長くなるから省略するぞ。まずはじめに、我の主は帝君ではない」

蛍「鍾離じゃ…ない?」

六花「あぁ。我の主は他にいた。もとはその主についていたのだがな…彼女は魔神戦争時代に敗れた。我は主を崇拝していた民と共に璃月港に逃げ込み、そこで帝君と契約した」

 

難しいような顔をするパイモン。六花は難しく考えずに気楽に考えろという

 

パイモン「敗れたって…」

六花「その言葉のとおりだ。我の主は戦闘が苦手であったがため、その身を失った」

蛍「じゃあ鍾離が言った契約って?」

六花「我の主と帝君の最後の契約だ。"我をよろしく頼む"大まかに言えばそういう契約だったらしい」

 

その契約の中身は六花でもわからない。だが、雹蕾だった六花に名を与えることや、六花を助けることはその契約の中身であったに違いないだろう

…鍾離が助けたのはその契約があったからかも知れないが、鍾離自信、六花のことは良いように思っていた。夜叉の中でもかなり強いその彼が生きていて、死にそうになっているのならば、助けたくなるのもわからなくない

 

パイモンと蛍は聞きたいことが終わってしまったため、少しの間静寂が訪れる

 

六花「…なにか聞きたいことはあるか?」

蛍「えっと…じゃあ……昔ここで起こったことは六花のことだよね?」

六花「あぁ。我のことだ」

蛍「なんで自分が夜叉だって隠してたの?」

六花「…いえばお前たちはすべて我に任せると思った。だがそれは我の勘違いだったみたいだがな」

 

今ならわかる。この者たちに自分の身分を明かしても大丈夫だと。もし明かしても、自分も戦うと言って我を頼らないだろうと六花は思う

伐難と闘ったときも、六花に頼らず、自分がすべきことを考えて闘っていた

 

六花「…共に闘ってくれて感謝する」

蛍「――」

六花「何かあれば我の名を呼べ。すぐに駆けつける」

蛍「ふっ…!」

 

突然笑いだした蛍に六花は困惑する

何を笑っているかときけば、魈と全く同じことを言っているからだという。あぁ…やっぱり同じ夜叉なのだなと改めて実感する

 

―夜叉はなにかのために戦う。

 

ある人は契約のために。

 

ある人は人のために。

 

 

そして六花は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分を助けてくれた主が守りたかった民を守るために―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




雪のような夜叉〜END



とりあえず六花登場となる第一部は終了しました!
いかがでしたか?面白かったでしょうか?誤字脱字がまだ多い私ですが、これからもよろしくお願いします!
まだまだ続ける予定ですので、今後とも見ていただけたらなーと想います



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