蛍「…一通り聞き込みをしたね」
蛍が疲れたかのようにそういうと、パイモンはそうだなと返してくれる。そして彼女が次に口に出した言葉は、結果は―だ
パイモンはかなり優秀(時と場合による)で、結果などをまとめてくれる(時がある)。今回もまとめてくれたのだろう
パイモン「六花のことが多かったな…それと魈のこと…どっちが強いなんてオイラには分からないぞ…」
蛍「どっちにもいい所はあるし、どっちにも弱点はあるだろうしね。これじゃあ決めづらい…」
片方によれば片方の反感を買ってしまう。どっちもあげてしまえば、今の現状と変わらない。つまりはこの問題は難しいことであるということ。月逐い祭の時のように難しい課題なのである
万人受けするものを作るというのは難しいようだと蛍は改めて実感する。それ故に万人受けしている行秋やアルベドや雲菫は天才とも言えるだろう。いや、天才に違いない
雲菫「あら?旅人さん、なんで居るのですか?」
蛍「雲菫!ちょうどいいところに来てくれた!実はかくかくしかじかあーだこーだでこんななんだけど…」
雲菫に事情を説明すると、雲菫はうーんと唸りを立てる。さすがの雲菫でもこの状況は難しいのだろう。万人受けする作品を作ることは困難を極める…と思っていたら、雲菫はこうしてみてはどうでしょう―と提案を出してくれた
―その提案は、雲菫が得意な劇で六花と魈ふたりとも出演させるということであった
今の状況と変わらないんじゃ?と思ったが、ふたりとも出演させて、何かと戦い、共に勝利するということであった
いい案だと思った蛍は、そこに焦点を合わせることにして刻晴に報告しようとしたところ、ちょうど刻晴が近くを通った。千岩軍を連れて歩いている刻晴に声をかけた
刻晴「あ、旅人。どう順調かしら?」
パイモン「おう!順調だ!ただ…」
刻晴「ただ?」
パイモン「…大半が六花と魈のことなんだ…」
頭の上に?をつける刻晴に蛍は簡潔に説明する
六花は巷に広がる飛雪大聖で、この前の事件を解決した人だと。すると刻晴はあぁーと驚くような顔をして、言葉を繋げた
刻晴「かの飛雪大聖の噂と降魔大聖の噂ね…どちらかをピックアップするのは、どちらかの逆鱗に触れる可能性があるわね」
蛍「今、雲菫と話をしてたんだけど、劇みたいにして両方とも出演させたら良いんじゃないかって」
雲菫「どちらも出演させて、なにか強大な敵を倒す…そのようにすれば、どちらかが偏るということは無いでしょう」
刻晴「――いい考えね。今璃月の情勢は飛雪大聖への感謝が高まっているようだし、万人受けしそうね。それはそれで報告しておくわ。稲妻の人が来ることについてなにか案はないかしら?」
―しまったと蛍は口を開ける
璃月のひとにばかり聞いてしまったせいで、稲妻の人の意見は聞けていなかった。稲妻の経験がある旅人に、任せることもできるが、それでは一人の意見になってしまい、万人受けできるかどうかわからない。できれば多くの人に聞きたいが…
刻晴「稲妻の人は聞いてないのね。わかったわ。聞いたら千岩軍を通じて私に教えて頂戴ね。まぁ急がなくてもいいわ。今週中には教えてほしいものだけど」
蛍「ごめん…」
刻晴「いいのよ。私が急に聞いたのが悪いし、あなたを攻めるつもりはないわ。でも、劇をするというのはいい案ね…採用されると思うわ」
雲菫「ありがとうございます。どのような物語にするのかも考えておきますね」
刻晴「採用されたときはお願いね。じゃあ私はこれで」
刻晴は千岩軍とともに辺りの警備に戻っていった
残された雲菫と旅人はどうしようかと考える。とりあえず、雲菫は物語を作れる人に依頼してみるため、一時和裕茶館に戻ることにした
蛍はこれからすることを考える。今しなくてはならないのは、稲妻の人の意見を聞くことだ
だが、長年鎖国していた稲妻の国民が璃月にいる人数は非常に少ない。なぜなら稲妻近海は近頃まで激しい雷雨で普通の漁船や商船は通ることが出来なかったのだ
パイモン「…あ!たしか埠頭に稲妻の人がいなかったか?」
蛍「―いた…!たしか…竺子だったっけ?」
パイモン「そうそう!自分で船を作って自力で稲妻から逃げてきたんだよな。でも…嫌な思い出を思い出させちゃうかも…」
蛍「うーん…でも貴重な情報者だよ?気が苦しいけど…聞いてみようよ」
そうして蛍は埠頭に足を進めた
故郷の環境が嫌で、故郷から逃げてきた彼女にその故郷のことを聞くのは、いささか気が苦しい。嫌な思い出が思い出されなければ良いが―と蛍は心配しながらその足を進める
璃月 埠頭
埠頭は相変わらず潮の香りと、魚売りの声が響き渡っていて活気が出ている。だが、そこにはいつもとは見慣れない大きな船があった。豪華ともいえるその風貌…嵐にも負けないほどのその迫力は、船長である人のようであった
その船は、南十字船。かの北斗が船長をしている嵐にも負けない船だ
北斗のそばには万葉がいて、二人は竺子と何やら話をしている
蛍はちょうどよいと思って竺子のところに行くことにした
北斗「あんたが竺子か?」
竺子「え、はい…そうですが…なにかようでもあるのですか?」
万葉「お主に手紙が届いているでござる。読むとよいでござるよ」
万葉は封筒に入った手紙を竺子に差し出した。竺子はその封筒を見てすこし涙ぐみ、その手紙を読み始めた
その姿は、故郷を懐かしむような、そんな雰囲気を出していた
蛍はその間に入るのは野暮かと思ったが、蛍たちの存在に気づいた北斗が元気よく蛍たちの方に歩いてきた
―久しぶり…と話を始めようと思ったが、実際あったのは数日前だ。久しぶりというほどでは無いだろう。それを北斗も思ったのか気まずそうに声を曇らせる
北斗「その…なんだ…調子はどうだ?」
蛍「げ、元気だよ?」
北斗「そ、そうか。それなら良かった。ところで、今日は何をするためにここにきたんだ?」
らしくない北斗さんを見て笑いそうになるが、ここに来た目的を話し始めた
蛍「近々、璃月でお祭りみたいなのをするんだけど、色んな人の意見を聞きたくてね。しかも、鎖国令を解除した稲妻の人も来るかもしれないから聞き込みを…」
北斗「ほほう…竺子に聞くつもりなら今は辞めておいた方がいい。感傷に浸ってるからな」
万葉「稲妻のことであるならば、拙者が答えるでござる。流浪人とはいえ、拙者も稲妻の者。その心はわかっている所存でござるよ」
パイモン「そうか!万葉も稲妻出身だったな!じゃあ…二人に質問させてもらうぞ」
パイモンは万葉と北斗に対し、質問を始めた
北斗はアタシもか!?と驚いていたが、そこは北斗の環境適応能力ですぐに同意した
―稲妻の人にとっての祭りとはなにか。祭りといったら何を思い浮かべるか。楽しいことはなにか、などなど…
いろんなことを聞いた二人は考えながら口を開いた
万葉「稲妻の祭りは、出店が多いように感じるでござるな。それと、思い浮かべるのは長野原の花火でござる」
北斗「アタシもそうだな。長野原の花火は直接心に残るもんなんだ。あんたも見たことがあるだろう?」
蛍「うん。きれいだった」
北斗「だろ?それに豪華な料理とかあるともっと楽しくなる!稲妻の神は永遠を求めてるけど、稲妻の人々はいまの瞬間ってのを楽しんでるんだとアタシは思うんだ」
自慢げに語る北斗のそばで、万葉はこくこくと頷く
昔だが、稲妻から長野原の花火を運ぶ時、北斗の南十字船を利用していたらしい。そのお礼として稲妻から璃月に向かう時、長野原の一人娘が大きな船の花火を上げたそうだ。それを見た南十字船の人たちは、食べていた料理が宙に舞うほど驚いたとのこと…だが北斗は「贈り物はこうでなくちゃな!!」と好評だったとか
楽しそうに話す北斗と万葉に感謝の意を告げ、刻晴に報告に向かうことにした
―結果として、稲妻の人の意見としては、出店が多い。長野原の花火との意見が上がった
刻晴side
コツコツと響く刻晴の足音
その手にはかなりの量の書類があり、そこには璃月の人の意見が書かれている。ならば蛍に聞く意味はなかったのではないか。そう思うのもわかるが、璃月を救った彼女から聞くことで、璃月の人の意見がなにか変わるかも知れない可能性があったからだ
実際、変わっているのが結果としてある。璃月七星からのアンケートと蛍が集計した結果を比較して比べてみると、それが一目散にわかる。七星が集計した結果とはかなり違う
刻晴「…やっぱり固すぎるのが原因かしら?」
そうつぶやき、刻晴は璃月七星が集う会議場へとつながる重々しい扉をひらいたのだった
今回の会議で祭りへの各担当が決定する。おそらく刻晴は祭り全般の運営になる可能性が高いが…その主導権を得られるかどうかは、彼女の運次第といったところであろう
希望投稿時間
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0時〜4時
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5時〜9時
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10時〜12時
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13時〜16時
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17時〜21時
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22時〜
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午前中ならいつでも!
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午後ならいつでも!
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別にいつでもいいぞ!