まぁ予告はしてたのでいいとしましょう。
誤字報告マジでありがとうございます!
…最近これしか書いてない気がする
次の日 未明
琥牢山の頂上にてすやすやと安らかな寝息を立てる四人。しかしそのうち一人は、寝ることが出来ず、むくりと重そうに体を起こし外の方に向かって足を運ぶ
―綺麗な夜空。数千年昔から変わらないその景色は彼女の心にじんわりと広がり、やがて溶けていく。虫は歌い、月はその空に我が王であると言わんばかりに光輝いている
理水「…眠れぬのか」
伐難「…ええ」
夜中なのに声をかけてきた理水に対し伐難は返答を返す
その表情は、日中とは違い悲しさや後悔と言ったような無念を象徴する暗い表情をしていた…
理水「先の戦いで受けた傷がまだ治らぬのか?」
伐難「…それも一理あります」
理水「業瘴か…」
静寂。少しの間静かな時間が空間を制す
業瘴…それは夜叉にとっては切っても切り離せない、いわば体の一部とも言い換えることの出来る魔人のエネルギー。それは体を蝕み、やがては夜叉を狂わせ、魔物に変貌を遂げる。魔人戦争時代から安寧の時代まで、そのような人々を何人も見てきた。銅雀、応達、浮舎、弥怒。そのもの達の死には、全て業瘴が絡んでいる
だがそれは、仕方の無いこと。帝君が統治する璃月を守るには夜叉の力は必要だ
しかし今は…
伐難「理水真君…」
理水「なんだ?」
伐難「
理水「…何故そのようなことを…」
伐難「帝君が玉座していた璃月はもう終わり、人の璃月が始まった。これは揺るぎない結果です…ですが私たちは帝君のために戦っていたも同然なのに…」
伐難の悲しい声が空気に溶ける。それは悩みの声であり、決して人前では見せない伐難の心の姿であった
その声に理水は答えた。同じ仙人として――人生の先輩として
理水「帝君は人々を見放したのではなく、人々に自らの力で進むように手を離したまでだと我は思う。今はまだ巣立ちの日を待っている。伐難よ、お主は帝君と契約をしたのか?」
伐難「そういうわけじゃないですけど…」
理水「ならばお主がしたいようにすればよいのではないか?帝君に仕える…帝君の意思と同じでもいいのではないか?」
伐難「帝君の意思…」
伐難は胸に手を当てて考える
―なぜ帝君が璃月の統治の座を人に譲ったのか。そして私は今のまま璃月を守護する夜叉のままでいいのか。答えはすぐには出なそうにない。このまま考えているとさらに深く沈んでいきそうになる
その様子を心配した理水は伐難に優しく声をかける
理水「今すぐ分かれとは言わん。いずれお主にもわかる時が来るだろう。仙人の俗世との付き合い方がな」
伐難「ほんとにわかるでしょうか…」
理水「わかるさ。あの降魔大聖でさえわかったのだ。あやつより強かったお主に分からないはずが無かろう?」
金鵬が…と伐難はつぶやく。孤高に見えて仲間思いで、俗世には疎く、浮舎にイタズラされても起きなかった彼でさえ俗世との付き合い方がわかっている。伐難は少し思い出を見る
彼と初めて会った時の記憶。彼がまだ若かった時の記憶。その時はまだ俗世になれないような気配を出していた。しかし今はその時とは比べ物にならないくらい成長したのだろう
理水は寝ている蛍たちのほうを向き、声を続けた
理水「それに、璃月を人の身で2度も救った彼女がそばにいる。お主がわからずとも彼女が教えてくれるだろうよ」
伐難「そうでしょうか…いえ、そうですね。理水真君、ありがとうございます。お陰様ですこし楽になりました」
理水「別によい。同じ仙人たるもの、助け会わなくてはならない。今日はもう深い。早く体を休めよ」
綺麗な翼を羽ばたかせ、理水は空高く飛び去ってしまった
確かに月の位置を見るに今日はもう日付が変わってしまっている。昔であれば安心して睡眠することが出来たのだが、今は業瘴の影響もあって安心して寝ることが出来ない。その感情は魈であっても六花であっても変わらない
理水「ではこれを」
伐難「ありがとうございます理水真君」
出来上がった特上琥珀液が入った小瓶を理水は伐難に渡す。その小瓶には、何やら張り紙が付いていて、なにか書かれているようであった。よく見ればそこには…―疲れたのならばいつでも来るがよい。歓迎するぞ―と達筆な字で書かれているのであった
理水…と伐難が顔を上げた時にはすでに理水の姿はなく、仙人が放つ不思議な気配のみが残されていた
伐難「…さぁ留雲のところに戻りましょう。彼女もかなり進んでるでしょうし、ちょうどいいときでしょう」
パイモン「いやいやさすがのあの仙人でも一日で完成はできないだろ…?」
申鶴「そうでもないぞ。昔、我が一日留守にしたときなんかは、一日でからくりを5つも作っていた」
衝撃的な申鶴の話を聞き、まさかねと思う蛍
この数時間で強大な敵というものを作ったというのならばかなりの実力であろう。いや集中力と言った方がいいのかもしれない。人の集中力は数時間と続かない。仙人であれば、その枷を外せるのかと
蛍達はそんなことを思いながら、奥蔵山に向かう
だがしかし…留雲の口から出されたものは、その予想を裏切るものであった
留雲「…1割もできておらん」
伐難「まさか留雲真君がからくりのことで出来ていないなんてことがありえるんですね」
パイモン「ほら言っただろ?できてないって」
留雲「技術的な問題ではない。アイディアの問題だ。妾はお主達から強い敵の具体的な話は聞いていなかった。妾なりに必死に案を出していたものの…いい案が浮かばなくてな」
留雲はそう言ってどうしたものかとつぶやく
どうやら留雲はイメージというものが少なすぎて、四苦八苦していたみたいだ。それもそうだろう。突然強そうな敵を作ってくれと言われても普通はパッと出てこない。出てくるなら、それはインスピレーションが冴えている天才肌の人だろう
留雲「なにかいい案はないか?例えるならば…今まで戦ってきた中で1番強いと思った敵とか―」
蛍「フライム!!!」
蛍のその大きな答えにパイモンはおい!と一声上げる
パイモン「あながち間違いじゃないけど…そういうことじゃないだろ?」
蛍「あはは…フライムは厄介だからね。強い敵っていっても戦ってきた敵はどれも強かったよ?」
留雲「その中でも格別に強い奴はおらぬか?」
蛍「うーん…強いて言うなら魔偶剣鬼かな」
留雲「まぐう―聞いたことのない名だな。稲妻の者か?」
どのようなものかわからない留雲に蛍はその容姿や攻撃、強さなどを簡単に説明した
あれの強さは、個人的に夜叉と対等であると思う。とある剣の流派初代宗主の記憶と統合したが原因不明の暴走を起こしたとかなんとか?あれに挑みに行って返り討ちに会った旅人は数多の星を超える。決して生半可な気持ちで挑んではいけないモノなのだ
留雲「ふむ…イメージが想像しずらいな。なにか写真があればよいが…」
蛍「撮ってこようか?」
留雲「よいのか?ならばそのモノを動かしている原動力となるものも取ってきてほしい」
蛍「わかった。みんなはどうする?」
蛍は後にいる二人に聞くが、申鶴と伐難は―行きたいのはやまやまであるが、模擬戦闘をしようという約束をしていたため、あえなく断念した
わかった。すぐに取ってくる―と言って山を下山していく蛍の背を三人は見送る
留雲は伐難に「行かなくてよかったのか」と聞くと、伐難は行きたさはあるが、あちらで戦ってしまえば、いろいろな意味で旅人にも危険が及ぶから―と
申鶴「瀞、戦おう」
伐難「準備はできてるの?」
申鶴「あぁ。万端だ」
伐難「そう…じゃ!いきますよ!!」
奥蔵山の頂上で始まった夜叉の伐難と申鶴の模擬戦闘。その様子をみて、留雲は懐かしさと不安を思いだした。今の伐難は全盛期の伐難ではない。これが全盛期だったら…
考えるのはよそうと留雲は首をふる。そして蛍が撮ってくるであろう魔偶剣鬼の構造を想像しながらその戦いを見ていた
フライム…私は嫌いです。なんで螺旋に入れてくるんですか?時間なくなるやろ!