白雪に染る夜叉   作:ほがみ(Hogami)⛩

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7話 作られた心

―なぜ魔偶剣鬼は誕生したのか。それはもう誰も知らないであろう。なぜなら彼は、今はもう無き剣の流派の訓練用からくり剣士として作られたからだ。その流派は代々宗主が使っていた技の秘伝書が紛失してしまったことにより、代々続いてきた素晴らしい技を使うことの出来る者は、例え同じ流派の弟子であっても容易ではなかった

 

『このままではせっかくの流派が潰れてしまう…』

 

そう思った時、その流派の道場に1人の流浪人が尋ねてきた。話を聞いているとかなりの博識な人のようで、弟子たちは助けを求めた

すると流浪人は『その技を使えるカラクリ剣士を作れはいい』そのように言い残し、去っていった

 

彼が言った言葉はあながち間違いとは違かったので、弟子達はその言葉を真に受けた。しかし、完成まで数時間というところで、何者かの襲撃を受けた。その正体はたった1人の青年ーいや、流浪人であった

流浪人はそのからくり剣士の起動コアに少し細工を施し、そのからくりに"心"を与えた

心を与えられたからくり剣士は流浪人に名を聞いた。しかし言葉を話すことが出来ないからくり剣士はその名を聞くことは出来なかったものの、弟子達に向かって名を放っていたのを聞き、かの流浪人の名を覚えた

 

『心を与えし主の名は国崩…拙者は主の帰りをここで待とう…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅人side

 

北斗「うぇぇ!?どんな攻撃だそれ?!」

 

魔偶剣鬼が放った風の剣影をいなした北斗は驚きを隠せない。璃月の敵が絶対に放つことのない攻撃。それは失われた技術であり、稲妻でも魔偶剣鬼しか使えない剣術である

冷たい風が魔偶剣鬼の立派な剣に集まる。その技術は神の目に頼ったものではなく、その身に沁みこんだ剣術の流派によるものである。氷と風の二つの元素。その技は決して人には扱えない例外と言っても過言ではないほどいいものだった

 

蛍「避けて!!」

宵宮「これでも――くらい!!!」

 

宵宮が放った火の矢は、魔偶剣鬼が放った氷と風の剣影を壊し、魔偶剣鬼の体の中心に当たる。すると魔偶剣鬼は力を失ったかのように地面に伏してしまった

伏せられた魔偶剣鬼からは、氷元素粒子が風元素によって拡散される

蛍は普段とは違うその姿に少し疑問に思う。からくりで心がないはずなのに、どこか無念さが伝わてくるかのようなその姿…いや、気のせいなのかもしれない

 

蛍はそう思うことにした。そう思った方が何かと気が楽になるからだ

魔偶剣鬼の傍に駆け寄り、コアとなる魔偶の芯を回収した。その魔偶の芯には、少しばかりひびが入っていて、中からなにか見えそうだが、なにか恐怖をあおるため見るのをやめた

 

そんな蛍たちに、多数の人の足音がこちらに向かって歩いてくるのが聞こえる

よく見ればそれの大勢の人達は、稲妻の鎧を着ており、稲妻城に属す武士であるようだ

 

「お前たち何をしている」

 

大勢の人の先頭にいる女性は三人に声をかける。その女性をみた宵宮は伐の悪そうな顔になり、少し後ずさりを始めた

その様子を見た女性は、その鋭い目を睨ませる。その目は、冷酷とも言えるかもしれない

その女性の名は…九条沙羅。天狗の末裔九条家に生まれた天領奉行のトップの人だ。将軍の命令を第1に考え、その通りに行動する…将軍様バンザイな人だ

 

蛍「沙羅…どうしてここに?」

沙羅「異常な元素をここから検知したため、私達はそれの調査に来た。ところがつい先程、その元素の反応が突然途切れたため、急いできたところ…お前たちがいたということだ」

北斗「異常な元素…多分コイツだな」

 

北斗が指を指す方には、倒れた魔偶剣鬼がいる。北斗の言う通り異常な元素とはこれの事だろう。蛍も以前戦った時とは違う感覚を感じた。それが元素の影響なのかはどうかわからない

 

沙羅「…そうか。ならば、調査のため一時ここを封鎖する。お前たちはここを動くな」

北斗「おいおいそれはないだろ?アタシたちだって被害者みたいなもんだ」

 

反論する北斗に屈せず、沙羅は鋭い目付きを与える

 

沙羅「被害者かどうかは我々が決める。調査次第だ。もしかしたら、またそこの彼女(問題児)が原因かもしれないからな」

宵宮「んな!私は今回ばかりは被害者や!」

 

どうだか―そう言って多くの同心と武士を連れて魔偶剣鬼に向かう沙羅。北斗はその様子を見て、蛍に彼女の話を聞いてみた。蛍は簡単にだが、沙羅の概要を話す。天領奉行に属していること。雷電将軍の命には必ず従うこと…などなどだ

すると北斗は、やっぱりかと大きくため息をついた

 

北斗「凝光みたいだなと思ったんだよ…通りで掴みにくい訳だ」

パイモン「北斗って凝光と仲良いよな」

北斗「協力関係にあるからな。仲悪いわけないじゃないか!だけど…あいつの真剣ぶった仕事姿はどこか好きじゃないんだ。なんかこう…自由がなさそうでさ」

蛍「…役柄上仕方ないことなのかもしれないけど、確かに自由がなさそう…」

 

ここで蛍は思った。璃月も稲妻も変わらないんじゃないかと

神の意思で働く七星。神の意思で動く天領奉行。今となっては、岩神は死してしまったが、内情的には変わらない―モンド?あれば例外では?

「クシュン!」風の音に紛れてかの酒飲み飲兵衛吟遊詩人のくしゃみの声が蛍の耳に届いた…気がする。多分気のせいだろう

 

数分経って、やっと沙羅がこちらに戻ってきた

 

沙羅「お前たちを疑ってすまなかった。恐らく、魔偶剣鬼の異常な暴走によるものだろう」

パイモン「異常な暴走?」

沙羅「ああ。伝承によれば魔偶剣鬼には作られた心がある。それは精密すぎる故に暴走するらしい」

蛍「伝承?」

沙羅「そうだ。私も詳細は知らないのだが、この魔偶剣鬼はかつて雷電五箇伝の一つの流派の者が作ったそうだ。しかし、原因不明の操作不能状態になりここに廃棄された…私が知っているのはここまでだ」

 

雷電五箇伝。それは、稲妻の伝統"刀に魂を込め、戦いをしていた"有名な五つの鍛冶屋の剣の流派のことである。しかし今では「天目流」のみが残っている。「一心流」は血族が残っているが、流派としては衰退。残りの3つは何かの因果で消失している

その中で魔偶剣鬼を作った流派がある…それは恐らく「天目」「一心」の2つ以外のものであろう

 

沙羅「とにかくお前たちの容疑は晴れたんだ。もうここには近づくな」

パイモン「なんでだ?何かすることがあるのか?」

蛍「確認だよ。ほんとに合ってるかどうかの確認。それなのに私達が近くにいたら邪魔になるでしょ?」

パイモン「それもそうだな…それじゃあ一旦戻るか!」

 

4人は稲妻城を目指して歩みを始めた

その後のことだが、1度宵宮も璃月に下見をすることになり、共に死挑船号へ乗り込んだ。初めて璃月に行く宵宮は少し緊張で、どうなるかわかっていない。だか、宵宮のコミュニケーション能力がれあれば、どんな人とでも仲良くすることが出来るだろう

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