留雲借風真君が仙府こもり始めて72時間経過した
蛍たちはそろそろできた頃合いかなと思い、奥蔵山まで確認に行くことにした
奥蔵山につくとそこには留雲と、木みたいな材質の物でつくられた魔偶剣鬼がその湖の真ん中で鎮座していた
完全にとは言えないが魔偶剣鬼と非常によく似た留雲作の魔偶剣鬼は、静かに自らの刀を見始める
―さすがの留雲でも完全再現は難しいようだ…
留雲「来てくれたか」
蛍「そろそろかと思ってね」
留雲「つい先程出来上がったところだ。なかなか機構が難しくてな…完全なる再現とはならぬ。はぁ…妾としたことが…」
そう言って留雲はため息をつく。しかし蛍からしてみれば、精巧そのもの。点数をつけるとしても付けられないくらい素晴らしいものであった
留雲は少し頼みがあると言う前置きをしてから蛍に頼みを告げた
留雲「妾が作った魔偶剣鬼―すなわち仙偶剣鬼の安全確認をしてもらいたい。妾自身、できる限りの安全確認はしたのだが…やはりお主から見てもらうのが最適化と思ったのだ」
パイモン「六花に頼むのはダメなのか?」
蛍「…六花に頼んだら意味無いじゃん」
パイモンはあっ…そうか…と少し驚いたような表情をみせた
―六花と魈の戦いのために作ったものなのだ。サプライズなら最後まで取っておくのが常識というものだろう(多分)
蛍は断る理由も無いため、その願いを承ることにした
―安全確認と言ってもただ戦うだけだよね…
そう思いつつ蛍は準備を始めた
留雲「まずは妾が操縦して戦う。その次に自動操縦に変えるぞ」
蛍「わかった」
留雲「よし…ではいくぞ――仙偶剣鬼、起動!」
掛け声とともに仙偶剣鬼は瞳を光らせ、剣を手に握りしめ立ち上がる
蛍も剣を握りしめ、どう来るか様子を見る。仙偶剣鬼はゆっくりと歩み寄り剣を振るってくる。蛍は軽々よけ、次の攻撃にそなえる
…といった感じにその戦闘は数分間続き、その後すぐに自動操縦モードの戦闘に入った。自動操縦モードは妙に強く、蛍でも避けるのは容易ではなかった。隙という隙を突いてくるその攻撃は、若干殺気すら感じるほどであった
留雲「ふむ…大丈夫のようだな。仙偶剣鬼、停止!」
その声に反応して仙偶剣鬼は力をなくす
蛍は乱れた息を直し、剣をしまった。なかなかに強い相手で、鍛錬に丁度いい強さであった。どうして自動操縦モードは強いのかと留雲に聞く
留雲「劇だけに使用するのはもったいないであろう?だから鍛錬に使えるようにしたのだ。妾や六花用に調整している」
蛍「だから強かったのか…」
留雲「しかし仙人用とはいえ、お主は何度も避けた…見るたびに強くなっているな」
蛍「あはは…ありがとう」
蛍が感謝を伝えると、留雲は微笑む
―つい先日妾の仙府を攻略したと思ったら、もう妾の作ったカラクリに対応できてるとは…と留雲は嬉しいような悲しいような感情をその胸に感じる
留雲は俗世とは交わらない。だが、旅人のことは良いように思っている。それは旅人が持つ不思議な力のおかげか、または留雲の気持ちが変わったのか。それはどちらにもわからないことであろう
雲菫side
璃月港
刻晴に連れられて劇をやる特別ステージまで案内される。そこはいつも海灯祭で付設されるところにあり、手前に今より一段大きいステージがあり、大きさは秘境くらいの大きさで結構広い。その奥には、雲菫が歌うためにあるステージよりも大きい台があった
基本的に海灯祭のような感じで装飾されており、とても豪華である
雲菫「きれいですね…」
刻晴「そうね。せっかくの祭りなんだから、豪華にしないと」
雲菫「ここなら気持ちよく歌えます!ありがとうございます!」
刻晴「いいのよ。私達もあなたの歌や踊りが大好きなんだから、あなたにも気持ちよく歌ってほしいの。それじゃ、私は一度もどるわ」
そう言い残し、刻晴はその場から去る
雲菫は今この舞台に感動し、どうやって歌おうか今から心が躍る。その後、雲菫は役者を集め下準備を始める。本当であれば、飛雪大聖と降魔大聖本人に出演してほしかったが、仙人という役職上難しいであろう
雲菫「では、流れをもう一度確認してみましょう。私が特定の文までよんだら、飛雪大聖役の香さん出てきてください。その後すこししたら降魔大聖役の涼さんが出てくる。そして私の声と同時に舞を披露してください」
涼・香「「了解しました」」
雲菫「その次は依頼してある装置が届き次第、決まりますが…とにかくお二人は戦闘体験に長けていると聞きました。なので、その機械が出してくる攻撃を避けながら隙きをついて攻撃してください」
役者の二人はコクリと頷き、舞の確認をする
雲菫は何度も物語の本を暗唱しながら頭に覚え込む。何分。何十分経ったかわからないが、熱中して暗唱する雲菫に1人の女性は声をかける。しかし雲菫は熱中しすぎているのか反応がなく、その女性は何度も何度も声をかけ続けた
すると雲菫もやっとその声に気づいたようで、「ごめんなさい!」と勢いよく謝る。目の前にたっていたのは、璃月のロックミュージシャンこと辛炎であった
辛炎「どうしたんだよ。雲菫らしくないぞ?」
雲菫「辛炎さん…今度開催される玉塵雷鳴歓迎祭のための劇の練習をしていたんです。初めてのお話なので、頭に叩き込んでおかないと…」
辛炎「へぇ〜!どんな物語なんだ?」
雲菫は大まかなストーリーが書かれた台本を辛炎に渡す。すると辛炎は興味津々な様子で私にも手伝わせてくれないか?!と雲菫に提案を促す
辛炎「アタイがその2人で共闘する時にロックな曲を奏でるってのはどうだ?!」
雲菫「…悪くは無いですね!私の歌だけだと物足りなさもありますし、辛炎さんのロックを合わせたら場面の急展開というのも表現できます!」
辛炎「だろ!」
雲菫「そこでなんですけど…その…戦闘に入る前の段階の音楽もお願いできませんか…?」
手を合わせて頼む雲菫。その願いを辛炎は「任せろ!」と言ってまた再び台本を見る
そうしてブツブツと何かを唱えるような悩みを雲菫に見せる。よく耳を澄まして聞けば、「うーん…ここは琴の方がいいな」とか、「ここは笛で…」とか考えていた
一人のミュージシャンとして辛炎は心が踊っているのだろう
辛炎「戦闘するときはアタイらしさを出してもいいか?」
雲菫「はい大丈夫です。そのほうが盛り上がりますしね!」
二人は祭り当日のことを想像しながら今日を終えたのであった