次回かその次でこの玉塵雷鳴歓迎祭編は終了して、おそらく伝説任務に移ると思います
祭りも終盤に差し掛かり、みんなの惜しい気持ちがこみ上げてくる
荒瀧は出店をめぐり、神里は土産を選ぶ。珊瑚宮は枕玉と話をし、八重は劇の話を何とか出版できないかと話を付けている中、玉京台の一角の璃月を眺めることができるデッキで影は彼と話をする
璃月の神を降りた彼はいつもと変わらず、現神である影は少し奇妙に思う。もしその立場が影なのであれば、平常を保てるか不安になる。眞がいなくなったときも不安になってしまい眞の目指す道とは違う永遠になってしまったからこそ…彼に聞かなければならない
鍾離「…久しいな」
影「そう…ですね…最後にあったのは――眞と共に七神揃った時ですか?」
鍾離「そうだ」
少しの間静寂が訪れる
人の賑やかさ、璃月の匂い、当たり前だがこの感覚は稲妻にはないものだ
影「…これがあなたが護ってきた璃月という国なのですね」
鍾離「―俺だけではないさ。俺を慕う人々のおかげでもある。俺一人だけではここまで発展はすることができなかっただろう」
影「そう…ですか…。璃月の神を降りたと聞きましたが…」
鍾離「ああ。璃月はもう俺が統治しなくてもいいくらいに成長した。人は成長する―それは天理に契約された絶対不変の契約だ。
それを聞いて影は少し自分のしたことに対し反省をする
自分勝手な行為で自分の国を危機にさらし、戦乱の時代にさせた。そして絶対不変の永遠など無いことが分からず、一心浄土で一人自我の統一をした…自分はいつまで経っても子供であったなと反省する
それを見た鍾離は影の判断は間違いではなかったと慰めるような反応をする
鍾離「人には人のやり方があるように、神にも神のやり方がある。それをダメだと言うのは俺の役割ではない」
影「―やはりあなたにあって良かった。神子に相談すれば馬鹿にされますし」
鍾離「相談できるのは彼女だけではないだろう?」
影は思わず疑問の音を出してしまう
鍾離「お前の元にも来たはずだ。世界を巡る旅人がな」
影「……」
鍾離「彼女なら俺たちの苦しみも悩みも、全て解決してくれるだろう。なにせ彼女は――」
影「――はい。」
風と共にライアーの音が二人の耳に届く
今この瞬間、彼女はどこにいるのだろうか。今も困っている誰かに手を差し伸べているのだろうか
次なる国は知恵の国"スメール"だろう。スメールと言えばあの小さな神は元気だろうかと二人は綺麗な月を見て思う。まだ神になって幼い彼女は自分を卑下していないかと
と、鍾離は人が歩いてきた気配を感じ、その正体が影の眷属であることを理解した
鍾離「お前の眷属が迎えに来てくれたみたいだな」
影「その様ですね。今日はありがとうございます。あなたとお話ができて私の悩みも少なくなりました」
鍾離「それは良かった。悩みがあるならいつでも来るといい。お前ならば歓迎する。お前はあいつとは違って俺の頭に酒をかけたりはしないからな」
影「ふふっ―はい。お体に気を付けてくださいね。ではまた会う日まで」
背を向け去っていく影に鍾離は少しの期待をしながらその姿を負う
これから稲妻はもっと良くなっていくだろう。かつての稲妻を統治していた
―と、近くに見知った気配を感じ、出てきてもいいぞと鍾離は声をかける
鍾離「別に隠れなくてもよかったんじゃないか?」
六花「いえ、帝君と雷神の仲を裂くわけにはいきませんし、我なんかが雷神の前に立つ力はありません」
鍾離「彼女と対峙できる力は魔神戦争時代からあると思うが…それに俺のことは戦いの場以外では帝君と呼ばなくていいと昔から言っているだろう。名前で呼んでくれ」
本来の主でないため鍾離は昔からそう言っているのだが、六花は本来の主でなくとも敬意は払わなくてはならないと思っているため、帝君と呼んでしまうのだ
だが、もう神の座を降りたこともあり、六花も呼び方を改めることにしたようだ
六花「鍾離様、今日ここに来たのは…」
鍾離「あぁ。わかっている。今年は行くのだろう?」
六花「…はい」
六花は静かに鍾離の問に返事を返す
鍾離「鍵はすでに開けてある。それと…お前に謝らなければならない。彼女の唯一の聖遺物を海に返してしまった」
六花「――鍾離様のことです。何かわけがおありでしょう。それに、いつまでも飾っておくわけにはいかなかったです。あれは海に還るべきでした」
鍾離「……お前が言うなら間違いないのかもな。ではな」
そういって鍾離は去っていく
六花は一人、玉京台で月を眺める。すると、そこに白朮と七七がやってきて、一緒に花火を見ようと提案してきた。六花は七七を抱え上げ、自分の肩に乗せる
そして月を見上げれば、あの夜とは違う人の世にふさわしい綺麗な月であった
万民堂
胡桃「これをこうして~できた!!!」
万民堂のキッチンで往生堂の堂主は突如頭に思いついた料理を作っていた
出来上がったのは清心のスイートフラワーの蜜和え。どっちも綺麗な花で、スイートフラワーはとても甘いからなんにでもあう!…といった感情論(?)で料理をした結果。"見た目は"とてもおいしそうな料理が出来上がった
艶々しく月光を反射するかのような綺麗な清心…差し出された重雲と香菱は少し戸惑いつつその清心を口に運ぶ
重雲「まず…く…ない?」
口に入れた瞬間、芳醇な蜜の香りが口いっぱいに広がり、そこはまるでスイートフラワーの花畑のようであると言える。その中で柔らかい蜜の布団に入ってすやすやと睡眠するかのよう…
―そう想像した瞬間、その眠りを妨げる悪意あり苦みが口の中を攻撃し始める。例えるなら、地脈で出てくるフライムのようだ
2人は悶え苦しむ。かの香菱であっても清心のスイートフラワーの蜜和えは行けなかったようだ。そもそも清心はとても苦く、一工夫しなくては食べられないほど。それを工夫せずにスイートフラワーの蜜と合わせたものだから蜜の甘さに比例して苦みも増したことにより、もとの清心を食べたほうが楽であるほどの謎料理ができあがったのだ
胡桃「あれ―失敗しちゃった?」
重雲「うっ…もしかして妖魔なんじゃないか…?」
「済まない、それを貰えるか?」
悶え苦しむ二人後ろからその清心を貰いたいと前に出る申鶴。その様は迷いや惑いなどは一切なく、ただそれが欲しいと思っているようであった
胡桃から清心のスイートフラワーの密和えを貰い受け、申鶴は1口頬張る。むしゃむしゃと食べ進める申鶴。その顔は変わらず、これが普通であるとでも言うかのようであった
申鶴「ごくん…なかなか美味であった。スイートフラワーの密を清心にかけるとは想像したことが無い、それゆえ新鮮な感覚であったな」
重雲「もしかして…苦くないの?」
申鶴は当然だと言わんばかりの笑顔を見せる
仙人の弟子である彼女にはこれほどの清心は苦ではないのだろう。もしくは清心の食べすぎで味覚が壊れたか。恐らく後者はない。なぜなら、旅人が作った料理や、屋台の料理を美味しそうに食べていたから。味覚が壊れているのならば、あんなに美味しそうに食べはしない
胡桃「これはー往生堂の看板として商品化できるかも!!??」
???(何屋を目指す気だ!葬儀屋関係ないじゃないか!)
あの小さなガイドの声が聞こえるようなそんな雰囲気を4人は楽しんでいた
煙緋法律事務所
祭りだと言うのに民事の訴訟は起こる。否、祭りだからこそ怒るのだ。人々が祭りという非日常な体験を通じ、いつものリミッターを外してしまう。だからこそいがみ合いが起こる。それの結末はどうなるか。その結末はふたつに別れることになる。ひとつは千岩軍によって鎮圧されること。もうひとつは法律の専門家に任せること
どちらにせよ、煙緋には関係あることだ
煙緋「なぜこんな日まで書類の整理をしなくてはならないんだ…はぁ…やはり民事は嫌いだ」
珍しくため息をつく煙緋。その時心から煙緋は思った。助手が欲しいと。助手がいれば仕事の効率も上がるし、何しろ自分で解決しにくい課題を一緒に解決することができる
どうしたものかと悩んでいる煙緋の部屋の扉が何者かによってトントンと叩かれる。また民事の相談では無いか、面倒事では無いかと少し嫌な予感を感じつつもその扉を開けた
忍「お久しぶりです煙緋先輩。お元気でしたか?」
煙緋「あ、忍じゃないか。久しぶりだな。私は元気だったとも。忍は元気だったか?」
忍は昔と変わらない煙緋を見てほっとする。だがしかしその表情は少し重く、若干疲れているようにも見えた。よく部屋を見ればその机には山盛りとも言いかえる事のできるほどの膨大な書類の山があった
―煙緋先輩は祭りの最中でも仕事をしなくてはならなくて、しかも当分終わりそうのない量だ。忍は手に持った屋台の食べ物を煙緋に渡す。忙しく行くことのできなかった煙緋は嬉しくなり、忍の手を優しく包む
煙緋「一緒に食べたいが…まだ仕事が終わらなくてね…」
忍「なら、一緒に終わらせましょう。二人でやれば早く終わります」
煙緋「――ありがとう。それじゃあ早速やろうか。ええと…」
二人はテキパキと机の上に置かれたタスクをこなして行く
その様はまるで長年一緒にいた相棒同然の動きであった。忍はこの状況を嬉しく思っている。なぜなら憧れの煙緋先輩と一緒に仕事できているから。法律の業界は色々と制約があって向いていないとは思うものの、煙緋先輩と会話することや、煙緋先輩と一緒に仕事することは楽しい
それは煙緋であっても同じころだろう。稲妻が鎖国する前、忍は煙緋から法律を学んでいた。それもかなり優秀かつ礼儀正しい。彼女なら立派な法律家になるだろうと思っていた。そんな彼女とともに作業ができるのだ
なんだか懐かしいような感情になった二人は、早くも書類を処理し、一緒に忍が買ってきた祭りの屋台商品を食べたのあった
群玉閣
璃月の上空を飛ぶ群玉閣。そこでは璃月七星と夜蘭はそこで祭りの景色を楽しむ
予想通り祭りは大成功。稲妻の観光客も来て、これを機に稲妻との商売の契約が結ばれ、両国とも経済が回ることになるだろう
依然として謎は残っている。どうして青虚浦からあれ程の魔物が来たのか不明であり、原因すら掴めていない。あのあとすぐに派遣隊を青虚浦に送ったが発見できたのは崩壊した地下遺跡と見られる入り口だけ。その先はなんにもわかっていない。それは情報を得ることが得意な夜蘭でさえわからないのだからお手上げだ
凝光(でもまぁ…仙人様が助けてくれて良かったわ。この祭りを楽しんでくれているといいのだけど…)
仙人の趣向は俗世とは違う。だからこそ心配になるものだ
安堵している凝光に夜蘭は駆け寄って話をする
夜蘭「魔物の件の尾は掴めたわ。ああなった原因はファデュイだったみたい」
凝光「…彼ら何を企んでいたの?」
夜蘭「封鎖されている層岩巨淵に入りたくて青虚浦の魔神を開封させて、その騒ぎ中に入るつもりだったみたい。あいにくその計画は破綻したけどね」
層岩巨淵と聞いて凝光はすこしため息をつく。あそこは危険だから封鎖していたが、近頃は安定してきている。そろそろ開放してもいい時期なのかもしれないが、ファデュイの動向はどうなっているか…と余計な詮索が入ってしまう
この件は確実にファデュイが悪いのだが、おそらくファデュイはシラを切るつもりだろう。部下が勝手にやったことだ。わたしたちは関係ない―と簡単に切り捨てるのが彼らのやり方。まぁその後はどうなるのかはわからないが…
夜蘭「なんにせよ…層岩巨淵を開放したほうが安全かもしれないわ。崩落箇所も確認済みだし、危険性は前よりは落ちているはずよ」
凝光「あなたがそう言うなら間違い無いのでしょうけど…」
そんな会話中、一輪の大きな火の花が空に咲き誇る
それは璃月百合のように綺麗で美しく、悩みなどなくなるようであった
―
長時間、璃月を彩った祭りは終わりを迎え、人々は寂しさを感じつつも今日という日を心に刻んだ
やはり鍾離先生はたよりになるなぁ…持ってないけど